2018年8月23日木曜日

近江野球を手本に

 今年の近江高野球部は北村、林の投打の二枚看板に、捕手の有馬、外野手の住谷ら2年生選手が攻守で活躍を見せ、準優勝した2001年の83回大会で捕手だった現野球部コーチの小森博之さん(34)が「01年と雰囲気が似ていた」と話す通り、勝ち進むごとに実力が確実に上がっていた(一部敬称略)。
 だが、「甲子園には魔物がすむ」と語られるように、準々決勝の金足農戦は前日の3回戦で優勝候補の横浜を破った同校の勢いに押された感があった。また今大会はまさに金足農旋風が吹き、9回裏の無死満塁時は近江高アルプス席を除く内外野の来場者が金足農の応援歌に手拍子で応えるという、球場全体が異様な雰囲気に包まれていた。
 そんなアウェー感漂う中、最後は林・有馬の2年生バッテリーが飲まれたかもしれないが、試合後に野球部員の保護者が語っていた通り、小生も一野球ファン、一市民として「楽しい夏をありがとう」と部員たちに感謝したい。
 さて、今大会はプロ注目の金足農の吉田輝星をはじめ、一人で投げ抜く投手が注目された一方、近江の4本柱のように複数の投手が交互で先発したり、継投策で勝ち抜いたりするチームも複数校あった。
 確かに絶対的エースに頼って勝ち上がる光景はドラマチックであり、孤軍奮闘する雑草魂の精神を好む日本人の美的センスにもマッチするが、小生としては負担軽減のため、今年の近江高スタイルの方を推したい。絶対的エースからプロに進み、大リーグで活躍している投手もいるが、肩や肘を壊してプロで苦しんだり、プロに進めなかったりする選手は少なくない。
 将来ある高校生のために、高校野球はもちろん、野球に関わる皆さんにはぜひ、複数の投手を育てながら勝ち抜いていくスタイルを形成するようご尽力いただきたい。
 そしてもう1点、滋賀大会での各校の戦いや甲子園での近江高の全試合を観戦した感想として、滋賀の野球のレベルは確実に上がっており、全国でも上位クラスにあるのは間違いない。近畿で滋賀が唯一、春夏通して優勝していないと揶揄する声も聞くが、近江高の今夏の戦いを見る限り、その打破はそう長くかからないであろう。【山田貴之】

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