2011年8月5日金曜日

クルーズ船「megumi」乗船 琵琶湖上での環境学習に同行―「再生へ琵琶湖に関心を」

 クルーズ船「megumi(メグミ)」に乗船して琵琶湖上で環境について学ぶ、「びわ湖の『今まで』と『これから』」が先月30日、彦根港発着で行われ、県内外から60人が参加。本紙記者も乗船しツアーに随行した。
 びわ湖の日(7月1日)制定から今年で30周年を迎えたことを記念し県が県内で環境に関するイベントを企画。湖東では講演や事例発表、水質調査を行った。(山田貴之)
愛のまちエコライフ理事・堤昭子さん
 事例発表では旧愛東町で廃食油から粉石けんを作っている愛のまちエコライフ理事の堤昭(てる)子さんが、合成洗剤が琵琶湖の汚染原因とされた昭和56年に廃食油からの粉石けん作りを始め、現在では「愛シャボン」として愛東マーガレットステーションで販売している、と告知。「(環境だけでなく)自分の体にも優しいことを体験してほしいし、今後も良いことは継続していきたい」と述べ、「琵琶湖が滋賀だけでなく、京阪神の住民の飲み水になっていることを、しっかりと心に刻んでほしい」と話した。
伊吹山もりびとの会・長束憲一さん
 伊吹山もりびとの会の長束憲一さんは、伊吹山で生息する草花が、県内にある種類の半分以上の約1600種類あることを紹介し、「植物の多様性は日本でも有数だ」と説明。その上でセイヨウタンポポなど外来種が増えていることをあげ、「早く見つけて早く駆除するしかないが、伊吹山の場合は手遅れ状態だ」とし、「琵琶湖への予算は莫大だが、山への投資はまったくない。県でしっかりとしたポリシーがないと」と、県の施策を批判していた。
びわ湖の水と地域の環境を守る会代表・松沢松治さん
 松沢さんは「びわ湖と共に50年~漁師の眼~」をテーマに話した。漁師を始めた昭和36年のころの琵琶湖は▽魚や貝がいるのが当たり前で、漁師は琵琶湖の水を飲んでいた▽湖岸は砂浜とヨシ帯、松林で調和がとれていた―と説明。しかし昭和47年ごろから、農地のほ場整備や内湖・堀・川の道路化、琵琶湖に一直線の排水路型の川整備、砂浜への漁港や湖周道路の整備などが進んだとし、「人々は排水路となった川にごみを捨て、農業の濁水も流され、環境は悪化していった」「琵琶湖の魚も食べないようになり、人々が川や琵琶湖から離れていった」と述べた。
 県などが発表している琵琶湖の水質調査に対しては、「科学的な分析ではリンやチッソは減ってきているようだが、漁をしている人間から見れば、毎年、汚くなっている」と指摘。NPO法人家棟(やなむね)川流域観光船を立ち上げて子どもたちに環境学習をしていることをあげ「体験すれば、良くしようとする意識が出てくる」と語った。
 自然の再生については、「自然は緻(ち)密であり、再生は難しい。元の自然を取り戻すことはありえない」「人間は自然と共に生きる必要があり、滋賀県民は琵琶湖に関心をもち、共に生きるようにしなければ、琵琶湖は守れないのでは」と進言した。
「琵琶湖への意識もつ」
 脇坂七重さん(38)・凛太郎君(11)・草介君(4)親子=彦根市後三条町=は「松沢さんが話されていた50年前と今とでは(琵琶湖が)まったく違うことがわかった。琵琶湖への意識をもちたい」と話していた。
 ※(随行記)我々県民の多くは、琵琶湖保全への意識は高いとは言えぬであろう。その最大の理由は、接する機会がないからであるが、琵琶湖と共に生きる湖国民として、保全する使命はあるはずだ。遅きに失したが、何らかの形で関わろうではないか。

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