「地方分権」をテーマにした滋賀大学の公開講座が25日開かれ、宇野隆俊准教授が、戦後の日本経済の復興から、バブル崩壊後の地方分権の潮流までを解説した。
宇野准教授はまず、戦後の日本経済の特徴として▽急速な経済成長▽規制や公共投資など経済への政治介入の大きさ▽地域間の経済格差の小ささ―を紹介し「55年体制下で農村部を基盤とした自民党政権の働きが大きかった」と分析。一方で、1993年の55年体制の崩壊と、90年代のバブル崩壊により、税収減や財政の悪化が進み、工場の海外移転、東京の一極集中により「地方が空洞化した」と展開した。
中央と地方との財政構造については、公務員総数のうち地方公務員が約4分の3だが、歳出総計に占める地方自治体の割合は7割前後で、歳入面では国税が約6割・地方税が約4割だとするデータを示し「地方は多くの仕事をこなしているわりには、自主財源が少ない」と説明。「地方の税収構造は法人への課税を占める割合が大きいため、経済状況の変化にぜい弱で税収として不安定」と述べた。
地方の小規模自治体の財政悪化や国4の財政危機などを背景に行われた「平成の大合併」については「国から地方への地方交付税など財政調整の適正化により、地方の財政基盤を強くし、弱い自治体を無くす必要があった」と解説した。
※(解説)橋下徹大阪府知事や中田宏横浜市長らによる「首長連合」の訴えで、8月18日公示30日投票の衆院選では「地方分権」も争点の一つになりそうだ。
戦後の日本経済を支えた中央集権体制は、すでに綻びを見せ始め、体制により既得権益が生じる国の統治システムの打破は不可欠な状況だといえる。
各政党のマニフェストにおける「地方分権」の政策を吟味しつつ、今後の地方分権の推進が期待される。(山田貴之)
0 件のコメント:
コメントを投稿