直木賞候補作家・万城目(まきめ)学さんの講演会「『プリンセス・トヨトミ』を語る」が29日、ひこね燦ぱれすで開かれ、約200人が来場。講演会後は、歴史ブーム仕掛け人らによるパネルディスカッションも行われ、現代の歴史教育の批判も繰り広げられた。
「プリンセス・トヨトミ」は昨年発刊され、直木賞候補になり、来年初夏の映画化も決定。講演会は彦根・京都の有志で組織の関西復権プロジェクトが主催。NHK大津放送局キャスター・藤村周子さんが質問する形式で行われ、万城目さんは、作品紹介や、映画の撮影現場の舞台裏、子どものころ行った大阪城の思い出を話した。
彦根など滋賀を舞台にし、小説すばるで連載中の作品「偉大なる、しゅららぼん」にもふれ、彦根には今回で5回訪れ、彦根駅前からレンタサイクルで、芹川沿いや湖岸、滋賀大などをまわったエピソードを紹介した。
鈴木智博さん「英雄を英雄と扱わず」
太田浩司さん「情報が中央集権化」
講演会後は、藤村さんを司会に、戦国魂代表の鈴木智博さん、長浜歴史城博物館参事の太田浩司さん、佐和山城研究会代表の田附清子さんによるパネルディスカッションも開催。
歴史ブームを広げる手法について、鈴木さんは「自虐的な教科書が多く、英雄を英雄として扱っていない。もっと評価すれば、武将の魅力はどんどん出てくる」と、現代の歴史教科書を批判。「地域の武将も山ほどおり、きちっと教科書で紹介すれば、勝手にまちの活性化につながるはずだ」と述べた。
太田さんは「情報も中央集権化しており、住んでいる所が素晴らしいというように、日本人の価値観を転換させる必要がある」「教科書では江戸幕府よりも彦根藩を扱うことが大事で、この発想を変えないと、日本の将来はない。地方発の情報が求められる」と指摘した。
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