2019年3月28日木曜日

「死に体」市政が続く来期

 新年度予算案の討論の中で、獅山議員と谷口議員がドイツ政治学者のマックス・ウェーバーの著書「職業としての政治」を引用していたが、ウェーバーはその本で政治家に必要な資質として、情熱、責任感、判断力をあげている。小生はその3つに先見性を加えたいが、はたしてそれらの資質が大久保市長に備わっているだろうか。
 庁舎耐震化の裏合意問題では責任を副市長になすりつけて辞任に追い込み、庁舎耐震や広域ごみ処理施設などに対する先見性無き判断が要因で市政を混迷させていることから、強いて資質があるとすれば、選挙に出る誰しもが備えている情熱のみである。
 その政治家だと言い難い市長に対して、遅きに失した感は否めないが、市議選改選のタイミングで市議会が不信任案を提出。市議24人中、可決まであと1票の17人が賛成し、退席した八木議員も「気持ちは不信任」と話していた。公政会から反対に回った2人のうちの一人を含め、否決にするために水面下での駆け引きがあったとの見方をする市議や市民もおり、何とも後味が悪い結果に終わった。
 現市政に対しては、マスコミ各社が毎日のように批判記事を掲載し、本紙をはじめ地元紙には市職員とみられる市民から内部告発の投書も届いている。市議会に見放され、マスコミに非難され、他市町から嘲笑され、市職員からの信頼がない市長を続投させる意味はあるのか、市政に関心がある市民なら理解して頂けるのではないか。
 閉会後の会見で、辞して信を問う考えの有無に、市長は「選挙に市税を使うべきではない。選挙で事業を停滞させてはならない」と答えていたが、これまでどれほどの市税を無駄に使い、事業を停滞させてきたのか、早くも忘れているのか。
 市議会は来月、改選され、10人前後が新人になりそうであるため、市長への不信任決議は新しい議会では難しいだろう。その議会の代わりを果たすのは市民しかおらず、すでに参院選後からの市長リコールの声も聞こえ始めた。政治に関心がない「殿様文化」下のリコール運動はなかなかハードルが高いが、安藤議長が最後の挨拶で話していた言葉を引用すれば、この異常な市政状態は来期(次年度)以降も続くのは必至であり、小生も市政の停滞、いな衰退は続くと確信している。一市民として辟易する日常から早く抜け出したいと願っている。【山田貴之】

2019年3月25日月曜日

カナダ・バンクーバー日系人野球「新朝日チーム」彦根市内に滞在

 カナダ・バンクーバーの日系人野球チーム「新朝日チーム」が20日から彦根市内に滞在しており、翌日には彦根市立中央中学校で交流会が行われた。
 大正4年(1915)に彦根市開出今の出身者らがカナダで野球チーム「バンクーバー朝日軍」を結成し、現地の白人リーグで活躍した。その功績を称える形で2014年に新朝日チームができ、翌年に初来日した際には彦根にも立ち寄った。
 3回目(彦根は2回目)の今回は12歳から16歳までの選手15人、コーチ5人、保護者35人の計55人が15日に来日。中央中で行われた交流会では大久保貴市長のあいさつ後、新朝日チームの猪亦功憲・総監督が「このような交流ができ、ありがたく思っています」と述べ、一人ずつが自己紹介をした。副主将の鈴木太貴さんは「彦根の訪問が日本とカナダの友好につながればいいです」と語った。
 市から彦根城の入場券やピンバッジが贈られた後、ひこにゃんを交えて全員で記念撮影が行われた。その後、中央中の生徒会の生徒16人を入れての交流会もあり、スーパーカロムを体験していた。
 朝日軍の会長だった松宮外次郎の孫にあたる松宮哲さん(71)=開出今町=は「非常に感慨深いです。当時の朝日軍のメンバーたちにタイムマシンに乗ってインタビューしてきたい気分です」と笑顔を見せていた。
 一行は21日に多賀で彦根リトルシニアと合同練習、22日に彦根球場で単独練習と彦根城観光。23、24日にも長浜市の浅井球場で親善試合をし、25日には甲子園で選抜高校野球の観戦や阪神タイガースとの交流がある予定。28日に帰国する。

千成亭が3月1日付で社名を千成亭風土に変更

 千成亭が今月1日付で社名を「千成亭風土」(本社・彦根市平田町)に変更。新しいロゴ=写真=も作成した。
 同社は1948年(昭和23年)に初代の上田豊吉が神戸から帰郷し、犬上郡内に精肉店をオープン。57年に彦根市橋本町に移転した際、豊臣秀吉の千成瓢箪(せんなりびょうたん)から千成亭と命名。69年に法人化し、昨年が法人化50周年だったことから、今年を「新しいステージのスタート」と位置づけ新社名にした。
 同社は二代目の上田健吉氏の時代から「風土はFOOD」をキャッチコピーに使用。また滋賀の「風」と「土」に育まれた自信作を今後も提供していこうと、千成亭風土と命名した。新社名を付けた五代目の上田健一郎社長(57)は「風土が我が社の大事な資源だと思い、社名に風土を入れました。これからも作り手の自信作を滋賀の自慢につなげ、地域コミュニティーを発展させていきたい」と話している。屋号はこれまでの千成亭を使っていく。

2019年3月23日土曜日

彦根市新年度予算案否決 不信任決議案は否決

 20日に再開した彦根市議会2月定例会では冒頭で大久保貴市長への不信任決議案が提出。議員24人のうち17人が賛成したが、4分の3に1票満たずに否決された。また新年度の一般会計予算案は賛成少数で否決され、市は暫定予算を今月28日開会予定の臨時議会に提案する方針。新年度予算案の否決により、市民生活に影響が出るのは必至で、現市政の混迷の深刻さを露呈させた。
 新年度の一般会計予算案は賛成5、反対18の大差で否決された。ほかの60議案は可決された。
 採決前の討論には9人の議員のうち7人が新年度予算案を取り上げ、夢みらいの小川喜三郎議員が賛成の立場から、北川元気、辻真理子、和田一繁、獅山向洋、山内善男、谷口典隆の6議員が反対の意見を述べた
。採決では夢みらいの小川、赤井康彦、矢吹安子、夏川嘉一郎の4議員と公政会の安居正倫議員のみの賛成で、ほかが反対した。
 新年度予算の否決を受け、市議会閉会後の記者会見で大久保市長は、4月から7月までの義務的経費のみの暫定予算を来週開会予定の臨時議会に提案する考えを示した。
 会見で、市長は「市民生活に影響が出ないよう、行政がしっかり機能する予算を組みたい」と述べた。暫定予算には政策的な予算が盛り込まれないため、市は夏までに開催されるイベントや新しい市民体育センターの整備、小学校校舎の増築などに影響が出る可能性を示唆。6月議会に政策的な事業を含めた本予算を提案するとした。
 花火大会中断や井伊直弼公奉告祭中止、舟橋聖一顕彰廃止など見直し事業について、市長は「まずは関係者が協議の場を設けて、課題を共有するのが大事だ」と述べた。
 辞職の考えについて、市長は「大変、深刻に受け止めている。事業を進捗させることで信頼関係を築いていきたい」と語り、「市税を使って市長選をし、事業を停滞させてはいけない」と辞職を否定した。

 不信任決議案の採決では賛成17、反対6、退席1で、成立する出席議員(24人)の4分の3には1人差で届かず、否決された。
 不信任決議案は最大会派の公政会代表の西川正義議員が提出。庁舎耐震化の裏合意問題について「一連の不祥事で約20億円の負担増となり、事の重大性を市長としていかにお考えか」、彦愛犬の広域ごみ処理施設の建設候補地が白紙濃厚となったことには「1市4町の市民、町民の思いを無下にした管理者の責任は到底許すことができない」、新年度予算案に対しては「市長はどこに舵をとろうとしているのか、全く市民に聞こえてこない」と指摘。「即刻、退陣されることが最良の選択であることを申し上げる」と批判した。
 討論では不信任決議案に反対の立場から夏川嘉一郎議員、賛成の立場から獅山、山田多津子、辻真理子の各議員が登壇。そのうち夏川議員は「彦根大花火大会の中断は、大草原にいるネズミ1匹が通ろうとしているようなもの」と述べた。これに対し獅山議員は「花火大会は今年で70回を迎える予定で、多大な経済効果を生むイベントであり、ネズミ1匹ではない」と反論した。
 一人が退席した後に行われた記名投票形式の採決では、夢みらいの4人と公政会の2人が反対票を投じ、否決された。反対した公政会の小菅雅至議員は本紙の取材に「これ以上、市政を混乱するべきではないと判断した」と話した。
 ▽賛成=辻真理子、獅山向洋、北川元気、谷口典隆、安藤博、奥野嘉己、野村博雄、和田一繁、上杉正敏、中野正剛、山内善男、山田多津子、杉原祥浩、長崎任男、安澤勝、西川正義、馬場和子
 ▽反対=夏川嘉一郎、小川喜三郎、赤井康彦、矢吹安子、小菅雅至、安居正倫
 ▽退席=八木嘉之(以上敬称略)。

 市議会閉会後、今期で市議を引退する安藤博議長があいさつ。新年度予算案の否決にふれ「今後、市は暫定予算を組むことになり、市民の皆様にご迷惑をおかけしますが、ご理解いただきたい」と説明。また庁舎耐震化の裏合意問題を受けての百条委員会の開催などを振り返り「まさに市政の異常事態であり、市政運営を正常に戻すために努めてきたが、来期に持ち越すことになり誠に残念で、悔しい気持ちでいっぱい」と述べた。
 市長に対しては「不信任決議は否決となったが、市長には重く受け止めて頂きたい。そして予算を一刻も早く組んでほしい」と求めた。

彦根大花火大会の中断に歌手の西川貴教さんツイッターで「話だけでも聞いて下さい」

 彦根大花火大会の中断を彦根市が発表したことに対し、滋賀県出身で歌手の西川貴教さんが16日にツイッターで「話だけでも聞いて下さい」とつぶやいた。
 市は、国体主会場整備に伴う駐車場や送迎バスの運行など受け入れ体制と警備員の確保が困難だとし、花火大会を中断すると発表。その後、市議会の予算委員会などで市議の反発を受けて、補助金の交付を中断すると修正した。
 この花火大会の中断報道を知った西川さんは、自身が県内で開催しているイナズマロックフェス(今年は草津で9月21、22日)をあげ「この状況イナズマに預けてもらえないですかね?これまでもイナズマの派生イベント開催のお願いを彦根市や商工会議所に何度も突き返されてきました。話だけでも聞いて下さい。県民の皆さんが最優先です」とツイート。
 市民らは西川さんのツイートをツイッターやフェイスブックなどSNSで取り上げ「花火大会がない夏は寂しい」などと開催を求める声が広がっている。
 一方で、彦根市内では西川さんのツイートと並行する形で、民間団体らが花火大会の開催に向けた組織を立ち上げる動きも見られる。
議会では緊急質問
 今年度の一般会計補正予算案など8議案が18日の市議会に提出されたが、市長の提案説明後、辻真理子議員が花火大会に対する市の正確な答弁を求め緊急質問を行った。
 市は今議会の一般質問の答弁などで「花火大会を中断する」と答えていたが、市議の反発を経て「補助金の交付を中断する」と変更。これに対し辻議員は予算常任委員会で開催に含みをもたせる答弁もあったことをあげ「3つの答弁が存在しており、結局のところ花火大会は開催するのか」「実行委員会で開催が決まった場合、市は協力するのか」などと質問した。
 市の担当部長は「答弁が異なり、お詫びする」と謝罪したうえで「補助金は出さない。議会終了後、すぐに実行委員会に集まってもらい、開催するかしないかは実行委員会で決定される」と返答。市の協力体制については「清掃や事務的なものなど人的な支援はできる」と答えた。

2019年3月22日金曜日

不信任決議と辞職勧告決議

 議会が首長の資質などを問題視し、退任を求める場合に出される。辞職勧告決議には法的効力がなく、昨年6月21日に彦根市議会へ提出された同案は否決された。
 一方で、不信任決議は地方自治法に規定された制度。議員の3分の2(彦根市議会の場合16人)以上が出席し、そのうち4分の3以上が賛成すれば可決となる。その場合、首長は可決の通知日から10日以内に議会を解散しなければ失職する。彦根市議会で不信任決議が出された場合、議事録が残っている平成9年(1997)以降では初めてとなる。
 今議会でも数人の市議がこれまでの「失政」を取り上げたうえで、市長に責任をとって辞する考えを質したが、市長は「事業を継続させるのが責任」と辞任を否定している。
 不信任案が可決され、市長が辞職または失職した場合、職務代理者から5日以内に市選管へ通知があり、50日以内に市長選が行われる。

2019年3月18日月曜日

侍サイクルがPay it forward(ペイフォワード)開始

 彦根市中央町の自転車店「侍サイクル」は4日から、他人の分の費用を多めに支払う「Pay it forward(ペイフォワード)」のサービスを始めた。
 ペイフォワードは、他人から受けた親切を別の人へつないでいく意味。2000年の米国の映画「ペイフォワード」の上映以降に世界的に広まり、スターバックスでは「次の人のためのコーヒーを」と来店客が次の客のために余分に支払う行為がブームになった。
 侍サイクルは以前の場所から店を移す際、サービスの拡充を目指したクラウドファンディングを昨年末に実施。支援者への返礼品に工賃のサービスチケットがあったが、何人かの支援者から「ほかの人にチケットを使ってほしい」との寄付が2万円分あった。そのため同店はペイフォワードの仕組みを活用し、寄付のあったお金を経済的に苦しい学生や、自転車でビワイチをしている旅人など向けの修理やメンテナンスの工賃にあてた。
 来店客から希望があれば、ペイフォワードのサービスをすすめる。支援する金額は自由。「親切」を受け取る学生ら向けに1000円券と2000円券も作った。
 店長の目片貞明さん(44)は「ほかのお客さまからの親切を受け取った学生や旅人などの皆様も、いつかどこかで誰かに親切を与えてつなげていってほしい」と話している。問い合わせは同店☎(26)3626。

2019年3月16日土曜日

中田芙紗さん彦根市のマンホール拓本

 全国各地のマンホールのふたを拓本に採っている中田芙紗さん(83)=奈良県宇陀市=が5日、彦根市民会館で市のマンホールを写しとった。
 中田さんは約40年前に米国文学を研究する夫に同行し、米国の思想家らの墓碑銘を拓本にしたのを機に関心を持ち、帰国後の40代後半から各地の墓碑などの拓本を始めた。70歳の時に自宅近くのツツジが描かれたマンホールに興味を抱いて以降、全国各地を巡って創作活動をしており、これまでに100カ所以上の作品を仕上げた。中田さんの夫が、旧彦根藩士とされる中田貞矩(さだのり)の末えいだといい、以前からゆかりのある彦根のマンホールの拓本を望んでいた。
 彦根のマンホールのふたは直径約65㌢で、現在のデザインは市制施行50周年の1987年に採用。中央に大きな市章、その周りに小さな市章、周囲に市の木の橘の花を配置している。
 松煙(しょうえん)にオリーブ油を入れて湯煎して溶かした後、藻草を混ぜて墨を作製。綿に絹をかぶせた大きさの異なるタンポをその墨につけ、マンホールにあてた上質の和紙に押し付けながら仕上げていく。彦根での作業には上下水道部の倉庫に保管されている予備のマンホールを活用。市民会館のギャラリー内で午前10時半から午後1時半まで実施し、計3点を完成させた。
 中田さんは「マンホールのふたは色んな種類があって、各地域の特色がわかっておもしろい。彦根のは特に橘の花の部分が好き」と話していた。

2019年3月14日木曜日

金城小学校の児童たち市無形文化財の大藪おどり体験

 彦根市立金城小学校の児童たちが5日、市無形文化財の大藪おどりを体験した。
 大藪おどりは江戸時代初期に子どもの成長や豊作、大漁を祈願するため、お盆や祭りなどの時期に地元住民たちが踊ったのが始まりだとされる。かつては10種類以上の踊り方があったが、現在は手ぬぐい、傘、手の各踊りが伝えられている。1972年(昭和47年)に大藪おどり保存会が結成され、93年に市無形文化財になった。
 金城小では社会科の「のこしたいもの、伝えたいもの」の授業で地元の大藪おどりについて学習しており、毎年その中で地元団体の大藪おどり保存会のメンバーを招いて踊りを体験。
 10回目の今年は同会代表の尾本博司さん(69)ら12人が来校。そろいの赤色の法被姿となり、3年生95人に大藪おどりの歴史や使う楽器などを紹介し、踊り方を教えた後、児童たちは一人ずつ手ぬぐいを持って踊りを体験していた。
 児童の一井瑞希さん(9)は「ステップが少し難しかったけれど、コツをつかめば楽しく踊れました。機会があれば、また踊りたいです」と笑顔を見せていた。

2019年3月11日月曜日

彦根市シティプロモーション戦略案が完成しパブリックコメント

 彦根市民がまちへの魅力を感じ、市内外への発信につなげるための「彦根市シティプロモーション戦略」案が完成し、戦略策定委員会の上田洋平委員長らが2月26日に大久保貴市長に報告した。市は市民への意見を求めるパブリックコメントを28日から行っている。
 市は昨年7月に市民向けアンケートを行い、回答のあった302人からの彦根の特徴として▽彦根をほかに推奨したい気持ちや、まちづくり活動に参加したい意欲が低い▽彦根への愛着があり、まちづくりをしている人への感謝・応援の思いが強い―ことを把握。
 また公募市民40人の市民ワーキング会議が昨年8月から12月まで計6回実施。会議での議論とアンケート結果などを踏まえ、戦略策定委員会が作成した案では、さまざまな団体が各事業に一緒に取り組む「協働」、市民がまちの魅力発信を積極的にできる「環境づくり」、市民の取り組みで変化した様子やまちの魅力を市内外へ届ける「情報発信」の3本柱のサイクルを提起。このサイクルを回していくことで、課題の推奨や参画意欲が向上するとしている。
 市は来年度に彦根市シティプロモーション市民会議(仮称)を設置するほか、さまざまな市民が集う「彦根未来フェス」(仮称)を開催。2020年度以降にまちづくりに取り組む市民の熱い思いを伝えていく「地域の熱伝導士」(仮称)の育成や市民への発信力強化講座の開講などをしていく。
 また市民ワーキング会議では、市の木の橘をモチーフに、「ヒコネ」を根にイメージしたロゴマークも作成した。
 同案は市のホームページのほか、市シティプロモーション推進課、情報公開コーナー、支所・出張所で公開。3月22日まで意見を募集している。問い合わせは同推進課☎(30)6143。

キリンビール滋賀工場 見学ツアーのコースに発酵工程が体感できるコーナー新設

 多賀町のキリンビール滋賀工場は「一番搾り」の工場見学ツアーのコースをリニューアルし、ビールの発酵工程が体感できるコーナーを新設。3月1日からツアーを再開した。
 2010年に全面改築して以降、来場者数は昨年12月20日に30万人となった。同社のビールのおいしさの秘密を体感してもらおうと、見学コースのうち発酵工程の約41平方㍍をリニューアル。工事に伴って2月の見学ツアーを休止していた。
 来場者が液晶画面に両手でしずく型を作って投影すると、酵母や炭酸ガス、アルコール、糖の4種がアニメーションで映し出される仕組みで、酵母が糖を分解し、アルコールと炭酸ガスを生み出す工程が体感できる。初日の1日には29人が来場。そのうち名城大学2年の山岡美聖さん(20)=名古屋市=は「いつもは何気に飲んでいるビールですが、新しくなった発酵コーナーをはじめ製造工程を知ることができ、これからは思い出しながら飲みたい」と話していた。
 滋賀工場ではキリンビバレッジと合わせて、工場見学を受け付けている。見学後には試飲会もある。参加無料。問い合わせは滋賀工場のホームページか☎(48)2810。

彦根商工会議所会頭を務めた永昌堂印刷会長の北村昌造さん死去

 彦根商工会議所の会頭を務めた永昌堂印刷会長の北村昌造さんが2月28日に亡くなった。83歳だった。3日に通夜、4日に告別式が営まれた。
 通夜には企業や行政の関係者ら約500人が参列。喪主で永昌堂印刷社長の北村修久(のぶひさ)さんは「地域の皆様に長年にわたってお世話になり、心よりお礼申し上げます」と述べた。葬儀委員長は平和堂会長の夏原平和さんが務めた。
 北村さんは2001年11月から13年10月まで彦根商議所会頭を務め、滋賀経済同友会代表幹事や滋賀県印刷工業組合理事長なども歴任した。11年2月に市功労者表彰を受賞している。

 生前の北村さんは商工関係でご尽力されたほか、2007年3月から11月まで行われた彦根城築城400年祭の実行委員会と、08年6月から10年3月まで開催の井伊直弼と開国150年祭の実行委員会の会長も歴任。築城400年祭に合わせたキャラクターを選考する際、応募のあったイラスト10点のうち絞られた2点から06年2月にひこにゃんを選んだのが、北村さんと当時市長で現市議の獅山向洋氏でした。
 10年10月にひこにゃんファンクラブが発足すると会長に就任。ひこにゃんの誕生日イベントの際にプレゼントする役目が北村さんで、以降も海外出張に同行するなど、ひこにゃんの成長を見守られていました。
 16年4月に天守前で行われたひこにゃんの10歳の誕生日で、北村さんは「10年後にひこにゃんは20歳になります。引き続き、応援をよろしくお願いします」と話され、20歳を一緒に祝いたいように感じました。
 小生にも公私の場でお声かけ頂き、今後もあの穏やかなお姿を忘れることはありません。心よりご冥福をお祈りいたします。        (山田)

2019年3月7日木曜日

ミシガン州立大学連合日本センターの学生たち大江戸吹雪の舞を体験

 彦根市松原町のミシガン州立大学連合日本センターの学生たちが2月26日、井伊直弼の開国への思いをうたった民謡「大江戸吹雪」の舞を体験した。
 大江戸吹雪は1960年(昭和35年)10月にレコードが発売。直弼の開国の決断や桜田門外の変など直弼の生涯をうたった歌詞で、「男の魂ここに見る 彦根の城の天守閣」で締めくくられている。2008年に彦根市内であった井伊直弼と開国150年祭を機に結成された市民団体・直弼のこころを伝える会(小田輝子会長)の「大江戸吹雪を広め隊」が、市内小学校や公民館などで大江戸吹雪の歌詞の解説や舞を教える活動をしている。
 同センターのベンジャミン・マクラケン所長が彦根青年会議所の会員時代に大江戸吹雪を知り、米国の学生たちにも舞を体験してもらおうと同隊に協力を依頼。この日は馬場和子隊長ら3人が井げたと橘の紋が入った朱色のかみしもを着て来校し、「日本の文化と社会」の講義を受講する学生15人に大江戸吹雪を教えた。
 馬場隊長が歌詞について説明し、3人で舞を披露した後、学生たちは3班に分かれ、かみしもを身につけ、扇を手にしながら大江戸吹雪の歌に合わせて振り付けを習っていた。イースタン・ミシガン大学3年生のクリスタル・スレートンさん(21)は「直弼については彦根ではいい印象だけど、(安政の大獄で)全国的にはまだ悪い印象が多いと聞いています。大江戸吹雪の舞は難しかったけれど、練習したら何とかできると思います」と笑顔を見せていた。
 学生たちは今後も練習し、4月19日の修了式で舞を披露するという。

2019年3月6日水曜日

国際総合競技大会ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021年に関西地域で開催、彦根市実行委員会が設立

 生涯スポーツの国際総合競技大会「ワールドマスターズゲームズ(WMG)」が2021年に関西地域で開催されるのに合わせて、彦根市実行委員会が設立。21日に四番町ダイニングで総会が開かれた。
 WMGはおおむね30歳以上なら誰でも参加できる競技大会として、オリンピック・パラリンピックの翌年に開かれており、1985年のカナダ・トロントを皮切りに世界各国で4年に1回開催。10回目はアジア地域初、広域初となる関西13府県政令市で2021年5月14日から30日まである。
 公式の35競技59種目、オープン17競技が行われ、主催のワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会は150カ国・地域以上から大会最多の5万人(うち国外2万人)の参加者を目指している。
 滋賀県内では彦根市で10㌔ロードレースがあるほか、6市でホッケーや野球、ソフトボール、カヌー・ボートが開催。ロードレースは開催日が5月23日で、松原町のミシガン州立大学連合センターをスタートし、湖岸沿いから彦根城内を経由、近江高校第2グラウンドをゴール地点にしたコースで調整される。予定参加者数は900人で、うち国外が540人。30歳以上から70歳以上までの男女計10のカテゴリー別に表彰される。
 彦根市実行委員会の設立総会では、彦根市や彦根商工会議所、市陸上競技協会、市スポーツ推進委員競技会などの代表者らの委員20人が出席。関西大会のマスコットキャラクター・スフラやひこにゃんと一緒に記念撮影をした後、会議にのぞみ、会長には大久保貴市長が就いた。
 今後は「開催協議準備・運営部会」と「広報宣伝・スポーツツーリズム推進部会」に分かれて、コースの決定や観光ルートの設定、交流イベントの実施、外国からの参加者への対応策などを検討していく。

井上仏壇店の実績紹介本が発刊

 彦根市芹中町の井上仏壇店の実績を紹介した本「伝統産業の製品開発戦略―滋賀県彦根市・井上仏壇店の事例研究」が発刊された。
 著者は滋賀県立大学博士研究員の大橋松貴さん(34)=長浜市。ライフスタイルの変化などで転換期を迎えている仏壇業界で、新たな視点や技術に基づく開発につなげてもらおうと彦根仏壇の井上仏壇店に着目。本では同店の井上昌一社長(51)を中心とした経営者らが2011年2月に結成したグループ「،m+(ナナプラス)」や、同店が同年8月に考案したカフェ用品シリーズ「chanto(シャント)」を取り上げたうえで、仏壇の伝統技術を生かしながら現代の市場に合った製品開発を推奨している。
 大橋さんは2014年から井上社長へのヒアリングや独自の研究の内容を本にまとめた。「仏壇業界は厳しい状況と言われるが、工夫次第で伝統芸術を生かして色んな物に応用できることをこの本で知って頂ければ」と話している。本では「研究の目的」「彦根仏壇産地の特性」「井上仏壇店の製品開発イノベーション」「ターンアラウンド(経営再建への研究開発)戦略」などで構成している。
 井上社長は「最初は奇抜すぎると思われたかもしれないが、彦根仏壇の伝統技術の継承を目的にぶれずにこれまでやってこられた。この本を読んだ方のお役立ちができたら本望だと思う」と語っていた。
 本はA5判、167ページ。サンライズ出版。税抜き2800円。全国の書店で販売している。