彦根市本町1丁目の四番町スクエア内のレストラン「teraitei(テライテイ)」は、ひこにゃんや人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターなどの巻きずしを提供。節分に合わせて巻きずし教室も開いている。
「レシピの女王」で準優勝
「子どもと一緒に楽しめる場所」
店主は寺居裕香さん(43)。20代のころに長浜市の滋賀県調理短期大学校で調理技術を学びながら米原市のエクシブ琵琶湖で勤務。31歳のころにあった社内の若手調理人のコンクールでグランプリを受賞したことで自信がついた。その後、東京に行ってフランス料理店で働いていたが、父親の体調不良もあって帰郷した。36歳の時に日本テレビの番組内のコンテスト「レシピの女王」で準優勝するなど活躍。結婚を経て2019年8月29日に店をオープンした。
「子どもと一緒に食事が楽しめるレストラン」をコンセプトに、キッズスペースや幼児トイレ、授乳室を完備。ホタテの自家製スモークや鶏肉の低温調理メープルマスタードなどのオードブル、海の幸パスタや仔羊のローストなどメイン、巻きずし、デザート、ドリンクのランチメニューを用意している(税抜き1600円)。
子ども向けにもランチ(同1300円)とプチランチ(同1000円、うどんやパスタなど単品、離乳食のメニューを提供。希望のアニメキャラや動物などの巻きずしを作れる。恵方巻の予約も受け付けている。夜は予約のみ。
寺居さんは「子どもが大人になってからも、また子どもを連れて来てくれるような長く愛されるお店にしたい。四番町スクエアのお母ちゃんみたいな存在になりたい」と笑顔を見せていた。休店は第1第2水曜と木曜。午前11時~午後5時。ホームページは掲載のQRコードから。
巻きずし教室
teraiteiは2月1日まで、巻きずし教室を開いている。午前10時~か午後3時~の各1時間。1日5人まで。土日祝日も可。参加費はレシピと土産付き2300円。大人のワンプレート(食事)も1000円で提供。問い合わせはteraitei☎(47)6088。
彦根市と近郊の中学生の吹奏楽団「ジュニアバンド『彦輝』」が文化プラザで活動している。新年度以降は高校生も対象に加える予定で、随時団員を募集しているほか、初心者の見学も受け付けている。26人が文化プラザで練習
団長は、県内の中学校の吹奏楽部で顧問を務めていた北沢真実さん(34)=小泉町。北沢さんは彦根市立南中の吹奏楽部の出身だが、当時と比べて教職員の働き方改革などによって中学校の部活動の時間が少なくなっているという。そのため、中学校の吹奏楽部の部員たちに他校の生徒たちと一緒に楽しく活動、発表する機会を提供しようと、2019年7月にジュニアバンドを結成。「彦根地域の中学生たちに輝いてもらおう」との思いで「彦輝」と名付けた。
現在は豊郷町の豊日中の10人をはじめ、彦根市立東中、彦根中などの計26人が所属。男子生徒3人、女子生徒23人が毎月3回ほどの水曜日午後6時から文化プラザメッセホールで練習している。来年度からは土曜日に変更する予定。
楽器「寄付して」
3月に発表会
打楽器、管楽器のパートごとに、ポップスからクラシックまで幅広い曲を演奏。本紙の山田貴之記者が取材に訪れた際は北沢さんが指揮者となって、アニメ「もののけ姫」メドレーを練習していた。
楽器は生徒たちが購入したり、学校から借りたりしているが、マリンバやドラムセット、ティンパニなどは北沢さんが自費で用意している。そのため管楽器をはじめとした楽器の寄付も受け付けている。
指導者は北沢さん以外に、北沢さんの教え子だった高校生から社会人までの3人もいる。来年度からは団員の対象を高校生まで広げる予定。北沢さんは「中学校を卒業しても吹奏楽をずっと続けていけるようにしたい。吹奏楽を通して学んだことを社会でも生かしてほしい。社会人になっても戻ってこられる場にもなれば」と話していた。3月24日には文化プラザエコーホールで演奏会を開催する。
団員のリーダーでフルートとピッコロを担当している豊日中3年の横山すず花さん(14)は「学校以外でももっと練習したいと思い、入団した。いろんな学校の子たちと交流できるのが楽しい。違う楽器を教えてもらったり、同じ楽器でも新たに学んだりもできる」と笑顔で話していた。
経験者、初心者の入団を募集。見学も自由。月謝3000円。問い合わせは北沢さん☎090(3267)1306。ショートメールでも可。
彦根市肥田町の市指定文化財の古民家「鹿島家住宅」に移住し、木製スピーカーの工房とショールームを兼ねた店「HORA AUDIO(ホラオーディオ)」を営む代表の青柳亮さん(46)と麻美さん(46)夫妻に、商品の特徴や移住のきっかけ、稲枝地域の印象などを聞いた。
滋賀産の木材使用し開発
青柳さんは大学卒業後、団体職員を経て日本とロンドンで木工技術と家具デザインを学び、家具職人や木工技術を生かした業務に携わりながら、音楽イベントの企画運営も行っていた。自身の好きな音楽と木工技術を組み合わせる形で木製オーディオを作り、当時の拠点だった神奈川県藤沢市で2015年3月に創業し、6月に最初の商品のスピーカー「MONO(モノ)」を発売した。
MONOは、機器ユニットの後方から発生する低音をホーンによって増幅させる「バックロードホーン」と呼ばれる方式を採用。現代では珍しい型のスピーカーだが、生活環境に合うように小型化して開発した。高さ34・6㌢×幅15・1㌢×奥行き29・7㌢。
昨年4月には滋賀産のクリやコナラの木材をボディに、滋賀の麻布をサランネット(網状の部分)に使用した商品「NORM(ノルム)」も発売した。高さ29・6㌢×幅14・6㌢×奥行き17・3㌢。
町屋情報バンクで
「昔の職人の技感じ」
鹿島家住宅に引っ越してきたのは2015年の10月。自宅と工房を兼ねることができる物件をインターネットで探していたところ、「小江戸ひこね町屋情報バンク」から鹿島家住宅を見つけた。そして15年7月にあった見学会に参加。古民家を探していたわけではなかったが、「約150年前の人がどういうことを考えて建てたのか興味を持った。周辺の風景も美しかった」と移住を決めた経緯を説明した。
移住後の生活について、麻美さんは「野菜や水がおいしく、地域の皆さんもとても優しくて感謝している」と笑顔を見せた。最近は日本料理や着物など和の文化に興味を持ち始めたといい「衣食住ともに日本を感じる生活になっている」と語った。
青柳さんは木工、鉄工、塗装などすべての工程を鹿島家住宅の土間だった場所に設けた工房で行っている。「工房を支えている柱や梁(はり)を見ると、建設から約150年が経っているのにいまだにしっかりしている。昔の職人の技の高さを知ることもでき、ものづくりの『先生』のように思いながら、私も作っている」と話していた。
製品に関する質問や資料提供など問い合わせはHORA AUDIOのホームページか☎(43)3090。
※【鹿島家住宅】旧肥田城下の農家に江戸時代後期、幅17・8㍍・奥行き25・9㍍の敷地に建設。座敷や土間、台所などがある母屋や外便所のほか、水路に接して食品などの水洗いに利用したかわと、土蔵などのほか、愛知川以北にあった特有の桶風呂が残っている。
母屋は道路に妻面を見せる入母屋造りで、当初は草葺きだったが、現在はトタン板で覆われている。桶風呂はかわとからくんできた水を入れて、柴を燃やして沸かした後、入る仕組み。桶風呂の下には昭和41年(1966年)9月に改修したことを記した墨書がある。平成22年(2010年)に市指定文化財になった。
彦根市清崎町の荒神山神社拝殿の隣には牛の銅像(なで牛)がある。この銅像を作り、荒神山の山麓から山頂まで持って運んだ藤村富次郎さん(83)=東近江市長町=に当時の思い出を聞いた。
牛の銅像は幅1㍍28㌢×奥行き60㌢×高さ45㌢の青銅製。背後には再建年月日として「昭和29年4月29日」と刻まれている。藤村さんは16歳の時、銅鋳物の製造業者の金寿堂(東近江市長町)に入社。荒神山神社は牛の銅像が戦争で徴収されたままだったため、4月29日の春祭りに合わせて金寿堂に製造を依頼。藤村さんら職人3人は当時、藤村さんが飼っていた農業用の牛を参考に約半年かけて完成させた。
荒神山には車道がなかったため、藤村さんら職人3人と当時の宮司、総代ら計6人がはしごを横にして牛の銅像をくくり付け、山道を半日以上かけて山頂まで担いで登ったという。
銅像の隣で、藤村さんは「銅像を見るたびに当時を思い出す。私たちが作った物がここにあるという誇りを感じている」と話していた。
「牛にひかれて荒神参り」
荒神山神社は火やかまど(台所)の神様「荒神さん」としてあがめられており、牛が荒神さんの使いになっている。以前の農家では牛を飼っていて、えさを作るためにかまどが不可欠だった。このことが荒神さんと牛が結びついた理由だとされる。
「牛にひかれて善光寺参り」ということわざがあるが、荒神山神社の奥山二三男宮司は「この新年はお使いの牛がいる荒神さんにお参り頂き、家内安全と無病息災の一年を祈念してほしい」と話している。
滋賀県内の神社にある狛犬(こまいぬ)の特徴や歴史について詳細にまとめた本「近江の狛犬を楽しむ」が15日、サンライズ出版(彦根市鳥居本町)から発刊された。
著者は京都府内の国公立中学校で教員や副校長を務めた龍谷大学名誉教授の小寺慶昭さん(71)=京都府宇治市。1989年に獅子と狛犬の違いを調べたのを機に興味を持ち、以降30年以上、全国各地を訪問しながら「狛犬ノート」にまとめてきた。
本では県内社寺の狛犬1385対について調査し「大宝(だいほう)神社の日本一の木造狛犬」「近江の神社の狛犬設置率」「近江で最古の参道狛犬」「信楽焼と備前焼の狛犬」「出雲から来た狛犬たち」など10章でまとめた。
栗東市の大宝神社の章では、鎌倉時代初期に作られ国の重要文化財に指定されている同神社の木造の狛犬について「神殿内や階段上の廊下に置かれた陣内狛犬では日本一と言ってもいい」と評価している。
彦根など設置率5割割る
「氏子意識の希薄さ」原因?
狛犬設置率の章では、神社1826カ所のうち60・8%の1110カ所に狛犬が設置されていると報告。平成の合併以前の市町村別に見ると、設置率の最高が中主町の85・6%で、次いで永源寺町の81・8%、豊郷町の80%。一方で少ないのが湖東町の33・3%で、甲賀町、彦根市、愛知川町、大津市、安曇川町、秦荘町が5割を切っている。全体的には湖北地域がやや高いため、本では「郡部では鎮守の森の産土神を氏子たちが崇拝するという信仰形態が維持されている。都市部では住民の移動が多く、氏子意識が希薄なことがその背景にある」と論じている。
最古の参道狛犬の章では、甲賀市土山町の加茂神社に寛政5年(1793年)3月に建てられた狛犬が江戸の関根氏によって寄進されたと説明。信楽焼と備前焼の狛犬の章では、県内に陶器製の狛犬が8対あり、そのうち信楽町の日雲神社の「恨めしい顔」の狛犬など6対が信楽焼で、2対が伊部焼(備前焼)だと紹介している。
彦根では千代神社、北野神社、高宮神社、新神社、春日神社、比婆神社など9カ所の狛犬を取り上げている。小寺さんはほとんどの狛犬の台座に寄進者が刻まれているとして「狛犬は奥が深く、調べれば調べるほど地域の文化や人々の生活の歴史が詰まっていることがわかり、そこがおもしろい」と魅力を語っていた。本はB6判、202ページ。税抜き1500円。