2013年4月16日火曜日

彦根市政の課題追う—産科医確保どうなった?—彦根市立病院再開のめど立たず

 彦根市立病院の産科での分べんが平成19年4月に休止(現在は院内助産所のみ)して以降、再開のめどが立たないままになっている。市は「全国的に産科医などが不足している。医師確保に努めている」と繰り返すが、努力不足を指摘する市民は少なくない。産科医をはじめ、不足する医師をどのような手法で確保するのか。最後の「市政課題を追う」では産科医など医師の確保について取り上げる(裏面に関連の投書)。
 彦根市立病院が産科での分べんの受付を中止すると発表して以降、市内での分べんは民間の一部診療所のみとなり、長浜市や東近江市などの病院に通う妊婦もいる。同20年2月に院内助産所を設置したが、35歳未満の初産婦、今までの妊娠・分べんに異常がない―などの条件がある。
 国の指針により平成22年1月に策定された滋賀県地域医療再生計画では、彦根市立病院など湖東・湖北の病院へ産科医を派遣するため、滋賀医科大学で医師を育成することなどを盛り込み、大学での寄付講座費として1億6600万円を計上。平成25年度中に市立病院の産科での分べんを再開させるとしていた。
 しかし、東近江市が同22年6月に滋賀医科大学らと寄付講座について協定を結び、今年4月に新病棟が開設した東近江総合医療センター(旧滋賀病院)に大学から医師10人が派遣されている一方、彦根市は大学側と寄付講座についての協定を結んでおらず、産科医などが派遣されるめどさえ立っていない。
 彦根市立病院の産科が「通常」に戻るためには、現在の医師1人から4人になることが必要なため、今年度中での再開はほぼ不可能と言える。市立病院の事務局では「寄付講座は医師確保のための強力な施策の一つ。あらゆる方面にお願いしていかなければならない」とし、ほかの総合内科、眼科、神経内科など不足する医師と共にその確保に尽力するとしている。
 滋賀医科大学をはじめ、全国の医科大学をかけずり回れる市長の営業力と行動力が求められる。【山田貴之】

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