2015年10月30日金曜日

認知症カフェ・HOTカフェんde銀座町の飲食店・小さな銀座にオープン

 認知症の人・家族や関心のある市民が集う認知症カフェ「HOTカフェんde」が29日、彦根市銀座町の飲食店「小さな銀座」=写真=内にオープン。認知症カフェが民間経営の店舗を借りる形で開店するのは県内初めてだという。
 福祉施設内にサロン的に集う認知症カフェはあるが、医療・福祉の関係者や認知症に関心のある市民らにも集まってもらおうと、NPO法人喜房会(後三条町)が市の補助を受けて新設することにした。
 店舗名のHOTカフェんdeは、認知症の人を「ほっとかへんで」から命名。認知症サポーター養成講座で講師を務めるキャラバン・メイトら計5、6人がスタッフとして入り、相談やイベントなどで交流を図る。今年8月23日に竹ケ鼻町のすみよしクリニックデイサービスセンター内にオープンした彦根市認知症HOTサポートセンターも認知症カフェの運営に関する助言を行う。
 認知症カフェのオープン時間は毎月第4水曜日の午前10時~午後2時半。問い合わせは喜房会☎(20)2312。

ドイツ留学中の田中瑶子さん 古楽器の演奏学ぶ

 彦根市船町の田中瑶子さん(27)=写真=は、古楽器で演奏するヨーロッパのバロック音楽にひかれ、ドイツのフランクフルトで腕を磨いている。
 田中さんは城東小、東中、河瀬高、同志社女子大学音楽学科を卒業後、ドイツに渡った。その約1年後の2010年10月に古楽器に出会い、奏者が楽しそうに弾く「自由なスタイル」にひかれ、古楽器の修練を決意。フランクフルト芸術音楽大学古楽科に入り、ヴィオラやバロックオーボエ、チェンバロを練習している。
 現在は同大学で学びながら、ヴィオラやバイオリンの教室、ヨーロッパ各地での演奏会に参加。大学が休みの期間は帰国し、彦根ゆかりの音楽家で組織の団体「エコーメモリアル・チェンバー・オーケストラ」などで活動している。今月19日には本町のスミス記念堂で演奏を披露した。
 田中さんは「これからもドイツで学びながら、音楽を通して地元で育てていただいたことの恩返しをしていきたい」と話していた。

2015年10月28日水曜日

井伊直孝の甲冑を再現し商品化へ 彦根商工会議所ひこねブランド開発委員会

 彦根のブランド作りを進めている彦根商工会議所内の「ひこねブランド開発委員会」が、彦根仏壇の技術を生かした甲冑(かっちゅう)を製作しており、年度内に試作品を発表する。
 同委員会は、地域資源を生かして都市間競争を勝ち抜くまちづくりを目指し、同会議所会員や大学教員、歴史研究家ら31人で昨年9月に設立。夜間イベント・祭りなど「集客」、地場産業を生かした「商品」開発、地域を学ぶ「生活」の3つのブランド作りを展開している。
 そのうち「商品」ブランドでは、彦根仏壇事業協同組合の協力を得て、江戸時代に甲冑作りが行われていた現在の仏壇街の職人の技を生かした本格的な甲冑の再現を2年計画で進めている。「井伊の赤備え」の中で最も美しいとされる二代・井伊直孝が着用していた甲冑を再現する予定で、かぶとや胴、こて、すね当てなどの基礎となる板金部分を滋賀県板金工業組合のおうみの名工らに依頼。かぶとを除く部分がほぼ完成しており、先日行われた七曲がりフェスタでも展示された。
 彦根仏壇の技術は七職のうち、塗師、箔押師、錺(かざり)金具師、木地師の技術を採用。かぶと部分の完成後、各職人が製作にかかり、来年2月末までに試作品が完成する予定。
 来年度は試作品の改良、展示会への出展などを経て、年度内には商品化を目指す。同委員会では「この甲冑プロジェクトは彦根を全世界にブランディングする足がかりになると期待している」としている。

福満遺跡から彦根初の5世紀の古墳

 彦根市教委文化財課は、小泉町で発掘調査中の福満遺跡の一部から市内で初めて5世紀代の古墳が確認されたと発表した。
 同遺跡は小泉町や西今町に及ぶ縄文時代から、弥生、古墳時代、古代・中世までの遺構で構成された複合遺跡。これまでに古墳の埋葬施設とみられる遺構や周濠(しゅうごう)とされる溝の跡などが確認。また近くの西今、須川、竹ケ鼻廃寺などの各遺跡からは埴輪片が見つかっている。
 今回は福満遺跡のうち、ひこね燦ぱれす北側の約1200平方㍍内の約400平方㍍で今年7月16日~11月6日の予定で発掘調査を実施。弥生時代末期~古墳時代初期(3世紀後半)の方形周溝墓1基や、古墳時代中期の終わり~末期(5世紀後半)の古墳(円墳)2基=1基の周濠内の長さ約25㍍=が東西に発見。そのうち東側の古墳は全周濠の4分の1を確認し、周濠の土からは円筒埴輪片、有蓋高坏(ゆうがいたかつき)・堤瓶(ていへい)など須恵器、土師器も見つかった。埴輪と須恵器は墳丘に置かれていた可能性が高いという。西側の古墳は長さ20㍍弱の大きさ。

 彦根市内ではこれまでに205カ所で遺跡が確認されているが、5世紀代の円墳が埴輪を伴う形で見つかったのは初めて。文化財課では「犬上川右岸地域における5世紀末の有力者層の古墳が明らかになり、市域の歴史を知る上で貴重な発見」としている。

2015年10月26日月曜日

城西小学校が博報賞と文部科学大臣奨励賞を受賞

 彦根市立城西小学校の地域学習が博報財団の最優秀賞・博報賞と文部科学大臣奨励賞を受賞。来月6日に東京都内で表彰式がある。彦根市立の小中学校では初受賞。
 城西小は学区内に彦根城があるため、平成24年度から総合的な学習の時間で歴史遺産を学習の中心に位置づけ、3年生が足軽屋敷やキャッスルロードの学習、4年生がちびっこガイドとして観光客を案内、5年生が彦根城を取り巻く環境の調査、6年生が茶道体験や狂言発表を行っている。
 博報財団は大手広告代理店の博報堂が昭和45年に設立した財団法人博報児童教育振興会。設立以降、全国で優秀な取り組みをしている学校に博報賞を贈っている。国語・日本語教育、特別支援教育、日本文化理解教育、国際文化理解教育、教育活性化の5部門を設置。
 46回目の今年は全国から81件の推薦があり、16件に授賞。城西小は日本文化理解教育部門で新潟県の柏崎市立高柳小学校と共に選ばれた。また文部科学大臣奨励賞は団体3・個人1が受賞し、そのうち1団体が城西小だった。表彰式には大澤厚美校長が出席する。

絢爛豪華な馬ぐるま 西川幸治・元滋賀県立大学学長宅に

 彦根市内の七曲り通りで10日から12日にかけて「七曲がりフェスタ」が開かれ、滋賀県立大学元学長で新町の西川幸治さん(84)宅と芹中町の神鳥雅次郎商店には馬ぐるまが展示された。
 馬ぐるまは彦根の商家の風習として、家督を継ぐ総領息子の宮参りの時に母方の親元が贈っていた台車の付いた木製の馬の人形。宮参りの後には主に節句飾りとして使われたが、大正時代になって別の節句飾りが普及したことで、次第に無くなっていたとされる。七曲り通りでも3軒でしか確認されていないという。
 作られた時期は、近江郷土玩具研究会の藤野滋さん(58)によると、神鳥雅次郎商店のが明治20年ごろで、西川さん宅のが昭和4年だという。そのうち西川さん宅のは当時のままの絢爛豪華な装飾品のほか、纏(まとい)も残っている。
 西川さん宅の会場では西川さんが自宅の庭で馬ぐるまに乗っている子どものころの写真も展示。西川さんは「馬ぐるまに乗って宮参りした記憶はないが、節句の時に自宅に飾っていたことは覚えている」と話していた。

滋賀大学陵水新聞会の学生に聞く新聞の役割・将来像

 滋賀彦根新聞は新聞週間に合わせて、滋賀大学陵水新聞会の中塚裕哉さん(22)、谷清隆さん(20)、田中遼さん(20)=いずれも3年生=に、これからの新聞像などを聞いた(以下、敬称略)。
 【新聞への印象】
 ◇ 中塚=最近では安全保障法案に関して、賛否両派の新聞はそれぞれの立場で一辺倒の報道に終始し、あおろうとしている姿勢が見え見えだった
 ◇ 谷=地方紙と全国紙3紙を読んでおり、一つのニュースについて比べるように心がけている。新聞はインターネットの情報と違い、自分に興味のない事も知ることができる
 ◇ 田中=大まかに見たい人はインターネットで十分だ
 【新聞の役割とは】
 ◇ 谷=日ごとに起こった出来事をまとめた総合的な情報紙。また問題を提起する最も良い媒体
 ◇ 田中=第一は情報を伝えるものだが、広告面も貢献している
 ◇ 中塚=読者が新聞を見た時に、各新聞がそれぞれのニュースをどのように伝えたいのかがポイントだと思う
 【これからの新聞像】
 ◇ 谷=割高感があるわりには興味の無い記事も載っている。社会面だけ、地域面だけ、というオーダーメイド型の新聞にしては
 ◇ 田中=範囲を狭くして、より掘り下げてはどうだろう
 ◇ 中塚=記事の切り売りは反対。総合的に情報提供をする姿勢はぶれて欲しくない。例えば、朝日新聞のように、(別刷りの)GLOBEやbeなど新しい着眼点の折り込みを一緒にするのも一つだ
 【新聞への思いなど最後に一言】
 ◇ 中塚=新聞作り一辺倒だけでは難しい。地域の課題の解決に向けた活動などに注目していくことからスタートしていく必要がある
 ◇ 谷=学生をはじめ、活字離れが進んでいる。もう一度、紙面を読む習慣になるようにしていければ
 ◇ 田中=現時点よりいかに上積みさせるかを考えないと。学生をはじめ、読みたい新聞作りを心がけるのが重要。(聞き手=山田貴之)

ご当地キャラ博の経済波及効果が約5億5000万円

 17、18日に彦根市内で開かれたご当地キャラ博の実行委員会は19日、経済波及効果が約5億5000万円(昨年同額)だったと発表した。
 滋賀大学社会連携研究センターが平成25年度まで調査・分析した観光客ら一人あたりの消費額を参考に、彦根商工会議所が推算し、公表した。
 それによると、同センターが平成19年度から同25年度の消費額から算出した平均額は、宿泊客が2万2160円、日帰り客が4645円。今年のキャラ博時の宿泊客数は前日の16日が1870人、17日が2156人、18日が1364人、来場者数は18日が3万7000人、19日が6万人だったとされていることから、宿泊・日帰りのそれぞれの人数と消費額の平均額から算出した。
 今年は2日間とも晴天だったため、経済波及効果も前年度に続いて5億円を超えた。

2015年10月22日木曜日

ご当地キャラ博in彦根2015 9万7000人来場、ふなっしーも急きょ登場

 ご当地キャラ博in彦根が17、18日に開かれ、両日とも晴天に恵まれ、17日に3万7000人、18日に6万人(いずれも実行委発表)が来場した。

 17日は夢京橋キャッスルロードと京橋口駐車場に42都道府県の156ブースが設置され、市内のゆるキャラ13体を含む192体が参加。京橋口駐車場と四番町スクエアの駐車場には特設ステージが設けられ、都道府県ごとにゆるキャラたちが登場し、ご当地PRをした。
 京橋口ステージのこの日の最後には井伊直弼公生誕200年祭を記念し、城や直弼ゆかりのゆるキャラたちが登壇し、200年祭をPRした。
 また文化プラザのグランドホールではふなっしーの特設ステージ発表もあり、全国からのふなっしーファンが1000人以上詰めかけた。
 18日は42都道府県の149ブースが設置され、185体が参加。全国各地から前日以上の多くの人が来場し、会場は大賑わいだった。
 ご当地キャラ博の会場では、東日本大震災で被害のあった福島県を支援する彦根東高校による募金活動などが行われた。
 風評被害の払しょくと震災の風化防止を目的に、福島県はゆるキャラを使って県外の市町村との交流を進める「ふくしまから はじめよう。キビタン交流促進支援事業」を展開。昨年度に続き、白河市からゆるキャラの「しらかわん」と「ふくしまからはじめよう大使」の高校1年生の2人が彦根を訪れ、2日間、彦根東高新聞部と一緒に募金活動=写真=やステージで発表、湖東焼体験などをした。
 東高新聞部は特集「福島をつなぐ」を5年間続けており、その中で募金活動も実施しており、福島の子どもたちの「保養プロジェクト」に寄付している。12月にも福島を訪れ、白河市の高校生と交流するという。

2015年10月17日土曜日

ご当地キャラ博in彦根2015開幕

 ご当地キャラ博in彦根が17日開幕。18日までに全国から計196体、ひこにゃんなど地元のキャラを入れると209体が参加する。
 市内商店街などによる実行委員会が主催し、8回目の今年は17日に179体、18日に172体が登場。「くまモン」「せんとくん」「いまばりバリィさん」など人気キャラも両日参加する。初参加のキャラは18体。
 夢京橋キャッスルロードと京橋口駐車場に各キャラのブースが設けられ、地元の特産品やキャラクターグッズが販売される。ステージが京橋口駐車場と四番町スクエアの駐車場に設置されて、都道府県ごとにご当地自慢をする。
 井伊直弼公生誕200年祭の開催期間中のため、ひこにゃんをはじめとする城や直弼にまつわるキャラの合同ステージも予定。17日午後1時~銀座商店街のサブ会場ではキャラによるもちつき大会がある。
 各日に参加するキャラやステージの登場時間などは、ご当地キャラ博in彦根のホームページで確認できる。開催時間は両日とも午前9時~午後3時。雨天決行。
ガイドブック「ご当地キャラ図鑑」
 ご当地キャラ博in彦根に登場するキャラなどを紹介した公式ガイドブック「ご当地キャラ図鑑」=写真=が発刊。市内の商店などで販売されている。
 北海道から九州・沖縄までのエリアごとに参加するキャラの特徴を写真入りで紹介しているほか、全51問のクイズ、彦根のグルメ情報、会場アクセスマップなども掲載している。
 A5判・全ページカラー。1冊600円。アルプラザ彦根、戦国丸、平和堂銀座店、沙斗羅、太田書店、トラヤ、四番町ダイニング、祥福たこ壱、夢京橋あかり館、清瀧などで販売している。
電車・バスで来てね
 ご当地キャラ博in彦根に登場するひこにゃんら地元のゆるキャラたちが、公共交通での来場を呼びかけるため電車に乗る練習を披露した。
 彦愛犬の企業・行政などによる団体・湖東圏域公共交通活性化協議会が企画し、ひこにゃん、たがゆいちゃん、よいとちゃん(豊郷)、あしょうさん(愛荘)、近江鉄道のがちゃこんが参加。
 ひこにゃんを除く4体が近江鉄道の高宮駅に集合し、駅長役のがちゃこんに3体がキャラ博当日に発売される「がちゃこんでおでかけフリーきっぷ」を見せて改札口を通って乗車。車内でキャラたちはいすに座ったり、つり革につかまったりし、彦根駅でひこにゃんの出迎えを受けた。
 近江鉄道はキャラ博のある17、18日にがちゃこんでおでかけフリーきっぷを限定発売する。近江鉄道の電車、バス(湖国バス含む)が1日乗り放題。彦根城や彦根城博物館、玄宮園の割引も。料金は中学生以上1000円、小学生500円。近江鉄道駅窓口、バス車内で販売。

2015年10月15日木曜日

滋大陵水新聞 創設80年目の滋賀大学陵水新聞会が制作

 彦根市馬場の滋賀大学経済学部には「滋大陵水新聞」という新聞があり、年8回ペースで発刊されており、市民も無料で手に入れることができる。
 同新聞は、昭和10年(1935年)4月創設で今年80年目を迎えた学生団体・滋賀大学陵水新聞会が制作・発行している2ページの媒体。主に学内でのイベントやセミナーなどの情報を載せており、最新号の9月15日付の338号では昨年度まで滋賀大准教授だった柴山佳太・京都大学大学院准教授と、同じく滋賀大准教授だった大川良文・京都産業大学教授が今年7月に彦根キャンパスで行ったセミナー内容などを掲載している。
 またこれまでの号では、日米など参加12カ国が今月5日に大筋合意したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について、賛成派と慎重派の教員へのインタビュー内容を掲載した4ページの特集号もある。
 現在、所属する部員は2年生2人と3年生3人。新聞の発行のほか、京都新聞の夕刊で地域情報を紹介する1ページも担当している。新聞は大学の長期休暇を除き、月末に1500部発行し、附属図書館や校舎棟1階の入り口に置いている。在庫があれば、過去の発刊号も無料で提供している。
 なお本紙次号では「新聞の役割」などについて部員3人に聞いたインタビュー内容を紹介する。

2015年10月12日月曜日

茶婚式 玄宮園鳳翔台で初開催

 茶道のお点前を受けながら挙式を行う「茶婚式」が6日から玄宮園の鳳翔台で始まった。玄宮園での挙式は不定期に行われているが、茶婚スタイルは初めて。
 市内のブライダル専門店や旅館、神社などの関係者らで今年2月に結成された彦根ウエディング協同組合が、井伊直弼公生誕200年祭に合わせて、直弼も茶会で活用した玄宮園での茶婚式を企画。応募の中から選ばれた県内外の5組が11月29日まで挙式を行う。
 初回の6日は愛知県安城市の西尾秀幸さん(36)と植村美文(みふみ)さん(37)の挙式があった。2人は植村さんの家族が茶道の指導者だったことをきっかけに茶婚式に関心を持ち応募。当日は親族ら19人と共に屋形船に乗った後、花嫁行列で鳳翔台に向かった。式では、石州流井伊大老御流西郷社中の西郷宗博(そうはく)さんからお点前を受け、一つの茶碗で茶を飲み合う夫婦固めの儀などにのぞんでいた。列席者も順番にお点前を受け、茶と菓子を頂いていた。
 西尾さんは「屋形船にも乗ることができ、お殿様・お姫様のような気持ちだった」、植村さんは「家族を含めて全員で体験できるのが楽しかった。景色も最高にきれい」と笑顔で話していた。

滋賀県立大学 不正経理の男性教員を停職3カ月に

 彦根市八坂町の県立大学は、不正経理を行った男性教員(49)を停職3カ月にする処分と、学内の不適正な会計処理に関する調査結果を発表した。
 県大によると、この男性教員は平成22年度から学生を雇用した名目で、大学から賃金を支出させた上で、その一部を学生から返金させていた。学生の勤務日時が事実と異なる記録を提出していたといい、不正に受け取っていた額は男性教員が平成25年度から関わった文科省補助の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(大学COC)を含め同26年度までに計約265万円に上った。
 今年2月中旬に男性教員の指導を受けていた学生の保護者から県大側に報告があり判明。県大は3月2日に公表し、調査委員会を設置し調べてきた。男性教員は不正に受け取った金を地域振興のイベント予算に使用したと話しており、全額返金したという。
 また県包括外部監査が3月13日に公表した監査結果で、県立大については教員の会計処理に関して分割発注や事後申請など8点の指導と17点の意見が出された。県は4月1日に専門の調査チームを設置し、実態を調査。包括外部監査の調査以外で教員1人による33件の不適正な会計処理があったことが判明した。
 再発防止策として県立大学は、▽雇用における勤務表の勤務内容や時間などを具体的に記載させるよう様式を改正する▽物品の事後発注を確認した際は教員に発注手続きをやり直させる▽業者には発注におけるルールの文書で周知させる―などをあげた。

滋賀県遺族会青年部が滋賀県護国神社にヒトツバタゴ・ナンジャモンジャの苗木植樹

 滋賀県遺族会青年部は5日、彦根市尾末町の県護国神社の境内の一画に、ヒトツバタゴ(別称・ナンジャモンジャ)の苗木を植樹した。
 同青年部は戦没者の孫やひ孫らで今年4月に結成され、県内で190人が所属。組織の結成を記念し、近江八幡市の沙沙貴神社にある神木の苗木を植えることにした。
 ヒトツバタゴは落葉樹で、成長すると10㍍に達し、毎年4月末から5月初めに雪のような白い花を咲かせる。明治神宮にもこの木があるが、その名前がわからなかった江戸時代の人々がナンジャモンジャと呼んだことから、別称でそう言われるようになったという。また神事に関係し神聖化されたため、本当の名前を呼ぶのをはばかられたという説もある。
 植樹式には県遺族会の関係者ら約30人が参加し、辻正人部長(46)らが順番に土をかぶせた。辻部長は「正しい史実を認識してもらうための活動をしながら、この木と共に青年部も成長していきたい」と話していた。

高齢者・障害者の虐待・成年後見支援の権利擁護サポートセンター襷(たすき)がオープン

 高齢者や障害者への虐待や成年後見などを支援する権利擁護に関する専門機関「権利擁護サポートセンター襷(たすき)」が1日、彦根市平田町の市福祉センター別館に開所した。
 市によると、市内には認知症の高齢者が約4300人、知的障害者が約1000人、精神障害者が約600人いるとされ、その数は今後10年間で2倍近く増加すると予想。また虐待や成年後見に関する市などへの相談件数も増加傾向にあり、そのうち高齢者への虐待は昨年だけで11件(通報は29件)だった。
 権利擁護に関する相談はこれまで、市や地域包括支援センターが応じてきたが、民生委員らからはより専門機関を設ける声が高まっていたことから、市はNPO法人あさがお(大津市)に委託する形でサポートセンターを設置した。
 サポートセンターでは社会福祉士の職員3人が、虐待を受けた本人などからの相談、後見申し立ての支援、後見人への支援、地域の権利擁護の担い手養成、権利擁護に関する普及などを行う。施設名の「襷」には関係者が連携して解決を目指すという意味が込められている。
 問い合わせはサポートセンター☎(23)8642。

2015年10月8日木曜日

七曲がりフェスタ10日〜 馬ぐるま・彦根張り子展示 ライトアップなど

 彦根市の仏壇街で10日から12日まで七曲がりフェスタが開かれ、10日夕方から通りがライトアップされるほか、彦根張り子や馬ぐるまなど彦根の伝統品の展示もある。
 彦根仏壇事業協同組合が主催し、3回目の今年は初めて3日間かけて開催。10日は「夜宮」として、午後4時~滋賀大生の団体・滋賀エコプロジェクトがメイン会場の七曲がり広場や大橋町一帯の通りに約5000個のローソクを並べて点灯させるほか、軒先にはちょうちんがともる。芦田家では午後6時~「皿屋敷」などの落語(500円)や、Takumi Apatment駐車場で映像による「ようかいさんぽ」も。飲食あり。
 「本宮」の11日には神鳥雅次郎商店(芹中町)などで彦根張り子と馬ぐるまが展示。彦根張り子は江戸時代以降に彦根で作られ、さきごろ日夏町に張り子を作るための木型が残っているのが確認された。彦根張り子は全国で10数体が確認されており、11日は近江郷土玩具研究会代表の藤野滋さん(58)=東近江市=所有のトラとタイを展示。また馬ぐるまは彦根の商家の風習として、家督を継ぐ総領息子の宮参りの時に母方の親元が贈っていた台車の付いた木製の馬の人形。同商店には初代の卯平が明治20年ごろに孫のために漆塗りで仕上げた馬ぐるま(台車を入れて高さ約120㌢)が残っている。
 11日はほかに、蒔絵・金箔押し・彫刻・数珠ブレスレット作りの体験、七職や仏壇の洗濯など実演、信楽焼・近江上布・愛知川びん手まりの実演&体験、村岸家公開、バックパッカー写真展、西念寺で講話会など。500円以上の体験・飲食でスタンプ1個もらえるスタンプラリーや小学生以下対象の点在する地蔵さんを巡るスタンプラリーも。七曲がり広場では飲食・物販イベント。午前10時~午後4時。雨天決行。10日と11日のイベント中、通り沿いは歩行者天国に。
 10日~12日は、旧宮川箔押店で彦根商工会議所が2カ年計画で再現を目指して製造している甲冑のかぶと展や、七曲がりにちなんだ写真などの七曲がり博物館、若宮仏壇店で経済産業大臣賞を受賞した仏壇などを展示する仏壇展も。

彦根市の新教育長に善住喜太郎氏が就任

 彦根市の新しい教育長に2日、善住喜太郎氏(62)=安土町=が就任。この日の午前には市民会館で教育長訓示があり、夕方には新旧教育長による引き継ぎ式があった=写真
 善住氏は彦根市立東中や南中、守山高、八幡工業高で教員を務めた後、県教委などを経て、平成24年4月から彦根東高の校長を歴任。昨年4月からは県教委学校教育課主幹を務めていた。任期は10月2日~平成30年10月1日。

前教育長の前川恒廣氏が政界への出馬に意欲、彦根市長選か

 前教育長の前川恒廣氏(60)は1日に行った退任会見で、政治の世界への転身をにおわせた。
 会見で前川氏はESD(持続可能なための教育)やユネスコスクールの実現などの実績をあげながら「情緒教育や、彦根の歴史・伝統を学ぶ『彦根学』をしっかりと見直したかった。またコミュニティ・スクールの創出もしたかった」と説明。その上で「不本意であるが、いったん退任する。教育を通して学んだこと、見てきたことをまとめあげて、別の形で彦根に還元する方法を考えたい」と述べ、彦根市長選などへの出馬の可能性を示した。
 本紙記者からの「市長選を含めた政治の世界に出るのか」の質問に前川氏は「感覚的に捉えて頂きたい」と述べるにとどめた。前川氏は池州町出身で、城西小、西中、彦根東高、東大卒業後、三菱銀行に入社。昭和61年7月に退社し、フランスのビジネススクール入学。MBAを取得し、クレディアグリコル銀行や日本航空(JAL)での勤務を経て平成23年10月から市教育長を務めてきた。
 なお、任期満了に伴う次の市長選は2年後の平成29年4月の予定。

2015年10月6日火曜日

外国人観光客増へ彦根商工会議所らが近江インバウンド推進協議会設立

 海外からの観光客誘致を目指す近江インバウンド推進協議会の設立総会が9月30日に彦根商工会議所で開かれ、湖東地域の企業・団体の代表者ら約100人が参加した。
 政府は2020年に訪日外国人旅行者が2000万人に達する観光立国の実現に向けて、観光局(JNTO)や日本貿易振興機構(JETRO)との連携を強化し、官民あげてのオールジャパン体制による訪日促進を打ち出している。
 湖東地域は歴史的遺産など数多くの資源があるが、観光振興にはつながっていない。彦根商議所の小出英樹会頭は湖東地域への外国人観光客を増やすため、近江八幡商議所の秋村田津夫会頭や近隣町の商工会長らに協力を呼びかけ、2市4町の関連企業など82団体で同協議会を設立することにした。
 設立総会では、滋賀2区選出で国土交通大臣政務官の上野賢一郎衆院議員や近江八幡の冨士谷英正市長があいさつし、近江の「近」からデザインしたロゴマークも発表された。会長に就任した小出会頭は「私たちは素人集団だが、JNTOの協力を得ながら事業を進めるほか、高度なアドバイザーを招いて市民を含めた勉強会を開いていきたい。世界セールスも積極的にしていきたい」と述べた。
 同協議会では「企画」「広報」「総務」の各委員会に分かれ、▽海外で開催される旅行見本市への参加▽海外の旅行会社やメディア関係者の招へい▽国内先進地の視察などを実施。外国人観光客を呼び込んで、湖東地域の経済発展を目指す考え。

2015年10月5日月曜日

彦根市弓道連盟、国体での弓道競技彦根開催と弓道場整備を求める要望書

 平成36年の滋賀国体に向けて、彦根市弓道連盟が25日、市役所を訪れ、弓道競技の彦根での開催と弓道場の整備を求める要望書を大久保市長に提出した=写真
 市内には尾末町に彦根市弓道場があり、滋賀県立大学や彦根翔陽高校、近江高校も利用しているが、国体で競技が行えるレベルの施設ではない。県内ではすでにほかの市町が弓道競技の誘致に向けて声をあげているが、彦根市弓道連盟によると、県弓道連盟では弓道人口や交通の利便性などから彦根開催を第一候補にしているという。
 要望には市弓道連盟の中村傳一郎会長ら役員と県立大学、翔陽高、近江高の顧問ら計7人が来訪。中村会長は「彦根で弓道競技を開催することを決断頂くと共に、近的場、遠的場の整備も実現頂きたい」と求めた。これに対し大久保市長は「まずは県の連盟で一本化して頂いた方が良い。現時点で彦根が手をあげるのは難しい」と答えた。

2015年10月3日土曜日

大久保市長の資質と力量を疑う

 小生は、政治家にとって最も基本的な資質は「先を読む能力だ」と確信している。そういう見方からした場合、市役所の耐震化を巡り、6月議会と9月議会に連続して提案した関連議案が事実上否決された大久保市長は、その資質が欠けていると言わざるを得ない。
 振り返れば、約2年前の9月に当選間もない大久保市長は、その月の議会で耐震関連の議案の提案を見送り、「ゼロベース」を表明した。市長としてのリーダーシップまたは独自路線を見せようと格好をつけたかったのだろう。しかしそれ以降、この問題に追いかけ回され、2年が経過した今議会でも結論を出せなかったのだから、2年前のパフォーマンスは空回りに終わったと言ってよい。
 2年前、大久保市長が「ゼロベース」を議会で表明した際、小生と一緒に傍聴していた複数の市職員は皆、天を仰ぎ、「えっ〜」と言いながら首を傾げていた。平成20年3月に市既存建物耐震改修促進計画を策定し、本庁舎耐震化に向けて練ってきたものを白紙化されたのだから、当時の市職員の思いは理解できる。
 今議会でも数人の議員が指摘していたが、大久保市長の答弁には「今後、検討する」という言葉が目立っていた。つまり、とりあえず大まかなプランを立てて、細部は議決後に詰めていく、という思惑だろうが、30億円近い事業費をかけ、駅からの観光客が必ず前を通る市の顔(市役所)の整備が大まかでは困る。案の定、6月議会と9月議会でもさまざま問題点が明らかにされ、それらが致命傷となり、市長提案の関連議案は両議会とも事実上否決された。
 ここまでこじれると責任論が叫ばれるが、ゼロベースを表明した2年前をはじめ、6月議会、9月議会と「先読み」を見誤ったわけだから、市政を停滞させた大久保市長の責任は極めて重大である。
 彦根城の世界遺産、9年後の国体に向けた運動施設の整備、図書館やごみ処分場の新設、渋滞緩和、観光振興など彦根の課題は山積みである。しかし、市役所耐震化という市民にとっては直接的に関係のない事案に2年以上も費やしているようでは市長としての力量を疑わざるを得ない。
先を読む資質・力量やリーダーシップが無いのならば、それをまずは素直に認め、市職員や市議、そして市民の助けを得ながら、山積みの市政課題にあたるべきである。【山田貴之】

井伊直弼公生誕200年祭の特別展 佐和口多聞櫓で

 井伊直弼公生誕200年祭の特別展「一期一会」が18日から佐和口多聞櫓で開かれている。
 直弼の功績や人柄、文化人としての魅力を発信するため4コーナーに分けて展示。映像・文芸コーナーでは、昨年公開の映画「柘榴坂の仇討」のPR映像のほか、童門冬二さんの「吉田松陰」、幸田真音さんの「藍色のベンチャー」、舟橋聖一の「花の生涯」など各著書で登場する直弼を紹介。松陰らを処刑する「悪人」として描いたシーンも登場。
 日本文化体験コーナーでは直弼が鍛錬していた茶道、華道、能(チャカポン)にスポットを当てた。茶道具や彦根華道協会に所属する8派が1週間ごとに生ける作品を展示するほか、能では能面のレプリカから視界を体験できるようにもしている。書道のコーナーも設置しており、10分ほどで消える水を使っての習字が体験できる。
 映画「柘榴坂の仇討」の特別展では映画で実際に使われた衣装やかご・人力車・槍など小道具を展示、シアター「ほんとうの直弼」では直弼に関する映画やテレビ映像を計5分間上映する。各所で英語と中国語を併記しているほか、外国人が書道を体験できるよう見本を用意しており、海外からの観光客にも楽しんでもらえる内容にした。開館は12月23日までの午前8時半~午後5時。

2015年10月1日木曜日

市役所本庁舎耐震化 市長提案省いた修正案再び可決、市議会は特別委員会設置へ

 今議会の焦点になっていた彦根市役所本庁舎の耐震化に対して、大久保市長提案の関連予算を省いた修正案が複数の議員から29日再開の本議会に提出され、賛成多数で可決された。6月議会に続き、市長提案の関連議案が事実上否決されるという異例の事態になった。
 市長は6月議会で彦根駅東口への仮設庁舎の建設費などを計上したが、市議会は昨年末に可決した5項目の付帯決議が守られていないなどとして、関連議案を省いた修正案を賛成12、反対11の一人差で可決。市長は今議会に、本庁舎前面に1階建てと後面に5階建ての増築を行い、市民会館と中央町の仮庁舎にある部局を集約させるなどの案を提案した。
 しかし前市長の獅山向洋議員の情報公開請求で、6月議会後に各部局を対象に行われたヒアリング調査の結果が市長提案の計画案にほとんど反映されていなかったことが判明。ほかにも今議会では、市職員一人あたりのスペースが狭くなることや県との折衝不足、外からブレースが見えることなども明らかになった。
 修正案の提案者の一人、谷口典隆議員は提案理由の説明の中で議会内に「本庁舎耐震化整備特別委員会」を設置することを表明し「スピード感を持って年内にも一定の結論を出す」と述べた。修正案の可決後には同委員会設置に関する動議を発し、賛成多数で認められた。6月議会で賛否が分かれた保守系会派・公政会が28日に行った会合でも、同委員会の設置の説明があり、当初は修正案に反対姿勢だった議員も賛成に転じ、結局、29日の採決では議長を除く同会派の所属議員9人のうち7人が修正案の賛成に回った。
 この結果、議長を除く23人の議員のうち、修正案に賛成した議員が15人、反対が8人だった。
 修正案の可決を受けて市長は「役所内での議論の本質・プロセスについて議会への情報提供が十分でなく、理解を得られなかったのは残念。議会と相談しながら事業内容を決定し、本庁舎耐震化に向けて取り組んでいきたい」とのコメントを発表した。

佐和山城跡 西の丸の曲輪で地下構造の建物跡見つかる

 彦根市教委文化財課は発掘調査中の佐和山城跡の西の丸と伝えられる曲輪(くるわ)跡で、地下構造の瓦ぶきの建物跡が見つかったと発表した。4日に現地説明会を行う。
 国の史跡指定を目指し平成23年度から佐和山城跡を調査しており、昨年夏から秋にかけて、本丸跡から約180㍍下った西の丸の3段の曲輪のうち一番下の約750平方㍍(約30㍍×約25㍍)で発掘調査を実施。山の斜面を削った切り土を使って盛り土にして平らにしながら曲輪を形成しており、その北西部には長軸約5・7㍍×短軸約3・8㍍、深さ約1・9㍍の地下式の土坑が確認された。礎石跡が四隅に残っているため、何らかの建物が建っていたとみられ、江戸中期の沢山古城之絵図には「塩櫓」と書かれているため、塩が貯蔵されていた可能性もある。
 曲輪の周辺からは豊臣政権時代特有の瓦の破片があるため、当時、佐和山城主を務めていた堀尾吉晴か石田三成時代の瓦ぶきの建物だったと考えられる。文化財課の林昭男主査は「豊臣時代で地下式の建物は全国でも確認されていない」と話している。滋賀県立大学の中井均教授は「豊臣政権時代の瓦ぶきの建物が確認されたことで、当時の佐和山城域が広かったと考えられ、佐和山城の威光の高さを示すのではないか」とコメントしている。
 現地説明会の受付場所は午前9時半~同11時に鳥居本駅。そこから随時、徒歩で約30分かけて現地に向かう。当日受付。参加費100円。雨天決行。問い合わせは文化財課☎(26)5833。