2016年10月31日月曜日

彦根藩十二代・井伊直亮が国宝「彦根屏風」の購入者、特別展で公開

 彦根城博物館は、彦根藩十二代・井伊直亮(1794~1850)が国宝「彦根屏風」=写真=の購入者だったと発表した。これまでは直亮の兄の十三代・直弼が購入したとする説があったが、直亮が記した「屏風之覚(おぼえ)」に彦根屏風を直亮自身が入手した記録があった。博物館では彦根屏風と屏風之覚を28日からの特別展で公開する。
 彦根屏風は6曲1隻の縦94㌢×横271㌢の大きさで、近世初期の風俗画の傑作品として、制作された江戸時代から高く評価されてきた。制作時期は寛政年間(1624~44)で、金地に当時の京都・六条三筋町の遊里が描かれている。人物の髪の生え際や衣装文様、布の光沢などが細かく描写されており、たばこや洋犬のペット、三味線、双六(すごろく)なども登場している。
 作者は不明で、狩野派の絵師とされている。屏風之覚には「浮世又平(またへえ)」と記されているが、浮世又平は伝説上の人物で、実在の絵師・岩佐又兵衛とした可能性もあるが、彦根城博物館では「又兵衛の画風とは違う」としている。国宝の指定名称は「紙本金地著色風俗図」だが、屏風之覚には遊郭を指す「揚屋(あげや)之図」と記されている。
 直亮が購入した額については屏風之覚に「金千両を提示されたが、交渉で値引きしてもらって手に入れた」と書かれている。金額については屏風之覚の破損が激しいためわからないが、百両単位だという。当時は1両が約10万円とも伝えられているため、高額だったことがわかる。
 彦根屏風については、十五代・直忠の自宅で明治45年(1912)に能が催された際、同時に井伊家所有の美術品が公開され、井伊家側から「彦根屏風は直弼が購入した」とする説明があった記録が残っていた。そのため直弼購入説が有力だったが、彦根城博物館では明治期の井伊家は開国や安政の大獄で非難されていた直弼の名誉回復を図る思惑があった可能性があるとしている。
国宝「松浦屏風」も
直亮画像 雅楽器など
 彦根城博物館は28日から開館30周年記念特別展「コレクター大名 井伊直亮 知られざる大コレクションの全貌」を開く。
 直亮は十一代・直中の三男として生まれ、12歳で世子となり、文化9年(1812)に19歳で家督を継ぎ、38年間藩主を務めた。さまざまな物を収集するコレクターとしても知られており、特に雅楽器は260点以上、関連資料や楽譜を含めると600点以上集めている。ほかにも刀剣、甲冑、更紗(木綿の布)、書画、文房具、時計、計測器、ピストルなど多岐にわたる。また集めた物の寸法や付属品、入手先、金額などを詳細に記した道具張も自ら作成している。
 特別展では彦根屏風や屏風之覚など直亮のコレクションや直亮らコレクター大名の収集品など計172点を展示する。
 主な物は、平戸藩主・松浦(まつら)清が購入した国宝「松浦屏風」、松江藩主で大名茶人として知られる松平治郷(はるさと)が所持していた中国の福建省で作られた最高傑作の茶碗、直亮が抱えた絵師・佐竹永海が描いた清凉寺伝来の井伊直亮画像、白河上皇が熊野詣でで奉納するために奈良の僧・慶俊(けいしゅん)によって作られて天保12年(1841)に直亮が150両で手に入れた雅楽器の笙(しょう)、南北朝時代の武将・楠木正成が所用し弘化4年(1847)12月19日に江戸の藩邸で直亮が入手した陣太鼓、土地の傾斜や広さ、星の観測などに使われる計測器(トランシット)など。
 ギャラリートークが29日午前11時~と午後2時~、講演会「コレクター大名 井伊直亮」が11月5日午後2時~(資料代100円)、シンポジウム「江戸時代のコレクター大名~個性派大名の饗宴」が11月19日午後1時半~(参加費500円)ある。開館時間は11月27日までの午前8時半~午後5時。一部期間のみ展示の品もある。

元滋賀大生の久保さゆりさん ひこね地域おこし協力隊員へ

 彦根市は21日、久保さゆりさん(25)のひこね地域おこし協力隊員への委嘱式を行った。久保さんは市企画課に配属され、市への移住策の推進業務にあたる。
 久保さんは滋賀大学経済学部出身で、学生時代の4年間を彦根で過ごし、古い町並みやホタルが住む自然が好きだったという。卒業後は出身地の大阪に戻って教材メーカーで営業業務にあたっていたが、「もっと人との距離が近い仕事がしたい」との思いから、ひこね地域おこし協力隊に応募した。
 大久保貴市長から委嘱状を受け取った久保さんは「彦根といえば、ひこにゃんや彦根城だが、まだまだ知られていない場所が多くあると思う。県外の人に伝えていける架け橋になりたい」と意気込みを語っていた。
 企画課では彦根への移住相談の受付や情報発信、移住希望者への就労支援など「移住コンシェルジュ」として働く。委嘱期間は今月21日から来年3月31日までで、最大3年まで延長できる。

認知症カフェ「HOTカフェんde」元町のコーヒーハウス・アップルジャムにオープン

 認知症の人や家族らが集う認知症カフェ「HOTカフェんde(ほっとかへんで)」が19日、彦根市元町のコーヒーハウス・アップルジャムにオープン。認知症カフェが喫茶店で行われるのは全国的に珍しく、喫茶店が運営するのも県内初めてだという。
 認知症カフェは、認知症の人や家族のほか、地域住民、医療・福祉の専門員らが気軽に集まって語り合える場所にしようと、全国的に広がっている。福祉施設内にサロン的に集う認知症カフェが多いが、彦根市は市内で営業する喫茶店や飲食店を対象に補助制度を設けており、昨年10月29日には銀座町の飲食店がこの制度を活用し1号店としてオープン。
 2店目となったアップルジャムの代表・津田孝子さん(63)は、一人暮らしの母親が認知症だといい「多くの皆さんにご支援を頂いており、その恩返しと思い、認知症カフェをすることにした」と話していた。
 アップルジャムでの認知症カフェの時間は毎月第1・第3水曜日の午前11時~午後2時半。コーヒーと紅茶を100円、ケーキセットを300円、ランチを500円で提供する。問い合わせは同店☎(24)3326。

2016年10月26日水曜日

稲部遺跡、今後は保存か市道整備かの調整協議へ

 彦根市稲部町と彦富町にかけての稲部遺跡が「極めて重要な遺構」と確認された。ただ、稲部遺跡の発掘調査は市道芹橋・彦富線の道路改良工事に伴って実施されたため、今後は保存か市道整備かの調整協議が始まるとみられる。
 稲部遺跡周辺での市道の整備範囲は約800㍍で、市は平成22年から用地買収を始めており、市道路河川課によると、これまでに63%の買収を終え、事業費としてすでに約1億5500万円(平成27年度末)使っている。整備完成時期は平成31年度内を目指している。
 一方で文化財課は稲部遺跡の第7次調査をしていた今年から、道路河川課に対して「相談していた」といい、遺跡周辺の道路計画の見直しを暗に求めていた。文化財課の担当者は「稲部遺跡の保存と市道の整備、どちらも実現できる着地点が見つかれば良いのだが」と話している。
 稲部遺跡が重要な遺構だった報道を受けて、今後は「保存」に向けた動きがあるとみられるが、道路河川課の担当者は「まだ協議を始めるかどうかもわからないため、こちらとしては計画を着々と進めるしかない」としている。
 専門家からは「邪馬台国時代の国家形成の有り様を考える重要な遺跡だ。抜本的な保護対策を早急に講ずるべきで、保存と活用を慎重に考慮してほしい」(奈良県立橿原考古学研究所共同研究員の森岡秀人さん)との意見が出ており、今後は保存に向けた議論が広がるのは必至で、最終的には市長判断が必要だとみられる。

稲部遺跡の現地説明会に1000人来場

 彦根市稲部町と彦富町にかけての稲部遺跡で22日、現地説明会が行われ、市民や県外の考古学ファンら計約1000人が訪れた。市教委文化財課の発掘調査により、稲部遺跡が弥生時代から古墳時代にかけての大規模集落跡で、国内最大級の鍛冶工房や巨大倉庫、首長の居館跡などとみられる遺構が確認された。
 現地説明会で文化財課の職員は昨年6月から今年3月までの第6次と、昨年11月から継続中の第7次の調査区の遺構のほか、鉄の片や朝鮮半島の土器などの出土品について解説。来場者も興味深そうに見学した。

2016年10月24日月曜日

近江高校の京山将弥投手が横浜DeNAベイスターズから4位指名

 プロ野球のドラフト会議が20日、都内で行われ、近江高校(彦根市松原町)の京山将弥投手(18)=大津市=が横浜DeNAベイスターズから4位指名を受けた。近江高では平成26年の植田海内野手(阪神5位)以来のプロ野球選手の誕生になる。
 会見で京山投手は「率直にうれしい」と喜びの声をあげ「金子千尋投手(オリックス)のようなピッチャーになりたい」と抱負を語った。ベイスターズの印象については「ファイナルステージに進んだ勢いのあるチーム」と述べ、対戦したいバッターに巨人の坂本勇人内野手をあげ「坂本選手は内角を打つのが得意なので、インコースのストレートで抑えたい」と話した。
 会見後には野球部のほかの選手から胴上げや肩車をされて祝福されていた。父親の誠さん(51)は「高い評価を頂き、感謝しています。先発ローテーションを任されるピッチャーになって、できるだけ長く続けてほしい」と話していた。
 京山投手は小学1年生の時に野球を始め、中学時代は草津シニアに所属。近江高ではマックス147㌔の本格派として3年生でエースとなり、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップを織り交ぜながら、今夏の滋賀大会では4試合で26回を投げ、無失点の活躍を見せてチームを甲子園に導いた。

彦根市長選挙に元毎日放送社員の田原達雄氏が出馬を表明

 来年4月23日の彦根市長選挙に、元毎日放送社員の田原達雄氏(68)=元岡町=が18日、出馬を表明した。市長選への出馬表明は田原氏が初めて。
 会見で田原氏は現職の大久保貴市長に対して「市政の方向性が示されておらず、市職員の先頭に立って旗振りをしていない」とリーダーシップの無さを指摘した上で「8年先の国体の主会場が彦根になることをビッグチャンスとして捉え、前進する彦根市に変えたいとの思いで出馬を決意した」と語った。
 また田原氏は「対抗馬として保守系が2人出ると現職が有利になるため、1人になれるよう年内は粉骨砕身がんばる」と述べ、本紙記者の「知名度アップが図れなかったら出馬を見送るのか」との質問には「とにかく年内はがんばる」とだけ答えた。
 公約としては▽小中学生の通院費の無料化▽教育の地域間格差の解消▽馬屋跡の駐車場に休憩所や土産品店、喫茶コーナーの設置▽稲部遺跡周辺への公園建設▽稲枝などで市街化区域の拡大▽国体に向けて市職員の増員などを掲げた。保守系での出馬を目指す。
 田原氏は彦根東高、関西学院大学経済学部卒。毎日放送では報道局プロデューサー、東京支社報道部長などを務め、平成20年に定年退職した後は文化プラザの運営部長や市教育委員会委員などを歴任し、現在は米原市の滋賀県テクノカレッジで障害者職業訓練コーディネーターを務めている。

 田原氏は以前から彦根市長選への出馬に意欲を示し、本紙8月6日付けでも「保守系の男性」として紹介していた◆田原氏からは今月に入って小生に面談を求める連絡があり、面談後の今月10日には電話で「出馬しない」旨を伝えてきたが、17日には一転「やはり出馬する」との連絡があり、翌日の会見に臨んだという経緯がある◆また父親が市議を4期、県議を2期務めたといい、会見では「地方政治家の血を信じて」と亡き父親の姿を思い出してか、涙ぐむ場面もあった。感情の起伏が激しい方とお見受けしたが、今後は決意が揺らぐことなきよう、がんばってほしい◆なお、田原氏はジャーナリストの田原総一朗氏の遠戚であり、今後始める駅立ちなどではその点も含めてアピールし、知名度アップに図るという。  (山田)

2016年10月21日金曜日

「真田丸」で石田三成を演じた俳優の山本耕史さん開国記念館で開催中の「MEET三成展」を観覧

 NHK大河ドラマ「真田丸」で石田三成を演じた俳優の山本耕史さんが14日、彦根市内の開国記念館で開催中の「MEET三成展」を観覧した。
 三成ゆかりの彦根、長浜、米原の3市の行政や企業、団体で組織するびわ湖・近江路観光圏活性化協議会が「真田丸」の放送に合わせて今年5月14日から三成展を開催。開国記念館では「真田丸にみる石田三成と激動の佐和山城展」をテーマに、「真田丸」に登場する三成の映像、衣装・小道具の展示や、佐和山城跡の紹介などをしている。
 今月1日に展示替えが行われ、山本さんが「真田丸」で実際に着用していたはかまや具足、「秀吉の形見分けの書状」「三成に与えた脇差しと金子袋」「徳川征伐の挙兵を促す書状」などの小道具や台本を展示。
 観覧後、山本さんは「ドラマの前半は三成を中心にえがかれていて、私も演じたかいがありました」と話していた。
 なお、長浜会場の湖北観光情報センターと長浜曳山博物館では「真田丸ゆかりの武将展」が、米原会場の観音寺本坊では「運命・米原企画展」が開催されている。期間は11月30日まで。

ご当地キャラ博in彦根2日間で計9万5000人が来場




 ご当地キャラ博in彦根が15、16日行われ、2日間で計9万5000人(実行委員会発表)が来場した。15日は213体(うち市内16体)が参加し約4万人が来場、16日は193体(同)が登場し約5万5000人が訪れた。15日の最後の京橋ステージにはひこにゃん、くまモンのほか、ふなっしーらが飛び入りで登場し、大勢の観客が詰めかけた。2日間ともキャッスルロードで、今年10歳になったひこにゃんを曳山に乗せたパレードも行われ、カメラ片手のひこにゃんファンたちでごった返していた。

滋賀県立大学人間文化学部の大橋松行教授に、新聞に求められることなどインタビュー

 新聞週間に合わせて、滋賀彦根新聞は、社会学が専門で滋賀県立大学人間文化学部の大橋松行教授(65)=長浜市=に、新聞に求められることなどをインタビューした。
 ―マスコミにおける新聞の魅力は
 ◇情報が正確、情報量が多い、詳しい情報を知ることができる、比較読みをすることで色々な角度から確かめられることが魅力。そして最終的には自分の判断や意見の参考になったり、より所にしたりできることです
 ―新聞業界を巡る課題は、
 ◇じっくりと新聞を読む時間がないライフスタイルの変化やテレビ・インターネットでの情報入手などで、特に若者の新聞離れが進んでいるようです。また、階層分化が進んで人々の関心が多様化しているため、すべての読者が満足できるよう記事を増やす必要がありますが、それには膨大なコストもかかります。そのため例えば、特定の層に絞った形態にするなどを考えていかなければいけないでしょう
 ―新聞に求められることは
 ◇新聞は国民の側に立って、役所や大企業など権力を批判し続ける「番犬」としての存在であるべきです。役所や企業からの発表をそのまま鵜(う)呑みしないことや賛否両論を併記すること、一過性のままで終わらせないことも重要です
 ―新聞記者に求められる資質は
 ◇仕事がすべて(家庭など)よりも優先するという気構えを持つことだと思います。最近は電話取材が多いようですが、「記事は足で書く」という言葉通り、現場に足を運んできめ細やかな取材を粘り強く行う現場主義に徹してほしいと思います
 ―地方紙や地域紙のあり方は
 ◇地域社会や住民の視点で報道することが大切です。正確さと公正さに加えて、記者自身が見聞きしたことや感じたことを一人称(コラムなど)で語ることも大事です
 ―読者側の新聞の正しい読み方は
 ◇新聞は各社の方針に沿った形で構成されており、編集者や記者の主観が盛り込まれているため、厳密な意味での客観や中立報道はあり得ません。価値判断は読者が自分で行う必要があるため、2紙以上は読んでほしいと思います。   (聞き手・山田貴之)

稲部遺跡から邪馬台国時代の鍛冶工房跡や物流拠点の巨大な倉庫とみられる大規模な建物跡など発見、首長居館跡もあり当時の中心地か

 彦根市稲部町と彦富町にかけての稲部遺跡から、弥生時代後期から古墳時代初期(2世紀から3世紀半ば)にかけての鍛冶工房跡や、古墳時代初期から中期(5世紀)にかけての物流拠点の巨大な倉庫とみられる大規模な建物跡などが発見。「倭の国の成り立ちを考える上で、今までにない極めて重要な遺跡」として、専門家からは保存を求める意見が出ている。
 稲部遺跡では、宅地造成工事に伴い昭和56年に約500平方㍍で第1次調査が始まった。以降、市道芹橋彦富線・稲部本庄線の道路改良工事に伴って、第6次が平成27年6月から今年3月まで約1042平方㍍の範囲で、第7次が昨年11月から現在まで約430平方㍍で行われている。
 第6次では、弥生時代末期から古墳時代初期にかけて数回建て替えられた4棟の掘立柱建物跡が見つかっており、柱の穴の上層部や付近のくぼ地からは計12個の桃の種が出土。桃は弥生時代に中国大陸からもたらされ、古代中国では不老長寿や魔除けなどの力を持つ神聖な果実だったとされる。
 このため、これらの建物群は集落の中心的な役割を果たす何らかの儀礼を行う施設や倉庫と考えられ、祭祀空間だったとされる。
 第7次では、弥生時代末期から古墳時代初期にかけての30棟以上の方形の竪穴建物跡が発見。そのうち23棟からは鉄の破片や塊が約6㌔㌘出土しているため、鉄製の武器や工具を作っていた鍛冶工房だったとされ、当時の国内最大規模の鉄器生産センターだった可能性もある。
 鉄器の生産が始まった後には大型の独立棟持柱建物と呼ばれる1棟が築かれている。この建物は隣接する鍛冶工房を管理する施設で、首長の居館域の一部や倉庫、儀礼施設の空間だったとされる。古墳時代前期には当時のものとしては奈良県桜井市の纏向(まきむく)遺跡にある敷地面積約239平方㍍に次ぐ188平方㍍の巨大な建物が建てられ、建物跡の柱の穴からは桃の種が出土したため、建物の廃絶儀礼が行われたとされる。また古墳時代前期には145平方㍍のもう1棟の大型建物が建設。総柱建物と呼ばれる工法だったことから、日本屈指の規模の石川県七尾市にある万行遺跡と同規模の巨大倉庫とされ、物流の中心地だったことがわかる。
 これらの発見により、稲部遺跡の集落は弥生時代後期から古墳時代中期まで約400年間続き、3世紀前半の邪馬台国時代に最盛期を迎え、祭祀が行われた大型建物や大規模の鍛冶工房が形成。3世紀後半には巨大な建物も建てられていたことがわかる。また溝からは朝鮮半島の南部から渡来人が持ち運んだり、日本の人々が真似て作ったりしたとみられる韓式系土器も見つかっている。
 市教委文化財課では▽北陸や美濃、尾張など東日本と近畿をつなぐ3世紀の物流の中心的な遺跡だった▽祭祀都市、政治都市の面を強く持ち、工業都市としての面も合わせ持つ当時の中枢部だった▽4世紀から5世紀には物流拠点として継続して発展し、朝鮮半島と交流して当時の先端技術を導入していた可能性がある▽王権との関係を含めて、荒神山古墳の築造につながる遺跡―だとしている。
 奈良県立橿原考古学研究所共同研究員の森岡秀人さんは「単なる農耕集落とは異なり、首長の居館などを含む遺構群から形成され、邪馬台国時代の国家形成の有り様を考える重要な遺跡だ」とした上で「抜本的な保護対策を早急に講ずるべきで、保存と活用を慎重に考慮してほしい」と、稲部遺跡の保存を求めている。
 滋賀県立大学人間文化学部の定森秀夫教授は「豪族の居館と思われる建物などの遺構が検出されたことは荒神山古墳の築造背景を考える上で極めて重要」「鉄素材を大和の政権中枢から入手したのではなく、日本海から若狭、高島を経て独自で入手し、その製品を東国へ供給していた可能性もある。その際、朝鮮半島からの渡来人の存在も十分考えられる」とコメントしている。
 市教委文化財課の戸塚洋輔さんは「荒神山古墳が築かれた4世紀末と稲部遺跡の集落とは時期がかぶっており、しかも埴輪はヤマト政権の物と似ていることから、稲部遺跡と荒神山古墳のつながりが濃い可能性が高い」と話している。
 市教委文化財課は22日午後1時半~稲部遺跡の現地説明会を行う。駐車は稲枝東幼稚園、みづほ保育園、稲枝東小の各駐車場。集合場所は稲枝東幼稚園かみづほ保育園の駐車場前。参加無料。小雨決行。稲枝地区公民館では27日からパネル展「稲部遺跡群~邪馬台国時代の近江の巨大勢力」を開く。来年3月24日まで。
 ※解説=中国の歴史書「魏志倭人伝」には3世紀前半のころ、倭の国(日本)は約30の「クニ」に分かれていたと記されている。今回の発掘調査で、稲部遺跡はこの国々の1つとして「稲部のクニ」を形成していた可能性が出てきた。そして、何と言っても荒神山古墳との関連性が強くなってきたことも大きな成果だ。稲部遺跡は道路の改良工事に伴って発掘されたため、今後は道路として埋め戻される方向だが、これだけの規模の遺跡が確認されたのだから、全面的な保存に向けて道路計画の見直しを進めるべきである。市の良識ある判断を待ちたい。   (山田)

2016年10月19日水曜日

近江高校は今年度から強化部指定のサッカー部の練習場として第2グラウンドを人工芝生化に整備

 彦根市松原町の近江高校は今年度から強化部に指定したサッカー部の練習場として、松原町の第2グラウンドを人工芝生化に整備。12日から人工芝での練習を開始した。
 近江高はサッカー部の強化部指定に合わせて、昨年4月に長浜出身で元Jリーガーの前田高孝(たかのり)さん(31)=東近江市=を監督に招へい。元々は土だった第2グラウンドの3分の2以上にあたる約7200平方㍍を住友ゴム工業製のハイブリッドターフと呼ばれる人口芝生として整備し、このほど完成させた。
 サッカー場としては公式の面積で、前田監督は県北部では初の人工芝のグラウンドだとした上で「滋賀は南部の高校が強いため、北部でもサッカーを盛んにしていきたい。滋賀大会を制覇して全国大会に出られるチームを作るため、新しくなったこのサッカー場で指導にあたりたい」と話していた。
 近江高のサッカー部は強化部の指定に伴い、部員71人うち1年生が67人を占める。チーム力は月ごとに成長しており、今夏に行われた滋賀県民体育大会では3位になった。今月22日からは全国高校サッカー選手権大会滋賀県予選が始まる。
 3年生で主将の吉田舜輝君(17)=長浜市=は「1年生が多いので勢いがあるチーム。自分たちで考えながら試合をできるようになっていると思います。選手権大会ではベスト4を目指したい」と話していた。

千代神社で遷座50周年の秋まつりが開催 庖丁道の奉納など

 彦根市京町2丁目の千代神社で8日、遷座50周年の秋まつりが開催され、庖丁道の奉納などが行われた。
 庖丁式は正派四條流の形式で「紅葉鯛(こうようだい)」を題目に行われ、はしと庖丁だけでタイを裁く「庖丁人」を井上盛博さん、裁く前のタイを三宝でまな板へ運ぶ「持出人」を福西倫子さんが務め、いずれもうえき(銀座町)従業員の北川康治さんが裁かれたタイを三宝に納める「納人」、井上実さんが儀式を見守る「後見人」として進行。
 本殿前の石畳に設けられた場所で、庖丁人の井上さんが作法を始めると、会場は厳粛な雰囲気に包まれた。裁き終えて、北川さんが三宝に納めて終了すると、それまで息をのむように静かだった観客から拍手が沸き起こっていた。
 千代神社は芸道や芸能の女神・天宇受売命(あめのうずめのみこと)が祭神。創立年は不明だが、天正18年(1591)に佐和山城に入城した石田三成が城を大改修する際、姫袋(古沢町)から尾末の地に移り、彦根城の築城に合わせて元の姫袋に戻った。
 昭和41年5月に現在の地に移り、今年で遷座50年を迎えた。秋まつりでは本殿祭や記念のもちつき、落語会なども行われた。

2016年10月17日月曜日

彦根市長選 擁立論

 彦根はゆるキャラまつりで緩い雰囲気にある中、滋賀県内では湖南市長選(無投票)、甲賀市長選(16日投票)、野洲市長選(23日投票)と首長選が相次いでいる。彦根でも来年4月の市長選に向けて水面下での動きが活発化しつつあるが、「より良い」選挙戦にするため、小生としての提言をしておきたい。
 現職の大久保貴市長はこれまでのところ、再選の表明をしていない。彦根市立病院への産科医招聘や中学校給食の導入をしたが、これらは前市政からの延長線上であり、特に目立った成果は出していないと言える。そのため2期目を目指すのではないだろうか。出馬を表明した場合、民進党系会派の市議や一部の自民系市議が支援するほか、民進党系の対抗馬が出ない時は同党の国会議員や県議も応援に回るだろう。
 対抗馬としては前の市教育長・前川恒廣氏が意欲をしており、自民系の元県議や一部の市議が支持するとみられる。ほかには、民進党の田島一成衆院議員や中沢啓子県議、自民系の谷口典隆市議、これまでに市長選に2回出馬した和田裕行氏の名前もあがっている。
 いずれの方々も素晴らしい実績や能力をお持ちで、市長としての力量を備えているとは思うが、小生の持論でもある「(生ぬるいたこつぼ状態から抜け出せないという意味の)殿様文化の打破」を実現させるまでとはいかないだろう。市外の彦根出身者で適任者を探すのも容易ではない。
 そこで小生なりに今の彦根を鳥瞰し適任者を模索した場合、該当するのは1人しかいない。彦根商工会議所会頭の小出英樹氏である。
 「観光」をテーマに掲げ、さまざまな事業を中心になって実現させており、今月からは多賀と連携して「城あかり 神あかり」を開催。ほかの事業を含め、既に市長のような手腕を発揮している。市の幹部らからは小出氏を「変わり者だ」と揶揄する声も聞くが、今の彦根(閉塞感漂う地方自治体)に変わり者体質は打ってつけである。
 小出氏を巡っては、これまでの市長選でも候補者として名前が挙がったことがあるが、最終的には見送られた経緯がある。66歳という年齢的にみても最後のチャンスであり、知名度的にも現職らに劣るため厳しい戦いになるのは必至だが、「より良い」選挙戦に向けて英断を期待したい。【山田貴之】

高宮駅コミュニティーセンターと座・ギャラリーで画家・山田裕吉さんの作品展、国宝の彦根屏風をならった公開制作も

 彦根市の高宮駅コミュニティーセンターと高宮町の中山道沿いにある座・ギャラリーで、画家・山田裕吉(ゆうきち)さん(34)=大阪市=の作品展が開かれている。9、10日には国宝の彦根屏風をならった公開制作も行われ、完成品は高宮駅で展示されている。
 山田さんは商業系のデザイン画を描いていたが、平成26年5月から本格的な創作活動を開始。黒と白のみのアクリル絵の具で独特の世界観を表現した作品が特徴で、大阪を中心に東京や京都、兵庫など国内のほか、米国やカナダでも作品を発表。ミュージシャンやパフォーマーとのライブペインティングもしている。
 高宮駅では彦根屏風に登場する人物たちを横3・6㍍×縦1・8㍍の屏風型の金地に描いた作品などを展示。山田さんは「デザイン性を強くして、屏風に登場する1人1人のイメージを強調して描きました」と話していた。開館は来年1月13日までの午前9時~午後4時で、11月5、6日には山田さんが会場にいる予定。なお座・ギャラリーには横約7㍍の巨大作品も展示しており、開館は11月6日までの土日のみ。

参院選から導入された18歳選挙権に関するアンケートを実施した彦根東高校新聞部にインタビュー

 新聞週間(15日~21日)に合わせて、滋賀彦根新聞は先の参院選から導入された18歳選挙権に関するアンケートを実施した彦根東高校新聞部にインタビューを実施。アンケート結果は16日発行の東高新聞で公表される。
 インタビューには2年生の部長・江竜俊喜君(17)のほか、いずれも2年生で副部長の米田明日香さん(17)、18歳選挙権特集チーフの小梶敏幸君(17)、福島特集チーフの白木輝君(16)が同席した。
 アンケートは7月10日に行われた参院選後に、1、2年生全員と参院選で選挙権があった3年生94人、保護者に対して実施。そのうち3年生には▽投票に行ったか▽どの手段で候補者の情報を得たか▽18歳選挙権への賛否は―などを質問。その結果、約86%にあたる81人が投票に行き、インターネット・テレビ・新聞で情報を得て、大半が18歳選挙権に賛成だったという。
 また保護者には18歳選挙権への賛否のほか、今後の課題、高校生の選挙への関わり方などを記入形式でたずねた。そのうち賛否に関しては高校3年生と同様、大半が賛成だったという。
 発行を直前に控え、部長の江竜君は「今後、18歳選挙権に対してメディアの注目は下火になっていくのは間違いないが、その時に新聞としてどのように関わるべきか、先を考えた構成にしました」と説明した。
 16日発行の東高新聞は24ページ構成。「地域と共にある彦根東」をテーマに、18歳選挙権、創立140周年、福島などの特集を組んでいる。江竜君は「東高、彦根、滋賀についてまとめており、全体として1つの流れを感じてもらえるはず。じっくり読むと色んなことを考えさせられる新聞になったと思います」と語っていた。特集の中では老舗店が多い花しょうぶ通り商店街の店舗も登場するという。
 発行部数は2000部。希望者は連絡の上で東高まで。問い合わせは東高☎(22)4800。

2016年10月15日土曜日

ご当地キャラ博in彦根15、16日の両日、夢京橋キャッスルロード一帯で、今年は曳山を使用したひこにゃんパレード

 ご当地キャラ博in彦根が15、16日の両日、夢京橋キャッスルロード一帯で開かれる。今年はひこにゃんの誕生10周年を記念し、曳山を使用したひこにゃんパレードが行われる。
 実行委員会が主催し、9回目の今年は15日に167団体の196キャラ、16日に151団体の176キャラ、2日間ではひこにゃんら彦根の16キャラを含めて235キャラが参加する予定。
 京橋駐車場、夢京橋キャッスルロードの各会場にキャラたちのブースが設けられ、物産品やキャラクターグッズなどが販売される。また京橋会場と四番町スクエア内にはステージが設置され、キャラたちによるステージ上でのPRタイムがある。
 京橋会場には熊本地震の復興支援ブースが設けられ、くまモンが両日とも登場する。ほかに、北海道のメロン熊、福井県の赤ふん坊や、長野県の真田幸丸、愛媛県のいまばりバリィさん、高知県のしんじょう君ら人気キャラも参加する。初参加が34キャラで、毎回がいが☆グリオら5キャラ。国外からはハワイのホヌッピー。
 ひこにゃんの曳山パレードはひこにゃんを特製の曳山に乗せてスタッフが押す形式で実施。両日午前9時50分キャッスルロードで行われる。
 開催時間は両日とも午前9時午後3時。問い合わせは実行委員会事務局☎(22)1130。
 ご当地キャラ博in彦根に参加するゆるキャラたちを紹介したガイドブック「ご当地キャラ図鑑」が発刊された。キャラ博に登場するゆるキャラたちをエリアごとに1キャラずつ写真と紹介文、拠点、特技、好物、参加日を掲載。キャラグッズがもらえる検定の問題と回答用のマークシートを添付しているほか、グルメガイドや会場へのアクセスマップなども載せている。
 1冊600円。全ページカラーのA5判・144ページ。発行はチェキポン(大津市)。県内の主な書店、彦根から長浜にかけてのローソンとセブンイレブンのほか、当日はチェキポンのキャラ・ウサポンのブース(京橋会場)などで販売している。
 ご当地キャラ博in彦根に合わせて、近江鉄道の電車とバスが1日乗り放題の「ガチャコンでおでかけフリーきっぷ」が販売される。
 交通渋滞の緩和のために公共交通を利用してもらおうと、彦愛犬1市4町による湖東圏域公共交通活性化協議会が企画。対象の乗り物は、近江鉄道の電車、湖国バスの彦根駅経由の路線、近江鉄道バスの八日市駅経由の路線、八日市駅経由のちょこっとバス。
 近江鉄道の彦根駅、米原駅、八日市駅、近江八幡駅、貴生川駅、近江鉄道バスとちょこっとバスの車内で、15、16日の2日間のみ販売している。
 料金は中学生以上1000円、小学生500円。切符をキャラ博の会場にある近江鉄道のブースで提示すると、ひこにゃんとがちゃこんがイラストされた特製バッジが進呈されるほか、彦根城や玄宮園、彦根城博物館の入場料が割引される。
 滋賀大学経済学部のサークル「エナクタス」は、障害者就労支援事業所の工房ふれっしゅ(賀田山町)と共同で作った焼き菓子を、ご当地キャラ博の2会場で販売する。
 エナクタスは地域貢献を目的に活動しているサークルで、障害者が働ける環境を作るため、工房ふれっしゅが作った焼き菓子に、滋賀大学のキャラクター・カモンちゃんをイラストした商品を企画。
 クッキーやラスクなどの350円と500円の商品2種類を彦華堂(本町)と京橋口駐車場で2日間販売する。

2016年10月14日金曜日

不登校の子どもや引きこもりの若者らを支援する「彦根市子ども・若者総合相談センター」開設

 不登校の子どもや引きこもりの若者らを支援する「彦根市子ども・若者総合相談センター」が3日、平田町の市福祉センター3階に開設された。
 家庭環境などの影響で不登校や引きこもり、ニートになる子どもや若者が社会問題化している中、市は子どもたちを総合的に支援していこうと相談センターを設置。対象は▽中学卒業後、進学や就労をしていない▽高校や大学を中退後、何もしていない―など不登校やひきこもり、ニートのおおむね39歳までとその家族。
 NPO法人就労ネットワーク滋賀(本部・栗東市)の支援相談員が常駐し、電話や面接で本人や家族からの相談に応じ、就労や自立への助言・仲介をする。毎週火曜日には臨床心理士によるカウンセリングを受けることができる。
 相談センターでは「『人間関係が苦手で長続きしない』『自分にあった仕事がわからない』などの若者や、『子どもの就職のことで相談したい』『子どもが引きこもって外に出ない』などの悩みを持つ保護者に相談に来てほしい」としている。開所日は平日の午前9時~午後5時(昼休憩あり)。問い合わせは相談センター☎(47)3001。

ひこね地域おこし協力隊員に渡邊克己さん

 ひこね地域おこし協力隊員に渡邊克己(かつき)さん(45)が決まり、3日に市役所で委嘱式が開かれた。
 渡邊さんは東京都中野区出身。大学卒業後、図書館や学習塾で英語の教師を務めた後、32歳の時に世界1周の旅に出かけ、バックパッカーで約5年間かけてアジアからヨーロッパ、アメリカなど50カ国以上を回った。帰国後は長野県の上高地や小笠原諸島の父島のホテルに勤務。父島でのツアーガイドとの出会いから観光業に関心を持ち、ひこね地域おこし協力隊に応募した。
 抱負として、渡邊さんは「彦根は外から見ると、とても魅力的なまち。彦根城があり、琵琶湖もすばらしく、観光客にとって楽しい思い出が作れる。協力隊員としてお役立ちしていきたい」と話していた。
 すでに尾末町に引っ越しており、彦根商工会議所内の近江ツーリズムボードの職員として3日から勤務。渡邊さんは英語の通訳ガイドの資格を取得しており、国内外の観光客の受け入れ体制の整備などに貢献していく。
 地域おこし協力隊は、3大都市圏などから地方に移住して、さまざまな分野の地域活動に参加し、定着と定住を図りながら地域力を向上させていく総務省の事業。彦根市は今年6月1日から7日まで支援団体を、7月15日から31日まで隊員を募集し、そのうち隊員には3人から応募があった。渡邊さんの就任で彦根市の地域おこし協力隊員は3人目。委嘱期間は来年3月31日までだが、最大2年間、延長できる。

目の愛護デーに合わせて、渡辺薬局店主の渡辺僖子さんに目に良い食材など聞く

 目の愛護デー(10日)に合わせて、滋賀彦根新聞は目の病気予防に力を入れている錦町の渡辺薬局店主の渡辺僖子さん(66)に、目に良い食材などを聞いた。
 渡辺さんによると、白内障や緑内障、飛蚊症などの病気をはじめ、目のかすみ、ドライアイ、疲れ目、子どもの視力低下、車の運転時の不安など目に関する相談が増えているといい「年齢を問わず、iPhoneなど携帯電話やiPad、パソコンを利用しているため、目に関するあらゆる症状は現代病になりつつある」と指摘。改善方法として「来店客には目に必要な栄養素の摂取を薦めている」と述べた。
 目に良い食材として、渡辺さんは「昔から言われているヤツメウナギのほか、コイや真珠貝末、エビスグサ、田七ニンジン、蜂蜜、クコ、食用菊だ」と紹介。渡辺薬局ではそれらの食べ物を組み入れた栄養補助食品をそろえており、5袋入り(2日半分)のサンプル品も無料で提供している。
 前方が見えにくく、前かがみになって車を運転していた来店客の1人は、この栄養補助食品を摂取すると改善し、普通の姿勢で運転できるようになったといい、渡辺さんは「目を良くするには肝臓、腎臓、血流を改善するのが重要で、すっきり見える目になりたい人はまず、サンプル品をお試しください」と話している。
 渡辺薬局では毎月数回のペースで「目の悩み相談デー」も設けており、今月は14日と26日。開店時間は月曜から土曜の午前10時~午後6時。日曜定休。問い合わせは渡辺薬局☎(22)2192。

2016年10月6日木曜日

東山会館が10月1日付けで「彦根市市民交流センター」としてオープン

 彦根市里根町の公共施設、東山会館が10月1日付けで「彦根市市民交流センター」としてオープン。センターでは幅広い利用を呼びかけている。
 東山会館は人権問題の啓発拠点として昭和54年に設置されたが、東山児童館が併設することもあり、子どもや母親ら地域の交流の場としても利用されてきた。また施設の周辺には大型の量販店や団地が建設され、彦根駅東口の開発も進んでいるため、地元住民らの要請を受ける形で、市は人権機能を広野町の人権・福祉交流会館に移し、市民が幅広く集える施設として再オープンした。
 鉄筋コンクリート2階建て延べ356平方㍍の建物はそのままで、カーペットと銘板が取り替えられた。施設内には集会室、調理実習室、和室、小会議室、図書学習室があり、渡り廊下で東山児童館ともつながっている。利用料は冷暖房費のみ(50円か100円)。開館は平日午前8時半~午後5時15分だが、時間外や土日祝の使用希望者も相談に応じる。
 センター長の片山範應(のりお)さん(63)は「これまでは地域の方を主体にした施設だったが、これからは乳幼児からお年寄りまで、市内全域の方に幅広く利用して頂き、交流の輪を広げていってほしい」と話している。問い合わせは市民交流センター☎(23)3582。

ライティングデザイナー監修「城あかり 神あかり」彦根市と多賀町で開始

 ライティングデザイナー監修のイベント「城あかり 神あかり」が1日から彦根市と多賀町で開始。前日にはマスコミ向けの説明と点灯式が表門橋で行われた。
 彦根商工会議所などの彦根・多賀地域連携組織委員会(会長・小出英樹彦根商議所会頭)が観光振興を目的に「光とアートで発信するブランディング事業」として企画。彦根城のライトアップデザインを内原智史さん、多賀大社などを長町志穂さんが担当した。
 彦根城では大手門から黒門までの内堀沿い、京橋口などがライトアップされており、佐和口多門櫓には井伊家の家紋が両櫓に映し出され、1分ごとに赤、青など色が変化。内原さんは「歴史をキーワードに色を演出し、彦根の豊かな水、緑も加えました。内堀沿いから旧外堀までの城郭を楽しみながら歩いて頂きたい」と話していた。
 点灯式には小出会長や大久保貴市長、内原さん、長町さん、ひこにゃん、たがゆいちゃんが参加。小出会長は「光とアート事業を生かして、地域資産の魅力を発信していき、世界中から彦根そして多賀に来て頂けるようにしていきたい」と語った。
 ライトアップは彦根城が12月31日までの日没から午後10時まで、多賀大社などが11月30日までの日没から午後9時まで。期間中、さまざまな音楽イベントが彦根城や多賀大社で開催される(詳細は本紙9月24日付けで)。

2016年10月5日水曜日

千代神社は10月8日に遷座50周年記念の秋まつり

 彦根市京町2丁目の千代神社は10月8日に「遷座50周年」記念の秋まつりを行う。
 千代神社は芸道や芸能の女神・天宇受売命(あめのうずめのみこと)が祭神。元々は千代之宮と呼ばれ、古くから歌舞伎や能狂言役者、俳優らの崇敬を受けてきた。
 創立年は不明だが、天正18年(1591)に佐和山城に入城した石田三成が城を大改修する際、姫袋(古沢町)から尾末の地に移り、彦根城の築城に合わせて元の姫袋に戻った。明治2年(1869)に千代神社と改名。隣接していたセメント工場の粉じん公害などにより、昭和41年5月に現在の地に移り、今年で遷座50年を迎えた。
 記念の秋まつりでは午前10時~の本殿祭後、奉納もちつきと振る舞い、彦根吹奏楽団演奏、庖丁道、県立大学能楽部の奉納があり、午後2時~笑福亭鶴瓶一門の純瓶さん、晃瓶さん、瓶吾さんによる落語会がある。入場無料。
 境内では、うどん、そば、焼き鳥、ジュース、ヨーヨー、スーパーボール、たたみパズルなど模擬店も。

奥野文雄さんと竹中翠香さんがナタマメ育て近所の話題に

 童話「ジャックと豆の木」の豆とされるナタマメが彦根市本町2丁目で大きく育ち、近所の話題になっている。
 ナタマメはアジアやアフリカの熱帯で育つマメ亜科の一年草で、食用や薬用として栽培。日本には江戸時代初期に清から伝わったとされ、福神漬けや健康茶などに使われる。
 本町2丁目の奥野文雄さん(90)と竹中翠香さん(78)が華道翠香流前の駐車場脇に今年4月に苗を1本ずつ植え、20㌢~30㌢のナタマメが約30個育った。そのうち数個を奥野さんが華道の作品の一部にし、先月15日まで滋賀県護国神社で行われていたみたま祭で展示した。
 10月半ばまでそのままにした後、竹中さんは華道の作品の一部に利用して、11月12、13日の両日、ビバシティ彦根で開く生け花展に出展する。ナタマメ作りは来年も挑戦する予定。見学自由。

桐生祥秀選手に彦根市市民栄誉賞が授与

 リオ五輪の陸上競技4×100㍍で銀メダルを獲得した桐生祥秀選手(20)=東洋大3年=に9月30日、彦根市市民栄誉賞が授与され、市役所で表彰式が開かれた。
 桐生選手は日本代表のジャージ姿で登場。大久保貴市長から「銀メダル獲得おめでとうございます。市民をはじめ、国民に感動を与えてくれました。これからも練習に励んで、さらに高みを目指して頂きたい」と激励され、表彰状とガラス製の盾を受け取った。
 桐生選手は「リレーではメダルを獲得できたが、個人(100㍍)では悔しい思いをしました。20歳ということで、これからがスタートだと思っています。東京五輪ではもっと強く、速くなって勝負できるようになりたい。これからも応援をよろしくお願いします」とあいさつした。
 現在の調子と今後の目標については「良い感触を持っていて、自分の走りについてもわかってきました。今は少し休んで来年に備えたい。来年は世界陸上があるので、個人ではうまく走れるように、リレーではもっと良い色のメダルを狙いたい」と語り、東京五輪については「4年後は力も上がっていると思うので、ファイナルを目指したい」と述べた。
 彦根には4日前に戻ってきたとしたうえで「超いいですね。地元に帰ると落ち着いてのんびりでき、同級生とも会えます」と笑顔で話していた。
 彦根市市民栄誉賞は平成25年8月9日に制定され、桐生選手が第1号。

2016年10月4日火曜日

JR西日本のキャンペーン「ちょこっと関西歴史たび」今年は彦根城で10月1日から、双葉荘で「湖国八珍と近江牛を味わう」も

 彦根城博物館の特別公開展を観覧し、ガイドを聞きながら彦根城が散策できるJR西日本のキャンペーン「ちょこっと関西歴史たび」が10月1日から開始。9月29日にマスコミ向けの説明会があった。
 JR西日本は「歴史を知ると散策がさらに楽しくなる」をテーマに、自治体などと連携し平成25年度春から関西地区の各地でキャンペーンを実施。滋賀県では4回目となる今年は彦根城を主体に12月22日まで、彦根城博物館で大坂の陣 関連資料展と国宝彦根屏風展(10月28日~11月27日)、宗安寺と龍潭寺で井伊家や大坂の陣ゆかりの寺宝などの公開が行われる。
 期間中毎日、ボランティアガイドの説明による「ウォーク」もあり、午前9時50分に彦根駅前の彦根市観光案内所に集合し、佐和口多門櫓、馬屋、彦根城博物館、天守、玄宮園、夢京橋キャッスルロードなどを見学。参加費1000円。定員は平日30人、土日祝60人。
 また特別講座として、22日午後3時~埋木舎で「埋木舎における文化人 井伊直弼」、23日午後3時~埋木舎で「井伊直弼の生涯」、11月23日午後3時~彦根城博物館で「大坂の陣と井伊家」がある。問い合わせは彦根観光協会☎(23)0001。
 説明会にはJR西日本京都支社長の岩崎悟志さん、大久保市長、ひこねお城大使、ひこにゃんらが参加し、記念撮影などが行われた。
 今回のキャンペーンに合わせて、JR西日本は松原町の双葉荘で「湖国八珍と近江牛を味わう」を実施。えび豆、赤こんにゃく、う巻、ごま豆腐、うろり、近江牛ネギ巻、アユ、ちぢみこんきゃくの「湖国八珍」と近江牛のしゃぶしゃぶまたはすき焼きなどの料理=写真、滋賀の地酒またはソフトドリンクが提供されるほか、彦根城の各施設の割引券も付いている。
 JRの往復券とセットで料金は大津発着で6200円(子ども2850円)などとなっている。申し込みは専用ダイヤル☎0088(24)1515かJR西日本の主要駅で。