2021年3月28日日曜日

庁舎耐震「迷走」振り返る

彦根市役所の本庁舎耐震化計画は2011年12月の市庁舎耐震整備基本計画の策定が始まり。9つの案から庁舎を耐震工法で補強し、前面に5階建ての増築、立体駐車場の整備、敷地内への仮設庁舎を建設する内容だった。
 しかし、2013年5月に就任した大久保市長は3カ月後の8月6日に県庁で「白紙」の意向を示し、9月議会での耐震整備の関連費計上を見送った。12月議会で「ゼロベース」を表明し、翌年4月から有識者による彦根市庁舎耐震化整備検討委員会を開始。1114日に同委員会から制震工法を採用するなどの報告書が提出された。
 2015年6月議会に市は彦根駅東口に仮設庁舎を建設する案などを提案したが、市議会は前年に出した5項目の付帯決議が守られていないとして、同案を否定(省いた修正案を可決)。市は9月議会に既存棟の前面に1階、後面に5階の建物を増築する整備計画を示したが、市議会は付帯決議が守られていないとして再び否定(関連議案を省いた修正案を可決)した。そのため市は4つの案を市議会側に提示し、その中から前面に増築する案に決定。17年6月に施工業者と契約を結んだ。
 だが、翌年1月に市は予定価格29億3900万円と施工業者の見積額38億7700万円の差額を埋めるため、一部職員が既存庁舎の改修、外構工事の一部取り止めや使用材料の変更などを施工業者に別途発注していたと発表。地方自治法施行令違反にあたる裏合意問題として大きなニュースになった。
この問題を受けて、当時の副市長(男性)が辞任。裏合意の公表時、市は「(当時の)副市長が主導した」と発表していたが、2018年4月9日から8月22日まで行われた百条委員会で、その副市長だった男性は「作為的で疑念を抱いている」などと関与を否定。一方で担当だった職員は「(裏合意が)地方自治法施行令違反にあたる認識はあった」と述べていた。
 市は2019年2月までに調停を行った上で施工業者との契約を解除。その後の入札も不調を繰り返し、1126日の4回目の入札で市と裏合意していた施工業者が落札し、12月議会での承認を経て工事が始まった。(山田貴之)

 

 

彦根市役所本庁舎の耐震化と増築の工事完了へ5月6日から業務を開始

 彦根市役所本庁舎の耐震化と増築の工事が今月中に完了し、アルプラザ彦根内の仮庁舎の機能を順次移して5月6日から業務を開始する。彦根市民会館内や中央町仮庁舎の部署も移動して、7月26日に新しい市役所として始動する予定だ。
 
総額51億円超
展望スペースも
 2019年1224日に着工。既存の鉄筋コンクリート造り5階の延べ約8547平方㍍の改修工事と、制震ブレース一式を取り付けた耐震補強工事をしたほか、駐車場だった前面に鉄骨5階建て延べ約6167平方㍍の建物を増築した。
各フロアには1階に窓口・市民スペースや休日夜間受付、2階と3階に会議室や相談室、書庫・倉庫など、4階に応接室や災害対策本部など、5階に議場など、増築棟の屋上に緑化テラスや展望スペースが整備されている。既存棟と増築棟は1階がワンフロア化になっており、2階から5階も渡り廊下でつながっている。
施工業者は岐建滋賀支店。電気設備、機械設備、外構工事を含めた総経費は第1期分が15億3400万円、第2期が36億1400万円で、総額51億4735万円(いずれも税込み)。財源は一般財源が1億4000万円、地方債が単独事業債4億1800万円と緊急・防災減災事業債(返済の70%が国からの地方交付税)45億9000万円。
 
市民会館の部署移動
中央町仮庁舎も7月
 当初は今月19日完了予定だったが、10日遅れで耐震化と改修、増築工事が終了し、市の検査後の今月31日に引き渡しとなる。別途工事(1986万円分)の駐輪場と植栽の整備も今月中に終える。4月以降、アルプラザ彦根内の仮庁舎にある備品の移動やネットワーク・電話配線工事などを行い、5月の連休中に引っ越し作業を行う。以降、彦根市民会館や中央町仮庁舎の部署も順次移動し、7月22日から25日までの連休中に引っ越す。彦根市民会館は解体されるため、入所している国際交流サロンが中央町仮庁舎1階に、市教育研究所が同3階に移る。
 本庁舎の耐震工事を巡っては大久保貴市長が就任した2013年の8月の「白紙」表明から始まり、施工業者と一部市職員との裏合意、工事費負担を巡る業者との調停、入札の相次ぐ不調など問題が相次ぎ、本来の業務開始予定だった2019年5月から2年遅れでの船出になる。

2021年3月22日月曜日

彦根のローチョコの店 足軽屋敷にチョコレート工場、クラウドファンディングで支援受付

 彦根市芹橋2丁目でローチョコレートの店「Hareto-keto(ハレトケト) Raw Chocolate&Detox Cafe」を営む吉田理恵さん(33)が、近くの足軽組屋敷の谷山家住宅にチョコを製造する専用の工房を設ける。
 ローチョコは、48度以上の加熱調理をせずに生(raw)のカカオ豆で作った菓子。吉田さん手作りのローチョコはエクアドル産のカカオ豆を使っており、白砂糖不使用で、オーガニック素材を取り入れているのが特徴。
 吉田さんは2018年1013日に足軽組屋敷の村山家住宅=市指定文化財=を改装して開店。新聞やテレビ、ラジオで取り上げられて認知が広まり、繁忙期には生産が追いつかず、必要なタイミングで届けらないことがあったという。ローチョコを製造、保管するスペースも不足していたため、空き家の谷山家住宅を借りる形で、工房や梱包エリア、ワークショップスペース、カカオ豆の展示コーナーなどを設ける。
 
クラファンで支援を
5月末オープン予定
 すでに改装工事に入っていて、今月13日(予定)から改装費や調理器材の購入費をインターネット上で募るクラウドファンディングをキャンプファイヤーで実施。「彦根の城下町に ローチョコレート工場を作りたい!」をテーマに80万円の支援を目指す。支援額は1500円~10万円で、金額に応じてリターンがある。5月末にオープンする予定。夏以降には一般公開も検討している。
 吉田さんは「工房を設けることで、より多くの人にローチョコが届けられるようにしたい。足軽組屋敷にチョコレート工場を作ることで、芹橋地区に多くの人が訪れてもらえるきっかけにもなればうれしい」と話していた。

カードゲームでSDGs学ぶワークショップ彦根中学校で

 中学生がカードゲーム(2030SDGs)でSDGsについて学ぶワークショップが9日、市立彦根中学校で開かれた。
 SDGsは「再生可能エネルギーの利用」「女性の社会進出の促進」「気候変動への対策」など2016年から30年までの17項目の目標と、その達成のための169の方法で構成。2015年9月の国連サミットで193カ国(当時)が合意した。
 このカードゲームはゴール、プロジェクト、お金、時間など大きさや色が異なるカードがチームごとに配布。「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」などのゴールに対し、「交通インフラの整備」などプロジェクトの実行のためにお金や時間を主宰者に渡すと、お金や時間、次のプロジェクトのカードが受け取れるというルール。プロジェクトの実行ごとに経済は青、環境は緑、黄色は社会のマグネットをホワイトボードに張り付けていく。これを前後半に分けて繰り返して行うことで、参加者全員による現在と未来の世界が
表れていく。
 彦根中学校にはカードゲームの公認ファシリテーターの中塚洋子(通称・風かおる)さん=野洲市=が講師として招かれ、生徒会の役員や1、2年生の学級委員らの計34人が3人ほどずつに分かれて体験。生徒たちは各カードを使いながらそれぞれのゴールに向けてチームごとに交換し合っていた。前半は経済と社会のマグネットが13個と9個、環境が1個のみだったが、後半は環境が6個に増えた。
 生徒会長で2年生の堀晴汰郎君(14)は「SDGsの実現に向けて何ができるかを考えさせられた。4月以降、全校生徒にも学級通信などで説明していきたい」と話していた。

 

2021年3月16日火曜日

彦根市の荒神山トンネル案 新ごみ施設連絡協の複数委員「反対」

 彦根愛知犬上地域の新しいごみ処理施設を話し合う整備連絡協議会が9日夜、グリーンピアひこねで開かれた。当初は議題にあがっていなかった荒神山にトンネルを設けるという市のアクセス道路の整備案に対し、委員からの批判や反対意見が集中。傍聴席からやじが飛ぶなど一時、紛糾した。
 同協議会事務局の彦根愛知犬上広域行政組合は彦根市西清崎地区へのごみ処理施設建設に向けて調整を進めている。3回目となった同協議会は、委員による先進地の施設見学会のアンケート調査結果報告と、容器包装プラスチックの取り扱いが議題だった。
 
「環境保護から良くない」
一時紛糾、「並行して協議を」
 しかし冒頭、複数の委員から「荒神山にトンネルを整備することは環境を保護する観点から絶対に良くない」「アクセス道路に対し、住民は一番関心がある」など、市が進める荒神山トンネルの整備案に反対の意見が相次いだ。
 事務局は「この協議会はごみ処理施設の整備に関して話し合う場で、市道(アクセス道路)については改めて彦根市が説明の場を設ける予定」と回答。これに対し委員からは「これまでの住民説明会ではアクセス道路についての説明があった。ごみ処理施設の内容を決めてからでは反対のしようがない」と、並行しての協議を強く求めた。途中には傍聴席からやじが飛んだり、拍手が起こるなど紛糾した。
 
市長は進める意向
 この問題は市議会でも取り上げられ、議員の「荒神山にトンネルを整備する案は白紙にするべきだ」との指摘に対し、大久保貴市長は「地域の皆さんの意見を聞いて、プロセスを踏んで決めた」と計画通り進める考えを示している。

彦根市中期財政計画 実質収支マイナスに転じる可能性

 彦根市はこのほど、2021年度から25年度までの市中期財政計画を更新し発表。財源不足への対応を行わなかった場合、22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支がマイナスに転じる見込みだと報告した。
 市は2018年5月に公表した市中期財政計画で厳しい財政状況が続くことから、19年度以降の予算編成を部局ごとに事業精査した上で予算要求を行う枠配分方式の導入などを公表した。翌年以降も計画を変更してきたが、新型コロナウイルスの影響で市税収入が大幅に減少し、今後も新型コロナ対策が必要なことから、市は「財政状況は一層厳しくなる」と予想。今後の予算編成や予算執行の指標にするため、中期財政計画を改めて見直した。
 21年度以降の見通してとして、歳入は新型コロナの収束に伴って地方税収入が23年度にかけて20年度当初予算額ほどまで回復し、25年度まで維持する見込みと予測。歳出は人件費や扶助費(社会保障の経費)並みの物件費や維持補修費など「そのほか」の額が新型コロナの収束に伴って22年度に大きく減少し、その後も横ばいで推移した後、国民スポーツ大会がある25年度に増加すると見込んでいる。
 
実質公債費比率 悪化へ
大型事業など「歳出見直し」
 彦根市スポーツ・文化交流センターの整備や道路・橋りょうの改良など大型の投資的経費には市債を発行しているが、20年度の約84億円の発行をピークに、21年度が約55億円と減少していくと予想。一方で、実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)21年度の9・3%から、市債の返済が始まる24年度には13・9%と悪化すると見込んでいる。実質公債費比率が18・0%を超える地方公共団体は国の許可がないと新たな地方債が発行できなくなる。市は「新たな市債の発行が減少する時期(2026年度または27年度)から改善する」としているが、今後は新しい市立図書館中央館や広域ごみ処理施設の大型事業の建設計画もあり、改善するかは不透明な状況だ。
 また市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
 これら財源不足に対する対応として、市は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」としている。具体的な内容と21年度比の22年度以降の歳入増収額は▽ネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円▽ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円▽彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円。一方で歳出削減額は▽業務の委託化、ICTの活用などで時間外勤務の縮減でマイナス5%▽実施予定事業の延期、中止を含めた事業の見直しで25億円~29億円▽市単独の補助金について再検証してマイナス1000万円など。
 財源不足に対する対応をしなかった場合としては22年度で財政調整基金が枯渇し、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算も示している。
 市財政課は「こうした厳しい状況において安定的に行政サービスを提供するには市民ニーズを的確に把握し、限られた財源を真に必要な事業にあてる必要がある」としている。

2021年3月14日日曜日

「気候変動は戦争につながる」 環境活動家・谷口貴久さん「温暖化 想定以上」

 環境活動家の谷口貴久さん(32)の講演会が2月22日、滋賀大学彦根キャンパスで開かれ、世界中で起こっている気候変動の様子を紹介しながら、学生や市民らに環境保護活動の大切さを呼びかけた。
 谷口さんは、世界中の海上に漂っている微細のマイクロプラスチックが問題になっていることをあげ「プラスチックには発がん性があるため、それが体内に入った魚を人間が食べるとがんになりやすく、女性の場合だと乳がんになる可能性が高まる」と解説。またアマゾンの森林地帯が火災で燃えている衛星映像を流しながら「これは家畜のえさ用のトウモロコシと大豆の畑にするため人間が燃やしている。ほ乳類のうち96%が人間と家畜の動物で、100万種以上の動植物が絶滅の危機にある」と指摘した。
 谷口さんは、日本をはじめ世界中で台風や洪水が頻発し、南極や北極の氷が溶けている情報を知らせながら「専門家が予想している以上に地球の温暖化が進んでいる。気候変動は資源の奪い合いにつながるため、気候変動によって真っ先に失われるのは自然ではなく、平和だ」と語った。
 フィンランドやスウェーデンなどヨーロッパと日本の教育の違いについては、子どもの自己肯定感のグラフを示しながら「日本はやってはいけないという義務脳、ヨーロッパはやっていいという権利脳の違いがある」「自由と権利は自分に誇りを持てるような自己肯定感を養う」と述べた。
多くの人に環境問題に関心を持ってもらうための方法としては「自分の行動の背中を見せないと他人の考えは変えられない」と説明し▽フードロスなどごみを減らす▽再生可能エネルギーなど省エネ▽公共交通機関を使う▽政府、企業、メディアに意思表示をする―などをあげた。

2021年3月9日火曜日

藤堂高虎が新型コロナ感染予防呼びかける自動販売機 藤堂高虎ふるさと館・和の家に設置

 甲良町が生誕の地とされる戦国武将・藤堂高虎が新型コロナウイルスの感染予防を呼びかける自動販売機が2月11日、甲良町在士の藤堂高虎ふるさと館・和の家などに設置。同日、ふるさと館前で除幕式が開かれた。
 甲良町は藤堂高虎を活用したまちおこしの一環として、戦国武将をモチーフにした自販機を県内各地で導入しているダイドードリンコに協力を依頼。自販機には甲良町公認のキャラクター・藤堂高虎公がイラストされているほか、高虎をイメージした声が流れる仕組みになっている。
 新型コロナ対策として、硬貨投入時には「コロナと合戦 マスク・手洗い・うがい 備えはよろしいかな」、押しボタン選択時には「いざ、勝負」などのセリフが流れる。いずれの声も同館館長の田中良治さん(72)の声を録音した。
 除幕式には野瀬喜久男町長のほか、高虎姿に扮した田中さんら地元の甲冑隊の隊員5人も参加。除幕後、実際に硬貨を投入してデモンストレーションをしていた。田中さんは「高虎をイメージして低い声でセリフを録音した。この自販機で高虎や甲良町の知名度が上がればいい」と話していた。
 高虎の自販機は同館のほか、町役場や道の駅など4カ所に設置。清涼飲料水のほか、マスクや除菌用のウェットティッシュも販売されている。

 

ブルースティックス滋賀の選手招いたイベント子どもたちがホッケーを体験

 今期からホッケーの1部リーグのH1で戦う県内のチーム「ブルースティックス滋賀」の選手を招いたイベントが2月23日、ビバシティ彦根で開かれ、子どもたちがホッケーを体験していた。
 ブルースティックス滋賀は2019年7月に米原市を拠点に設立。昨シーズンは2部リーグのH2で2位の成績を収め、H1への昇格を決めた。現在、聖泉大学の学生11人を含め35人の選手がいる。
 ビバシティでのイベントには選手17人とコーチ1人が参加。一人ずつ選手紹介が行われた後、運営団体の一般社団法人ホッケーアカデミー理事長の上野賢一郎衆院議員が「H1で優勝し、世界やオリンピックで活躍できる選手が出るよう、がんばっていきたい」と語り、彦根市ホッケー協会会長の谷口典隆市議もあいさつした。
 ホッケーのルール説明、選手たちによるパスやドリブルなど実技披露、ホッケーに関するクイズの後、体験会があり、幼児や小学生たち約60人が選手に教えてもらいながら、シュートやボールの取り合いなどを体験していた。
 1年生からホッケーをしている城南小6年の石川晃大君(12)は「選手の皆さんはボールさばきがうまくて、奪い取るのが難しかった。将来はホッケー選手になりたい」と話していた。
 

2021年3月4日木曜日

つぎはぎの仕事着の企画展 愛荘町立歴史文化博物館で

 昔の人々が補修しながら使っていた衣服「つぎはぎの仕事着」の企画展が、3月21日まで愛荘町立歴史文化博物館で開かれている。展示説明が3月14日にある。
 昭和初期までに農林水産業の仕事をしていた人たちは、一日の大半を仕事着で過ごしていた。山では防寒のために厚手で作ったり、漁師は水を通しにくい木の繊維で作ったりしていた。そして長く着用するため、仕事着が傷んでも捨てずに保管し、衣服に接ぎあてるために使用。時には数代にわたって、受け継いできた。
 仕事着のうち裾(すそ)の長いものを長着(ながぎ)と言い、多賀町では山仕事に着る服を「山行きボッコ」と呼んだ。肌着として襦袢(じゅばん)、その上に長着を着て、男性は股引(ももひき)も着用した。股引は山仕事で重宝され、防寒性に優れていたほか、枝などから肌を守った。女性は明治から昭和初期まで長着に前掛けといった姿が一般的だったが、昭和17年(1942年)に厚生省から「婦人標準服」が発表され、モンペ姿が奨励された。
つぎはぎだらけとなった仕事着はその色合いがパッチワークやビンテージのジーンズのようになり、その芸術的な美しさから近年は国内外で「BORO(ボロ)」と呼ばれて人気になっている。
 企画展では多賀町の山間部を中心に、愛荘、東近江、近江八幡で発見された長着や股引、モンペなど仕事着30点と、ANTONINAやKUONなどのファッションブランドの協力で制作されたジャケットやワンピースなど5点を展示している。
 学芸員による展示説明は21日と3月14日の午前10時半~と午後1時半~ある。開館日時は3月21日までの午前10時~午後5時。休館は月曜火曜、今月12日と24日。入館料は高校生以上300円、小中学生150円だが、20日と21日、3月13日と14日は入館無料。問い合わせは同博物館☎(37)4500。