2020年3月31日火曜日

近江鉄道線の存続を確認

 近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会が25日、東近江市内であり、近江鉄道線を存続させる方針が確認された。今後は運営方式や各自治体の負担割合が焦点になる。
 昨年11月に近江鉄道線の存廃と今後の方針を決めるため、県と彦愛犬を含む沿線5市5町で同協議会が設置。今年1月末から2月末にかけて、沿線住民や事業所、高校大学、近江鉄道利用者を対象にアンケート調査を実施した。

3割「通学できず」
廃止した場合
 その結果、週1日以上の利用者は10代が多く、東近江、愛荘、多賀、日野の順で、月数回程度の利用者は70代が最多で東近江、豊郷、多賀、甲良の順番だった。通学で利用する高校生などのうち31・7%が「近江鉄道が使えなくなると通学できなくなる」と回答し、彦根翔西館高、水口東中、水口東高、水口高、八日市高、日野高、愛知高の順で近江鉄道線を利用。沿線の事業所では通勤の交通手段で28・3%が「近江鉄道」と答え、通勤で自動車が使えない場合は53・7%が「近江鉄道」に転換と回答した。一方で、もっと利用したくなるための改善点としては「運行本数を増やす」「運賃を下げる」「お得な割引切符」「トイレをきれいにする」の順番だった。
 アンケート結果による近江鉄道線の必要性については▽通勤、通学、通院のほか、高齢者や子どもら移動弱者の移動手段として大きな役割を果たしている▽沿線事業者の従業員の重要な移動手段で、経済活動にも貢献している▽鉄道が廃止されると自動車利用が著しく増加し、慢性的な道路渋滞の発生が予想される―などと報告された。

他分野へも影響大
社長「喜び感じる」
 また、近江鉄道線の存廃における公共交通分野以外の医療や商業、まちづくりなどの行政施策への負担額を比較した場合、現在の国県市町の財政支出と事業損失額が年6億7000万円の一方、廃止した場合の分野別代替費が19億1000万円以上になると公表。「存続する方か効果的」と結論付けた。
 最終的には「鉄道を存続するメリットが大きく、かつ廃止するデメリットが大きい」として存続を決定。市町の首長からの異論もなかった。協議会後、近江鉄道の喜多村樹美男社長は「全線の存続を認めていただき、鉄道事業者として喜びを感じています。存続にはより一層のサービス向上が必要であり課題も多い。​引き続き沿線のみなさまと協議を進めながら努力していきたい」と話した。
 3回目の協議会は5月ごろの予定。今後は運営方式や各自治体の負担額などを2020年度の前半に決め、20年度中に地域公共交通網形成計画の策定を目指す。また運営方式のうち、施設の整備と運営を第三セクターと会社側とで分ける上下分離方式を採用する際は、法定協議会で継続して話し合いが行われ、鉄道事業再構築実施計画を策定していく。

2020年3月29日日曜日

みんなの食堂 花しょうぶ通りにオープン

彦根市河原の花しょうぶ通り商店街に第5の街の駅「Minna(みんな)」が22日にオープン。初日は親子連れらが食事に訪れるなど賑わいを見せていた。
運営主体のNPO法人 芹川の河童(上田健一郎理事長)はこれまで、花しょうぶ通りの街の駅「逓信舎」で、引きこもりなど生きづらさを感じている若者向けに「誰にも会いなくないカフェ」を運営してきた。その中で若者たちが誰かの役に立ちたいと思っていることに気づき、拠点づくりとして築約100年の古民家を活用。「小さな孤独を無くして、みんなに居心地が良い」場を提供するための街の駅を開設した。

「恩送り券」でランチ
若者ら向けに提供
「Minna」では、主婦ら3人が一日店長となりランチを出す「みんなの食堂」と、絵本を貸し出す「地域子ども文庫みんな」をオープン。みんなの食堂ではフードバンクひこねや市内企業から提供のあった食材を使った料理や弁当、ケーキを提供していく。ランチがコーヒー付き700円、ケーキ・コーヒーセット500円、ランチとケーキセット1000円、弁当500円。
ほかに「恩送り券」を1枚1000円で販売し、700円を「誰かのための食事代」に、300円をNPO法人の運営費にあてる。経済的な支援が必要な家庭や若者たちは入り口に貼られた恩送り券を使って無料で食事ができる。店長のまとめ役の福原和子さん(39)=薩摩町=は「地域になくてはならない食堂にしていきます」と意気込みを語っていた。
みんなの食堂の営業時間は木金土の午前10時~午後3時で、同3時~同5時も街の駅としてオープン。2階はシェアオフィスやイベントのスペースとして活用。問い合わせは川崎敦子さん090(4287)7738。

2020年3月26日木曜日

彦根キャッスル リゾート&スパみやげ本陣に彦根イイプリンオープン

 彦根市佐和町の彦根キャッスル リゾート&スパの「みやげ本陣」内に今月28日、滋賀県産の食材で作ったプリンを提供する「彦根イイプリン」がオープンする。
 同ホテルを運営する一圓興産(佐和町)が彦根の新たな土産物作りと、彦根城を眺めながら幅広い年齢層に味わってもらえる商品としてプリンの専門店を企画。約1年かけて全国各地の10カ所以上のプリンの専門店を回って作り方などを研究し、彦根に合った「イイプリン」を考案した。
多賀の赤卵、伊吹牛乳など県産の食材を使用し、専門の機械を使ってその場で調理して提供。舌触りが良く、きび砂糖の優しい甘さが特徴だという。同社広報の重冨小百合さん(32)は「味が『良い』だけでなく、素材選びや滋賀産にこだわり、体や地元にも『良い』、三方よしの商品。自然豊かな滋賀の恵みを小さな瓶に詰め込みました」と話している。
1個80㌘、税込み390円。土産品としてのほか、天守が見える位置に設置するベンチでも食べられる。今後はほかの種類やプリンのソフトクリームの販売も予定。営業時間は午前10時~午後6時。オープン以降の問い合わせは同店☎(47)5110。

2020年3月23日月曜日

不登校や登校拒否の小中学生向けフリースクールてだのふあ芹橋の古民家内に開校

 滋賀県内の不登校や登校拒否の小中学生向けのフリースクール「てだのふあ」が4月、彦根市芹橋2丁目の古民家内に開校される。
 代表は県中央子ども家庭相談センターで一時保護所指導員を務める山下吉和さん(58)=城町2。山下さんは1987年から31年間、市内の佐和山、河瀬、稲枝西、旭森の各小学校で教員を務め、その間にさまざまな事情で不登校や登校拒否の子どもたちと出会ってきた。

芹橋の古民家活用
 山下さんは「息苦しい環境から子どもたちを解放し、本来持っている個性や能力を伸ばし、生きる力を取り戻す取り組みが必要」との思いを抱き、フリースクールの開校を決意。NPO法人善利組まちづくりネットが所有する築約120年の古民家一画の約26平方㍍を借りた。スクール名の「てだのふあ」は沖縄で「太陽の子」という意味。
小学校時代の教え子で不登校だった2人を含む6人と一緒に運営にあたる。陶芸、書道、華道、絵画、木工、登山、釣り、園芸などの分野の約30人の講師陣もいる。スクールは毎週月曜と木曜にオープン。午前10時~個別学習、昼食後の午後1時~創作・散歩・菜園・スポーツ・音楽など「てだのふあタイム」で、午後4時半まで。どの時間帯に登下校してもよい。

小中生 体験入学も
 山下さんは伊吹山の自然環境を保護する団体「伊吹山ネイチャーネットワーク」の事務局長も務めているため、月2回の金曜日には伊吹山登山をはじめ、釣りやカヌーなど自然教室も行う。月謝は週1回1万5000円、週2回2万円、自然教室のみ実費。3月1日に予定されていた開校式は新型コロナウイルスの影響で延期になった。
 山下さんは「さまざまな人との出会いが人間を変えていくきっかけの一つになる。子どもたちには一人一人が安心して暮らせる居場所を提供していきたい」と話している。小中学生10人を募集。体験入学あり。問い合わせは山下さん☎090(9099)4822。

2020年3月18日水曜日

井上仏壇の製品が全国伝統的工芸品仏壇仏具展で伝統的工芸品産業振興協会賞

 彦根市芹中町の井上仏壇の製品が、全国伝統的工芸品仏壇仏具展の伝統意匠部門で「伝統的工芸品産業振興協会賞」を受賞した。
 岐阜県の依頼主から2018年4月1日に「品評会に出品できる逸品を作って納品してほしい」との要望を受けた。彦根仏壇七職の職人約15人の技を結集する形で、約2年かけて高さ179㌢×幅130㌢×奥行き88㌢の仏壇を作った。
 漆塗りを通常の倍の約8カ月かけたほか、純度約98%の5毛色金箔や、プロダクトデザイナーのオリジナルの金具などを使用。随所に依頼主の家紋「剣に花菱」をあしらった。価格は税込み3520万円。
 全国伝統的工芸品仏壇仏具展は全国伝統的工芸品仏壇仏具組合連合会などが3年に1回開催。24回目の今年は2月29日から3月1日まで東京都立産業貿易センターで開かれ、伝統意匠、新デザイン、仏具の3部門に全国から彦根仏壇の4点を含む53点が出品。井上仏壇の製品は上位クラスの伝統工芸品産業振興協会賞を受賞した。
 井上昌一社長(52)は「とてつもないプレッシャーの中だったが、ご期待にそえる製品ができた。すばらしい賞を頂いて、うれしい」と笑顔を見せていた。


議会人の務め

 2020年度の当初予算案について、小生は2月16日付の紙面で、前年度の予算案否決という惨事を繰り返さないでおこうとの市長の思惑が透けて見えるとして「議会迎合・自己保身予算」と批判。市議会に対しては「ただ単なる追認で良いのか」と指摘した。
 だが小生は当初、市議会一般質問などでの雰囲気から、予算常任委員会ではその「単なる追認」がなされると思っていた。しかし結果は委員会レベルと言え、否決という惨事を再び繰り返した。大久保市長の短絡的な思惑や自己保身の精神が市議に見透かされたのであろう。
 小生は以前のコラムで、市が提案する議案を承認するだけだった市議会に対し「ベルトコンベヤー議会で良いのか」と非難した。そういう観点からすれば、予算常任委員会で反対した6人の議員は議会人として、いな政治家としての務めを果たしたと言え、高く評価できる。
 そして焦点は本会議での採決の行方に移る。市がこのままの内容の予算で貫き通すのか、議会側から修正案が出るのか、そして鍵を握る最大会派の公政会の議員諸氏が「議会人としての務め」を果たせるのか―。俄然注目の市議会となった。【山田貴之】

2020年3月16日月曜日

彦根市議会予算常任委員会が2020年度当初予算案を再び否決

 彦根市議会の予算常任委員会が9日から11日まで開かれ、最終日の11日、2020年度当初予算案(483億円)を否決した。前年度も当初予算案が同委員会で否決され、本会議でも否決されている。23日に予定されている本会議の採決の行方が注目される。
 11日の同委員会では20年度予算案に対し、獅山向洋、谷口典隆、北川元気、角井英明の各議員が反対討論を行った。

谷口議員「市長の思いつき予算」
反対討論で指摘、公政会の判断焦点
そのうち谷口議員は予算案に盛り込まれた庁舎耐震工事や新市民体育センターの整備費については「否定するものではない」としながら「着手時期が重なったことは大久保市長の失政のツケだ」と切り捨てた。また特別顧問の招へい、ジョージア国・ムツヘタ市との交流、アジア国際子ども映画祭などについては「所管を置き去りにした市長の思い付き予算であり、無条件に認めることは厳しい」と指摘。「新型コロナウイルスの感染拡大により、市の税収が大幅に減ることが予想される中、どうしても必要な予算を見定める必要がある」と述べた。
 採決では公政会の長崎任男、野村博雄、森野克彦、夢みらいの赤井康彦、森田充の各議員が賛成したが、反対討論をした4人と辻真理子、公政会の小川隆史の各議員が反対し否決された。
 公政会だけを見ると賛成3、反対2。残りの所属議員7人を含め、本会議でどのような対応をとるのか注目される。

長久寺の樹齢800年以上の紅梅見ごろ

 長久寺(彦根市後三条町)の樹齢約800年以上の紅梅が見ごろを迎えている。
 同寺は長久3年(1042年)創建。紅梅は源頼朝が建久2年(1191年)に京都へ向かう途中、彦根の風土病にかかり、同寺で祈願した後に病が治ったことから、喜んだ頼朝自らが植樹。以降、「福聚の梅」と名付けられたとされる。また慶長5年(1600年)には徳川家康が来詣して宴を催したため、「御覧の梅」とも呼ばれるようになったという。
 幹回り約170㌢×高さ約6㍍。2006年6月に彦根市指定保存樹に指定。県緑化推進会の「淡海の巨木」にも認定されており、2015年度に幹部分の腐朽箇所の治療と支柱の整備が行われた。約10年前に隣に挿し木された紅梅も育っている。
 今年は暖冬の影響から2月中旬から開花し始め、今月初めから満開になっている。松山貞邦住職(71)は「今年も鮮やかな花が咲いた。一部では散り始めているが、まだまだ見ごろでは」と話していた。

2020年3月13日金曜日

新型コロナウイルス初感染で…

 時間の問題ではあったが、滋賀でも初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された。今後、彦犬地区をはじめ県北部でも感染者の発生があるかもしれないが、私たちには冷静かつ良識ある行動が求められる。
 特に量販店やドラッグストアで最も入手困難になったマスクを巡っては、国難に対して冷静な態度をとってきたはずの日本人が取り合いの喧嘩をしたり、言い合ったりする様子がネット上で騒がせている。マスク不足の深刻な状況に対し、国がメーカーからマスクを買い取ったり、異業種のメーカーがマスクを製造したりする事態にまで陥っている。
 この話題のマスクだが、その役割は感染者からのせきやくしゃみによるウイルスの飛沫予防であり、健康な者のウイルスに対する感染予防はあまり期待できない。つまりマスクは、感染またはその疑いがある者向けであり、それ以外の者にとっては気休めの道具でしかなく、WHOも推奨していない。
 一方で効果もある。人は無意識を含めて一日に何度も顔を触っているとされ、手に付着したウイルスが口や鼻、目の粘膜から侵入する恐れがあり、マスクを装着することで顔を触る予防にもつながる。
 マスク不足に伴い、マスクを手作りする者も出ており、インターネット上では作り方サイトが人気を集めている。ハンカチなどでマスクの形状を作り、中に医療用ガーゼを中に入れる方法だ。
 ウイルスに対し多くの人間は無力であり、できる予防策は限られている。マスクが手に入らないのならば、日ごろの手洗いとうがい、アルコール消毒の励行、そして密集する場所には近寄らない習慣をしばらくの間、心がけて実践するしかないだろう。(山田貴之)

2020年3月12日木曜日

新型コロナで彦根城天守など公開休止 文化プラザ休館、登場中止のひこにゃんは動画配信

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、彦根市は彦根城の天守など建造物の公開を休止すると発表。先月27日から城内などでの登場を中止しているひこにゃんの動画を翌日から配信している。
 公開休止になった彦根城の建造物は天守、天秤櫓、西の丸三重櫓、開国記念館、馬屋、旧池田屋敷、聴鍾庵、玄宮園の鳳翔台。城内への入城はでき、各建造物の入り口付近は開いているため、内部を見ることはできる。入場料や駐車料金は現行のまま。31日までの措置だが、変更あり。ひこにゃんの動画はいいのすけの公式ツイッターで1分ほど公開している。
 臨時休館になった市内の主な公共施設(5日発表分)は、市農村環境改善センター(グリーンピアひこね)、適応指導教室オアシス、北・中・南老人福祉センター、鳥居本宿交流館さんあか。
 彦根市は6日、申告所得税および復興特別所得税の申告期限・納付期限を4月16日まで延長すると発表。国税庁の発表を受け、申告期限を1カ月間延ばした。
 9日には文化プラザとみずほ文化センターが10日から16日まで臨時休館になると公表。期間中の申請や払い戻しは16日以外受け付ける。状況により臨時休館の延長あり。今月31日までの自主事業は延期または中止の措置をとる。

滋賀大 卒業式中止
県立大は規模縮小
 滋賀大学は26日に開催を予定した卒業式と修了式を中止する。滋賀県立大学は20日の学位記授与式を保護者や在学生を入れずに規模を縮小して開催する。

2020年3月9日月曜日

花しょうぶ通り商店街に第5の街の駅Minna誕生へ

 彦根市河原の花しょうぶ通り商店街に、第5の街の駅「Minna(みんな)」が今月22日に誕生する。2月23日には柱に色を塗るイベントが開かれた。
 運営はNPO法人 芹川の河童(上田健一郎理事長)。市内の学校で放課後児童クラブの運営にあたってきたほか、2017年9月から花しょうぶ通りの街の駅 逓信舎で引きこもりなどの若者に施設を開放する「逓信サロン」を開催。現在は「誰にも会いたくないカフェ」も運営している。
若者 高齢者 母親
一日店長も募集
 その中で、若者たちに「支援されるだけの側になりたくない」との思いがあることに気づき、「支援することもされることもできる」拠点を作ろうと、築約100年の古民家を街の駅として改装。Minnaでは生きづらさを感じている若者のほか、一人暮らしの高齢者や学生、子育て中の母親たちの居場所作りのために、食事を提供する「みんなの食堂」と、子どもたちに本を貸し出す「地域子ども文庫 みんな」としてオープンする。
 みんなの食堂の食材は企業や店、農家などから市場に出せない食品を活用。利用者は食事を食べたり、本を借りたりするほか、一日店長になったり、週に1日開店したりもできる。
先月23日にはNPOのメンバーや運営者らが内装工事中の柱をペンキで茶褐色に塗っていた。店長のまとめ役の福原和子さん(39)=薩摩町=は「店長さんそれぞれの個性を生かし、地域になくてはならない食堂にしていきます」と話していた。14日にプレオープンする。問い合わせは川崎敦子さん☎090(4287)7738。

2020年3月7日土曜日

新型コロナウイルス滋賀で初の感染確認、感染かなと感じたらどう行動する?

 滋賀県は5日、大津市の60歳代の男性が新型コロナウイルスに感染したと発表。県内での感染者の確認は初めて。今後、彦犬地区でも感染者が確認され、自分自身にも発熱など感染の疑いがある症状が出た場合、どのように対応すればよいのか、以下で整理する(記事は5日正午時点)。
 県によると、男性は2月24日に寒気を感じ、翌日昼から38・4℃の発熱があり、大津市内の医療機関を受診し、インフルエンザ陰性の診断だった。平熱になったため、27日に2時間ほど出勤したが、夕方に再び38℃台に。3月2、3、4日と医療機関で再診し、その日に別の医療機関で肺炎の疑いが判明。新型コロナウイルスの感染を確認するPCR検査で5日、陽性反応が出たという。男性は渡航歴はなく、行動内容や濃厚接触者を確認している。

発熱2~4日以上や倦怠感
公共交通使わず自家用車で病院へ
 新型コロナウイルスの感染の疑いがある症状は、▽風邪の症状や37・5℃以上の発熱が4日以上(高齢者や基礎疾患のある者は2日以上)続いている▽強いだるさや息苦しさがある。
これらの症状がある場合はまず、帰国者・接触者相談センターの彦根保健所☎080(2470)8465(平日午前8時半~午後5時15分)か、県薬務感染症対策課☎080(2470)8042(土日祝日含め24時間対応)に連絡する。感染拡大防止などのため、この段階でかかりつけ医など医療機関には訪れない。
感染の疑いがある場合は、専門の病院「帰国者・接触者外来」(非公表)が紹介される。対象者はマスクを着用したうえで、公共交通機関を利用せずに自家用車などで受診する。
今後、PCR検査が保険適用になった場合は、保健所を通さずに医師が検査をできるようになる。
 なお症状が出ていない場合の相談は彦根保健所☎(21)0283。

図書館、博物館が臨時休館
公民館、自然の家、市民会館も
 県内初の感染者の発表を受け、彦根市は5日、市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、公共施設の臨時休館を決めた。
 臨時休館が決まった公共施設は市立図書館、彦根城博物館、各地区公民館、荒神山自然の家、高宮地域文化センター、彦根市民会館(市教委や水道部除く)が5日午後から、彦根市障害者福祉センターが6日から。いずれも3月末までの予定。
 また彦根市議会は5日に予定していた一般質問の残り5人から質問の取り下げの申出があり、行われずに終了した。

就学前児童の療育行う児童発達支援施設もものお庭が八坂町に

 社会福祉法人 愛悠ももの会(西村卓身理事長)は、就学前の乳幼児の療育を行う児童発達支援施設「もものお庭」を彦根市八坂町に設立した。4月の開所に向けて、見学を随時受け付けている。社会福祉法人の児童発達支援施設は県内初だという。
 同法人は2008年4月に長浜市に「ほいくえんももの家」、13年4月に彦根市小泉町に「ほいくえんももの家だいち」を設置。子ども一人ひとりに合った個別支援教育を重点に置いて保育にあたってきた。
その中で発達障害のある子どもに対して、同法人は「発達促進のためにより深く入っていく施設が必要」と判断。八坂町の2階建て延べ約300平方㍍の民家を購入し、0歳から5歳までの乳幼児を対象にした発達支援施設として県の指定を受けた。
 
訓練室など整備
「保護者と共に」
施設内は、マットやトランポリンなどを使った運動ができる訓練室、米国のラリー・メストネック博士が発達障害のある子ども向けに開発したおもちゃで遊べる遊戯室、子ども一人ずつに対面しながら保育できるセラピー室、相談室などを備えている。
職員は保育士のほか、小児科医、看護師、心理士、特別支援学校教諭などの資格を持つ16人体制。子どもの皮膚の様子、歩き方、走り方、バランスのとり方、発声、平衡感覚など一人ずつの特徴を見ながら発達支援にあたる。子どもは午前9時半に登園し、給食を経て午後0時半に降園するか、午後1時半に登園して同4時半に降園する午前と午後の教育カリキュラムを用意。運動や粘土・絵遊び、木工、植栽、音楽などをする。1日に1015人の子どもに対応する。
 西村久容(ひさよ)統括園長(54)は「子どもの居場所と生活を確保する保育を基本に、心と脳と体の発育を促せる専門的な療育を保護者の皆さんを交えた二人三脚で行いたい」と語っている。地域の子育て支援の拠点として施設の開放や子育てに関する相談にも応じていく。問い合わせはもものお庭☎(47)6608か、ももの家だいち☎(47)5500へ。


新工場・千成亭風土近江ファクトリー開所

 千成亭風土は彦根市野瀬町に精肉用の新工場「千成亭風土近江ファクトリー」を完成させ、2月25日に開所した。 
 平田町の本社に精肉をする約250平方㍍の工場があるが、一部の捌(さば)きや冷凍の工程を外部委託していた。新工場は敷地約1977平方㍍に建てられた2階建て延べ約1148平方㍍。1階に骨と肉・臓器をはがす捌き室、肉を成型する加工室1、ハンバーグを作る加工室2、加熱室、生食処理室、梱包荷造室、検収室などを整備。ほかに「商品の品質保持のために」0℃の冷蔵庫、マイナス25℃とマイナス40℃の冷凍庫を複数台ずつ設けている。
 千成亭風土は近江八幡市と湖南市に牧場を所有。年間で牛約500頭分の約8・5㌧の肉を処理しているが、今後5年間で2・5倍にあたる年間20㌧以上の供給を目指している。
新工場では従業員約40人のうち4人が捌きを担当する。上田勝之専務(53)は「捌き手を中心に人材育成と技術の継承も目的にしている。牧場についても拡張する予定で、将来は彦根にも牧場を整備したい」と語っていた。


2020年3月4日水曜日

放課後児童クラブや特別支援学級の児童生徒を一時預かり、新型肺炎で全小中校が臨時休校

 新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、安倍首相が2月27日に全国の小中高校・特別支援学校に臨時休校を要請したことを受け、彦根市教委は28日、すべての市立小中学校を今月2日から24日まで臨時休校すると発表。また2日には一部の児童生徒を学校で預かる措置も示した。
 受け入れる対象者は、特別支援学級に在籍している児童生徒、放課後児童クラブを通年利用している小学1年生から3年生の児童、放課後児童クラブを利用していないが、春休み期間の利用を申し込んでいる小学1年生から3年生の児童。期間は24日までの卒業式を除く平日の午前8時~午後1時で、午後1時以降は放課後児童クラブに引き継ぐ。
 小学4年生以上の放課後児童クラブは24日までの午後1時(土曜は午前8時)~同6時半に各学校で。卒業式は小学校で19日、中学校で14日の予定で、卒業生のみでの開催を予定。小学校のスポーツ少年団や中学校の部活動も中止になった。

子どもCなど休館
 彦根市は2月28日、市子どもセンター、東山児童館、ふれあいの館、市男女共同参画センターウィズ、ビバシティ2階のまんまるひろばを休館、市民交流センターと人権・福祉交流会館の貸館を中止すると発表。いずれも3月31日まで。稲枝体育館、小中学校体育館・グラウンド、彦根翔西館高校第2体育館、印刷局体育館も利用できない。

文プラ予防対策
お笑いに2400
 文化プラザは新型コロナウイルスの対策を行ったうえで、2月29日に市民大学講座、3月1日に「爆笑お笑いフェス」を開催した。
 市民大学講座には67人、お笑いフェスには1部、2部にそれぞれ約1200人が来場。文化プラザでは入り口にサーモグラフィーを設置、物品販売の中止、公演前の手すりやいすのアルコール除菌、マスク着用、入場口のアルコール消毒液の設置などで対応した。
 主催・共催の中止になった今月のイベントは、7日の大人の文化芸術体験講座、14日と26日の子ども向け伝統・芸術文化体験教室、29日の彦根エコーオーケストラ定期演奏会。今後のイベントについても感染予防対策を行うほか、来場者にも「会場内でのマスクの着用」などを求めている。