仏壇業界は住宅環境の変化などで厳しい状況が続いており、伝統技術の継承や後継者の育成が課題になっている。
井上仏壇は仏壇の技術を生かした新たな商品作りをしており、これまでにカフェ関連の商品「chanto」(シャント)を国内外で展開している。しかし採用された技術が漆塗りのみだったこともあり、仏壇七職すべてを使った高付加価値のある国内外の富裕層向けの商品開発を企画。平成25年からシンガポールで市場調査を行い、高級ブランドの腕時計の入れ物に着目して、昨年10月までに試作品を完成させた。
腕時計を入れる14・5㌢四方の立方体形と収納箱には木地師や漆塗師など五職が採用されており、彦根城天守の破風部分をイメージした金の意匠も取り入れられている。16個を収納できる高さ1・7㍍×横70㌢×奥行き45㌢の仏壇形は残り2つの技を取り入れた七職すべてが使われており、そのうち六職が彦根仏壇の職人によって作られている。
昨年12月に東京都内の高級ホテルのギャラリーで試作品を展示した際、来場者から好評だったことから本格的な販売を開始。商品の完成は受注から約半年かかるという。井上昌一社長は「新商品INOUEが仏壇技術の伝承や後継者の育成に役立つことができればと思う」と話している。問い合わせは同社☎(22)1587。
「はばたく300社」に選定
井上仏壇はこのほど、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された。滋賀県内では同社含め2社のみ。「chanto」(シャント)の開発や職人のインターンシップ、若手職人グループ「柒m+(ナナプラス)」による新商品開発、海外の観光客への工芸体験が評価された。
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