2018年3月30日金曜日

近江高の柱 金城・林の両左腕が抱負、攻撃陣は4番北村に注目

 今年の近江高のチームは多賀章仁監督が「投手力は全国レベル」と話す通り、金城、林の左腕2人に、松岡、佐合の右腕2人を加えた4人の投手陣が柱。そのうち、継投策で近畿大会4強入りを実現させた金城、林の両投手に抱負などを聞いた。
 エースナンバーの3年生・金城投手は最速142㌔の直球に、90㌔台と回転数を加えた2種類のカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップと多彩な変化球を投げる。自身の持ち味としては直球をあげ「どんなに強打者でも内角をズバッと突く球を投げたい」と述べた。甲子園での抱負としては「ピンチを迎える時もあると思うので、そういう時こそインコースを投げていきたい」と述べ、「全国の舞台に出るからには優勝したい」と力強く語った。
 2年生の林投手は最速134㌔の直球に、カーブ、スライダー、チェンジアップを投げる。昨秋より体重が5㌔増え、体も一回り大きくなったが、「調子は悪くないが、まだまだ昨秋の投球にまでは戻っていない。センバツの開幕までスピードやキレを上げていきたい」と語った。「先発を任されたら、最低限の仕事はしたい。持てる力を発揮してよい投球を見せたい」と抱負を述べた。また先輩の金城投手にもふれ「見習う部分が多くあるし、尊敬している」と話していた。
 金城投手は身長171㌢・体重67㌔、林投手は身長168㌢・体重61㌔と、いずれも小柄だが、安定した投球を見せる両左腕の活躍に注目だ。

 金城、林の両左腕をはじめとした投手4人を支えるキャッチャーの有馬選手も注目だ。リードを中心に多賀監督も「ゲームが作れる」と全幅の信頼を寄せており、近畿大会4強の陰の立役者とも言われている。
 攻撃陣は公式戦8試合で本塁打が5番を打つ山田選手の1本だけだが、4番の北村選手、3番の家田選手を中心に打撃力が向上している。特に平成28年の夏の甲子園に当時1年生ながら4番で出場した北村選手の活躍が鍵を握る。また、北村選手と共に1年生で平成28年夏の甲子園に7番でスタメン出場した木村選手が、足のけがから1番で復帰できる見込みなのが大きい。ほかにも、チーム打率3割1分4厘の成績を牽引する5割2分2厘の住谷、3割7分5厘の中尾の両選手らの打撃も注目だ。

第90回記念選抜高校野球大会で彦根東高と近江高が初戦を突破、ビバシティ彦根ではパブリックビューイング

 第90回記念選抜高校野球大会の2回戦が28日に甲子園球場で行われ、滋賀県から出場している彦根東高と近江高が初戦を突破。ビバシティ彦根ではパブリックビューイング(PV)が実施された。3回戦は31日に行われる予定で、両校が登場する。
 第1試合に登場した彦根東高は神奈川の慶応高と対戦。稲枝中出身のエース・増居翔太投手が最速140㌔を投げるなど6回まで無失点に抑える好投。7回裏に2点を奪われ、1対2で迎えた8回表に捕手の高内希選手のスリーランで逆転し、4対3で勝利した。
 第3試合に登場した近江高は愛媛の松山聖陵高と対戦。序盤から打線がつながり、2回に5点の大量得点。先発した2年生左腕の林優樹投手は5回まで相手打線を2点に抑え、6回から登板した3年生左腕の金城登耶投手は3失点するも粘りのピッチングを見せて、8対5で勝利した。
 31日にある予定の3回戦は彦根東高が第2試合で岩手の花巻東高と、近江高が第4試合で石川の星稜高と対戦する。
 ビバシティ彦根の1階センタープラザでは28日、PVが実施。70㌅の大型テレビが設置され、彦根東高と近江高の選手が安打や得点、奪三振をするたびに来店客から拍手が沸き起こっていた。
 彦根東高が勝利した後、PVを見学していた甘呂町の辻真弥さん(37)は、おいが東高野球部2年生の中川素晴選手のため「自分の子どもではないけれど、めちゃくちゃうれしいです。子どもがまだ1歳なので次の試合も甲子園に行けませんが、テレビで必ず応援します」と話していた。
 ビバシティでは31日もイベント終了後の午後3時半からPVを実施。それ以降、平日または土日ならイベント終了後にPVを行う予定。

2018年3月26日月曜日

彦根市漁業協同組合連合会スッポンの養殖事業を始める

 彦根市漁業協同組合連合会が平成30年度から八坂町の施設でスッポンの養殖事業を始める。彦根市は新たな特産品になるよう、養殖の活動費を補助する。県水産課によると、スッポンの養殖は県内で初めてだという。
 彦根市では昭和60年代、アユの漁業が盛んで、平成元年2月に同連合会が設立。翌年にかけて、国、県、市の補助を受けて八坂町にアユ種苗中間育成施設を整備し、全国に出荷していた。しかし平成5年頃に冷水病の侵入などで不採算な状態になり、外来動植物の繁殖や漁業従事者の高齢化なども重なって大規模な事業展開がなかった。
 そこで同連合会は鍋やサプリメントなど食品のほか、ペットとして飼われるスッポンに着目。アユ種苗中間育成施設を改修し、昨年9月からスッポンの稚亀約500匹を試験的に育てている。市農林水産課によると、現在は冬眠中で、成育する3年後以降から商品として流通できるという。
 市は平成30年度予算に養殖の活動補助費として50万円を盛り込む。市議会の一般質問でも赤井康彦議員が水産業の特産品開発などを質問。市は「スッポンが新たな特産品になるよう、養殖活動を積極的に支援していきたい」と答弁した。

2018年3月17日土曜日

江戸時代に彦根藩下の高宮宿で流通していた「極めて貴重」な高宮布の産着、愛荘町の近江上布伝統産業会館で公開へ

 江戸時代に彦根藩下の高宮宿で流通していた「高宮布」が、愛荘町の近江上布伝統産業会館一帯で17、18日にあるイベントで公開される。同会館が2月28日に発表した。彦根の歴史民俗に詳しい市教委の小林隆さんは「高宮布を使った服が残っていることを初めて知った。極めて貴重だ」と話している。
 高宮布は江戸時代、越後緬、奈良晒、薩摩上布と並び近世4大麻布の一つで、唯一、大麻(おおあさ)を原料にし、現在の愛荘町や東近江市などで生産され、高宮宿で販売されていた。近江上布は室町時代から作られており、小林さんによると、当時から高宮布と呼ばれ、その後、近江上布と名称が変わったという。
 展示されるのは、近世麻布研究所(東京都)の吉田真一郎所長(70)が所有する江戸時代後期の高宮布の産着。井伊家とみられる印も押されており、吉田所長によると印がある高宮布の衣服を約40着所有しているという。今回は産着を含め数点を展示する。
 また同会館を運営する滋賀県麻織物工業協同組合は、近江上布の一種の生平(きびら)を生産しており、新たな生産者の織人(おりびと)を育てている。織人の中から高宮布の復元とそれを使った織物を作りたいとの声があがったことから、伝統工芸士の南和美さん(61)と立石文代さん(69)ら9人が昨年10月から製作。
 栃木産の大麻を原料に使用し、南さんが布から不純物を除去するための晒(さら)しを、立石さんが織りを担当した。吉田所長の高宮布の産着を参考に、江戸時代と同じ製法を採用。わら灰と貝灰など自然素材が入った灰汁(あく)に布を入れて干す工程を3回×17日間繰り返す「晒仕上げ」という技法で、約5カ月かけて縦85㌢×横75㌢の産着を完成させた。
 17、18日のイベントでは吉田所長所有の高宮布の産着、伝統工芸士らによる復元品のほか、同組合が昨年度からブランド展開している苧麻(ちょま)と呼ばれる糸を使った生地「Aishoasaco(アイショウアサコ)」と、今年度デビューした麻世妙(まよたえ)という糸で仕上げた「Aishoasamalu(アイショウアサマル)の新作も展示する。ほかに飲食や雑貨など2日間で計19店が出店するマルシェ、ミニバッグ作り、手ぬぐいの草木染め、機織り体験、吉田さん講演会(18日午後1時半)なども。入館無料。午前10時~午後5時。問い合わせは同会館☎(42)3246。

サイクルサポートステーション滋賀県内の平和堂全店に設置

 自転車がパンクした際の用具販売などを行う「サイクルサポートステーション」が滋賀県内の平和堂全店に設置。3日にビバシティ彦根で記念セレモニーが行われた。
 琵琶湖を自転車で1周することを通称「ビワイチ」と呼ぶ。平和堂ではサントリーフーズとサントリー酒類と連携し1日から18日まで「ビワイチ応援フェア」を開催。期間中、平和堂全店で販売されたサントリーの対象製品の売上の一部を、自転車での生活を推奨する団体「滋賀プラス・サイクル推進協議会」に寄付する。
 また平和堂とサントリーは、これまでの湖岸のサイクリングにプラスする形で、観光地や飲食店など市街地も巡ってもらう「ビワイチ・プラス」を広めようと、サイクルサポートステーションの設置を企画。彦根をスタート・ゴールに11日に行われるビワイチのイベント「びわ湖一周ロングライド」に合わせて、平和堂の県内73店にパンク時の用品販売のほか、自転車用のラック(棚)、空気入れ、工具などを備えた。
 記念セレモニーには平和堂の平松正嗣社長らが自転車に乗って登場。自転車用のラックにかけた後、平松社長は「これからサイクリングにいいシーズンを迎えるので、より多くの人にサイクルサポートステーションを利用してもらい、サイクリングを楽しんでほしい」と話していた。

圓常寺の木造阿弥陀如来立像が重要文化財に指定へ

 国の文化審議会は9日、美術工芸品55件を国宝(5件)または重要文化財を新たに指定するよう文部科学大臣に答申。彦犬地区からは圓常寺(彦根市城町2)の木造阿弥陀如来立像=写真=が重要文化財に指定される予定だ。
 圓常寺の立像は鎌倉時代に仏師の快慶が製作した像高98・8㌢。快慶は生涯にわたって多くの阿弥陀如来像を作っており、圓常寺のは法眼の地位にあった晩年期の作品。張りのある顔立ちや活気にあふれた体の表現が特徴的で、像高80㌢から1㍍前後の三尺阿弥陀像の中でも優れたできばえだという。
 圓常寺は慶長16年(1611)に創建。彦根藩二代藩主・井伊直孝が開基したとされる。立像が伝来した経緯は不明だが、昭和62年に滋賀県指定有形文化財に指定され、平成25年に保存修理が行われた。
 県教委文化財保護課では「彦根市内において井伊家関連以外で国の指定を受けるのは珍しい」としている。

2018年3月11日日曜日

レームダックに陥った彦根市政

 彦根市役所本庁舎耐震化を巡って、大久保市政は揺れに揺れている。小生は1月27日付コラム言志録で辞任を含む厳しい処分を市長に求めたが、今月8日まで行われた市議会一般質問でも「市長不信任決議案」「市長は辞職を」との厳しい声があがり、市長与党会派の夢みらいからも「出処進退を問う」との発言が出た。
 整理する意味で、市議たちがなぜ市長に厳しい姿勢を示すのかを紹介すると、▽市と施工業者との地方自治法施行令違反のいわゆる裏合意の監督責任▽市長が裏合意を把握していたのではないかという疑いが否定できない▽現市政の屋台骨で主要事業を主導してきた川嶋前副市長の辞任による市政の不安定さ―などがあげられる。
 そして今議会では、関与しているとされた企画振興部長と総務部長がその関与を否定。これまでの市長の説明や今議会での答弁と食い違うという市長の統治能力の欠如も露呈させた。
 市長を隣で叱咤激励する姿が頻繁に見られた山根裕子副市長も3月末で退職し、特別顧問に配置転換される。市の幹部からの信頼をなくし、その上、副市長も当分空席が見込まれるというのが現市政の置かれた状況だ。
 そんな中で、市長は今議会に副市長の定数を2から1に減らす条例改正案を提出した理由を問われた際に「一定の成果を得られたため」と答えた。案の定、市議からはその一定の成果とは何かと突っ込まれていたが、一人の副市長を辞任まで追い込み、市政をここまで混迷させておいて、どこに成果があるといえようか。
 小生は先の言志録で「大久保市政は崩壊しつつある」と言明したが、すでにレームダック(死に体)状態にあり、崩壊していると言ってよかろう。市長は今議会に責任をとって自らの給与削減案を提出するとしたが、例え無給にしたとしても市議会や市民は納得しまい。
 今議会では谷口議員が「大久保市長が政治家ならば、どのような状況がわかるはずだ。政治的判断として辞任するべきだ」と求めていた。
 市長席に居座って事態の沈静化を期待するのか、足音が聞こえ始めた市長不信任案を待って決断するのか、政治家らしく自ら辞するのか、大久保市長がいかなる「英断」を下すのか、市民は注目している。【山田貴之】

2018年3月3日土曜日

石寺町の築約100年の民家ほほえみハウス3日間限定でカフェとしてオープン

 彦根市石寺町の築約100年の民家を改修した憩いの施設「ほほえみハウス」が2月27日、3月1日、3日の3日間限定でカフェとしてオープン。滋賀県立大学の学生たちが石寺町産の米粉を使ったスイーツも提供している。
 石寺町のうち約330人が住む下石寺地区は少子高齢化が進み、集落の再生が課題になっている。県立大の鵜飼修准教授は同地区に住みながら、地域資源を生かしたまちづくり取り組んでおり、古民家を活用して学生たちが実際に住む「エコ民家倶楽部」を設置。現在、1号館と3号館(ほほえみハウス)、4号館の3棟で活動している。
 鵜飼准教授が指導する学科の地域デザインCを受講する学生6人は、多くの地元住民が集えて、町外住民とも交流できる場を作ろうと企画。ほほえみハウスでは毎月第1金曜と第3土曜の夜に地元住民が集まって飲食を楽しんだり、昼間に高齢者向けの金亀体操をしたりするなど、コミュニティースペースとして活用。このため、「米」と「来る」にちなんで「コメニティカフェ ComeCome(カムカム)」という店名のカフェを期間限定で運営することにした。今後も定期的にオープンしていく予定。
 カフェでは、石寺町産の米粉を使って学生たちが考案したワッフルやこめこバーのスイーツを提供するほか、コーヒーや紅茶、茶などを用意。スイーツセット500円。学生代表で3年生の莚(むしろ)井円香さん(21)は「古民家でゆっくりとくつろいでもらいながら、地元の人たちとの交流も楽しんでほしい」と話していた。
 開店時間は午後1時~同4時。駐車場は石寺町公民館前に。カフェの住所は石寺町1283。問い合わせは小島さん☎090(9766)3413。

一圓屋敷で10年前から行われてきた多賀『里の駅』野菜市&集い3月3日を最後に終了

 多賀町の江戸時代後期に建てられた一圓屋敷で、10年前から行われてきた「多賀『里の駅』野菜市&集い」が3月3日を最後に終了する。
 地元住民団体の多賀クラブがNPO法人彦根景観フォーラムなどと連携し、一圓屋敷を街づくりの拠点にしようと、「多賀『里の駅』」との愛称を付けて平成20年から毎月第1土曜日に開催。地元農家による野菜市や野鳥の森の観察会のほか、文化人や地元で活躍する人、音楽団体を招いて講話や演奏会を開いてきた。
 10年が経過したことから区切りとして終了することに。多賀クラブの中川信子代表は「10年間、続けることができてうれしく思っています。色んな方々と出会うことができ、感謝しています」と話していた。
 最後の3月3日は午前9時から正午まで地元野菜の販売があり、午後3時まで日下部鳴鶴や松下烏石ら一圓屋敷に残されていた書画の屏風が展示される。また午前9時~は野鳥の森の植物観察会、正午~は春の野草の天ぷら付きランチがある。問い合わせは中川さん☎090(8791)4470。

山根副市長 特別顧問へ配置転換か 当分空席の可能性も

 彦根市の山根裕子副市長(72)の任期が3月31日までとなっており、大久保貴市長が26日に開会する市議会2月定例会などで、どのような判断をするのかが焦点になる。関係者によると、山根氏を彦根城の世界遺産登録を主に担う顧問にし、当分の間、副市長の席を空白にする案が浮上しているという。
 市は2月定例会に、副市長の定数をこれまでの2から1に減らす条例改正案を提案する。これは市役所本庁舎の裏取引の問題で川嶋恒紹氏が副市長を引責辞任したことに伴う措置とみられる。川嶋氏は庁舎耐震化をはじめ、広域ごみ処理施設の候補地選定など市の主要業務の全般を担っていたため、一部の関係者の間では市長が行政経験豊かな人材を探しているとの情報があるが、裏取引の問題で市政が混迷しているため、「火中の栗を拾う」人材を見つけるのは容易ではない。
 一方で、山根副市長は国連教育文化科学専門機関(ユネスコ)の職員を務めた経験があることから、市政では彦根城の世界遺産を主に担当。平成28年4月に設置し、今年1月に独立した組織になったシティプロモーション推進室は世界遺産の登録を推進させる総合調整を担う部署として、山根副市長が肝いりで設置したとされる。来年度予算には世界遺産の学術会議を市内で開催する費用も盛り込まれており、世界遺産の実現に向けて市長が山根副市長を続投させるとの見方もできる。
 副市長の人事案件について、市長は公に話していない。関係者によると「熟考している」と語っているというが、山根氏を副市長から特別顧問に配置転換し、市政の混迷が落ち着いた頃に新たな副市長を就任させたい意向があるとの情報がある。
 山根氏を副市長で続投させるのか、特別顧問にして副市長席を当分空席にするのか、新たな人材を副市長に就かせるのか、2月定例会では市役所庁舎耐震化を盛り込んだ新年度予算の行方と合わせて、副市長の人事の行方も注目される。