2018年6月28日木曜日

市長が辞任に値する理由

 先週の彦根市議会では大久保貴市長への辞職勧告決議案が提出。否決されたが、レームダックに陥ったままの現市政に対する市議会と市民の厳しい目は今後も続く。
 決議案に対しては提出者の奥野嘉己議員をはじめ、獅山向洋、谷口典隆、辻真理子、北川元気、山内善男、山田多津子の計7議員が賛成した。いずれも少数会派または無所属の議員で、現市政に対して厳しい姿勢をとっている。
 なぜ決議案が提出されるに至ったのかは、市議会やマスコミなど近くにいる人間は毎日のように「肌身」に感じているため理解できるが、市民のためにこれまでの経緯を簡単に紹介したい。
 まず市役所本庁舎耐震化を巡る問題だが、これは大久保市長が就任した直後に、それまで決定していた耐震化計画を白紙化したことから始まる。だが結局は市議会の反発で、パフォーマンスに終わり、白紙化前の計画に落ち着いた。がしかし、その計画にも市職員と施工業者との裏合意が発覚し、副市長が辞任したのは記憶に新しい。そして市制初の百条委員会が設置され、施工業者との契約解除や汚染土壌で庁舎耐震化の完成は先延ばしされている。
 2番目は彦愛犬の新しい広域ごみ処理施設の建設候補地を巡ってだが、彦根市の当初の方針は「原町」で、地元団体と契約した文書も発覚した。しかし管理組合の管理者会で会長を務める大久保市長が急きょ方針を転換し、当時の副市長が辞任寸前まで至った。その選考過程には不透明な点が多々あり、市長の説明も不足していることから、先週の市議会でも候補地の白紙撤回を求める決議案を可決している。
 ほかにも、昨年の市長選前と発表内容が異なり、市財政の危機を明らかにした市中期財政計画、JR河瀬駅前交番の警官殺害事件の情報伝達を巡る誤った発表等々、次から次へと出てくる問題を前にする度に、市長としての資質を疑わざるをえないのは小生だけではない。
 先の辞職勧告決議案には市長野党の公政会や公明党が反対した。その理由は「百条委員会の推移を見て判断しても遅くない」との趣旨だった。前回の百条委以上の情報が今後、出てくることは考えにくく、また市長が辞職に値するのは裏合意の問題だけではなく、「総合的な資質」が挙げられるため、百条委の推移だけでは理由にならない。公政会としては、最大会派としてのメンツを保つため、少数会派らによる決議案に賛成するわけにもいかなかったのだろう。今後は公政会がいつ辞職勧告決議案や不信任案等を提出するかが焦点になる。 【山田貴之】

2018年6月27日水曜日

滋賀県知事選は現職の三日月大造氏が圧勝、投票率は過去2番目の低さ彦根は県内最低

 滋賀県知事選は24日、投開票が行われ、現職の三日月大造氏(47)が37万7122票を獲得。元滋賀大学副学長の近藤学氏(68)=共産推薦=に30万票近い差をつけて再選を果たした。投票率は40・62%と前回(50・15%)から大幅に減り、平成14年7月7月(38・67%)以来2番目の低さだった。
 投票が締め切られた午後8時過ぎ、早々と当確の知らせを受けた三日月氏が現れると、大津市内の会場は支援者の拍手と声援に包まれた。三日月氏は勝因について「県内各地で色んな分野から支えていただいた。お陰様で県政を担うことができ、一定の評価をいただけた」と語った。
 6年後の滋賀国体については「スポーツを持つ力は大きく、多くの県民が競技を楽しんでいる。彦根を主会場とした滋賀国体に向け、必要な施設、設備はしっかり行う。削れるものは削り、必要な投資をしたい」と述べた。最後に「1期目とは違う緊張感がある。真価が問われる4年間になる」と締めくくった。
 三日月氏は、前知事の嘉田由紀子氏が代表を務める「チームしが」のほか、自民、公明、社民など幅広い支援を得て選挙戦を戦い、人、自然、社会の健康の実現を訴えた。
 馬場氏は安倍政権を批判した選挙戦を行い「選挙のために(自民に)すり寄る人物に県政を任せられない」と唱えたが、共産以外から支持を伸ばせなかった。
 今回の知事選は、大津市の大戸川ダムや滋賀国体で両氏に考えの違いがあったが、目立った争点がなく、現県政を評価するか、しないかの選挙で、それが投票率の低さにもつながった。
 彦根市の投票率は35・3%で、県内市町でまたも最低だった。前回の投票率は44・95%で、この年も県内最低だった。
 投票日の有権者数9万0137人のうち、投票者数は3万1814人。有効投票のうち、三日月氏は3万1438票、近藤氏は5713票だった。投票所別では、最高が稲里会館の39・91%で、新海町さざなみホール(39・03)、楡町公民館(35・95)が続いた。最低は人権福祉交流会館の14・92%で、旭森小学校体育館(17・35)、市民交流センター(18・99)が続いた。
 期日前投票は9001票と前回(8632票)を上回った。市選管事務局の担当者は「期日前は増えているのですが・・・」と、投票率が伸びないことに困り顔だった。
 犬上郡では多賀町が県内最高の52・86%で、甲良町が43・62%、豊郷が40・35%。例年、彦根と最下位争いをする愛荘町は40・71%だった。

2018年6月25日月曜日

彦根市立小中学校内のブロック塀などの緊急点検

 18日に発生した大阪府北部を震源とする地震で、高槻市の小学4年生の女児(9)が倒壊したブロック塀の下敷きになり亡くなった事故を受け、彦根市教委は19日から市立小中学校内のブロック塀などの緊急点検を開始した。
 高槻市のブロック塀は地面からの高さが約3・5㍍で、強度を高めるための「控え壁」がないことに加え、塀の高さが基準の2・2㍍以下を超えており、いずれも建築基準法に違反していた。
 彦根市教委は19日朝、市立の17小学校と7中学校にブロック塀やフェンスの有無、高さ、倒壊の危険性がある建造物をたずねるアンケート調査を実施。小学校7校と中学校3校から校内に倒壊の危険性の建造物があるとの回答が寄せられた。
 初日の19日には城陽、若葉の各小学校と彦根中学校に市教委の職員2人が、金属探知機やメジャーを持参し点検を行った。若葉小では高さ約1㍍×長さ約50㍍のブロック塀やアーチ状の門、門柱など6カ所の高さや厚さ、ひび割れの有無などを調べて異常がないことを確認した。若葉小の清水良信校長は「不幸な事故が起こることがないよう、校内のほか、通学路についても危険個所がないか確認したい」と話した。
 市教委は今週中に市立のすべての小中学校で点検を行い、危険性があると判断したブロック塀などについては改修する方向で調整していく。

大久保貴市長に対する辞職勧告決議案が否決

 彦根市議会の6月定例会が21日再開し、一般会計補正予算案など7議案が可決された。またこの日は奥野嘉己議員から大久保貴市長に対する辞職勧告決議案が提出されたが、賛成少数で否決。安澤勝議員から出された新しい広域ごみ処理施設の建設候補地の見直しを求める決議案が賛成多数で可決された。
 提案説明で奥野議員は、市役所本庁舎耐震化に関する裏合意の問題や、来年度以降に財源不足が見込まれるとした市の中期財政計画などをあげ「このままでは本市運営が暗礁に乗り上げることは明白。市長ではこれらの課題を解決に導くことは困難であり、その辞職を求める」と説明。獅山向洋、山内善男、辻真莉子の各議員が賛成討論、和田一繁議員が反対討論を行い、賛成7人で否決された。
 新しい広域ごみ処理施設について安澤議員は、▽建設候補地の愛荘町竹原の周辺6自治区で反対表明されている▽竹原に決定した経過に多くの疑問が存在する▽圏域の7割のごみを彦根市が占めていることから市内を建設候補地とするのは当然―だとして白紙撤回と市民の利益になるような検討を求めた。採決では賛成19人、反対4人で可決された。
 ほかに新しい市民体育センターの早期建設を求める請願書が採択、市消防団人事について市長の任命権者としての役割発揮を求める請願が不採択となった。財政規律の堅持と透明性の確保に関する決議案は賛成少数で否決された。
 辞職勧告決議案が出されたのは平成9年以降でない。閉会後、市長は「ご意見をしっかりと受け止めて、一つずつの課題に全力をかけ、信頼回復に努めたい」と述べた。

荒神山神社で社務所と書院、書院中門の大規模な改修工事

 彦根市指定文化財の荒神山神社(清崎町)の社務所と書院、書院中(ちゅう)門の大規 模な改修工事が行われている。
 荒神山神社は飛鳥時代の天智天皇の時に近江国四カ所に設けられた祭祀場の一つが起源。奈良時代以降は仏教が加わり、神仏習合の地として奥山寺など寺院が複数あったとされる。大坂の陣では彦根藩二代藩主の井伊直孝の戦勝を祈願し、その礼として護摩殿や書院などが建立された。明治時代の神仏分離令により奥山寺が廃止され、荒神山神社と改称された。
 社務所は境内東側にあり、19・6㍍×11・8㍍の広さで主屋が桟瓦葺き。棟札に「天保十年(1839)九月十八日」、南端の鬼瓦に「天保十二年」と記されている。書院は社務所に接しており、畳廊下とつながっている。奥の座敷、次の座敷とも8畳の造り。19世紀前期から社務所の建築時期にかけて建てられたとされる。書院中門は木材の輪郭線が17世紀後半の模様だが、様式から19世紀前期に改修されたという。
 書院などが建築から200年以上、社務所が約180年経過しているため、柱の傾きや雨漏れなど老朽化が目立っていた。書院の改修工事は平成28年秋から始まり、昨年12月に完了。社務所の改修工事が今年4月から始まり、2年後の12月の完成を目指す。書院中門は社務所の完成後に着工される。
 総工費は8000万円以上(市の補助は約900万円の予定)で、現在も企業や個人からの寄付を受け付けている。奥山二三男宮司(69)は「大規模な修復をするのは今の時期だと思い、決断した。これから先、200年以上続く建物になってほしい」と話している。
 市指定文化財はほかに山ろくの遥拝殿があるが、明治9年10月から明治12年4月28日までに建てられた本殿や拝殿、神饌所などを含め、今回は改修されない。同神社は毎年6月末に水無月祭を営み、茅の輪くぐりや神楽奉納などをしているが、例年通り実施する。

2018年6月20日水曜日

火災で一部が焼失した寺子屋力石の修理開始

 7年前の火災で一部が焼失した彦根市河原2丁目の「寺子屋力石」の保存修理が11日から始まった。
 寺子屋力石は約250年前の江戸時代に、敷地面積約234平方㍍に建設された2階建ての町家。力石家が寺子屋として活用し、表具屋や古道具商も営んだ。現在の所有者の力石寛治さん(80)は八代目。
 平成9年以降は地域の交流の場となっていたが、同23年1月2日に1階部分から出火し、母屋が全焼、通り沿いの旧寺子屋部分も半焼した。地元住民らによる寺子屋力石再生委員会が「再興プロジェクト」運動を展開し、募金活動などで1期目の工事を行って4月16日に仮オープン。翌年4月にギャラリー兼カフェとなった。
 平成28年7月25日には寺子屋力石を含む河原町芹町地区伝統的建造物群保存地区が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定。2期目となる工事では、瓦ふき替えや外壁の外観と、耐震用として柱や梁(はり)、耐力壁の増設など内部の保存修理が今年11月末まで行われる。総経費約1500万円のうち国が約800万円を補助し、残りを力石さんと募金の残金で負担する。
 力石さんは「不幸な火災で一部が焼失しましたが、たくさんの支援と激励でいよいよよみがえります。保存修理を経てあと100年もつ建物になれば」と話している。

彦根市消防団の人事巡りはしご登り存続危機?

 彦根市消防団の今年度の人事を巡り、役員から外された元副団長らが、11月3日のひこね城まつりパレードで、はしご登りの演技を披露しない意向を示している。
 13日の市議会一般質問で谷口典隆議員が市消防団の役員人事の問題を取り上げた。谷口議員や市の答弁によると、今年3月16日に内示された市消防団の人事異動で、副団長3人と分団長1人が再任されなかった。これに対し外された元副団長らは「断りもなく内示が出されたことに納得いかない」として、4月16日に市消防本部に説明の場を要求。22日に昨年度の正副分団長以上の幹部による説明会があった。しかし納得できない元副団長らは5月11日に大久保貴市長と面談し、団長の免責などを求める要望書を提出した。
 消防組織法には「消防団長は消防団の推薦に基づき、市町村長が任命し、団長以外の団員は市町村長の承認を得て団長が任命する」と明記。団長の推薦方法として、彦根市消防団では「副団長3人、各中隊の代表分団長3人、本部付き団長の計7人による推薦委員会で決める」と定めている。また市消防団規則では「団長、副団長らの任期は4年で、再任することを妨げない」と規定。今年度の人事については2月27日の推薦委員会で現団長が推薦された後、新体制の人事が発令された。
 市議会で谷口議員は市から市消防団へ指導するよう求めたが、市は「市または市消防本部が人事内容に踏み込むのは適切ではなく、大変難しい。解決の糸口がないか考えたい」と答えた。
 市議会を傍聴していた元副団長の1人は、彦根鳶保存会内のはしご乗り手の会の顧問を務めており、はしごを解体したほか、メンバー約20人が法被を市消防本部に返却したと明らかにした。滋賀彦根新聞の取材に「何の説明もなく、副団長を外されたのは納得できない。このままでははしご登りを演技することはできない。現団長の退任と昨年度の人事に戻すことを求めたい」と話しており、法的措置を辞さない構えも見せている。
 はしご登りの存続について、市消防本部の担当者は「現体制下の幹部の話し合いでははしご登りを継続する考えで、その方向で進むと期待している」と話している。
 彦根市消防団の今年度の役員人事から外された副団長らが、市長が任命した消防団長に円滑な組織運営を行うよう求める請願書を市議会に提出した。請願では「職を免じられる理由がないのに、消防団の役員、団員の地位を奪ったことは法的にも無効だ」と主張している。

2018年6月19日火曜日

再生可能エネルギー100%へ市民発電所の設置目指す、環人8プラスとひこね市民発電

 滋賀県立大学の講座・近江環人の受講生らによる「環人8プラス」と、民間での発電所設置を広めている団体「ひこね市民発電」が、太陽光や風力など再生可能エネルギーの拡大を目指した活動を進めている。昨年末には専門家を招き、「みんなでつくるご当地エネルギーって何だ?」をテーマに講座を開いた。2月と3月にも連続講座を行った。
 昨年末の講座ではNPO法人気候ネットワーク(京都市)の主任研究員・豊田陽介さん(40)が「再生可能エネルギーと市民共同発電」をテーマに基調講演した=写真。
 豊田さんは、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みを定めた「パリ協定」が昨年11月4日に発効されたことを取り上げた上で「世界各国は石油や石炭、天然ガスなど温暖化につながる燃料を使わない社会を目指すことで合意した。風力や水力、太陽光、バイオマス、地熱など再生可能エネルギーの導入が進んでいくだろう」と予想。
 事業活動で消費する電力を再生可能エネルギーでまかなっている企業として、米国大手のグーグルやマイクロソフト、ナイキ、コカコーラ、スターバックス、BMWなどのほか、日本のリコーや積水ハウスなどをあげ「名だたる国内外の企業が再生可能エネルギー100%を目指すと宣言している」と述べた。
 一方、日本全体で再生可能エネルギーが伸びない原因として「地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガス排出型の社会のため、経済成長と共に二酸化炭素が増えている。経済成長と二酸化炭素の排出量が一体のため減らせないという考えが根強くある」と解説。
 この考え方からの脱却に向けて、豊田さんは経済成長を維持しながら温室効果ガスを排出するエネルギーを削減していく「デカップリング」の社会を提示。中国やインド、ブラジルなど新興国でバイオマスエネルギーの導入が進むことを示して「雇用が生まれており、経済的なメリットもあり、産業界にプラスになる」と、日本での再生可能エネルギーの更なる推進を求めた。またWWF(世界自然保護基金)が2050年までに世界の全てのエネルギーを再生可能エネルギーにすると掲げていることを紹介し「再生可能エネルギー100%は夢物語ではなくて、世界中の技術を組み合わせれば達成できる」と訴えた。
 再生可能エネルギーを増やす方法として、市民の出資や寄付を財源に地域の水や森、風を活用する「市民共同発電」をあげ「地域の資源を使って電気を作り、収益を生んで地方を豊かにしていくというモデルを目指すべきではないか」と提唱。「地域で発電をしていけば、風力の『ブンブン』という騒音が、お金の音の「チャリンチャリン」に聞こえるのでは」との表現を使いながら、市民共同発電の推進を求めた。
 豊田さんは市民共同発電所が昨年12月時点で全国で1028基あるとした上で、市民共同発電を推進させる方法として「まずはどのような地域にしたいのかコンセプトを持ち、住民主体で進めていく考え方が重要。再生可能エネルギー社会を実現させることで、地域の課題や問題を解決していくという状況をつくれたら良い」とアドバイスした。

 再生可能エネルギー講座は「環人8プラス」と「ひこね市民発電」が主催して開講。
 環人8プラスは県立大による平成23年の近江環人を受講した8期生の社会人4人と市民有志6人が、再生可能エネルギーの普及を目的に結成したグループ。
 ひこね市民発電は代表の松宮秀典さん(57)=古沢町=と伊藤容子さん(55)=大藪町=で組織。現在は市内に2カ所の市民共同発電所があるが、まだまだ認知不足な状況のため、松宮さんは「この1年間勉強し、彦根で再生可能エネルギーを作るシステムを広めていくために、皆さんと一緒に考えるきっかけ作りをしたい」と、講座への参加を求めている。
 問い合わせは松宮さん090(1488)6026。

米国の留学生たち本光寺で書道を体験

 滋賀県立大学などで日本語や日本文化を学んでいる米国の留学生たちが、大学近くの本光寺(八坂町)で書道を体験した。
 米国国務省教育文化局が人材と外国語教師の育成を目的に、米国内から選抜した学生たちに世界14の言語を学ばせるCLSプログラムを実施。「日本語」には平成27年度から滋賀県立大が選定され、今年度も応募者数百人から選ばれた25人が来日し6月1日から彦根市内に滞在している。留学生は滞在する約2カ月間のうちホームステイとアパートで1カ月間ずつ交代しながら過ごす。
 日本文化の最初の体験となった本光寺では、田中康勝住職から同寺の歴史や浄土真宗の教えなどを聞いた後、書家としても知られる田中住職の指導を受けながら、筆を手に半紙に日本語を書き、最後にうちわに好きな文字を書いていた。
 米国メイン州のベイツ大学2年のマイケル・ロンバーデイさん(19)は4回目の来日で「日本人は心が優しい。彦根の方にも温かさを感じる。今日は日本の宗教の本質を学ぶことができました」と話した。
 留学生たちは13日に彦根城見学と彦根城博物館で狂言も体験。20日に湖東焼作り、27日に江州音頭踊り、7月11日に稲枝北小学校訪問、18日に茶道などをして、28日に帰国する。

滋賀県知事選は中盤戦に

 24日投票の滋賀県知事選は中盤戦に入っており、出馬している滋賀大学元副学長で新人の近藤学氏(68)と、現職の三日月大造氏(47)が県内各地で舌戦を繰り広げている。
 近藤氏は安倍政権について「森友、加計問題で、首相の関与をごまかすために財務省や文科省の官僚が忖度をして公文書を改ざんした。自らの政治責任を棚上げし、責任を官僚に押し付けている」と指摘。「国の悪政を放っておいて、県民の命と暮らしを守ることはできない」と訴えた。そのうえで「選挙のために自民党にすり寄るような人物では無理な話ではないか」と現職を批判した。また、国体に向けた施設整備への巨費投入も取り上げ、新設ではなく既存施設の補修で済ませば「300億円が不要になる」と主張し、中学校卒業までの子どもの医療費無料化、養護学校の新設、国保料の引き下げ、奨学金制度の導入などが実現できるとした。
 三日月氏は彦根駅前などで街頭演説。6年後の滋賀国体について「必要な施設整備を進め、ボランティアやアスリートの育成にしっかりと取り組みたい。主会場の彦根を中心に滋賀を盛り上げて、街を元気にしていく」と述べた。次の4年間の抱負としては「近江鉄道、タクシー、バスなど公共交通を更に乗り心地良くしたい。経営状態の厳しい近江鉄道の電車部門について話し合いをしながら、次の施策を考えたい」と話した。彦根城の世界遺産登録にもふれ「彦根城は滋賀の宝、日本の宝であり、滋賀全体で盛り上げていける取り組みをやりたい」と意気込んだ。最後に「人、社会、自然の健康を高める取り組みを一生懸命行い、自民、公明、チームしが、中小企業の皆さんの応援も頂きながら、みんなの力で彦根、滋賀を盛り上げていきましょう」と支持を呼びかけた。

2018年6月14日木曜日

ヘルプマーク全国の対象者に配送する作業 彦根の地域交流センターおひさまで

 見た目ではわからない難病の発症者や障害者への配慮を求める「ヘルプマーク」を全国の対象者に配送する作業が、先月から彦根市大藪町の介護施設「地域交流センターおひさま」で行われている。
 ヘルプマークは赤地に十字とハートが白色で記されており、難病、精神障害、目・耳・言語の障害、義足や人工関節、認知症、妊娠初期など日常生活で支援が必要な人が所持している。東京都が平成24年から導入し、全国の自治体でも役場や地下鉄構内などで無料配布されている。対象者の氏名、連絡先、病名、手伝ってほしいこと、かかりつけの病院などを記入する「ヘルプカード」と合わせて全国的な広がりを見せている。
 一方で、白血病や特発性大腿骨骨頭壊死症を発症し、5年前には心不全の診断を受けた音瀬伊都子(いつこ)さん(45)=彦根市本町=によると、ヘルプマークの生産が追いつかずにインターネットを通して転売されたり、さまざまな症状や精神状態で配布場所に取りに行けないなどの課題がある。
 ヘルプマークの普及と啓発活動をしている団体「全国ヘルプマークオリパラプロジェクト」は、スイスの製薬メーカーの補助を得て独自のヘルプマークとヘルプカードを作り、全国の対象者5000人に郵送で無償配布する。先月18日から「おひさま」で障害者たちが梱包作業をしており、今月5日時点で2000セットの配送準備を終えている。
 音瀬さんは「ヘルプマークを入手できない難病などの当事者に届けて、配慮し合える優しい社会になってほしい」と話していた。問い合わせは音瀬さん090(1484)1650。

2018年6月12日火曜日

彦根市男女共同参画センター・ウィズ民間企業の協力で女性の再就職支援へ

 彦根市男女共同参画センター・ウィズ(平田町)は、働く意思があっても仕事に就けていない女性を対象にしたセミナー「おかえりインターン」を始めると発表した。インターンシップの支援会社「リバース」(草津市)の協力を得ながらの事業で、公共機関が企業と再就職支援の取り組みをするのは県内初だという。
 総務省の統計などによると、妊娠や出産で仕事を辞め、その後、仕事に就いていない女性は300万人以上いるとされる。ウィズは人材を求める企業との仲介役を務めながら、女性の再就職を支援するためのセミナーを企画した。
 対象は、仕事と育児を両立したい、自身のキャリアを向上させたいと考えている市内または近隣市町に住む女性と、女性の採用を検討している市内または近隣市町の企業・団体。年齢や業者は問わない。
 8月3日に企業向け説明会、9月7日と22日に女性向け研修会とキャリアデザインセミナー、10月5日に企業と女性が参加しての実習説明会、10月15日~11月29日の1~3日間にインターンシップ、11月30日に振り返りの研修会がある。インターンシップ以外の場所はウィズで。ウィズは現在、受け入れ企業10社を募集しており、7月から女性も定員20人で募る。
 ウィズの担当者は「すべての女性が自分らしく活躍、挑戦できる社会づくりを目指しており、企業と働きたい女性との架け橋になれるよう支援したい」としている。
 問い合わせはウィズ☎(24)3529。

2018年6月10日日曜日

桜田門外の変で井伊直弼が暗殺時の拳銃か?水戸藩士が桜田門外の変について記したとされる文書も展示

 安政7年(1860)の桜田門外の変で彦根藩十三代当主の井伊直弼が暗殺された際に使われたという拳銃が、10日に大津市の近江神宮で公開される。暗殺のメンバーだった水戸藩士が桜田門外の変について記したとされる絵図入りの文書も展示される。
 拳銃と文書は、古式銃や和時計などの研究者で、テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士を務めている澤田平さん(83)=大阪市=が所有している=写真は澤田さん提供。
 澤田さんによると、拳銃は米国の提督だったペリーが幕府の要人に贈った品を参考に水戸藩で製造され、中澤晃敬という名前が明記。本体には桜の模様が彫られており、安政年間に関東で活躍した彫工の鎌田寿次の銘も見られる。米国の古銃研究家から約20年前に入手し、米国では「ペリーのピストル」として有名だったという。拳銃が入っていた箱に直弼暗殺時に使われた銃と書かれていたという。
 文書は、桜田門外の変に加わったメンバーの生き残った2人のうちの1人で水戸藩士の海後磋磯之介(かいごさきのすけ)が書いたという遺書。襲撃直後に水戸藩士の森五六郎が直弼の乗ったかごに銃を発砲したなどの内容が記され、襲撃の際や直弼の首を切る様子を描いた絵もメンバーの名前入りで描かれている。澤田さんが約3年前に大阪市の古本屋で見つけた。
 近江神宮では10日に時の祖神の天智天皇に感謝の祈りをささげる「漏刻祭」があり、天文時計の垂揺球儀などと合わせて、拳銃と文書も展示される。午前11時~展示説明がある。澤田さんは「拳銃は米国の研究家が驚くほど精密に作られており、技術の高さがわかる。遺書についても桜田門外の変の真相がわかる内容だ」と話している。

2018年6月7日木曜日

彦根市中期財政計画 毎年約24億円から約35億円の財源不足、昨年市長選時と異なる内容

 彦根市は5月28日、来年度から5年間の市中期財政計画を更新し、毎年約24億円から約35億円の財源不足が見込まれると発表した。市長選前の昨年1月にも平成29年度から5年間の財政計画を公表し、大久保貴市長は市長選前後に「市の財政は改善した」と強調していたが、今回の発表との相違に対する説明責任が問われそうだ。
 市は昨年1月時と比べて、国の方針変更で地方交付税が今年度の約50億円から来年度以降38億5000万円で推移すると下方修正。また扶助費(社会保障関係費)と国体関連など投資的経費の伸びがさらに大きくなると改めたため、来年度以降の財政収支の見込額と大きなかい離が生じると判断した。
 市によると、来年度の財政収支見通しは歳入が429億4837万円、歳出が453億7730万円で、24億2892万円の赤字に転落。翌年度以降も29億円超から35億円超の財源不足となり、実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)も4年後以降から10%以上に悪化すると推算している。
 市は財源不足への対応として、来年度の予算編成から部局ごとで事業精査を行った後に予算要求をする枠配分方式へ見直すほか、市職員の時間外手当の前年度比10%削減や緊急性の低い投資的事業の精査などで歳出を抑える。ただ、投資的事業には市役所本庁舎の耐震化に関する「裏合意」分や汚染土壌の除去費などは含まれていない。
 大久保市長は会見で「最悪のシナリオを示したまでで、市民の皆さまに知っていただきたいという警鐘。そのようにならないように努力をする」と述べた。一方で、昨年の市長選時に市長は「市の財政は極めて健全で、市民には説明が不足している」と正反対の内容を話していたが、その考えを改めた理由ついて、市長は財政調整基金の残高見込み額や扶助費などの見込みが甘かったことを認めつつ「財政の状況は日々動いている」とあいまいな回答に終始した。また投資的事業のうち、新市民体育センター(約64億円)や、金亀公園再整備(約24億円)について、市長は「全体の進捗に合わせて整備を進めたい」と計画通り進める考えを示した。

2018年6月5日火曜日

河瀬駅前交番警官殺害事件で彦根市が誤った発表をした問題で大久保貴市長「深謝」

 河瀬駅前交番で警官が殺害された事件で、容疑者の身柄確保の情報伝達を巡って彦根市が誤った発表をした問題を受け、大久保貴市長は5月28日「深謝する」とのコメントを発表した。
 事件が発生した4月11日の午後11時35分頃、市は市民向けに事件情報をメールで配信。翌12日午前1時48分にNHKが容疑者確保の情報を報じたが、市がメール配信をしたのは午前5時53分だった。
 市長は4月25日の会見で「県警から連絡がなかった」とし「誠に遺憾で、県警本部長に改善を申し入れる」と話したが、県警はその後「市への報告はしていた」と反論。市は滋賀彦根新聞の取材に市長発表の誤りを認めていた。
 誤った発表をした理由について、市長は「市民にメール配信をするための情報を県警からなかったことを説明した」と弁明した上で「前代未聞の事案であり、一部感情的になり、説明が十分でなかったことを深謝します」とコメントした。

彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会 会長に永楽屋の宮川富子さん

 彦根城世界遺産登録 意見交換・応援1000人委員会が5月28日、彦根勤労福祉会館で開かれ、会長には永楽屋(芹中町)副社長の宮川富子さんが就いた。
 彦根城の世界遺産登録を目指し、市民と行政が世界遺産のまちづくりをしていこうと設立。会員数が目標1000人のうち5分の1を超えた(295人)ことから設立総会を開いた。
 総会には会員以外の35人を含む110人が参加。大久保貴市長のあいさつ、設立発起人代表の細江正人県議が趣旨を説明した後、宮川さんの会長就任が発表された。
 宮川さんは「市民が動かなければ世界遺産の登録は難しいことがわかり、盛り上げていくための重責を受けた。市民の輪を広げていけたら良いなと思うので、今日をスタートに多くの人に支援をいただきたい」と述べた=写真。
 最後に市特別顧問の山根裕子さんが「世界遺産と彦根のまちづくり」をテーマに講演した。

2018年6月2日土曜日

皇太子ご夫妻が彦根城博物館ご見学

 皇太子ご夫妻が26日、彦根城博物館を見学された。
 ご夫妻は25日に長浜市内や米原市内の施設を見学され、26日に県立長浜ドームなどで開催された全国「みどりの愛護」のつどいの式典に出席され、午後に彦根城博物館を訪問された。
 ご夫妻は井伊の赤備えの甲冑など常設展やテーマ展の「華麗なる能の装い―女神と鬼神」、能舞台をご見学。皇太子さまは「たいへん良いものを見せていただきました」と話された。説明を担当した学芸員の渡辺恒一さん(51)によると、ご夫妻とも大変熱心に質問をされていたという。
 お迎えの際にはひこにゃんも並び、皇太子さまが「こんにちは」、雅子さまが「お元気ですか」と声をかけられると、ひこにゃんは鈴を鳴らしてこたえていた。

彦根総合高生徒考案ひこねカラーのクレパス完成 彦根城の写生大会でプレゼント

 彦根総合高校の生徒が企画した「ひこねカラー」のクレパスが完成し、6月3日に彦根城内で開かれる写生大会の参加者200人にプレゼントされる。
 彦根総合高3年生の大橋アーシアさん(17)=長浜市=と藤田さらさん(17)=米原市=が平和堂、キリンビール滋賀工場、ブリヂストン彦根工場の3社による地元の高校生を対象にした企画に、彦根を色で表現した「ひこねカラーを作る」で応募。164件の中から最高の優秀賞に選ばれた。
 「ひこねカラー」は、井伊の赤備えの朱、湖東の青空の青、彦根の水堀の緑、冬の彦根城の白、彦根城の石垣の茶の5色。3社の協力で実際にクレパスとして商品化された。
 写生大会は午前9時から午後4時まで開催。受付場所は表門、大手門、玄宮園で、各所で画用紙が渡される。クレパスは天守付近でプレゼント。作品は6月24日から30日までビバシティ彦根1階に展示される。入選者には作品入りのマグカップ進呈。雨天中止時の情報は彦根青年会議所のホームページやFM彦根で。問い合わせは彦根青年会議所☎(22)7522。