2012年5月8日火曜日

金沢の先進城下町と彦根の発展途上城下町

 休暇を利用し、石川県を訪れたが、そのうち彦根市の理想型ともいえる金沢市の旧城下町の風情漂う様には深く心酔した。
 金沢の旧城下町は、日本三大庭園の一つ 兼六園や金沢城公園から約100㍍~500㍍西に向かった位置にあり、その代表格は加賀藩の前田家の重臣だった長家から「長町武家屋敷跡」と呼ばれている。
 加賀藩士の上・中級の武士が暮らしていた屋敷跡が多く残っており、土塀や石畳、用水などが整備されている。また屋敷の公開、資料館としての活用、あめや麩(ふ)の専門店もある。もちろん一般の民家もあるが、土塀を備えたり、町並みに合ったたたずまいに工夫したり、住民も協力している姿勢がうかがえた。
 昼食時には、界隈の一角にあった九谷焼の展示(鏑木商舗)兼飲食店(おいしいいっぷく鏑木)の古民家に立ち寄り、運良く別邸の茶室で食事をとることができた。
 ほかにも長町武家屋敷跡の周囲には、江戸後期に藩が近辺に点在していたお茶屋を集めた茶屋街や料亭、芸子の置屋などが残る、にし茶屋街・寺町地区とひがし茶屋街・卯辰山山麓寺院群があり、いずれも伝統的建造物保存地区に指定されている。
 さて、彦根の旧城下町はどうだろうか。江戸時代の古民家を活用しての飲食店はいくつかあり、金沢にひけをとらないと思うが、観光面での活用という視点で見た場合は現時点では金沢の足下にさえ及ばない。
 足軽屋敷が残る芹橋地区、江戸期の建物がある本町や花しょうぶ通り、七曲り通りなどが(当面の)対象になるが、その整備は金沢から20年、いや30年以上遅れているといえよう。文化財の指定は少しずつ進んではいるが、線としてつながっておらず、花しょうぶ通り以外の各地域住民は同じ方向さえも向いていないようだ。
 各地域住民が、暮らしへの影響から観光との繋がりを否定するのか、市の観光発展のために一肌脱ぐのか・・・。観光先進地の金沢に是非また訪れたいと強烈に感じた小生は、対象となる(彦根の)地区に住んでいないため無礼を承知で提案するが、彦根も是非、金沢(市民)の観光スタイルを目標にしていただきたい。   (山田貴之)

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