2016年6月2日木曜日

彦根観光協会の存在意義は?

 彦根観光協会の職員が専務理事をパワハラで訴えるという事態に陥った。本紙を含む一部のマスコミには4月末以降からその情報が伝えられていたが、裁判までには至らない円満解決を祈っていたのは小生だけではないだろう。ここまでこじれた最大の原因として、小生はこれまでにも何度か指摘しているが、同協会のあいまいな体制にあると考える。
 彦根観光協会は民間企業の社長らが役員を務めているほか、事務局内では専務理事を含む元市職員2人と若手の一般職員が働いている。かつては大手旅行会社出身の職員が自らでツアーを計画するなど民間流の手法を用いる動きも見せていたが、行政側の圧力に押されたのか途絶えて、その後職員の辞職が相次いだことは記憶に新しい。このことは本紙平成24年3月7日付の投書「病巣」でも紹介している。
 彦根観光協会は市の補助金で運営されており、市から天下った職員が監視的な役割を果たすという構図だが、はたして市の下請け的な存在のままで良いのか、疑問が残る。現在の彦根の観光施策は彦根市および彦根観光協会よりも、彦根商工会議所の方が目立っており、これは民間主体の同会議所が行政的な市および協会では前に進まないと見切っているからだと言えよう。
 パワハラに関しては、それに近い行いを含めて行政や民間などであり、小生も報告や相談を受ける場合がある。今回の彦根観光協会の事案は今後、司法の場で争うことになりそうであるため、詳細は記事の内容までにしておくが、休職中の男性職員がはたして「退職勧奨」されるほどの粗相をしたのだろうか。
 いずれにせよ、彦根観光協会は組織体制の改革が急務であり、その存在意義(あり方)を考える時期にもある。「観光」から撤退し「物産」のみにするのか、行政主導のまま宙ぶらりんの目立たぬ存在でいるのか、民間主導に切り替えて名実共に彦根の観光振興に貢献する団体になるのか、市の判断と一圓泰成会長をはじめとした協会役員の力量次第である。【山田貴之】

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