昨年、新しく彦根市観光協会の会長に就任した上田健吉氏(75)=千成亭代表取締役会長=に、市の観光の課題や新しい戦略について、本紙の山田貴之編集長が対談形式で探った。
「より多くの観光客を招くためには」「宿泊客を増やすための着地型観光を進めるためには」「彦根の『祭り』は従来通りで良いのか」—などに対して、上田氏らの持論を含めた見解を紹介する。
山田 彦根観光協会の会員には市内企業や宿泊施設の経営者のほか、市の職員やそのOBも入っている。どこの団体でも同じことがいえるかもしれないが、民間と行政ではどのような意見の違いがあるのでしょう
上田 民間は数字を追いかけていくため、革新的な考えで動こうとする。しかし役所は守りの世界。予算でも従来通りの金額があがっているが、例えば、夏の総踊りやゆかたまつり、花火大会などは続けていけるかという問題がある。根本的に洗い直していくことが我々に課せられた宿題。市としては観光振興課が決めたことを協会が忠実に実行してくれたら良いという考えだが、誘客のための新しい施策が充分とはいえない
山田 観光協会と市との連携はうまくいっていないのか
上田 行政側は、コミュニケーションはうまくいっていると思っているようだが、我々には情報が入るのが遅い
山田 観光協会から市に企画を提案するような逆の流れはできないものか
上田 市が予算を握っているから難しい。協会内では9部会あるが、その部会は活発に動いている。その中には市職員の幹部も理事として入っており、協会の動きはわかっているはず
山田 予算は100%市が握っているのか
上田 全体予算の約70%が市からの委託料と補助金
山田 観光協会がもっと独立できないものか
上田 長浜は役所の中に観光協会があって、コミュニケーションがうまくいっているようだ。彦根の場合、離れているため、どうしても判断がすれ違う場合がある。昨年でも、ゆかたまつりの時に、稲枝では農業祭をやっているというような、バッティング状態が出ている。ひこにゃん田んぼアートの時も、近くの荒神山ではハングライダーをしていて、その参加者は名古屋や京阪神が中心で、彦根市民のほとんどは知らなかったという状況。
彦根商工会議所、彦根観光協会、ひこね市文化プラザ、彦根市がさまざまなイベントをしているが、これらの予算はみなバラバラに使っている。これはおかしい。バラバラに活動して、コラボレーションが全然できていない。これが彦根のマイナスではないか。せめて半年前には、事業の内容、予算、主催者など、みんなが把握できるようにしないと。市の職員だけが知っていて、観光協会は何も知らないではダメ (続きは本紙元日号で)
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