彦根市松原町の旧彦根藩松原下屋敷(通称・お浜御殿)=国指定名勝=が今年の春と秋に、1カ月間限定で公開されることになった。これまでは、市教委文化財主催のイベントで一部の建物に入場できるのみだった。
お浜御殿は、文化7年(1810)ごろに十一代藩主・井伊直中によって約2万0881平方㍍の敷地に建てられた。奥座敷、台所、書院、5つの土蔵などがあったとされるが、現存するのは奥座敷と台所のみ。明治22年(1889)に大広間と玄関の2棟が増築されたほか、建築時期不明の門番所と長屋が残っている。
全敷地の約半分を占める庭園は、琵琶湖と連動して水位が変化する汐入形式を採用した池を中心に、西側に緩やかな州浜、東側に築山が設けられている。しかし、江戸時代の建物を中心に壁の亀裂やはく離、柱の損傷、庭園の荒廃など早期の改修が必要なため、市は今年度までに約5560平方㍍分を公有地化している。
新年度は、更なる買い取り費として来年度予算案に5億6451万円を計上、全敷地の約85・5%を占める約1万7846平方㍍を公有地化する。平成24年度までにすべての敷地を買い取り、建物の保存修理と植栽の整備、発掘調査を行う。その後、新たな観光ルートとして一般公開する予定。また、整備の完了までは今年からの「新緑の春」と「紅葉の秋」に敷地全体を無料で限定公開する。
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