矢的さんは京都府船井郡出身。滋賀大学経済学部を昭和45年に卒業し、民間会社や江戸川区役所などの勤務を経て、平成13年に退職した後、文筆活動に入り、中近世文学大賞優秀賞、九州さが大衆文学賞佳作などを受賞。平成23年に小説「折り紙大名」で作家デビュー。平成24年5月に彦根市に移住した。
デビュー後4作目となる今回の小説は、員昌が織田信長と浅井長政との戦い・姉川の合戦で先鋒を託され、味方の劣勢を知ると信長本陣へ突撃し、佐和山城で8カ月間ろう城。結局は信長に降り、信長を狙撃した杉谷善住坊を捕らえたが褒賞もなく、命が奪われるとして坂本城へ逃げ込み、4年後に明智光秀と一緒に信長を襲撃。光秀と羽柴秀吉が戦った山崎の合戦では光秀の影武者として出陣するというストーリー。
矢的さんによると、坂本城に逃げ込むまでは史料が残っているが、それ以降はないため、フィクションにしている。信長が暗殺される本能寺の変については、光秀の怨恨説以外にも、秀吉や徳川家康、朝廷、長曾我部などの黒幕説があり、この小説では員昌を通して本能寺の変前後を新たな視点で解き明かしている。
矢的さんは学生時代に過ごした時から「近江」に関心があり、長浜市高月町生まれの員昌の人物像にひかれていたという。「員昌は戦国武将としてまっすぐで、信義を重んじる人間関係を重視する人物だった」と、その魅力を話していた。
本は1冊1480円(税抜き)。問い合わせは出版元の祥伝社☎03(3265)2081。
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