日夏町の古川与志継さん(64)が旧日夏小学校の解体直前の昭和61年に、校内にあった器物の中に木像のような物を発見。持ち帰ることが許されていたため、そのうちの6体を持ち帰って保管してきた。その後、近江郷土玩具研究会の藤野滋代表(58)=東近江市五個荘=に見せたところ、張り子の木型だと判明した。
6体は、トラ(高さ15・5㌢×幅17㌢×長さ40㌢)、タイ(高さ35㌢×幅13・5㌢・長さ38㌢と高さ36㌢×幅14㌢×長さ44㌢)、人の顔(高さ24・5㌢×幅20㌢×奥行き25㌢)、大黒(縦20・5㌢×横18㌢・厚さ9㌢)、おたふく(高さ19・5㌢×幅13㌢×奥行き13㌢)。
日夏町では北川家が農業と兼業で張り子などを作っていたとされ、面を作る「面張職」だった北川五郎助(介との表記も)が嘉永4年(1851)に張り子を作っていたとする記録が同家に残っている。一部が損壊した張り子の木型1体も同家に残っている。
張り子は割ることができる木型の回りにリサイクル紙を貼り、木型を取り出して、紙の上に色を塗って完成させる。その大半が子どもの誕生祝いの贈り物として使われ、男の子の場合はトラの張り子を、女の子の場合はタイの張り子を贈ったとされる。藤野さんによると、江戸時代に張り子が作られていたのは京都や大阪など裕福な都市だったといい「江戸時代の彦根の人々がいかに豊かな暮らしをしていたのかがわかる象徴的な物だ」と話している。
彦根張り子は藤野さんらが所有している10数個が確認されているが、木型は日夏でしか確認されておらず、藤野さんは彦根張り子や木型を所持している市民からの情報を募集している。問い合わせは藤野さん☎090(8883)3844。
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