2021年12月25日土曜日

彦根市清掃センター燃やすごみ処分する2号炉と3号炉が故障で停止、残り1号炉のみに

彦根市清掃センターは21日、燃やすごみなどを焼却処分する「2号炉」で不具合が発生し、焼却処分を停止したと発表。11日には「3号炉」も故障で停止しているため、残り「1号炉」のみとなった。同センターはごみの収集を通常通り行うものの、市民にごみ減量の協力を呼びかけている。
 同センターによると、11日午後1時15分ごろ、3号炉の排ガスを煙突へ送る誘引通風機に振動と異常音が確認されたため焼却処理を停止。内部を点検したところ、誘引通風機などに破損が見つかった。
 そのため12日午後1時33分から2号炉を立ち上げて稼働していたが、17日に職員が巡回点検していたところ、午後1時35分ごろに2号炉の誘引通風機にわずかな振動を確認。内部を調べたところ、一部で破損が確認されたため、焼却処理を停止した。いずれも、誘引通風機の吸い込み口が排ガスの温度低下によって水分が結露して腐食が進んだことが損傷の原因だという。
 3号炉については15日にメーカーが調査したところ、誘引通風機の軸や吸い込み口などで修理が必要なことがわかった。市清掃センターによると、当初は来年2月下旬の復旧を予定していたが、メーカーの人材と部品不足により遅延する見込みだ。2号炉についてもメーカーが今月20日に内部調査を実施。復旧時期は「未定だ」という。
 彦根市は2001年度に3基の焼却炉の大規模更新を実施。それから20年が経過しているため、今年度から2024年度にかけて、誘引通風機を含めた設備を更新するための大規模修繕費31億5800万円を予算化している。しかしどの焼却炉から着工するかなど未定のため、当面は応急的な修理を優先する意向。
 
外部搬出費5900万円
貯留に限度 処理方法「未定」
 市清掃センターは、以前まで1基の焼却炉で一日平均計45㌧の燃やすごみを処分してきたが、設備の老朽化に伴って処理機能が年々低下し、今年度は約30㌧になっている。同センターには一日平均で約90㌧の燃やすごみが集まるため、1号炉のみでは処理しきれない。処分できないごみは、今年10月から来年2月までの契約(約5900万円)で三重中央開発に搬出している。敷地内では最大で800㌧貯留できるが、今回の2つの焼却炉の故障で発生する処分できないごみの搬出先や処分方法については「まだ調整中」だという。
粗大ごみについては解体後の木材部分なども燃やすごみとして処分しているため、市清掃センターの担当者は「年末年始にかけて粗大ごみを含めたごみが多くなる。古紙のリサイクルや粗大ごみを他人に譲るなど協力してほしい」と要望。和田裕行市長は「ごみ処理の非常事態。市民の皆さんには申し訳ないが、ごみ排出量の抑制、リサイクルをお願いしたい」と協力を求めている。
 
生ごみ たい肥化しよう
ボカシ販売、水切りの協力も
市清掃センターによると、回収する燃やすごみの3割が生ごみで、生ごみの8割が水分のため、焼却処分する際に負担がかかるという。担当者は「生ごみを出す際は水分を無くして捨ててほしい」と要望している。
 また市役所などでは生ごみをたい肥化できる「ボカシ」を販売している。ボカシは米ぬかやもみ殻に乳酸菌や酵母、光合成細菌による有用微生物を混ぜて作成。「彦根市ごみ削減推進協議会」が作り、その普及啓発に取り組んでいる。
 手順は①生ごみ処理用のバケツの底に新聞紙を敷き、ボカシをまく②水切りした生ごみを入れ、合間にボカシを振りかける③上から押さえて、ふたをして密閉④底にたまる発酵液はこまめに抜き出す⑤②~④を繰り返してバケツがいっぱいになったら1~2週間発酵⑥ぬか漬けのような発酵臭がすれば完成。
 ボカシの販売場所は市生活環境課、鳥居本・亀山・稲枝の各郵便局。700㌘200円。収益は同協議会の活動費にあてられる。問い合わせは同課☎(30)6116。

多賀町180万年前のアケボノゾウの化石が国の天然記念物に

 多賀町で発見されて町立博物館で展示されている約180万年前の「アケボノゾウの化石」が17日、国の天然記念物に指定されることが決まった。翌日、同館で記念セレモニーが開かれた。
  アケボノゾウはゾウ類化石(※)のうち、石川県戸室で見つかった上あご臼歯を模式標本とする約250万年~約100万年前の化石を言う。多賀町では1993年2月中旬に、四手の工事現場で発見。頭部、体幹、体肢など全身の7割におよぶ部位191点の骨が見つかり、そのうち右手のように、すべての骨がつながった状態での発見は世界的にも珍しいという。
 骨の化石のうち112点は1999年に開館した町立博物館で公開展示してきた。2013年からは「多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト」と題し、アケボノゾウが生息していたころの自然環境を探りながら、子どもたちの野外実習など教育活動もしてきた。
 
全身の7割残る
生息環境が影響
 同館の小早川隆館長(72)によると、多賀町のアケボノゾウは湿地帯で生息し、死後すぐに埋まったために保存状態が良かったのだという。国の天然記念物の指定に小早川館長は「全国的に見ても貴重な化石であり、それが認められてうれしい。これからも日本一の化石だと発信し続けたい」と述べた。
 記念セレモニーでは久保久良町長のあいさつ後、同プロジェクト検討委員会委員長で琵琶湖博物館の高橋啓一館長(64)が「7割の個体が見つかる化石はあまりなく、非常に価値がある。住んでいた環境を一緒に調査する活動もすばらしい。これからも地域で大切に保管してほしい」と語った。最後には地元の子どもたちを交えて、アケボノゾウの復元骨格の像前でくす玉割りもあった。
 
地元住民が団体結成
記念ロゴ作り発表
 


記念セレモニー後には地元住民たちの団体「シガタガゾウのサト」の結成式が開催。ゾウの衣装にふんした小早川館長と高橋館長の対談後、デザイナーの神谷利男さん(大阪市)が制作したロゴが発表された。同団体の中川信子さんは「イベントやグッズ展開など楽しい企画を考えていく」と話し、サポートメンバーを募集。問い合わせは町立文化財センター☎(48)0348。
 ※【ゾウ類化石】ゾウ類は約5000万年前に北アフリカに出現。日本列島に生息したのは約1900万年前とされ、岐阜県で発見されたアネクテンスゾウが最古だ。以降は約500万年前のセンダイゾウ(宮城県)、約430万年前のミエゾウ(三重県)、そしてアケボノゾウ、ゾウ類化石の6割を占める約2万年前に絶滅したナウマンゾウ、北海道でしか見つかっていない2万年前以前のマンモスゾウなど、全国では9種類のゾウの化石が全国約400カ所で見つかっている。
 そのうち滋賀県内ではアケボノゾウの4カ所を含め計18カ所で産出。多賀町ではアケボノゾウのほか、芹川河床からナウマンゾウの18点も見つかっている。

平和堂・夏原平和会長が肺がんで死去

 平和堂は20日、夏原平和会長が同日午前1時19分に、肺がんのため死去したと発表。享年77歳だった。平和堂は遺族の意向を受け、自宅への弔問や供花などを辞退するとしており、後日「お別れ会」を開く予定。
 夏原氏は平和堂創業者の平次郎氏の長男として1944年に彦根市内で生まれた。同志社大学法学部卒業後、1968年3月に平和堂へ入社。チェーンストアのペガサスクラブへの出向、敦賀店店長、専務、副社長を経て、89年5月に社長に就任。2017年5月から会長兼CEOに就いていた。
 社長時代の1989年にはオリジナルのポイントカード「HOPカード」を導入し、翌年には東証一部上場を果たした。91年には女性の社会進出や人出不足を見越して惣菜加工会社のベストーネを設立。98年には平次郎氏の強い希望を受け、中国湖南省に出店。尖閣諸島の問題を巡って暴動が起こった2012年には現地の4店も被害を受けたが、現地に赴いて被害の確認と対策の陣頭指揮をとり、2カ月後には全店で営業を再開させた。
 会長時代の創業60周年を迎えた2017年にはビバシティ彦根の隣接地に新本部「HATОC」を竣工。部長を対象にした経営者育成塾など社員研修を実施し、社員の人間力育成に努めた。
 遺族の意向により、通夜や葬儀、告別式については近親者のみでとり行われる。お別れ会の日時や場所は未定。
 
「店はお客さまのため」
社員「会長の言葉忘れない」
 和田裕行市長は「商工業の振興のみならず、地域の発展に多大なる貢献をいただいた。市政についても気にかけていただき、まだまだご教示たまわりたいことが多くあった。突然のことで残念でなりません」とコメントを発表。
 県内のフレンドマートで店長を務める40代の男性は「会長の『会社は社会のためにある。店はお客さまのためにある』という言葉が忘れられません。常に従業員の幸せを考える偉大な方でした」と話していた。

2021年12月23日木曜日

彦根商工会議所女性会が創立40周年記念のつどい

 彦根商工会議所女性会は5日、彦根商議所4階の大ホールで「創立40周年記念のつどい」を開き、会員35人が出席した。
 女性会は市内で経営に携わる女性たちで1981年4月に結成。記念のつどいで、渡邊僖子会長は「私たちは企業人であると同時に母親目線をあわせ持つことができる。明るい未来をつくる活動をこれからも続けたい」とあいさつした。
 来賓として和田裕行市長は「創立から現在まで激動の時代にご尽力頂いたことを感謝している。情報社会の中、情報処理能力は女性の方が優れているのではないか。これからも女性の視点、パワーで地域の発展に力を貸してほしい」と述べた。
 彦根商議所の小出英樹会頭は「女性会の皆さんには地域の教育、特にスティーム教育(科学・技術・工学・芸術・数学)に力を入れてほしい。城や琵琶湖などのこれだけの風景がある街は日本でも少なく、小さい時からそれが実感できる教育も重要。次の指針の参考にしてほしい」と語った。
 市社協が設置した子育て支援のための「はぴとも基金」への寄付金30万円の贈呈式もあり、渡邊会長が市社協の磯谷直一会長に目録を渡した。その後、創立40周年記念誌発行委員の藤田敦子委員長のあいさつ、歴代会長への花束贈呈、在籍40年と30年以上の会員への感謝状と記念品の贈呈があった。後半では彦根城の世界遺産登録をテーマにした講演会もあった。

2021年12月14日火曜日

大学生が彦根市内の企業のSDGsまとめた冊子Hikone Work Academiy2021完成

 県内外の大学生が彦根市内の企業のSDGsの取り組みをまとめた冊子「Hikone Work Academiy2021」が完成した。
 彦根商工会議所青年部が、各企業のSDGsに関する取り組みのPRと、将来の第2の故郷としての関係人口創出を目的に企画。滋賀大学18人、聖泉大学3人、神戸流通科学大学1人が6月から10月まで参加した。
 学生たちはオリエンテーションや取材講座、県版SDGsボードゲームの体験会を経て、同青年部の23社に分かれて入り込み、各企業のSDGsの取り組みを取材。ライティング講座を経て、文章(記事)にまとめた。本紙の山田貴之記者も滋賀大学で取材と記事の書き方の計2回の講義を担当した。
 冊子では各企業の業務内容、独自の取り組みなどを学生たちが考えた見出しと写真入りで紹介しているほか、「2030年に向けた彦根への貢献」コーナーもある。デザインは滋賀県立大学の成瀬碧衣さんが担当した。
 冊子の中で、滋賀大学の片山みずほさんは「この冊子がたくさんの人の目に触れることで、自分にもできることがあるかもしれないと、より多くの人に思ってもらい、SDGsに関する活動が広がってほしい」とコメントしている。B5判、カラー35ページ。同青年部のホームページでも閲覧できる。

2021年12月11日土曜日

NPOぽぽハウスが糸賀一雄記念未来賞

 障害者福祉で先進的な取り組みをしているとして、彦根市平田町の福祉団体「NPOぽぽハウス」が、今年度の糸賀一雄記念未来賞を受賞した。1125日に報告のため、若林重一理事長(65)と福井久美子理事(63)が和田裕行市長を表敬訪問した。
 ぽぽハウスは任意団体として1999年に設立。高齢者のデイサービスや障害児者の支援のほか、介護保険・障害児者に関する相談、子ども・子育て支援などの活動をしてきた。
 特に、さまざまな福祉サービスを提供する中で、介護保険制度などの制度外のニーズが多くあることに気づき、それらに対応するためのオリジナルの事業を開発。孤立しがちな障害児や子育て中の母親、生活困窮者など生きづらさを抱えている人たちを支援する「課題解決型」の福祉サービスを提供している。
 糸賀一雄記念財団は、障害者または生きづらさを感じている人たちに関する取り組みが先進的で、今後の活躍が期待できる個人・団体に糸賀一雄記念未来賞を授賞。また障害福祉などの分野で顕著な活躍をしている個人・団体に糸賀一雄記念賞を授けている。
NPОぽぽハウスは、「市民ニーズに必要なサービスを届けるという姿勢がすばらしく、既存制度のすき間となるようなニーズや課題を見つけ、それに対応していく先進性が高く評価できる」として、今年度の糸賀一雄記念未来賞を受賞した。
 市長を表敬訪問した若林理事長は「多様性が叫ばれている社会で、支援が必要な市民にとって暮らしやすい地域にするためにこれからも邁進していきたい」と述べた。
 ※【糸賀一雄】1914年(大正3年)3月29日、鳥取市生まれ。1940年(昭和15年)に滋賀県庁に入り、秘書課長など歴任。4611月に知的障害児の入所施設「近江学園」を創設し園長に。以降、重症心身障害児施設「びわこ学園」を設立するなど、障害者福祉の基礎作りに多大な貢献を残した。糸賀一雄記念財団は障害者福祉の向上に関する事業を行う団体として1996年(平成8年)1113日に設立された。

2021年12月8日水曜日

男鬼町の比婆神社でしめ縄飾り

 彦根市男鬼町の比婆(ひば)神社で1128日、しめ縄飾りが行われ、氏子らが社殿や鳥居などのしめ縄を交換した。
 この日は氏子ら計約20人が集まり、比婆神社の本殿前で神事を行った後、大小の手作りのしめ縄を飾った。そのうち最初の高さ約3㍍の大鳥居には長さ約5㍍のしめ縄を男性2人がかりで設置した。

2021年12月6日月曜日

平和堂、キリンビール、ブリヂストン企画「彦根の次世代を担う学生たちの街おこしの夢を応援!」入賞作発表

 平和堂、キリンビール、ブリヂストンの彦根地域に拠点を持つ3社は、地元の高校生を対象にした企画「彦根の次世代を担う学生たちの街おこしの夢を応援!」の入賞作を発表。1127日にビバシティ彦根で表彰式を開いた。
 3社は2014年から地域貢献につながる「彦根発 笑顔いっぱいプロジェクト」を進めており、16年から高校生を対象に地域資源を生かした企画や地域の課題解決につながる提案を募集。優秀賞の企画の実現に向けて3社が支援してきた。
 企画の実現性をより発展させるため、今年5月に滋賀大学と連携協定を締結。高校生の企画について滋賀大生が講義の中で具現化し、高校生と一緒に企画を実現していく。
 
インスタ映えマップなど
滋賀大生の協力で具現化へ
 今年は彦根を中心に個人やグループから75件の応募があり、8組に絞って企画の発表会を開催。その中から、優秀賞に彦根工業高校機械科の「リサイクル商品のブランド化」、彦根翔西館高校2班の「エクササイズinヒコネキャッスル」、近江高校のチーム「8・5海賊王」の「インスタ映えまとめマップ」を選考。特別賞に近江高のチーム「ここちゃん」の「プラスチックステンドグラス」を選んだ。
 表彰式では3社の代表者から表彰状や記念品が授与。優秀賞を受賞した彦根工業高3年の山川拓馬さん(17)は「彦根がよりよい地域になればうれしい」、彦根翔西館高2年の小林千珠(ゆきみ)さん(17)は「彦根の皆さんが健康で暮らしてほしいと思った」、近江高2年の佐野はなりさん(17)は「たくさんの人に彦根の良さを改めて知ってもらえたら」と話した。

 表彰式には滋賀大生9人も登壇して抱負を述べた。今後は大学生4~6人のグループが3つの企画の具現化に向けたアイデアなどを出し合い、来年1月20日の最終プレゼンテーションを経て、3社と彦根市が1つの企画を選定。3社が今年度中に実現をサポートしていく。
 平和堂の夏原陽平常務は「いい企画が出そろった。高校生や大学生たちにとって、これから進学、就職していく中で、今回の経験がプラスになればいい。今後もこのプロジェクトを続けていきたい」とあいさつした。

2021年12月4日土曜日

天秤櫓に設置するしめ縄の仕上げ作業ひこにゃんも手伝い

 彦根城の天秤櫓に設置するしめ縄の仕上げ作業が2日、彦根城管理事務所の作業所(金亀町)で行われ、ひこにゃんも手伝った。
 しめ縄は長さ約6㍍、太さ約45㌢、重さ約50㌔で城内最大。彦根城運営管理センターの宮川敏明所長(55)の「今年もがんばるぞー」のかけ声の後、赤い法被姿の作業員12人が縄3本を束ねて、ペンチを使って釣り糸でくくった。ひこにゃんも中に入り一緒に作業を手伝い、観光客約30人も写真撮影しながら見守った。例年は「よいしょ」「それ」などのかけ声があったが、新型コロナの感染拡大防止のため静かな中での作業だった。
 しめ縄は市内の農家から提供を受けたわら約100㌔が使われ、10月初旬から全部で8本製作。この日の天秤櫓向けが最後の1本で、すでに製作を終えた長さ60㌢から1㍍80㌢までのしめ縄と合わせて、天守入り口、玄宮園東口、開国記念館など合計8カ所に今月23日に設置される。
 城内での年末年始の行事は9日にすす払い、13日に鏡もちつきときな粉もちの振る舞い、16日に門松飾り、23日にしめ飾りと鏡もち設置、31日に除夜の鐘をつく集い、来年1月4日に鏡開きがある。

2021年12月2日木曜日

平田小学校が朝の会に芸術印象発表の朝鑑賞=対話型鑑賞を導入

 彦根市立平田小学校は朝の会の時間を活用し、著名な芸術作品の写真を見て子どもたちが印象を発表する「朝鑑賞(対話型鑑賞)」を導入。17日にその様子を公開した。
 教育現場での導入を推奨している滋賀大学大学院教育学研究科の青木善治教授(57)によると、対話型鑑賞は1980年代半ばにニューヨーク近代美術館で子ども向けの美術の鑑賞法として開発。日本では絵画や立体などの世界的に有名な芸術作品のアートカードを使用し、教員はそのアートカードを示して「何が描かれているか」「何を意味しているか」などと質問し、子どもたちは思いつくことを発表していく。
 教員は教える立場ではなくファシリテーター(司会)の役割を務め、子どもたちは問いに関して主体的に考え、他者の意見に賛同しながら、答えを導いていく。青木教授によると、対話型鑑賞によって子どもたちの自己肯定感の育成や学力向上につながるという。
 平田小学校では2学期から毎月1回、朝の会の時間の15分~20分、全学年のクラスごとに対話型鑑賞を実施。公開された17日、5年生のクラスではダリの絵画「記憶の固執」が画面に示され、教員の「季節はいつ?」「どんな音が聞こえる?」「どんな題名?」などの問いに、児童たちは絵の各部分を指しながら思い思いの答えを発表していた。
 各クラスの様子を見学した青木教授は「この教育法には正解も不正解もない。子どもたちが発表し、他者に認めてもらうことで自己肯定感につながり、学級運営にも役立つ。他校でもぜひ導入してほしい」と話した。平田小の加藤洋一校長は「導入してまだ3カ月だけだが、子どもたちの自尊感情は見違えるようで、いきいきしているのがわかる」と述べた。

 

幼稚園から高校までの制服や体操服など買い取るさくらや彦根店が日夏町にオープン

 不要になった幼稚園から高校までの制服や体操服などを買い取る「さくらや彦根店」が日夏町にこのほどオープンした。
 店主は中西裕子さん(55)。今年6月にテレビ番組で学生服リユースの取り組みを進める「さくらや」を知った。以前から自宅で好きな時間にできる仕事を探していたこともあり、居間を店にして滋賀で唯一の「さくらや」を開店。長女の満梨奈さん(21)と一緒に経営している。
 彦根市や周辺市町の園・学校の制服、体操服、指定のかばんや帽子などの買い取りと販売をしている。デザインが変更したり、破れやシミがある商品の買取は不可。
 制服回収用のボックスの設置に協力できる事業所も募集。同店が査定した金額が子どもの未来応援基金に寄付され、全国の子ども食堂や子ども支援の団体に活用される。回収した制服は同店で必要な家庭に販売する。
 中西さんは「経済的に困っている子育て中の家庭は多いと思うので、少しでも支援ができればうれしい。サポートして頂ける事業所も募集している」と話している。オープン時間は月水金の午後1時~同5時。住所は日夏町1776―9。問い合わせは☎090(5463)2291。
 
しんどい女子募集
 「なんでかしんどい女子会」が毎月第1日曜と第3の月水金のいずかれにさくらや彦根店で開かれている。つらい思いを共有したい、友だちがほしいなど悩んでいる小学生から20代の女性を募集。参加費無料。河瀬駅から送迎あり。問い合わせは同店へ。