第2次世界大戦中の日系カナダ人の収容所生活をまとめた訳書「ロッキーの麓の学校から」=写真=がこのほど発刊された。本では彦根など滋賀県からの移民も登場する。
日系カナダ人ジャーナリストのフランク・モリツグが、収容所に強制移住された子どもたちや、ボランティアで教育にあたった教師の戦後の手記をまとめて2001年に発刊。それを聖学院大学(埼玉県上尾市)人間福祉学部の小川洋(よう)教授(62)らが翻訳出版した。
手記では、家畜用の悪臭がただよう建物や鉱山のゴーストタウンに収容された子どもたち、収容所の不十分な医療施設で息子を亡くした後に教師になった女性、反抗期を迎えた子どもたちの指導に奮闘する女性教師、日本へ送還後に収容されていた生徒たちと出会う女性―らの150編以上をまとめている。
その中には、カナダのローズベリー校長を務めたオチアイ・カヨウ、ベイ・ファーム校長のツジ・タカシら、彦根市八坂町出身の移民も登場し、オチアイは写真も掲載。ほかにも、収容所での盆踊りで、一人の男性が「江州音頭」を歌ったことも紹介されている。
小川教授は「ツジやオチアイ以外にも、彦根や周辺の方たちが登場しているであろう。地域の歴史の一部を構成する資料として参考にしていただければ」と話している。
本はカナダ出版賞も受賞。出版先は東信堂(東京都)。A5判・404ページ、3800円(税抜き)。
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