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2009年9月29日火曜日

吉田松陰の故郷を訪ねて 街づくりには市民の協力不可欠

 シルバーウィーク中、小生は井伊直弼主導による安政の大獄(1858~59)で処刑された吉田松陰の古里・山口県萩市を訪れた。訪問した場所は、松下村塾、松陰神社、松陰生誕の地、幽閉された跡地、松陰と門下生の高杉晋作・久坂玄瑞らの墓、伊藤博文の旧宅、萩城跡、城下町など。各場所に残る建物はほぼ当時のままで、約150年前の激動の世の一幕を感じることができた。
 さて、直弼の功績は開国を実現させたことだが、その過程で断行した安政の大獄は決して許される行いではない。現代の世で例えるなら、中国や北朝鮮など社会主義国や独裁国家の主導者が、反体制を唱える自国民に、国家転覆罪なる名目で処刑や拷問をするのと何ら相違ない。
 一方で松陰については、攘夷派かどうかは諸説あるため明断できないが、勅許を得ずに日米修好通商条約を締結した当時の幕府への批判を強めていたことから、尊皇だったことは間違いないだろう。また尊皇思想のほか、松下村塾で明治維新の指導的立場となる木戸孝允や伊藤博文、山縣有朋、前原一誠らを教えた功績も、松陰が現代で高く評価される所以である。
 萩においては、松陰ほか幕末志士のゆかりの地のほか、萩城内や城下町でも「歴史的な街づくり」を体感した。特に外堀より内側には武家屋敷や長屋門、敵の侵入を防ぐため道を迷路のようにした「鍵曲(かいまがり)」などが残り、通り沿いは石垣と土塀が整備されている。一般住宅も多く建ち並び、萩市民が歴史的な街づくりと観光客の受け入れに協力している姿勢がうかがえる。
 彦根でも、城内のほか、城下町や旧宿場で、萩に劣らぬ歴史的建造物が数多く残っている。しかし悲しいかな、道路拡幅や家主の世代交代などで取り壊しが進んでいるのも事実だ。
 彦根市民は、お上頼りの「殿様文化」から少しずつ脱却し始めたとされるが、街づくりや観光をはじめとする政(まつりごと)へ、更なる相携える姿勢が求められよう。 (山田貴之)

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