2015年11月2日月曜日

彦根市立病院の産婦人科に産科医2人着任へ8年ぶり医師の分べん再開へ

 彦根市は28日、産科医不足で医師による分べんを中止していた彦根市立病院の産婦人科に、産科医2人が12月1日付けで着任すると発表した。分べん中止から8年ぶりの再開に、市民からは安どの声があがっている。
 市立病院は平成19年4月に産科医が4人から一人になり、分べんを中止。翌年2月に院内助産所を開設し、制限を設けて分べんを扱ってきた。また平成20年度からは毎週水曜に県成人病センターの産科医の派遣を受け、金曜日には京都大学からも派遣を受けてきた。しかし現在まで、35歳以上の初産、帝王切開や逆子などリスクの高い出産、救急時は対応できない状況が続いていた。
 市立病院での分べんの取り扱い件数は産科医が4人いた平成18年度が525件だったが、一人体制になった翌年が0件となり、以降も14件~40件と続き、昨年度が34件だった。分べんを行った施設は、最近のデータで平成25年度に誕生した市内の子1056人のうち、市内の民間診療所と市外の医療施設が約半数ずつとなっており、市立病院では1割にも満たない。
 市や市立病院は平成19年度以降、県内外の大学病院を中心に産科医の派遣を依頼。平成22年1月に策定された県の地域医療再生計画でも市立病院での分べんの再開が明記された。また市議会や市内の女性で組織の「安心なお産を願う会」なども市や県に要望活動を展開してきた。
 市立病院に着任する医師は土岐利彦さん(60)=現・奈良県生駒市立病院産婦人科部長=と、高原得栄さん(53)=現・社会医療法人誠光会草津総合病院。いずれも主任部長(次長級)として就く。
 着任後は徐々に医師による分べんを増やしていき、平成28年度から当面は年間150件の取り扱いを目指す。院内助産所も当面は継続させる。また継続して若手の産科医の派遣も大学などに求めていく。
 市立病院の産科医が再開されることに、安心なお産を願う会の代表を務めた高居涼佳さんは「産科が再開されるのはとてもうれしく、ありがたく思います」と話していた。

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