2020年8月31日月曜日

再興湖東焼 一志郎窯が芹橋の足軽屋敷林家に移転、茶房みごと庵も

彦根市の夢京橋キャッスルロードにあった「再興湖東焼 一志郎窯」が芹橋2丁目の旧足軽屋敷の善利組林家住宅=市指定文化財=に移転。茶房「みごと庵」を兼ねる形で9月1日にオープンする。
 陶芸家の中川一志郎さん(62)が23年前から本町でギャラリーを経営し、芹橋2丁目に工房を構えていた。以前からギャラリーを移転する構想があり、工房に隣接する林家住宅を購入して昨年9月から改装。ギャラリーを今年5月末に閉店した。
 林家住宅は門から入った主屋が間口5間(約9・1㍍)、奥行き4・5間(約8・1㍍)の広さ。中二階の棟木には天明7年(1787)に地鎮祭を行った際の祈とう札が残っている。彦根で現存する足軽屋敷としては最古。後世の改築も少なく、2009年2月に市指定文化財になった。
 入り口付近は中川さんが作陶した湖東焼の販売とギャラリーのエリアで、座敷の2部屋は湖東焼の展示と10人ほどが座れるカフェスペースになっている。営業時間は午前10時~午後5時、日月曜休み。茶房のみ火木土の午前11時~午後4時だが、内覧期間として9月と10月のみ火~土曜の営業にする予定。
 中川さんは「足軽屋敷と湖東焼をセットで知ってもらえるのでは。隠れ家のようなカフェ(茶房)になれば」と笑顔を見せていた。問い合わせはみごと庵☎(24)6711。

2020年8月27日木曜日

パワードウェア高齢者や障害者装着し登城体験 彦根城で

 人の力を引き出す装置(パワードウェア)を高齢者や障害者が装着して登城する体験会がこのほど彦根城で行われた。天守まで登城したくてもできない高齢者ら向けのアイテムとして今後の導入が期待される(写真は読者提供)。
 パワードウェアは奈良市のATOUN社製。同社はガンダムのような大型タイプから歩行補助用の小型タイプまで製品化しているほか、足腰の筋力が低下する高齢者や障害者用の歩行を支える装具も開発しており、近畿日本ツーリスト(近ツー)と連携しながら「新しい旅」の形として観光地での導入を目指している。
 彦根城の運営は今年4月から近ツー関西(大阪市)が担っている。高齢者や障害者が天守まで登城できないことは市議会でも取り上げられるなど課題になっている。

導入には課題多く
 近ツー関西は実証実験として体験会を7月31日に企画。協力要請を受けた彦根市老人クラブ連合会と彦根身体障害者更生会から約10人が参加し、ひざや腰にATOUN社製の装置を装着して表門から鐘の丸広場までと、同広場から天守前までに分かれて登城を体験。参加者からは喜びの声があがっていたという。
 近ツー関西社員で彦根城運営管理センター統括マネージャーの松岡一隆さん(50)は「文化財を守りながらの方法で、高齢者や障害者の方たちが登城できれば喜んでもらえるはず。もう少し実証実験をしていきたい」と話していた。導入に向けては、装置を貸し出す場合の方法や場所、スタッフの育成、安全性の確保などが課題になる。

“非密”の花火大会 企画した馬場真作さん

「大変な状況にあるみんなへ届けたい」

 地域貢献に尽力する彦根市民を紹介する新コーナー「FOCUS彦根人」。第2弾は今月1日から滋賀県内で始まった「“非密”の花火大会inびわ湖一周」の企画立案者で、司法書士の馬場真作さん(38)=安清東町=を取り上げる。湖東エリアでも花火を打ち上げる予定。

「彦根フードバトン」も貢献
「倒れている人を助ける感覚で」
 新型コロナウイルスの感染防止の影響で外出自粛が余儀なくされていた5月、経営が厳しくなっていた飲食店と感染者の治療にあたる医療従事者を支援するため「Hikone Food Batonプロジェクト」が発足。市内飲食店がローテーションで作った弁当を彦根市立病院に届ける取り組みを進め、馬場さんも事務局として支えた。
 馬場さんは「東日本大震災の時には何かしたいという気持ちに駆られたが、ほとんど支援するような行動を起こすことができず、悔しい思いがあった。だから、新型コロナウイルスで大変な思いをしている人たちのために何か行動したかった」と説明した。
 5月5日の子ども日に1人の花火師が近江八幡市で、子どもたちに見せたいと自費で花火を打ち上げた。今年は滋賀県内各地で花火大会が相次いで中止となり、花火師らの経営も厳しく、先行き不透明な状況だ。
これらを報道で知った馬場さんは経営者仲間や友人たちに声をかけ、一緒に県内各所での花火大会を企画。「花火師の皆さんは収入がほとんどない状況。前に倒れていた人がいたら、たいがいの人は助けると思う。基本的にはその感覚と同じ」と熱く語り「医療従事者の方、花火大会を楽しみにしていた子どもたちをはじめ、大変な状況にある皆さんにも見てほしい」と笑顔を見せた。

午後8時~75
29日まで県内各所で
花火代などの資金を集めるクラウドファンディングを7月7日から行い、すでに目標の240万円を達成。1日の湖南エリアを皮切りに8日、15日、22日、29日と琵琶湖を1周するように花火を打ち上げる。目標額を超えた分の支援金は滋賀県内の花火業者へ寄付するが、打ち上げ場所を拡大させる予定もあり、花火業者と調整中。各日午後8時~約5分間、75発ずつ。ユーチューブでライブ配信もしていく。
 馬場さんはスタッフ29人の法人の経営者。尊敬する経営者にソフトバンクグループの孫正義氏をあげ「孫さんは震災の際、被災地へ多額の寄付をし、すごいスピードで行動を起こしていた。そのスケールの大きさに事業家としてかっこいいと思った。スケールは違うけれど、コロナ禍の中で私ができる範囲でお役立ちできれば」と意気込みを語った。

【馬場真作(ばばしんさく)さん】
 2006年に24歳で司法書士試験に合格。東京で約1年間の事務所勤務を経て、08年に当時、父親が経営していた馬場司法書士事務所(小泉町)を事業承継。13年に土地家屋調査士の資格も得た。14年に司法書士法人equal設立。現在は彦根のほか、長浜と栗東にも事務所がある。

彦根ビール誕生への思い語る、橋本健一さん

  しが彦根新聞は、彦犬地区の地域振興に貢献している市民を取り上げる新コーナー「FOCUS(フォーカス)彦根人」を始める。初回は「彦根ビール」の開発に乗り出している橋本建設社長の橋本健一さん(45)=竹ケ鼻町。石寺町に醸造工場を建設し、来年春から販売を開始する予定で、事業の本格化を前に今の思いを聞いた。(聞き手・山田貴之)

石寺町に醸造工場を建設
地元の小麦使い試作品発売へ
 彦根城の世界遺産登録や滋賀県内で開催される国民スポーツ大会に向けて、橋本さんは以前から観光客や来彦者向けの食や地ビールの必要性を感じていた。ちょうどその頃、地元の荒廃農地の有効活用を模索していた石寺町の自治会や滋賀県立大学の教員から地ビールの開発要請があり、相互の思いを合致させる形で昨年11月に「株式会社彦根麦酒」を設立。社長に橋本さんが就いた。
 地ビールに着目した理由について、橋本さんは「欧米をはじめ外国人の観光客は地ビールに関心があり、京都からわざわざ地ビールを飲みに滋賀県内を訪れている。彦根城が世界遺産に登録されれば、外国人観光客の人気商品になるはず」と説明した。
 今年3月には酒類販売業の免許を取得。荒廃農地の一部の約4000平方㍍を借用し、5月から木造平屋の醸造工場と直売所の開発に着手。長浜バイオ大学に酵母の選定と培養、滋賀県立大学に建築デザインを依頼しており、「産民学」での開発を目指している。7月1日には、醸造責任者に就いた県立大卒業生の小島なぎささん(29)が、研修先の奈良市内の醸造工場で試作品のビール600本を開発しインターネットで限定販売。今月中には石寺町の小麦を使った第2弾の試作品を醸造し、10月に一般販売を計画している。
 橋本さんは「地元で愛されている彦根梨のように、石寺や彦根の麦も知っていただけるようにしたい。環境に配慮した手法での醸造を心がけたい」と話した。10月にも着工し、来年1月の完成、3月以降の「彦根ビール」誕生を予定している。

インパルス飛行実現
彦根商議所副会頭も
 ほかに、橋本さんは2009年8月に彦根城内で人力車を走らせる「ひこね亀樂車」を設立。2017年6月に彦根市内で開催されたブルーインパルスの展示飛行の実現にも貢献した。また昨年11月には彦根商工会議所の副会頭に就任。「今は新型コロナウイルスの影響で観光客が少ないが、世界遺産や国民スポーツ大会で彦根を訪れる方は増えてくる。いかに満足してもらえるかを今後も考えていきたい。本業でも地域交通に貢献したい」と意気込みを語った。

 【橋本健一(はしもとけんいち)さん】大学卒業後、日立公共システムに入社し介護保険福祉システム部配属。退社後、橋本建設に入社し昨年4月から同社社長。彦根麦酒社長、ひこね亀樂車代表、彦根商工会議所副会頭、彦根納税協会代議員、滋賀県建設業協会理事、近江ツーリズムボード理事、彦根ライオンズクラブ会員、彦根市消防団第7分団団員など務める。

2020年8月22日土曜日

新型コロナ禍で交流止まった施設と団体オンラインでつなげよう、ボラカフェ呼びかけ

 新型コロナウイルスの感染拡大防止で、各分野の団体が地域の施設に訪問できない状況が続いているため、彦根市社協内の地域づくりボランティアセンター「ボラカフェ」はオンライン交流アプリ(zoom)を活用しながらの交流継続をすすめている。
 新型コロナ禍以前、音楽やフィットネス、ヨガ、英語などの個人・団体がデイサービスや公民館、子育てサロンなどを訪れ、高齢者や母親たちと交流してきた。
しかし感染拡大防止のため、相互の交流が無くなっている状況を受けて、ボラカフェではオンラインによる交流を企画。7日には西地区公民館にフィットネスインストラクターの國枝ゆりさん(55)を招き、市内の福祉施設やヨガ、音楽の団体とオンラインでつないで一緒にフィットネスを体験した。同公民館の馬場完之館長のギター演奏もあった。
 ボラカフェは音楽などの団体の「発信」側とデイサービスなど「受信」側を募集。代表の沼波洋子さん(36)は「オンラインというハードルがあるかもしれませんが、慣れ親しむことで少しずつ解消できる。多くの団体に参加してほしい」と話していた。問い合わせはボラカフェの事務局☎(22)2821。

2020年8月12日水曜日

彦根翔西館高校生徒会が中庭にアンブレラスカイ制作

 県立彦根翔西館高校の生徒会執行部が校内の中庭に、カラフルな傘を空中展示する「アンブレラスカイ」を制作。マスコミに公開した7月30日には市立城南保育園の園児たちも見学に訪れ、太陽に反射して輝く虹色の光景に「きれい」などの声があがっていた。
 新型コロナウイルスの影響で、毎年7月に開いている文化祭と体育祭(学園祭)が中止となったため、生徒会執行部の1年生から3年生までの22人は代替企画としてアンブレラスカイを企画。全校生徒984人の願い事が書かれた短冊を付けた7色(虹色)の傘計約1000本を、長さ25㍍前後のワイヤー38本に二十数本ずつ取り付けて中庭の地上約5㍍に展示した。
 執行部のメンバーは先月23日から26日までの4連休に登校し、ワイヤーを切ったり、傘を取り付ける作業を行い、最終日に完成させた。翌日、登校してきた生徒たちからは感嘆の声があがっていたという。
 生徒会長の宇野樹さん(17)=大薮町=は「文化祭と体育祭が中止になって残念な思いの中、喜んでくれる生徒の皆さんの姿が見られて、とてもうれしかった」と笑顔を見せた。またアンブレラスカイを考案した奥屋蒼生さん(18)=小泉町=は「中学校の修学旅行の時に見て感動した。サプライズだったので、みんなに喜んでもらえて良かった」と話していた。
 30日には城南保育園年長組の園児54人が見学し、記念写真を撮っていた。今月7日まで展示したが、新型コロナウイルスの感染防止のため一般には公開しなかった。

2020年8月7日金曜日

荒神山の林道をスイセンロードに9日球根植える作業

 彦根市日夏町の大森俊爾さん(77)らが立ち上げた団体「荒神山を歩く有志の会」が、山ろくから荒神山神社までの林道をスイセンロードにするため、9日午前8時から球根を植える作業を行う。当日の参加者も募集している。
 大森さんの農業仲間で一昨年にがんで亡くなった男性が、国道8号線沿いの休耕田にスイセンを咲かせようと種から育てていた。男性の死後、球根のままで放置されていたが、大森さんとほかの農業仲間は遺志を引き継ごうと、荒神山林道のスイセンロード化を計画。荒神山でウォーキングをしている仲間にも協力を求めた。

当日の協力者募集
球根 両側に植える
 荒神山神社までの林道は宇曽川沿いからの「日夏山線」が約2・8㌔、稲村神社側の「荒神山線」が約2・6㌔ある。スイセンの球根は約3000個。当日は両方の林道で、区分けしながら山頂までの両サイドに球根を植えていく。来年の早春にはスイセンロードが実現する予定。
 荒神山は17年ほど前まで大量のごみが放棄されていたが、地元住民たちの清掃活動でほとんど無くなった。大森さんは「スイセンロードができて美しくなることで、ごみを捨てる人はいなくなるだろう。(亡くなった男性の)遺志にもこたえることができる」と話していた。
 当日の協力者を募集。手袋や軍手、飲み物、移植ごて持参を。各林道の入り口に集合を。作業は午前10時ごろまで。問い合わせは大森さん☎090(9352)5162。

2020年8月6日木曜日

彦根辻番所の会マスコットキャラクターを(足軽)芹丸くんに

 市民団体の彦根辻番所の会はこのほど、マスコットキャラクターの愛称を「(足軽)芹丸くん」に命名した。
 赤備えの甲冑と刀を装着し、銃を手にした足軽で、芹橋2丁目の渡邊弘俊さん(83)がデザイン。昨年10月に同会が芹橋地区で実施したスタンプラリーの際に缶バッジにして配布し、好評だったという。
 同会は芹橋2丁目の住民に愛称を募集。28件の応募からほかの団体が使っている名称を除外し、ほぼ同じ愛称だった3件をまとめる形で「(足軽)芹丸くん」にした。
 今後は同会が作成する物品に活用してPRする。渡邊さんは「地元の住民はもちろん、市民の皆さんにもこのキャラクターに親しみを持ってほしい」と話していた。

2020年8月2日日曜日

ひこにゃんマスク 滋賀飲料が自動販売機で販売開始

 今月4日から「ひこにゃん涼感マスク」の販売が始まった夢京橋キャッスルロード沿いの滋賀飲料(本町1)は、店舗前に設置している自動販売機での販売を始めた。
 マスクは、縦9㌢×14㌢の白い布地にさまざまな格好をした14のひこにゃんのイラストがほどこされている。夢京橋商店街振興組合が今月2日に市立城西小学校へひこにゃんマスク400枚を贈呈したことをしが彦根新聞などが報じて以降、人気商品になっている。
 滋賀飲料は8日から自動販売機での販売を開始。190㍉㍑の缶入りの茶とセットで税込み700円。夏用の涼感タイプのマスクをほかの飲料と一緒に冷やしているため、暑くなるこれからの季節にぴったり。
 専務の瀧圭介さん(40)は「観光客や市民、子どもたちに着けてもらって、笑顔になってくれたら」と話していた。