「学校教育の動向と課題」をテーマにした講演会が23日、ひこね市文化プラザで開かれ、国立特別支援教育総合研究所理事長の小田豊さんが、学校教育が抱える問題や子育て環境の課題への対応策を解説した。
小田さんは子どもについて、1960年代が非行、70年代が不登校、80年代が校内暴力、90年代が集団逸脱・破壊行動・学習障害、2000年代が発達障害・児童虐待・失感情言語化症候群(表現力不足)・不定愁訴症候群(無気力)―と変遷していることを紹介。「現代の子は、大人が向き合わなければならなくなった」と述べた。
教育方法については、「正解を増やすことよりも、正解に向けて考えるプロセスを経験させることが大事だ」と、正解主義からの脱却を求め、「考える力を養うことが生きる力の向上につながる」と述べた。
また年々、核家族化が進むグラフを紹介しながら「これでは子育ての伝統がつながらない」とし、「幼小中の時期が親も子も育つ場になっておらず、非常に気になる現象だ」と解説した。
児童虐待が急増している問題にもふれ、「虐待が増えているのと比例して、ペットを飼う家庭も増えている」と指摘。「子どもより犬の方が言うことをきくため、子どもの教育をあきらめているのか」「犬や猫をどれだけ教育しても犬や猫にしかならないが、人間は何にでもなる可能性がある」と、子育て中にペットを飼うことに懸念を示した。
講演会は彦根市立教育研究所が開かれ、市内の教職員や市民ら約250人が参加した。
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