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2021年5月9日日曜日

滋賀県土地家屋調査士会が本「滋賀の地籍-土地家屋調査士の視点から」発刊

 滋賀県土地家屋調査士会(事務局・大津市)が、古地図や地籍図を活用し県内の地歴を調査した内容を本にまとめ、サンライズ出版(鳥居本町)から4月12日に発刊。「所有者不明の土地や空き家などの問題を解決するヒントにもなる一冊」としている。
 同会は不動産登記や土地の境界を明らかにする土地家屋調査士が199人所属する団体。昭和25年(1950年)に土地家屋調査士制度が制定されて以降、今年度で70周年を迎えたため記念誌として発行。平成16年(2004年)から県内各所に保管されている地籍図や古地図の調査、実地見学会、研修会を行った成果を、副会長の西村和洋さん(48)が編集責任者となってまとめた。
 本はタイトルが「滋賀の地籍-土地家屋調査士の視点から」。第1章「法務局や地域にて保管されている様々な地図」と第2章「滋賀県内の地籍・土地境界に関する慣習および特徴」で構成。第1章では浅井郡五村区(長浜市)地券取調総絵図など「ムラ」に残る地籍図類、伊能忠敬が享和3年(1830年)から4回にわたって滋賀を訪問した足跡などを紹介している。
 
ノコギリ型道路 シシ垣…
県内の古地図や地籍図で解説
 第2章では、建物が段違いに並び立って道路の形状に影響を及ぼしている大津市堅田地区・長浜市元浜地区などの「ノコギリ(稲妻)型道路」、死者を埋葬する墓地(埋墓)と遺族が参拝する墓地が離れた場所にある「両墓制とサンマイ(埋墓の呼び名)」の県内での分布、江戸時代に農民が獣害対策として集落や田畑を石垣や土塁で囲んで築いたシシ垣が法務局の公図や地籍図でどのように記されたかを解説した「シシ垣と公図」などをまとめている。
 彦根関連では、水路の脇の泥上場(どろあげば)を描いた江戸町(現・京町2)の公図や東内大工町(現・中央町)の壬申地券地引絵図を掲載し「水路と明確に区分しており、これは県内のほかの地域では見られない特徴だ」と説明している。
 会長の沢弘幸さん(67)は「本では地籍図などを通して県内地域の特徴や慣習の数々を紹介している。各地域の歴史を振り返る参考にもしてほしい」と話している。本はB5判、カラー200ページ。税抜き4500円。

 

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