2016年9月30日金曜日

滋賀県立陶芸の森陶芸館、10月1日から秋の特別展「珠玉の湖東焼」

 滋賀県立陶芸の森陶芸館(甲賀市信楽町)は10月1日から秋の特別展「珠玉の湖東焼」を開く。
 湖東焼は文政12年(1829)、古着商を営んでいた絹屋半兵衛が彦根で始めた焼き物。天保13年(1842)に彦根藩が窯を召し上げ、十三代・井伊直弼の時代に黄金期を迎えたが、桜田門外の変後は縮小。文久2年(1862)には民間へ移行した。
 明治時代になると、湖東焼復興の動きが起こり、明治2年(1869)6月に彦根藩知事となった井伊直憲は同年9月、円山(市内南東部の芹川沿い)に窯を築き、京都から陶工の明石屋初太郎や元職人を招き、作陶を始めた。この焼き物は後に円山湖東焼と呼ばれる。また長浜の医師・西村善吾は明治3年に自宅に窯を築いて元職人らに焼き物を作らせ、後に長浜湖東焼と呼ばれた。しかし、円山湖東焼は明治4年の廃藩置県で、長浜湖東焼も資金難などで同6年にそれぞれ廃窯となった。
 藩お抱えの湖東焼の絵付師で有名なのは幸斎と鳴鳳だが、ほかの一群たちが安政3年(1856)に株仲間を結成し、自宅で絵付けをしていた。その中で知られるのが鳥居本村の自然斎(じぜんさい)、原村の床山(とこやま)、城下白壁町の賢友(けんゆう)、赤水の4人。
 陶芸の森での特別展では黄金時代、絵付師、茶道具、圓山・長浜の湖東焼などテーマごとに名品約150点を展示。中には自然斎が作って後に埋木舎に伝わったたぬきの置物や、カニの甲羅部分に小さなカエルが乗ったふた物などの珍品、黄・緑・青・紫の顔料で描いて九谷焼風に絵付けされた水指、鳴鳳ら絵付け師の作品もある。
 開館は第1期が11月6日まで、第2期が11月8日~12月11日。入場料は大人700円、高大生500円、中学生以下無料。
 期間中のイベントは以下の通り。
 ▽10月23日と11月20日の午後1時半~=ギャラリートーク。
 ▽11月20日と12月4日の午前10時半~午後4時=体験教室「美しき豆皿を作る」と「正月を祝う華やかな器を上絵付けする」。要申し込み。
 ▽11月12日午後1時~と11月23日午後0時半~=子ども向け体験教室「華やぐツリー作り」と「青色で大好きな動物作り」。
 ▽11月23日午前11時10分~と午後0時50分~=ひこにゃん珠玉の湖東焼展を鑑賞する」。問い合わせは陶芸の森☎0748(83)0968。

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