2011年6月5日日曜日

後輩尋ね 宮城県の気仙沼市・陸前高田市・南三陸町訪問、合気会滋賀県師範・吉本邦夫さん

 合気会滋賀県師範などを務める吉本邦夫さん(68)=彦根市大薮町=が先月末、東日本大震災で被災した大学時代の合気道部の後輩を見舞うため、宮城県気仙沼市などを訪問。帰宅後、本紙に報告した。
 震災後、吉本さんは気仙沼市に住む後輩の吉野忠さん(67)に連絡し無事を確認。支援物資を届けるため、先月22日に福岡市の後輩と吉本さんの普通車で出発。北陸自動車道、日本海東北道と進み、山形県鶴岡市でもう一人の後輩を乗せ、24日午前11時ごろ気仙沼入りし、吉野さん宅へうかがった。
 吉野さん宅も津波で被害にあい、1階はすべて破壊されていたため、吉本さんらは早速、1階の整理を手伝った。気仙沼は震災後、火災にも見舞われたため焼けこげたにおいがしたほか、死臭や魚の腐臭など、異様なにおいが漂っていたという。
 陸前高田市では、避難場所となっている寺にうかがい、持参してきた下着や米などを届けた。避難していた約30人のほとんどが高齢者で、何もすることがないようで「遠くを眺めておられるのが印象的だった」という。同市では、沿岸部に約7万本あった松の木(名勝・高田松原)のうち、津波に倒されずに残った1本も見学した。
 翌日には吉本さんの合気道仲間の親友が行方不明になっている南三陸町にも訪問。不明者リストのメモを頼りに捜索したものの、発見できなかった。同町は町役場が崩壊され、町職員も行方不明になっている町で、多くのマスコミが来ていたという。
 吉本さんは27日に彦根に戻った。被災地について「物質的には(支援で)何とかなるが、必要なのは被災者の精神面の支援だと思った」「個人的に支援のために訪問してもあまり意味はなく、やはり現地のボランティア団体に入って活動しなければ」と話していた。

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