彦根での「意見を聴く会」を傍聴しての感想だが、県立高校再編の問題は、県教委の思惑通りにはいきそうになく、このまま強引に進めようとすればするほど、泥沼化しそうな様相である。
この問題をややこしくした原因は、県教委が上層部だけで進めていこうとした、いかにも行政的な手法を用いたことではなかろうか。「聴く会」はPTAが対象で、ほかの保護者や統廃合対象校のOBらには意見募集という形式で終わらせようとした目論見が見え隠れする。
確かに行政が政策を策定する場合、第三者機関の専門委員会が協議し、その答申を行政に提出し、行政が県民・市民に意見を求めて、修正し条例案を作り、議会へ提案するという一定の流れがある。
しかし、高校再編の問題は対象となる県民が多くおり、普段の過程で進めるべきではない。すでに今年9月には県産業教育審議会の答申を経ているとのことだが、そんなに拙速に進めるべき事案ではなかろうに。遅きに失した感は否めぬが、PTA役員だけでなく、保護者など末端へ幅広く説明会を開くべきであり、「聴く会」で意見があったようにデメリットも示すべきだ。
県教委側も、PTA役員らの質問に明確な回答ができていないことから、▽生徒数減▽ニーズの多様化▽財政難―だけでは説得できないということは自認しているはずだ。
いずれにしても、高校再編の問題は稚拙な論理のまま、上層部だけで強制的に進めるべきではない。いったん立ち止まり、情報をより末端に知らせることを優先するべきである。 【山田貴之】
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