2009年6月30日火曜日

彦根仏壇の歴史と展望、永楽屋・宮川孝昭社長が語る

 彦根の近現代を切り開いた地場産業をテーマにした滋賀大主催の特別講義が行われ、「永楽屋」(芹中町)の宮川孝昭社長が彦根仏壇について講演。江戸期に誕生してからの変遷や、今後の展望を話した。
 彦根仏壇街は江戸時代から「七曲がり」と呼ばれ、道沿いには蒔絵師、木地師、金箔押師など「七職」と総称される仏壇職人が軒を連ねていた。それぞれが家族間で分業する問屋制家内工業で、同社も元々は金箔押師だったという。
 彦根仏壇は、七職の製作技術が結集して一つの仏壇を仕上げ、製造卸を担う同社などが北海道から九州まで各地の小売店などに販売している。宮川社長は彦根仏壇がこれまで発展してきた背景について▽組合が明治期、各地に先駆けて顧客本位の「品質保証制度」を導入した▽問屋制家内工業が各職人家庭で機能していた―ことを紹介。その結果、業界は徐々に伸張し、昭和50年に通産大臣から「伝統的工芸品産地指定」を受けたころは空前の好況だったという。
 一方で、近年の住宅の構造やライフスタイルの変化で、将来の仏壇の有り方にも布石を打っていると展開。販促面を工夫し全国各地の顧客からのあらゆるニーズや情報を集めて把握し、この「お客様の声」が、新作仏壇の製作や新たな事業展開に挑戦する元になっているとした。
 手掛ける商品作りについて「気持ちは商品に表れ、お客様に伝わる。だから私は発注先の職人さんを大事にする一方で、厳しく指摘もする」とした上で、「お客様の声に応え、気持ちを込めて作りあげることが大事」と語った。

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