2022年3月29日火曜日

天守前でラジオ体操 市が中止要請

 彦根城天守前で毎朝、市民たちが行っているラジオ体操に対し、彦根市文化財課が文化財保護の観点から中止を要請したことが21日わかった。市民たちは継続を求めて署名活動を始めた。
 市民たちは毎朝、ラジオ体操が放送される午前6時半までに天守前広場に集い、円になって体操を行っている。約30年ほぼ毎日続けている市内の男性(80)は「朝からラジオ体操をすると気持ちがいい。天守前広場から眺める琵琶湖の景色は毎日違い、沖の白石が見える時もある」と話していた。
 約10年前から続けている大薮町の西村洋治さん(77)は参加人数を集計しており、昨年は一日の最多人数が37人で、延べ約1万3000人が参加。今年の最多人数は27人だという。
 
40年間続く伝統
世界遺産前に厳格化
 天守前でのラジオ体操は約40年前から行われており、市民たちの交流と健康増進に役立ってきた。
一方で昨年3月の市議会の市民産業建設常任委員会では、森野克彦議員が「一定の団体に限って入場を認めることはどうなのか。ラジオ体操をしている方々が入れるのだったら、ペットを連れての散歩も入れるのでは。問題が発生した時に特定しづらい」と指摘。
 市文化財課は市民が天守前でラジオ体操をしていることを以前から把握し、「黙認」状態だったが、先週末、ラジオ体操をしている市民の一人に「時間外での天守前でのラジオ体操を控えるよう」要請。本紙の取材に、同課の鈴木康浩主幹は「防犯と防火の文化財保護の観点から、散歩を含め時間外の城内への入場はやめてほしいと求めた。世界遺産登録を目指す上で改めて大切な文化財を守っていきたいという思いもある」と述べた。24日には和田裕行市長にも報告した。
 
署名活動を開始
 市からの中止要請を受けた市民たちは継続を願って署名活動を開始。西村さんは「ラジオ体操のために登城する人のみの証明書を作ったり、たすきをかけたりの対処はできるはず。市との話し合いを求めたい」と話している。署名を継続して募っている。問い合わせは西村さん☎090(8210)4200。

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