「彦根を訪れた外国人たちの足跡」をテーマにした彦根近現代ドラマ―シンポジウムと狂言の夕べが17日に、滋賀大学講堂で開かれ、ヘレン・ケラーや、スミス記念堂を建設したパーシー・アルメリン・スミス、英国の水彩画家・パーソンズが紹介された。
ヘレン・ケラーについては市教委市史編さん室の小林隆さんが説明。幼少期に熱病で視力と聴力を失うも、家庭教師のアン・サリバンと出会い、後にラドクリフ大学(現・ハーバード大学)に入学。卒業後は身体障がい者の問題や婦人参政権などの運動のために世界各国を訪問し、日本には昭和12年、同23年、同30年に訪れた。
彦根へは昭和12年5月7日に来訪し、当時尾末町(現図書館付近)にあった県立盲学校で桜の記念植樹をし、学校からは井伊直弼像が贈られた。その後、彦根高等商業高校(現滋賀大)講堂で記念講演をし、障がい者への理解を求めたという。また彦根駅で出迎えた生徒に、ヘレン・ケラーが「おおきに」と関西弁であいさつをしていたという。
スミスについては滋賀大学の筒井正夫教授が解説。昭和元年から彦根聖愛教会の牧師として勤務する傍ら彦根高商で英語教師を務め、昭和6年には「スミス記念堂」を建設した。
また、朝鮮人学校を設立したり、日中戦争に関して「日本軍非難を始め、特に非難したのは南京における日本軍の暴行だった」と発言していたという。筒井教授は「思想の自由を尊重するリベラリストで、朝鮮人への深い友愛心があったといえ、現代における米国やアジア諸国といかに付き合うかのヒントがあるように思う」と述べた。
シンポジウムでは、「直弼公と狂言茂山千五郎家」と題し、狂言師の茂山七五三さんも講演。直弼が作った2作の狂言について、当時の面を紹介しながら説明した。
0 件のコメント:
コメントを投稿