彦根市長選挙が4月18日告示、25日投開票で行われる。本紙は市長選を前に市政課題を数回に分けて取り上げている。今回は財政問題。
22年以降赤字も
3年後~市債返済
彦根市が今年2月に示した市中期財政計画では2021年度から5年間の財政状況を予測。財源不足への対応を行わなかった場合として22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支が赤字に転落するというショッキングな数値を示した。
具体的には、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算だ。
この最大の要因は人件費や扶助費(社会保障の経費)が増大する上、新型コロナウイルスの影響による市税収入の大幅な減少が追い打ちになっている。また市役所本庁舎の耐震工事、彦根市スポーツ・文化交流センターの整備、道路・橋りょうの改良など大型の投資事業が続いたため、市債の返済が24年度から開始する。これに伴って実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)は21年度の9・3%から、24年度には13・9%に悪化する見込みだ。
このほか、彦根市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
歳入策 待ちの姿勢
歳出策は不透明
これら財源不足への対応として、市財政課は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」と説明。具体策と21年度比の22年度以降各年度の歳入増収額は▽ネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円▽ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円▽彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円を列記。
一方で歳出削減の策と額・比率は▽業務の委託化、ICTの活用などで時間外勤務の縮減によりマイナス5%▽予定事業の延期、中止を含めた事業の見直しで25億円~29億円を削減▽市単独の補助金について再検証してマイナス1000万円など。そのうち事業見直しの25億円~29億円の具体的な内容は明らかになっていないが、市財政課では「一つの大きな事業の経費というよりも、複数の事業を少しずつカットしトータルで25億円以上を削減するのが現実的」としている。
しかし市が示す歳入策は「待ち」の内容が目立ち、「攻め」の姿勢が見えてこない。歳出面もその具体策は不透明なままである。また今回の市中期財政計画には今後、控えている新しい市立図書館中央館や広域ごみ処理施設の大型事業の経費は入っておらず、10年後以上先の長期を見据えた財政計画も必要である。各候補がいかなる財政再建策を訴えるか注目したい。(山田貴之)
彦根市が今年2月に示した市中期財政計画では2021年度から5年間の財政状況を予測。財源不足への対応を行わなかった場合として22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支が赤字に転落するというショッキングな数値を示した。
具体的には、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算だ。
この最大の要因は人件費や扶助費(社会保障の経費)が増大する上、新型コロナウイルスの影響による市税収入の大幅な減少が追い打ちになっている。また市役所本庁舎の耐震工事、彦根市スポーツ・文化交流センターの整備、道路・橋りょうの改良など大型の投資事業が続いたため、市債の返済が24年度から開始する。これに伴って実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)は21年度の9・3%から、24年度には13・9%に悪化する見込みだ。
このほか、彦根市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
歳出策は不透明
これら財源不足への対応として、市財政課は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」と説明。具体策と21年度比の22年度以降各年度の歳入増収額は▽ネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円▽ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円▽彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円を列記。
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