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2021年5月11日火曜日

和田裕行新市長インタビュー、 新図書館の整備計画 見直しへ、 ごみ施設と体育センターは「精査」

 滋賀彦根新聞は新しい彦根市長として10日に初登庁した和田裕行氏(50)に単独インタビューを行った。新型コロナのワクチン接種のほか、彦根市スポーツ・文化交流センター、市立図書館中央館、広域ごみ処理施設の大型事業の扱いを中心に、現市政の課題全般についての考えを聞いた。(聞き手=山田貴之)
 
燦ぱれすの解体是非 焦点
弓道場も「eスポーツを導入」
南彦根駅前に建設中の市スポーツ・文化交流センターは約3万5314平方㍍の敷地に、3階建ての延べ約9732平方㍍のスポーツ棟、2階建て延べ約2544平方㍍のまちなか交流棟、共有部分約809平方㍍、403台分の駐車場などが整備。来年6月22日に完成し、12月に供用開始する予定。現段階では、スポーツ棟で1階のスラブ(床板)工事、まちなか交流棟で基礎工事が始まっている。計画ではひこね燦ぱれすを来年4月以降に解体し、その跡地を駐車場にする予定。
市スポーツ・文化交流センターに対し、和田氏は「すでに着工しているが、eスポーツの導入など、市民負担を最小限にし、しかも収益が図れるベストな方法を考える」と説明。ひこね燦ぱれすや整備内容については「まずは駐車場のキャパシティーを考えるが、燦ぱれすはまだまだ使える施設だ。(遠的の)弓道場が必要かなどビジネスマンの視点で精査する」と述べた。
現市政が清崎町を候補地に2025年の開設を目指していた市立図書館の中央館については「このコロナ禍でニーズがあるのか。整備計画をゼロベース(白紙)にし、電子図書館の方向で考える。ハコモノを作るという時代ではない」と、図書館の整備計画を見直す考えを示した。
 
彦根城運営「市直営」へ
荒神山トンネル案「不要」
広域ごみ処理施設については「お金がかかり過ぎており、もう一度精査する必要がある」と述べ、またアクセス道路の一環として整備予定の荒神山トンネル案に対しては「不要と考えている」と、同案の実施を否定した。
彦根城の世界遺産登録については「メリットばかりでデメリットが出ていないため、そこを調べる。市民にメリットがあると判断すれば進めるが、登録までにできることは多くある」と解説。琵琶湖、男鬼、佐和山、高宮・鳥居本、曽根沼、荒神山をあげ「これらの観光資源を活用し、魅力をアピールすれば、滞在型観光につながっていく」と語った。また彦根城を民間委託している運営方式については「しかるべき時期に市直営に戻す」との意向を示した。
新型コロナウイルスのワクチン接種については「国の補助金に加え、市としてできる支援を模索する」とし「市立病院と市医師会との緊密な情報交換を進める」との考えを示した。
 
人口30万人都市へ
「まず1期全力で」
情報公開としては、定期的なユーチューブでの動画配信や、市民とオンラインで意見交換ができるサイトの開設を明言。行政改革としては「ICTで行革を進めている自治体を参考に、縦割り行政を無くすシステムを立ち上げたい」「職員については年齢や勤務時間に関係なく、結果で評価する」と語った。
 副市長人事については「事務方のトップという認識で、現役の市職員やOBを含めて選任したい。特別顧問や庁内の新チームも適材適所の人選をしたい」と説明。選挙中に支持した市議が令和会の2人のみだった市議会との関係については「市民にとってプラスだったら、(最大会派の)公政会の意見も取り入れる。議会との関係よりも、やはり市民にとってプラスかマイナスかが最終判断になる」と話した。
 最後に和田氏は「私が目指す彦根の将来ビジョンは人口30万人の中核都市で、県庁の移転まで視野に入れている。その足掛かりとして、まずは1期4年を全力で務めたい」とし「新しいまち彦根に向けて、市民の皆さん、一緒に作っていきましょう」と呼びかけた。

2021年5月10日月曜日

西川貴教さん彦根市役所の新庁舎で市長と面談 県内ツアーPR

 歌手で滋賀ふるさと観光大使を務める西川貴教さんが4月27日、彦根市役所の新庁舎を訪れ、大久保貴市長と面談した。
 デビュー25周年を迎える記念ツアーを県内10市で計25公演行うため、4月23日と27日に分けて滋賀県と10市も訪問した。
 彦根での面談は新庁舎の屋上で行われ、ひこにゃんも出迎えた。西川さんは彦根で生まれ、4歳まで市内で過ごした。市長にそのことを聞かれた西川さんは「彦根でも公演ができるのでうれしい。お客さんが安心して入場できるようコロナ対策をしたい」と述べた。
 2025年に滋賀県内で行われる国民スポーツ大会の主会場が彦根になることにもふれ「スポーツとエンターテイメントで次につながることをしたい」と語った。新庁舎や彦根の街並みの印象については「庁舎をはじめとした新しいものと古いものとが調和されている。旧城下町の風情が残っていて、すばらしいと思う」と話した。最後には女性職員から花束が贈られた。
 
文プラで2627
 西川さんの彦根市内での公演は今月26日午後7時~と27日午後4時~文化プラザで。全席指定9000円。3歳以上有料。チケットの購入は「TMR イープラス」で検索を。問い合わせは平日午前11時~午後4時にキョードーインフォメーション☎0570(200)888。

 

2021年5月9日日曜日

滋賀県土地家屋調査士会が本「滋賀の地籍-土地家屋調査士の視点から」発刊

 滋賀県土地家屋調査士会(事務局・大津市)が、古地図や地籍図を活用し県内の地歴を調査した内容を本にまとめ、サンライズ出版(鳥居本町)から4月12日に発刊。「所有者不明の土地や空き家などの問題を解決するヒントにもなる一冊」としている。
 同会は不動産登記や土地の境界を明らかにする土地家屋調査士が199人所属する団体。昭和25年(1950年)に土地家屋調査士制度が制定されて以降、今年度で70周年を迎えたため記念誌として発行。平成16年(2004年)から県内各所に保管されている地籍図や古地図の調査、実地見学会、研修会を行った成果を、副会長の西村和洋さん(48)が編集責任者となってまとめた。
 本はタイトルが「滋賀の地籍-土地家屋調査士の視点から」。第1章「法務局や地域にて保管されている様々な地図」と第2章「滋賀県内の地籍・土地境界に関する慣習および特徴」で構成。第1章では浅井郡五村区(長浜市)地券取調総絵図など「ムラ」に残る地籍図類、伊能忠敬が享和3年(1830年)から4回にわたって滋賀を訪問した足跡などを紹介している。
 
ノコギリ型道路 シシ垣…
県内の古地図や地籍図で解説
 第2章では、建物が段違いに並び立って道路の形状に影響を及ぼしている大津市堅田地区・長浜市元浜地区などの「ノコギリ(稲妻)型道路」、死者を埋葬する墓地(埋墓)と遺族が参拝する墓地が離れた場所にある「両墓制とサンマイ(埋墓の呼び名)」の県内での分布、江戸時代に農民が獣害対策として集落や田畑を石垣や土塁で囲んで築いたシシ垣が法務局の公図や地籍図でどのように記されたかを解説した「シシ垣と公図」などをまとめている。
 彦根関連では、水路の脇の泥上場(どろあげば)を描いた江戸町(現・京町2)の公図や東内大工町(現・中央町)の壬申地券地引絵図を掲載し「水路と明確に区分しており、これは県内のほかの地域では見られない特徴だ」と説明している。
 会長の沢弘幸さん(67)は「本では地籍図などを通して県内地域の特徴や慣習の数々を紹介している。各地域の歴史を振り返る参考にもしてほしい」と話している。本はB5判、カラー200ページ。税抜き4500円。

 

2021年4月30日金曜日

変革し始めた市民性

「驚天動地(きょうてんどうち)」、世間を非常に驚かせること(大辞林)。まさに、この言葉があてはまる市長選の結果であった。和田氏の支持者を除き、小生を含めて誰がこの結果を予想していたであろうか。
 現職の大久保氏の1万1663票に対し、和田氏と獅山氏を足したいわゆる批判票は2万2584票と倍近い数であり、批判票の6割以上が和田氏に入った。その要因としては失政が続いた現市政に対する不信感、団体や政党の支援を受けず、SNSを利用した和田氏の「新しい選挙スタイル」と「しがらみのない政治」、そして斬新な公約があげられる。
 
閉塞感打破求めた
 しかし、それら以上に小生はこれまでの幾年かにおよぶ鬱積してきた閉塞感や停滞感が漂う彦根特有の雰囲気の打破を望む市民の思いがうねりとなり、我々が見えぬ水面下で想像以上に広がったと考えられる。
 大久保氏の陣営幹部が敗北後、「私たちには和田さんが何をしているのか見えなかった。獅山さんとの戦いだと思っていた」と語り、獅山氏も敗北後「ドラマを見ているようだ」と漏らしていた。
 両陣営の率直な感想は小生も同感であり、両陣営についた国会議員や県議、市議らも同じ感覚だったに違いない。つまり選挙を何度も経験、取材してきた我々と、有権者との感覚には大きなズレが生じており、時代や潮流に追いついていないということだ。敗北した陣営のある市議もそのズレに触れながら市議たちの改心の必要性を説いていた。
 そして、これまで幾度となく「彦根は生ぬるいお湯にどっぷり浸かったたこつぼ状態にある」と指摘し、殿様文化の打破を求めてきた小生の認識も、今回の結果を受けてその誤りを認めざるを得ない。投票率の低さは相変わらずのため、まだまだ小規模ではあるが、市民性は変革(殿様文化は打破)し始めたとしか言いようがない。
 
課題山積みの市政
 さて、来月10日に就任する和田新市長には課題が山積みである。まずは新型コロナ対策に万全を期すことはもちろんだが、すでに建設中の市スポーツ・文化交流センターの整備をストップするのか、滋賀県と進めている彦根城の世界遺産登録をいかに扱うか、ひっ迫する市の財政をいかに立て直すのか、そのほかにも新しい広域ごみ処理施設や市立図書館中央館の整備方針も示す必要がある。和田新市長の手腕に期待したい。 【山田貴之】

 

 

2021年4月28日水曜日

彦根市長選 新人の和田裕行氏初当選「市民の勝利」

 彦根市長選は25日、投開票が行われ、新人の和田裕行氏(50)が1万3903票を獲得。現職の大久保貴氏(57)と元職の獅山向洋氏(80)を破り、3度目の挑戦で初当選を果たした。当確後、和田氏は「市民の皆さんの勝利だ」と喜びをかみしめた。
 選挙戦は新型コロナ対策や財政再建が争点となった。和田氏はユーチューブやフェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどSNSを活用した「新しい選挙戦」を展開。「リセットと復活」をキャッチコピーに掲げ、若者や子育て世代のほか、現市政に不満を抱く中高年にも浸透した。当初は投票率の低さが予想され、現職が組織票をまとめると見られていたため苦戦が予想されたが、選挙戦の中盤から終盤にかけて和田氏の陣営でも手ごたえを感じ、次点に2000票以上の差をつけて勝利した。
 当確の報告を受けて登場した和田氏は「現職有利の予想だったが、必ず勝てると思って戦った。何も言えねえという感じ」と笑顔を見せた。勝因としては「市民の皆さんの代弁者として訴えてきた。市民の皆さんの勝利だ」とし、新型コロナ対策については「万全のコロナ対策を全力で取り組みたい。ワクチン接種は一刻一秒を争うため、無駄のないように進める」と述べた。
 
「一市民として応援」
大久保氏 敗戦の弁
 大久保氏は推薦を受けた連合滋賀や地元3町などの組織票のほか、支援に回った彦犬地区の県議4人全員や市議会与党会派の夢みらいの市議らのバックアップを受けた選挙戦を展開。「市の財政は健全だ」と強調したが、和田氏や獅山氏の陣営にフェイスブックで批判を受けた。敗戦後、大久保氏は「大きな事業が進んでいるので、新市長を中心に市が最も良い発展の道に進むよう導いてほしい。5月10日以降は一市民として応援したい」と語った。
 
獅山氏 高齢影響
獅山氏は市議5、6人の支援を受けながら、政治経験と知名度から高齢者を中心に支持を得たが、やはり80歳という年齢を不安視する声もあり、伸び悩んだ。獅山氏は「現職への批判票の大半が私ではなく、和田氏に流れたということ。やはり歳の力(差)か」と分析した。
 大久保氏の任期は5月9日までのため、当選した和田氏は5月10日に初登庁する予定。
 
事実上の過去最低
投票率、コロナで
 当日の有権者数は9万0244人。うち3万4868人が投票し、無効は621票。投票率は3864%で、春の通常の市長選では最低だった前回4年前の3916%を下回った。
 期日前投票は、仮庁舎2705人、稲枝支所1250人、ビバシティ彦根4134人、文化プラザ1231人の計9320人で、前回4年前の7386人から増加した。

2021年4月24日土曜日

彦根市長選の候補者政策アンケート(後半)

彦根市長選各候補への政策アンケートの後半4項目です(敬称略)。
 
⑤教育および福祉政策
◇獅山向洋「小中学生が一人一台のタブレットを使える時代になった。タブレットを自宅に持ち帰ることができるか、不登校生徒はオンライン授業を選択できるか、今後様々な課題が出てくる。時代の流れに乗り遅れないマンパワーの育成が急がれる。コロナ禍の渦中における福祉の位置づけが重要である」
◇大久保貴「タブレットの活用によるICT教育を進め、だれ一人取り残さない教育を目指します。小学生の通院医療費の拡充を目指し、学校給食費を無償化します。保育や介護の仕事を選ぶ人が増える支援を強化します。住み慣れた自宅で生活できるよう地域包括ケアシステムを更に進めます」
◇和田裕行「滋賀県は学力テスト最下位ですが、彦根の教育理念・施策をバージョンアップし、まずは心の教育から始めます。若い世代が安心して子育てでき、出て行かず、移り住んでもらい、その世代がしっかりとご年配方をお支えすることが持続可能な福祉政策の根幹です」
 
 ⑥新しいごみ処理施設および市立図書館
 
◇獅山「ゴミ処理施設も市立図書館も今後5年間の中期財政計画においては何ら位置づけられていない。財政難を乗り超えてこそ具体的な議論ができる事業であり、今後の財政運営の成否にかかっている。少なくとも今期の市長の4年間は財政立て直しに明け暮れ、その成否によって将来の展望が開けてくると考えている」
◇大久保「荒神山の景観に配慮した最新のエネルギー回収施設を建設し、サーマルリサイクルによる二酸化炭素の削減と生み出される電気や温水で地域の活性化を図ります。中央図書館については令和7年の開館を目指し、湖東圏域内の相互利用の実現を目指します。何れも整備手法を含め財政支出を少なくする工夫をします」
◇和田「いずれも市民の負担が最小になるようゼロベースで見直します。まだ候補地の段階の該当地域にごみ処理施設や市立図書館建設の公約をするのは裏合意ないしばらまきです。西清崎の場合トンネルは不要と考え、トータルで市民負担が最小になる候補地を選択すべきです。図書館についてもコロナ禍ではまず電子図書館を検討すべきです」
 
 ⑦稲枝地区の振興策
 
◇獅山「人口減少と少子化、超々高齢社会に突入した日本では、稲枝地区の問題は市内各地の問題であり、日本全体の問題。そこへコロナ禍と市の財政難が降りかかってきた。市が新たな振興策を議論できる財政的余裕はなく、すでに取りかかっている事業を粛々と進めていく」
◇大久保「稲枝駅西口へのアクセス道路の整備を行います。県道2号線から東に広がる稲部遺跡を含む公園化について、令和3年度の都市計画決定を目指します。民間事業者の力も活用しこの地域にふさわしい、官民協同の公園整備を目指します。稲枝東学区と北学区にも土地活用に課題があるので支援します」
◇和田「稲枝駅西口完成から道路の整備までに時間がかかり過ぎです。投資対効果を上げるため必要な整備は迅速に推進します。少子高齢化が進み、空き家も目立ってきましたが、ICTを活用した独居老人やお体のご不自由な方の見守りシステムを市の周辺部から進めます」

 ⑧そのほか重視する政策
 
◇獅山「ヤングケアラー、フリースクールへ公的支援。市茶の湯条例、市手話言語条例の制定。パートナーシップ条例制定の検討。高齢者への紙おむつ購入費助成範囲の拡大。安定ヨウ素剤の学校家庭へ配布。ひこね燦ぱれす解体反対。荒神山トンネルを含む市道建設反対。フィールドホッケー練習場の検討」
◇大久保「女性活躍について、市役所の管理職や委員会などの機関について更なる登用を図り、一人ひとりが個性を発揮できる地域社会を目指します。新たに業務を開始する庁舎で、市民サービスのワンストップ化を実現し、市民のサービス満足度を向上します」
◇和田「子育て・教育環境を充実させ、働き盛りの人たちに彦根に住んでもらうことが最大の福祉政策です。厳しい財政状況でもICTを駆使して財源を捻出し、まずは安心して出産できる医療体制、産休・育休支援、中学3年までの医療費・給食の無償化に取り組みます」

2021年4月22日木曜日

彦根市長選の候補者へ政策アンケート(前半)

 滋賀彦根新聞社は彦根市長選に出馬した3人の候補者に政策アンケートを実施。8つの質問項目に対する各候補の回答を2回に分けて掲載する(敬称略)。
 
 ①彦根市の財政再建策
 
◇獅山向洋「彦根市中期財政計画(令和3年~令和7年)は『財源不足への対応』をしなかった場合、令和7年度には累積赤字が110億円に達する、これを回避するためには毎年『25億円~29億円の実施予定事業の延伸、中止を含め経常経費の縮減を図る』と述べているので、この方針通りに実行する決意である」
◇大久保貴「市の財政は健全です。平成30年の中期財政計画では令和2年度に財政調整基金はゼロで実質収支は30億円の赤字の可能性としましたが、適切な財政運営で現在は財政調整基金が26億円で実質収支も黒字。ただ今後はコロナ対策で財政の厳しさが増すと思われ、これまで以上に行政改革に取り組み、ふるさと納税など収入アップを強化します」
◇和田裕行「まずは予定されている新市民体育センター等の大型公共事業の内容を精査し、費用対効果の点から無駄がないか徹底的に検証します。ICTによる行財政改革を推進して無駄の削減・効率化を図り、コロナ禍での地域経済活性化策にもICTをフル活用して収益化を実現するなど、歳出減・歳入増の両面から危機的な財政を再建します」
 
 ②新型コロナ対策
 
◇獅山「感染症対策としてはPCR検査の強化が重要であるが、全県的に実施する必要があるので、滋賀県市長会を通じ知事にリーダーシップを発揮するよう要望する。ワクチン接種について、彦根市は県内の市町に比べて対応が遅く、市民への広報も不十分な印象を受ける。市民に不安を与えないよう迅速・円滑に実施する」
◇大久保「市民の皆様のご協力に感謝申し上げ、今後もマスクの着用や三蜜を避ける努力をお願いします。県には広範囲な検査をお願いし、全庁を挙げて市民へのワクチン接種に取り組みます。また災害時の避難所での感染防止対策を徹底します。パルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)を必要な方に貸し出します」
◇和田「彦根市は3月、滋賀県平均の3倍の感染率でしたが、まずはこういう情報をしっかり市民に公開すべきです。彦根市立病院は病床使用率も非公表で、袋町で一斉に行われたPCR検査も県主導だったため、不安しか与えていません。市長自らが現状や具体的な対策のお願いを市民にユーチューブ等で発信すべきです」
 
 ③新型コロナ後の地域振興策
 
◇獅山「彦根市は今後、市債の元利支払の重圧のもとに中長期的に実質公債費比率が高く財政が硬直化するので、積極的な地域振興策を行うことは困難である。小中学校の給食費・医療費無償化など市民生活を中心に据えた政策で、定住人口の維持と移住促進を図り、市としての力を蓄えることが最大の振興策である」
◇大久保「ジェトロ滋賀を活用し地場産業の海外展開を支援します。中央町仮庁舎を拠点に産官学連携でデータサイエンスの起業を支援する。南彦根駅はスポーツ・文化交流センター、河瀬駅は中央図書館、稲枝駅は西口公園開発など、各駅を中心にコンパクトで地域の特性を生かしたスマートなまちづくりを進めます」
◇和田「新型コロナの影響はまだまだ続くという認識のもと、ICTをフル活用して産業を活性化し、彦根および彦根の物産を国内外に売り込んでいきます。地元の中小零細企業や個人事業主向けに市としてICT推進チームを編成してコンサルティングをし、コロナ収束を待たずにできることをやりつくします」

 ④世界遺産および観光振興策
 ◇獅山「私が市長をしていた平成4年に彦根城が世界遺産暫定リストに登載された。世界遺産は彦根市の悲願であり、私個人の悲願でもある。更に尽力する。彦根市観光の中心の彦根城、彦根城博物館及び「ひこにゃん」の維持管理が民間企業に委託され、観光振興策に関する議論が低調になったように感じる。議論を活発化したい」
◇大久保「彦根城の世界遺産登録を令和6年に実現するため、県と進めます。文化とスポーツを観光振興の柱として人の流れを活発にします。国道バイパスの整備で渋滞を緩和し、電動輸送車の導入など公共交通を再整備します。近隣市町と連携し近江鉄道やJR、パークアンドライドを活用しゆっくり楽しめる滞在型観光を推進します」
 ◇和田「他力本願ではなく今できる観光施策を推進すべきです。彦根城以外にも佐和山城跡・中山道宿等の歴史遺産や里山・琵琶湖等の観光資源が豊富にありますので、コロナ禍でも誘客できる資源をフル活用します。お金をかけずに聖地化(フナの里や赤カブトの森など)を推進しつつ、佐和山城の3ホログラムによる再現にも挑戦します」

2021年4月21日水曜日

彦根市長選3氏が第一声

「住みたい街 彦根に」
 
獅山候補は銀座商店街の事務所で支援者約50人を前に第一声。人口減少を
念頭に「彦根市として特徴を出さなければ」と、小中学校の給食費と医療費の無償化を掲げ「全国から彦根に住みたいと思われるようにしよう」と呼びかけた。
新型コロナ対策では大規模なPCR検査を実施する「広島方式」の導入を、県市長会を通じて県知事に申し入れるとした。また「彦根市のワクチン接種があまりにも遅いという批判を受けている」と指摘し、コールセンターへの問い合わせが多いことを例に「不手際が多すぎるのではないか。これは市長にリーダーシップが無いから。人任せの市長を選べば、危機状態にある彦根はもたない」と訴えた。さらに市民の健康づくりとして、市民に歩数計を配布する「ウォーキングポイント事業」に取り組むとした。
 80歳という年齢不安説については毎年、彦根シティマラソンで5㌔を完走していること、米国大統領のバイデン氏も78歳であることを取り上げ「政治は年齢ではない。彦根市をどれだけ愛し、愛する気力を行動力に変えられるかが大事」と語った。
 出発式では辻真理子、伊藤容子、中川睦子、谷口典隆の各市議も駆けつけて支持を呼びかけた。 

「広域連携で政策進める」
  長曽根南町の事務所で出陣式を開き、与野党の国会議員、県議、市議、周辺市町の首長らを含め約100人が参加。大久保候補はごみの再処理や消防司令、観光を東近江や長浜など広域で進めていることをあげ「大きな圏域で進めて発展させることが重要」と主張。
新型コロナ対策については「国、県、市町が協力して進めている。ワクチン接種を彦根市でも5月10日から高齢者の予約を開始し、24日から接種を行う」「地域経済は大変な状況だが、何とかコロナを乗り越えるため、全庁あげて、市民の暮らしと命を支えていくという強い気持ちでのぞんでいく。精一杯、命がけでのぞんでいく」と意気込みを語った。
 応援演説として、元市議の安居正倫選対本部長は、国スポ・障スポに合わせたインフラ整備、新しい広域ごみ処理施設の建設、市スポーツ・文化交流センターの新設、市立図書館中央館の整備、彦根城の世界遺産をあげ「いずれもこれから花を咲かせていく事業で、その責務が現職にある」と述べた。
上野賢一郎衆院議員、田島一成氏、小鑓隆史参院議員、嘉田由紀子参院議員、細江正人県議らが演説したほか、大野和三郎、江畑弥八郎県議、中沢啓子の各県議、矢吹安子、小川吉則、森田充、上杉正敏、馬場和子の各市議が駆けつけた。

「明るい未来を市民と共に」
 和田候補は高宮町の事務所で支持者約30人を前に第一声。新型コロナ対策として、感染者が入院している彦根市立病院やワクチン接種について「市立病院の病床数やその使用率が公開されていない。市民に正確な情報を伝える必要がある」「高齢者へのワクチン接種が遅れており、市民の苦情も殺到した。ワクチン接種を早急にできるよう徹底させたい」と述べた。
 財政再建については現職がフェイスブックで「市の財政は健全」とするチラシを掲載したことをあげ「民間から見れば、粉飾決算。詐欺的な行為と言え、市民は愚ろうされている」と指摘。「財政は危機的な状況で、財政調整基金も枯渇する。財政を立て直すためにICTを駆使した行財政改革と地域経済の活性化で健全化に持っていく」と強調した。
 現市政に対しては「失政が続き、一人の県議会議員の言いなりになっている」と批判した上で「暗い過去か、悲惨な現在か、明るい未来かの選択の選挙になる。明るい未来の彦根を市民の皆さんと一緒に作っていきたい」と語った。
 高宮学区連合自治会長で元市議の大橋和夫さんは「彦根のかじ取りには若いリーダーが必要。和田さんのりっぱなマニフェストを色んな手法で伝えていきたい」と話した。支持する議員は北川元気、堀口達也の各市議。


2021年4月15日木曜日

財政再建に死力を尽くせ 4月25日市長選 市政課題

彦根市長選挙が4月18日告示、25日投開票で行われる。本紙は市長選を前に市政課題を数回に分けて取り上げている。今回は財政問題。
 
22年以降赤字も
3年後~市債返済
 彦根市が今年2月に示した市中期財政計画では2021年度から5年間の財政状況を予測。財源不足への対応を行わなかった場合として22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支が赤字に転落するというショッキングな数値を示した。
 具体的には、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算だ。
 この最大の要因は人件費や扶助費(社会保障の経費)が増大する上、新型コロナウイルスの影響による市税収入の大幅な減少が追い打ちになっている。また市役所本庁舎の耐震工事、彦根市スポーツ・文化交流センターの整備、道路・橋りょうの改良など大型の投資事業が続いたため、市債の返済が24年度から開始する。これに伴って実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)は21年度の9・3%から、24年度には13・9%に悪化する見込みだ。
このほか、彦根市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
 
歳入策 待ちの姿勢
歳出策は不透明
 これら財源不足への対応として、市財政課は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」と説明。具体策と21年度比の22年度以降各年度の歳入増収額はネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円を列記。
 一方で歳出削減の策と額・比率は業務の委託化、ICTの活用などで時間外勤務の縮減によりマイナス5%予定事業の延期、中止を含めた事業の見直しで25億円~29億円を削減市単独の補助金について再検証してマイナス1000万円など。そのうち事業見直しの25億円~29億円の具体的な内容は明らかになっていないが、市財政課では「一つの大きな事業の経費というよりも、複数の事業を少しずつカットしトータルで25億円以上を削減するのが現実的」としている。
 しかし市が示す歳入策は「待ち」の内容が目立ち、「攻め」の姿勢が見えてこない。歳出面もその具体策は不透明なままである。また今回の市中期財政計画には今後、控えている新しい市立図書館中央館や広域ごみ処理施設の大型事業の経費は入っておらず、10年後以上先の長期を見据えた財政計画も必要である。各候補がいかなる財政再建策を訴えるか注目したい。(山田貴之)

2021年4月11日日曜日

彦根市長選の立候補予定者を招いたウェブ討論会

4月18日告示、25日投開票の彦根市長選の立候補予定者を招いたウェブ討論会が3月30日に開催。4月7日からユーチューブで動画配信されている。出馬予定者は現職の大久保貴氏(57)=三津屋町、元市長で市議の獅山向洋氏(80)=城町1、衣料品販売業の和田裕行氏(50)=高宮町。
 立候補予定者同士の討論として和田氏は大久保氏に対し、庁舎耐震化を巡る裏合意や百条委員会、不信任案提出などをあげ「民間企業なら辞任しているが、なぜ3期目を目指すのか」と疑問を投げかけた。大久保氏は「手続きの中でミスが出たが、建築面積は当初より倍になり、国から補助金もある。新しいスポーツ・文化交流センターもしっかりやり終えると、人の流れを作ることができる。継続の事業を完結しないとならない」と答えた。
 獅山氏は和田氏に対し「政治経験がないのに、新型コロナや厳しい財政の中で大変な時に市長が務まるのか、不安の声があるが」の指摘に、和田氏は「ビジネスマンとして、コロナ禍は民間の方がよっぽど大変で、死活問題になっている。私は一切しがらみがなく、民間の発想であたることができる」と答えた。
 獅山氏は大久保氏に対し「彦根市中期財政計画で今後毎年度、25億円から29億円の歳出を削減するとしているが、どの事業を無くすのか」と質し、大久保氏は「金亀公園の再整備による計画で8億円を削減した。事業の見直しを行って健全な財政運営をしていく」と述べた。
 項目ごとの各氏の主張は以下の通り(敬称略)。
 【市政課題】
大久保「新型コロナウイルスを乗り越えていく。ワクチン接種をじん速に行えるようにリハーサルを行った。国スポ・障スポに向けた投資は彦根にとって大変役立つ」。
 獅山「財政再建。どれだけ事業をやめるか。リーダーシップを持って進めないと財政が崩壊する。これから5年ほど冬の時代を迎えるが、決断力を持って対応したい」。
 和田「危機的な財政状況にあるが、まずはコロナ対策が喫緊の課題。変異株の状況も見通せない。ユーチューブやラインを活用し市民に感染対策について説明したい」。
 【教育・子育て】
 獅山「フリースクールの公的支援をやりたい。国のGIGAスクール構想で子ども1人にパソコン1台が提供される。不登校の児童生徒も自宅で授業を受けられ、オンラインで勉強もできる」。
 和田「子育て世代が彦根から出ていかない、または移り住んでもらう魅力的な政策が必要。フリースクールへの支援のほか、いじめや不登校の対策として心の教育を徹底したい」。
 大久保「不登校は事情がさまざまのため、さまざまな支援が必要で、フリースクールもその一つ。多様なサービスを作ることが大切。一人1台のタブレット端末も連携して活用したい」。
 【地域活性化・観光施策】
 和田「彦根城やひこにゃんにおんぶにだっこの状態。世界遺産もメリットとデメリットを考える必要がある。高宮や鳥居本、男鬼町など売り込める場所はほかにある。近江鉄道にトーマスも走らせたい」。
 大久保「世界遺産の国内推薦が見えてきた。国スポ・障スポに向けて国道の整備も進めている。グリーンスローモビリティも新たな交通手段として検討する。石田三成の大河ドラマの実現も目指す」。
 獅山「彦根は文化的には全国的にも高いが、観光都市としての意識がほかの観光都市と比べても低い。おもてなしの心を市民の皆さんに浸透させることも重要になる。
 【コロナ禍の事業所支援】
 大久保「事業所の設備投資に対する支援をしてきた。長期化する可能性があり、基金に資金を集めて、必要な所にじん速に支援していく」。
 獅山「基金を使い果たしており、対策ができなくなっている。国の支援策を市民に教えていく。市としてはワンストップサービスで相談を受け付けたい」。
 和田「飲食業や観光業だけでなく、全市的な支援が必要。アフターコロナに向けて、売り込める体制を作るため、市はコンサル的な役割を果たしたい」。
 【医療介護福祉】
 獅山「健康寿命を延ばす。歩数に応じてポイントを支給する『よこはまウォーキングポイント』制度を参考に導入する。福祉のマンパワー確保のため労働環境を整えることが重要」。
 和田「人口を増やしていくことが大切で30万人都市をビジョンに掲げる。人口増はすべての福祉の充実に結び付く。持続可能な新しい彦根に向けICTをフルに活用し行革を進める」。
 大久保「市立病院の産婦人科が再びできなくなっているが、医師の点在はどこでもあり、クリアする努力をする。保育士への経済支援、介護士への支援を更に強化しなければならない」。
 討論会の模様は主催した彦根青年会議所のユーチューブで配信される。17日まで。

2021年4月7日水曜日

荒神山トンネル案 再考せよ

新しい広域ごみ処理施設の建設に伴う市道整備の一環で、彦根市は荒神山にトンネルを設ける案を立てている。しかし今月初めに開かれた新ごみ処理施設整備連絡協議会では委員である複数の市民らから荒神山トンネル案に「反対」の声があがった。周辺住民からも反対の意見があり、荒神山トンネル以外の案が求められる。
 市は昨年10月に開いた、環境影響評価(環境アセスメント)方法書を作成するための住民説明会で、ごみ収集車など関係車両が走行するアクセス道路案を発表。その中で突如、荒神山にトンネルなどを整備する案を示した。
 新しいごみ処理施設の整備候補地の西清崎地区にごみ収集車などが入るには専用の道路の整備が必要になる。そのため市は日夏町、賀田山町、稲里町の住居地域をう回するため、市道・大藪金田線から建設候補地、そして稲村山農道までをつなぐ約2・4㌔の案を立案。その大藪金田線から建設候補地までの途中には荒神山を約135㍍分含んでいるため、トンネルなどが整備される可能性が出ている。アクセス道路の概算経費は38億円。
 
自然を破壊して良いのか
 荒神山には天智天皇(626~672)の時代に設けられたとされる荒神山神社や国の史跡に指定されている荒神山古墳など、歴史的にも重要な文化財があることは言わずもがなであるが、周辺を含め生物や草花など自然豊かな場所でもある。
 特にトンネルを整備すると、少なからず自然が破壊されることは明らかである。大地を再生させる活動を全国で展開している矢野智徳さんは「現代の人工的なコンクリートやブロックで仕切る工事は、大地での水と空気の入れ換えが滞り、植物の根の呼吸も弱くなる」と指摘。さらに「土壌の空気と水がよどむことで有機ガスが停滞し、病菌類のバクテリアが増え、植物たちは不健康な状態になる」と解説している。
 長年、守られてきた文化財や自然を我々の世代で破壊してよいはずがない。荒神山トンネル案はまだ正式には決定していないが、市は進める意向だ。先の議会でも関連の議案が通過した。おそらく市議会も地元住民の反対の声を知らぬのであろう。荒神山トンネル案の見直しが求められる。【山田貴之】

ワクチンの集団接種の会場やスケジュール発表

 彦根市は3月24日、新型コロナウイルスワクチンの集団接種の会場やスケジュールなどを発表した。
 医療従事者には3月8日から接種が行われている。4月12日の週に675人分のワクチンが入ってくるため、まずは4月下旬に高齢者施設の入所者を対象に施設内で接種を行う。
 集団接種の会場はくすのきセンター(八坂町)、アルプラザ彦根4階、みずほ文化センター。65歳以上を対象に4月5日から接種券を配布し、5月中旬から予約を受け付け、5月下旬からくすのきセンターで接種が行われる。高齢者以外の対象となる16歳以上の市民には7月上旬に接種券が発送され、基礎疾患のある者と高齢者施設の従事者の接種が8月中旬から、ほかの市民が8月下旬から始まる予定。アルプラザ彦根の期間は6月1日から来年1月31日までで、市と平和堂は22日、協定を締結した。
 集団接種の実施曜日は彦根医師会の診療所が休診の木土日を基本にほかの曜日も可能になるよう調整する。集団接種と並行して、市内3病院や約30の診療所と連携し個別接種も調整していく。問い合わせは彦根市予約受付コールセンター☎0120(152)811。

 

2021年4月2日金曜日

野球肘の検診 県内初

 彦根学童野球連盟に加盟する小学生を対象に、投げすぎで肘(ひじ)に症状が出る「野球肘」の予防を目的にした検診が3月20日、多賀町の滝の宮スポーツ公園で行われた。
 野球肘は少年期のオーバーワークで肘の内側、外側、後方に症状が出るけがで、特に外側は痛みが出てから受診しても手遅れになる場合がある。
 彦根学童野球連盟などによると、野球肘を防ぐ学童野球向けの検診は徳島県や奈良県で先進的に行われているが、滋賀県ではこれまで実施されていないという。同連盟事務局次長で理学療法士の小林博樹さん(33)=甲良町=は子どもたちの野球肘を防ぐ検診を行う団体「SBBCS(Shiga Base Ball Club Supports)」を設立。県内外の整形外科医や理学療法士、柔道整復師らと一緒に県内で初めて「野球肘検診」を企画した。
 この日は同連盟に所属する16チームのうち希望のあった12チームの新5、6年生107人がチームごとに参加。医師3人、理学療法士6人、柔道整復師4人が3カ所に分かれて、児童一人ずつに対し、肘の状態を調べる理学所見をした後、エコーを使いながら肘を伸ばした時と曲げた時の骨と軟骨の状態を診察した。
 城陽小4年で一塁手と投手を務める櫻井遥さん(10)は「大丈夫だったようで安心しました。これでこれからも練習に励めます」と笑顔を見せた。野球肘には軽度のレベル1から重症のレベル4まであり、レベル2までは痛みを感じないことが多いという。小林さんは「痛みが出てからでは遅い場合があり、レベル2までの状態を早期に発見するのが重要。彦根地域のみならず、県内各地に広まるよう努めたい」と話していた。彦根地域では来年以降も実施していく予定。

新しい彦根市立図書館の中央館の建設候補地 亀山学区内の清崎町に

 新しい彦根市立図書館の中央館の建設候補地を決める用地選定委員会の4回目が3月24日、くすのきセンターであり、亀山学区内の清崎町が選ばれた。30日に市として正式に決定した=写真はイメージ図
 市は2017年3月に市図書館整備基本計画を策定し、既存の建物を北部館、市スポーツ・文化交流センター内にサテライト館、河瀬か亀山に中央館、稲枝に南部館を設ける予定。特に中央館は彦愛犬1市4町の広域的なサービスの展開も最終的に目指す。河瀬と亀山の各学区が絞った2候補地から選ぶため、市図書館(中央館)用地選定委員会が昨年1120日から協議を進めてきた。
 中央館の候補地は、河瀬学区が南川瀬町の彦根工業高校近くの土地2万2813平方㍍、亀山学区が清崎町の彦根亀山郵便局近くの土地約4万平方㍍だった。中央館を建設する広さは約9000平方㍍分。
 委員9人は①利用圏の人口・周辺道路の交通混雑・駅からの距離など利便性②浸水被害想定・住環境への影響など周辺環境との調和③将来の拡張への対応可能性など土地の有効性④農用地区域の状況など事業遂行の円滑性⑤土地取得費用など事業の経済性⑥圏域内のバランス―について、5段階で点数を付けて評価した。
 4回目の会議は非公開で行われたが、委員からは「歩行者の安全や車によるアクセスについて配慮できる」「将来的な土地の有効活用の可能性を考慮した」などの意見が出たといい、結果は8人が亀山学区(清崎町)を選び、最終的に全員が合意した。
 今後は26日に教育長に提言書が渡された後、教育委員会会議と市長との協議を経て30日に市として正式決定する。4月以降は概算の事業費やスケジュールを示すための調査を行い、2022年度以降、農業地の青地から白地への解除手続きなどが必要になる。中央館の完成に向けて、市は2025年に滋賀県で開かれる国民スポーツ大会後に本格始動したい考え。

2021年3月28日日曜日

庁舎耐震「迷走」振り返る

彦根市役所の本庁舎耐震化計画は2011年12月の市庁舎耐震整備基本計画の策定が始まり。9つの案から庁舎を耐震工法で補強し、前面に5階建ての増築、立体駐車場の整備、敷地内への仮設庁舎を建設する内容だった。
 しかし、2013年5月に就任した大久保市長は3カ月後の8月6日に県庁で「白紙」の意向を示し、9月議会での耐震整備の関連費計上を見送った。12月議会で「ゼロベース」を表明し、翌年4月から有識者による彦根市庁舎耐震化整備検討委員会を開始。1114日に同委員会から制震工法を採用するなどの報告書が提出された。
 2015年6月議会に市は彦根駅東口に仮設庁舎を建設する案などを提案したが、市議会は前年に出した5項目の付帯決議が守られていないとして、同案を否定(省いた修正案を可決)。市は9月議会に既存棟の前面に1階、後面に5階の建物を増築する整備計画を示したが、市議会は付帯決議が守られていないとして再び否定(関連議案を省いた修正案を可決)した。そのため市は4つの案を市議会側に提示し、その中から前面に増築する案に決定。17年6月に施工業者と契約を結んだ。
 だが、翌年1月に市は予定価格29億3900万円と施工業者の見積額38億7700万円の差額を埋めるため、一部職員が既存庁舎の改修、外構工事の一部取り止めや使用材料の変更などを施工業者に別途発注していたと発表。地方自治法施行令違反にあたる裏合意問題として大きなニュースになった。
この問題を受けて、当時の副市長(男性)が辞任。裏合意の公表時、市は「(当時の)副市長が主導した」と発表していたが、2018年4月9日から8月22日まで行われた百条委員会で、その副市長だった男性は「作為的で疑念を抱いている」などと関与を否定。一方で担当だった職員は「(裏合意が)地方自治法施行令違反にあたる認識はあった」と述べていた。
 市は2019年2月までに調停を行った上で施工業者との契約を解除。その後の入札も不調を繰り返し、1126日の4回目の入札で市と裏合意していた施工業者が落札し、12月議会での承認を経て工事が始まった。(山田貴之)

 

 

彦根市役所本庁舎の耐震化と増築の工事完了へ5月6日から業務を開始

 彦根市役所本庁舎の耐震化と増築の工事が今月中に完了し、アルプラザ彦根内の仮庁舎の機能を順次移して5月6日から業務を開始する。彦根市民会館内や中央町仮庁舎の部署も移動して、7月26日に新しい市役所として始動する予定だ。
 
総額51億円超
展望スペースも
 2019年1224日に着工。既存の鉄筋コンクリート造り5階の延べ約8547平方㍍の改修工事と、制震ブレース一式を取り付けた耐震補強工事をしたほか、駐車場だった前面に鉄骨5階建て延べ約6167平方㍍の建物を増築した。
各フロアには1階に窓口・市民スペースや休日夜間受付、2階と3階に会議室や相談室、書庫・倉庫など、4階に応接室や災害対策本部など、5階に議場など、増築棟の屋上に緑化テラスや展望スペースが整備されている。既存棟と増築棟は1階がワンフロア化になっており、2階から5階も渡り廊下でつながっている。
施工業者は岐建滋賀支店。電気設備、機械設備、外構工事を含めた総経費は第1期分が15億3400万円、第2期が36億1400万円で、総額51億4735万円(いずれも税込み)。財源は一般財源が1億4000万円、地方債が単独事業債4億1800万円と緊急・防災減災事業債(返済の70%が国からの地方交付税)45億9000万円。
 
市民会館の部署移動
中央町仮庁舎も7月
 当初は今月19日完了予定だったが、10日遅れで耐震化と改修、増築工事が終了し、市の検査後の今月31日に引き渡しとなる。別途工事(1986万円分)の駐輪場と植栽の整備も今月中に終える。4月以降、アルプラザ彦根内の仮庁舎にある備品の移動やネットワーク・電話配線工事などを行い、5月の連休中に引っ越し作業を行う。以降、彦根市民会館や中央町仮庁舎の部署も順次移動し、7月22日から25日までの連休中に引っ越す。彦根市民会館は解体されるため、入所している国際交流サロンが中央町仮庁舎1階に、市教育研究所が同3階に移る。
 本庁舎の耐震工事を巡っては大久保貴市長が就任した2013年の8月の「白紙」表明から始まり、施工業者と一部市職員との裏合意、工事費負担を巡る業者との調停、入札の相次ぐ不調など問題が相次ぎ、本来の業務開始予定だった2019年5月から2年遅れでの船出になる。

2021年3月22日月曜日

彦根のローチョコの店 足軽屋敷にチョコレート工場、クラウドファンディングで支援受付

 彦根市芹橋2丁目でローチョコレートの店「Hareto-keto(ハレトケト) Raw Chocolate&Detox Cafe」を営む吉田理恵さん(33)が、近くの足軽組屋敷の谷山家住宅にチョコを製造する専用の工房を設ける。
 ローチョコは、48度以上の加熱調理をせずに生(raw)のカカオ豆で作った菓子。吉田さん手作りのローチョコはエクアドル産のカカオ豆を使っており、白砂糖不使用で、オーガニック素材を取り入れているのが特徴。
 吉田さんは2018年1013日に足軽組屋敷の村山家住宅=市指定文化財=を改装して開店。新聞やテレビ、ラジオで取り上げられて認知が広まり、繁忙期には生産が追いつかず、必要なタイミングで届けらないことがあったという。ローチョコを製造、保管するスペースも不足していたため、空き家の谷山家住宅を借りる形で、工房や梱包エリア、ワークショップスペース、カカオ豆の展示コーナーなどを設ける。
 
クラファンで支援を
5月末オープン予定
 すでに改装工事に入っていて、今月13日(予定)から改装費や調理器材の購入費をインターネット上で募るクラウドファンディングをキャンプファイヤーで実施。「彦根の城下町に ローチョコレート工場を作りたい!」をテーマに80万円の支援を目指す。支援額は1500円~10万円で、金額に応じてリターンがある。5月末にオープンする予定。夏以降には一般公開も検討している。
 吉田さんは「工房を設けることで、より多くの人にローチョコが届けられるようにしたい。足軽組屋敷にチョコレート工場を作ることで、芹橋地区に多くの人が訪れてもらえるきっかけにもなればうれしい」と話していた。

カードゲームでSDGs学ぶワークショップ彦根中学校で

 中学生がカードゲーム(2030SDGs)でSDGsについて学ぶワークショップが9日、市立彦根中学校で開かれた。
 SDGsは「再生可能エネルギーの利用」「女性の社会進出の促進」「気候変動への対策」など2016年から30年までの17項目の目標と、その達成のための169の方法で構成。2015年9月の国連サミットで193カ国(当時)が合意した。
 このカードゲームはゴール、プロジェクト、お金、時間など大きさや色が異なるカードがチームごとに配布。「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」などのゴールに対し、「交通インフラの整備」などプロジェクトの実行のためにお金や時間を主宰者に渡すと、お金や時間、次のプロジェクトのカードが受け取れるというルール。プロジェクトの実行ごとに経済は青、環境は緑、黄色は社会のマグネットをホワイトボードに張り付けていく。これを前後半に分けて繰り返して行うことで、参加者全員による現在と未来の世界が
表れていく。
 彦根中学校にはカードゲームの公認ファシリテーターの中塚洋子(通称・風かおる)さん=野洲市=が講師として招かれ、生徒会の役員や1、2年生の学級委員らの計34人が3人ほどずつに分かれて体験。生徒たちは各カードを使いながらそれぞれのゴールに向けてチームごとに交換し合っていた。前半は経済と社会のマグネットが13個と9個、環境が1個のみだったが、後半は環境が6個に増えた。
 生徒会長で2年生の堀晴汰郎君(14)は「SDGsの実現に向けて何ができるかを考えさせられた。4月以降、全校生徒にも学級通信などで説明していきたい」と話していた。

 

2021年3月16日火曜日

彦根市の荒神山トンネル案 新ごみ施設連絡協の複数委員「反対」

 彦根愛知犬上地域の新しいごみ処理施設を話し合う整備連絡協議会が9日夜、グリーンピアひこねで開かれた。当初は議題にあがっていなかった荒神山にトンネルを設けるという市のアクセス道路の整備案に対し、委員からの批判や反対意見が集中。傍聴席からやじが飛ぶなど一時、紛糾した。
 同協議会事務局の彦根愛知犬上広域行政組合は彦根市西清崎地区へのごみ処理施設建設に向けて調整を進めている。3回目となった同協議会は、委員による先進地の施設見学会のアンケート調査結果報告と、容器包装プラスチックの取り扱いが議題だった。
 
「環境保護から良くない」
一時紛糾、「並行して協議を」
 しかし冒頭、複数の委員から「荒神山にトンネルを整備することは環境を保護する観点から絶対に良くない」「アクセス道路に対し、住民は一番関心がある」など、市が進める荒神山トンネルの整備案に反対の意見が相次いだ。
 事務局は「この協議会はごみ処理施設の整備に関して話し合う場で、市道(アクセス道路)については改めて彦根市が説明の場を設ける予定」と回答。これに対し委員からは「これまでの住民説明会ではアクセス道路についての説明があった。ごみ処理施設の内容を決めてからでは反対のしようがない」と、並行しての協議を強く求めた。途中には傍聴席からやじが飛んだり、拍手が起こるなど紛糾した。
 
市長は進める意向
 この問題は市議会でも取り上げられ、議員の「荒神山にトンネルを整備する案は白紙にするべきだ」との指摘に対し、大久保貴市長は「地域の皆さんの意見を聞いて、プロセスを踏んで決めた」と計画通り進める考えを示している。

彦根市中期財政計画 実質収支マイナスに転じる可能性

 彦根市はこのほど、2021年度から25年度までの市中期財政計画を更新し発表。財源不足への対応を行わなかった場合、22年度以降、歳入から歳出を差し引いた実質収支がマイナスに転じる見込みだと報告した。
 市は2018年5月に公表した市中期財政計画で厳しい財政状況が続くことから、19年度以降の予算編成を部局ごとに事業精査した上で予算要求を行う枠配分方式の導入などを公表した。翌年以降も計画を変更してきたが、新型コロナウイルスの影響で市税収入が大幅に減少し、今後も新型コロナ対策が必要なことから、市は「財政状況は一層厳しくなる」と予想。今後の予算編成や予算執行の指標にするため、中期財政計画を改めて見直した。
 21年度以降の見通してとして、歳入は新型コロナの収束に伴って地方税収入が23年度にかけて20年度当初予算額ほどまで回復し、25年度まで維持する見込みと予測。歳出は人件費や扶助費(社会保障の経費)並みの物件費や維持補修費など「そのほか」の額が新型コロナの収束に伴って22年度に大きく減少し、その後も横ばいで推移した後、国民スポーツ大会がある25年度に増加すると見込んでいる。
 
実質公債費比率 悪化へ
大型事業など「歳出見直し」
 彦根市スポーツ・文化交流センターの整備や道路・橋りょうの改良など大型の投資的経費には市債を発行しているが、20年度の約84億円の発行をピークに、21年度が約55億円と減少していくと予想。一方で、実質公債費比率(収入に対する負債返済の割合)21年度の9・3%から、市債の返済が始まる24年度には13・9%と悪化すると見込んでいる。実質公債費比率が18・0%を超える地方公共団体は国の許可がないと新たな地方債が発行できなくなる。市は「新たな市債の発行が減少する時期(2026年度または27年度)から改善する」としているが、今後は新しい市立図書館中央館や広域ごみ処理施設の大型事業の建設計画もあり、改善するかは不透明な状況だ。
 また市は21年度当初予算で貯金にあたる基金を、最も融通が利く財政調整基金をはじめ大幅に取り崩す予定で、22年度以降も取り崩しが必要になるため、財政調整基金は22年度末に3億9000万円となり、25年度末には1200万円とほぼ底をつくと見込んでいる。
 これら財源不足に対する対応として、市は22年度以降の予算編成について「更なる事業精査に向けた効果的な手法を検討して事業を見直し、歳入の確保にも努める」としている。具体的な内容と21年度比の22年度以降の歳入増収額は▽ネーミングライツの広告料の確保など新たな財源で1000万円▽ふるさと納税や企業版ふるさと納税で5000万円▽彦根城や彦根城博物館の観覧料収入の増加で5000万円。一方で歳出削減額は▽業務の委託化、ICTの活用などで時間外勤務の縮減でマイナス5%▽実施予定事業の延期、中止を含めた事業の見直しで25億円~29億円▽市単独の補助金について再検証してマイナス1000万円など。
 財源不足に対する対応をしなかった場合としては22年度で財政調整基金が枯渇し、22年度の歳入から歳出を引いた実質収支がマイナス23億9141万円となり、その後も赤字額が増額して25年度にはマイナス34億2189万円になるとの試算も示している。
 市財政課は「こうした厳しい状況において安定的に行政サービスを提供するには市民ニーズを的確に把握し、限られた財源を真に必要な事業にあてる必要がある」としている。

2021年3月14日日曜日

「気候変動は戦争につながる」 環境活動家・谷口貴久さん「温暖化 想定以上」

 環境活動家の谷口貴久さん(32)の講演会が2月22日、滋賀大学彦根キャンパスで開かれ、世界中で起こっている気候変動の様子を紹介しながら、学生や市民らに環境保護活動の大切さを呼びかけた。
 谷口さんは、世界中の海上に漂っている微細のマイクロプラスチックが問題になっていることをあげ「プラスチックには発がん性があるため、それが体内に入った魚を人間が食べるとがんになりやすく、女性の場合だと乳がんになる可能性が高まる」と解説。またアマゾンの森林地帯が火災で燃えている衛星映像を流しながら「これは家畜のえさ用のトウモロコシと大豆の畑にするため人間が燃やしている。ほ乳類のうち96%が人間と家畜の動物で、100万種以上の動植物が絶滅の危機にある」と指摘した。
 谷口さんは、日本をはじめ世界中で台風や洪水が頻発し、南極や北極の氷が溶けている情報を知らせながら「専門家が予想している以上に地球の温暖化が進んでいる。気候変動は資源の奪い合いにつながるため、気候変動によって真っ先に失われるのは自然ではなく、平和だ」と語った。
 フィンランドやスウェーデンなどヨーロッパと日本の教育の違いについては、子どもの自己肯定感のグラフを示しながら「日本はやってはいけないという義務脳、ヨーロッパはやっていいという権利脳の違いがある」「自由と権利は自分に誇りを持てるような自己肯定感を養う」と述べた。
多くの人に環境問題に関心を持ってもらうための方法としては「自分の行動の背中を見せないと他人の考えは変えられない」と説明し▽フードロスなどごみを減らす▽再生可能エネルギーなど省エネ▽公共交通機関を使う▽政府、企業、メディアに意思表示をする―などをあげた。

2021年3月9日火曜日

藤堂高虎が新型コロナ感染予防呼びかける自動販売機 藤堂高虎ふるさと館・和の家に設置

 甲良町が生誕の地とされる戦国武将・藤堂高虎が新型コロナウイルスの感染予防を呼びかける自動販売機が2月11日、甲良町在士の藤堂高虎ふるさと館・和の家などに設置。同日、ふるさと館前で除幕式が開かれた。
 甲良町は藤堂高虎を活用したまちおこしの一環として、戦国武将をモチーフにした自販機を県内各地で導入しているダイドードリンコに協力を依頼。自販機には甲良町公認のキャラクター・藤堂高虎公がイラストされているほか、高虎をイメージした声が流れる仕組みになっている。
 新型コロナ対策として、硬貨投入時には「コロナと合戦 マスク・手洗い・うがい 備えはよろしいかな」、押しボタン選択時には「いざ、勝負」などのセリフが流れる。いずれの声も同館館長の田中良治さん(72)の声を録音した。
 除幕式には野瀬喜久男町長のほか、高虎姿に扮した田中さんら地元の甲冑隊の隊員5人も参加。除幕後、実際に硬貨を投入してデモンストレーションをしていた。田中さんは「高虎をイメージして低い声でセリフを録音した。この自販機で高虎や甲良町の知名度が上がればいい」と話していた。
 高虎の自販機は同館のほか、町役場や道の駅など4カ所に設置。清涼飲料水のほか、マスクや除菌用のウェットティッシュも販売されている。

 

ブルースティックス滋賀の選手招いたイベント子どもたちがホッケーを体験

 今期からホッケーの1部リーグのH1で戦う県内のチーム「ブルースティックス滋賀」の選手を招いたイベントが2月23日、ビバシティ彦根で開かれ、子どもたちがホッケーを体験していた。
 ブルースティックス滋賀は2019年7月に米原市を拠点に設立。昨シーズンは2部リーグのH2で2位の成績を収め、H1への昇格を決めた。現在、聖泉大学の学生11人を含め35人の選手がいる。
 ビバシティでのイベントには選手17人とコーチ1人が参加。一人ずつ選手紹介が行われた後、運営団体の一般社団法人ホッケーアカデミー理事長の上野賢一郎衆院議員が「H1で優勝し、世界やオリンピックで活躍できる選手が出るよう、がんばっていきたい」と語り、彦根市ホッケー協会会長の谷口典隆市議もあいさつした。
 ホッケーのルール説明、選手たちによるパスやドリブルなど実技披露、ホッケーに関するクイズの後、体験会があり、幼児や小学生たち約60人が選手に教えてもらいながら、シュートやボールの取り合いなどを体験していた。
 1年生からホッケーをしている城南小6年の石川晃大君(12)は「選手の皆さんはボールさばきがうまくて、奪い取るのが難しかった。将来はホッケー選手になりたい」と話していた。
 

2021年3月4日木曜日

つぎはぎの仕事着の企画展 愛荘町立歴史文化博物館で

 昔の人々が補修しながら使っていた衣服「つぎはぎの仕事着」の企画展が、3月21日まで愛荘町立歴史文化博物館で開かれている。展示説明が3月14日にある。
 昭和初期までに農林水産業の仕事をしていた人たちは、一日の大半を仕事着で過ごしていた。山では防寒のために厚手で作ったり、漁師は水を通しにくい木の繊維で作ったりしていた。そして長く着用するため、仕事着が傷んでも捨てずに保管し、衣服に接ぎあてるために使用。時には数代にわたって、受け継いできた。
 仕事着のうち裾(すそ)の長いものを長着(ながぎ)と言い、多賀町では山仕事に着る服を「山行きボッコ」と呼んだ。肌着として襦袢(じゅばん)、その上に長着を着て、男性は股引(ももひき)も着用した。股引は山仕事で重宝され、防寒性に優れていたほか、枝などから肌を守った。女性は明治から昭和初期まで長着に前掛けといった姿が一般的だったが、昭和17年(1942年)に厚生省から「婦人標準服」が発表され、モンペ姿が奨励された。
つぎはぎだらけとなった仕事着はその色合いがパッチワークやビンテージのジーンズのようになり、その芸術的な美しさから近年は国内外で「BORO(ボロ)」と呼ばれて人気になっている。
 企画展では多賀町の山間部を中心に、愛荘、東近江、近江八幡で発見された長着や股引、モンペなど仕事着30点と、ANTONINAやKUONなどのファッションブランドの協力で制作されたジャケットやワンピースなど5点を展示している。
 学芸員による展示説明は21日と3月14日の午前10時半~と午後1時半~ある。開館日時は3月21日までの午前10時~午後5時。休館は月曜火曜、今月12日と24日。入館料は高校生以上300円、小中学生150円だが、20日と21日、3月13日と14日は入館無料。問い合わせは同博物館☎(37)4500。

2021年2月14日日曜日

彦根総合高校の生徒たち陸舟奔車の復元品製作

 彦根総合高校の生徒たちが、自転車のルーツとされる三輪車「陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)」(※)の復元品を完成させた。江戸時代に陸舟奔車を発明した旧彦根藩士・平石久平次時光(1696~1771)の墓がある中央町の長松院で2月16日から展示する。
 彦根市立図書館所蔵の陸舟奔車の復元品が、久平次の250回忌を前に長松院に移されたという本紙9月5日付の記事を読んだ彦根総合高の教員・熊谷貴文さん(43)が、人文自然系列の3年生20人に卒業制作として新しい復元品作りを打診。生徒たちも興味を示し、1019日に長松院を訪れて復元品を見学した。
 その後、11月にコンパネやベニヤ板など材料を購入し、設計や模型を作成して準備を整えた上で12月上旬から製作に取りかかった。休日や冬休みを返上して作業し、溶接や車輪の製造など一部の工程を生徒の保護者らが担いながら、今月23日に完成させた。
強化するためペダルのクランク部分や前輪が鉄製になっているが、大部分が木製。周囲をステイン(塗料)で茶褐色にした。大きさは長さ約2㍍20㌢、幅約1㍍5㌢、高さ約1㍍20㌢で、市立図書館所蔵の復元品とほぼ同じ。
 中心になって製作した生徒の村西晃徳君(17)=甲良町=は「工業高校ではない僕たちができるのかと思ったが、いい出来で仕上がった。すべて木だけで作った江戸時代の人たちはすごいと思う」と話していた。
 生徒たちが作った復元品は長松院へ運び、2月16日午後2時~安全祈祷式がある。3月末まで長松院で展示される。
  
【陸舟奔車】平石家文書のうち「新製陸舟奔車之記」には、享保13年(1728年)から同17年までに久平次が3種類の異なる機構の舟形の自転車を考案したことがわかる設計図などが掲載。3種類のうち陸舟奔車はハンドルを設け、車輪に付けたクランク軸に回転するペダルを取り付けている点が特徴。世界最古のペダルを付けた自転車はフランスのピエール・ミショーが1860年に考案。久平次が発明した陸舟奔車はそれよりも前ということになる。
復元品は平成15年(2003年)1025日に放送されたテレビ番組で作られた後、彦根市立図書館に寄贈された。

HIJが作るタイニーハウスWOW

 彦根市内から国道306号線で多賀町方面へ向かい、セブンイレブン多賀大社前店の道を左折して数百㍍進むと、左手の建物屋上に円筒形のユニークな建造物が見えてくる。木造製品販売会社「HIJ」が作るタイニーハウス(小さな家)「WOW(ワオ)」だ。
 
「秘密基地のよう」
当初「UFOハウス」
 HIJはひらつか建築が昨年4月7日に住宅建築以外の商品販売会社として設立し、WOWの販売を開始した。
 WOWは丸太を横にしたような円筒形の建物。平塚一弘社長(56)が「子どものころの秘密基地のようなツリーハウスを作りたい」との思いから発案。当初は未確認飛行物体(UFO)が木に引っかかったイメージから「UFOハウス」と名付けていたが、建物内に入った時の第一声にちなんで「WOW」と命名した。
 
グランピングにも
水道・電気対応可
スギを使って仕上げており、木材の特性により調湿性があるのが特徴。木の香りに包まれた空間で、屋上テラスやグランピング施設、個人用の別荘、店舗などとして活用できるほか、コロナ禍で広まりつつあるテレワーク用のオフィスとしても使用できる。またけん引して海や山、郊外への移動させることも可能だ。
 床面積6・15平方㍍の「ショート」、同7・69平方㍍の「ミドル」、同9・22平方㍍の「ロング」の3種類。水道、電気、トイレ、調理器具などの設備にも対応できる。
 平塚社長は「さまざまなオプションに対応し、オリジナリティあふれる空間作りがお手伝いできると思います」と話している。米などのエコ保冷庫「GOREZO」、木材乾燥庫「PARITTO」もある。問いい合わせはHIJ☎(20)8184。

2021年2月4日木曜日

森のお家 ふぁみりぃ国森康弘さん撮影の写真集の作成目指しクラウドファンディング

 医療的ケアが必要な重症児者が通所している施設「森のお家 ふぁみりぃ」(彦根市高宮町)は、写真家の国森康弘さんが施設内や重症児者の自宅で撮影した写真をまとめた写真集の作成を目指し、製作費などをクラウドファンディングで募っている。
 ふぁみりぃは、たんの吸引や経管栄養などが必要な重症心身障害児者と医療的ケア児者向けのデイサービス。運営団体のNPO法人「道」が2018年4月に平田町から高宮町へ移転する形でオープン。障害児者や難病患者、家族、関係機関の職員からの相談に応じる「ちゃれんじ」、24時間・365日対応する訪問看護ステーション「ふれんず」も運営している。
 
「子どもたちの姿 多くの人に」
800冊作成し配布、パネル展示も
 ふぁみりぃは彦愛犬の0歳児から20代までの30人以上が利用している。柴田恵子理事長(66)らは「一生懸命に生きているふぁみりぃの子どもたちのことをより多くの人に知ってもらいたい」との思いから写真集作りを企画。撮影依頼を受けた国森さんは昨年9月から10月までの計6日間、施設や重症児者の自宅を訪れて撮影した。
写真集は撮影された約1万5000枚から約60枚を選んでまとめる。親子や施設の職員たちとふれあう様子が収められた各写真には親が我が子に向けたメッセージも記される予定。写真集は800冊を4月頃に作成し、そのうち500冊を彦愛犬の小学校や保育所、県内の病院、図書館、障害者施設に配布する。残り300冊を販売する。写真30枚をA3判のパネルにして県内の関連イベントで展示するなどの取り組みも行う。
クラウドファンディングはキャンプファイヤーで3月30日まで。目標金額は300万円。寄付額は2000円~10万円。柴田理事長は「(重症児者の)ご家族のそれぞれの思いが詰まった写真ばかり。ふぁみりぃの仲間たちの姿を多くの人に知って頂き、誰もが社会の一人として認められて存在し、地域の中で生き生きと暮らせる社会になれば」と話していた。問い合わせはふぁみりぃ☎(49)2531。

2021年1月31日日曜日

「鬼滅の刃」巻きずし提供の店 四番町のレストランteraitei

 彦根市本町1丁目の四番町スクエア内のレストラン「teraitei(テライテイ)」は、ひこにゃんや人気アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターなどの巻きずしを提供。節分に合わせて巻きずし教室も開いている。
 
「レシピの女王」で準優勝
「子どもと一緒に楽しめる場所」
 店主は寺居裕香さん(43)。20代のころに長浜市の滋賀県調理短期大学校で調理技術を学びながら米原市のエクシブ琵琶湖で勤務。31歳のころにあった社内の若手調理人のコンクールでグランプリを受賞したことで自信がついた。その後、東京に行ってフランス料理店で働いていたが、父親の体調不良もあって帰郷した。36歳の時に日本テレビの番組内のコンテスト「レシピの女王」で準優勝するなど活躍。結婚を経て2019年8月29日に店をオープンした。
 「子どもと一緒に食事が楽しめるレストラン」をコンセプトに、キッズスペースや幼児トイレ、授乳室を完備。ホタテの自家製スモークや鶏肉の低温調理メープルマスタードなどのオードブル、海の幸パスタや仔羊のローストなどメイン、巻きずし、デザート、ドリンクのランチメニューを用意している(税抜き1600円)。
 子ども向けにもランチ(同1300円)とプチランチ(同1000円、うどんやパスタなど単品、離乳食のメニューを提供。希望のアニメキャラや動物などの巻きずしを作れる。恵方巻の予約も受け付けている。夜は予約のみ。
 寺居さんは「子どもが大人になってからも、また子どもを連れて来てくれるような長く愛されるお店にしたい。四番町スクエアのお母ちゃんみたいな存在になりたい」と笑顔を見せていた。休店は第1第2水曜と木曜。午前11時~午後5時。ホームページは掲載のQRコードから。
 
巻きずし教室
 teraiteiは2月1日まで、巻きずし教室を開いている。午前10時~か午後3時~の各1時間。1日5人まで。土日祝日も可。参加費はレシピと土産付き2300円。大人のワンプレート(食事)も1000円で提供。問い合わせはteraitei☎(47)6088。

2021年1月29日金曜日

中学生の吹奏楽団ジュニアバンド彦輝が文化プラザで活動

 彦根市と近郊の中学生の吹奏楽団「ジュニアバンド『彦輝』」が文化プラザで活動している。新年度以降は高校生も対象に加える予定で、随時団員を募集しているほか、初心者の見学も受け付けている。

26人が文化プラザで練習
 団長は、県内の中学校の吹奏楽部で顧問を務めていた北沢真実さん(34)=小泉町。北沢さんは彦根市立南中の吹奏楽部の出身だが、当時と比べて教職員の働き方改革などによって中学校の部活動の時間が少なくなっているという。そのため、中学校の吹奏楽部の部員たちに他校の生徒たちと一緒に楽しく活動、発表する機会を提供しようと、2019年7月にジュニアバンドを結成。「彦根地域の中学生たちに輝いてもらおう」との思いで「彦輝」と名付けた。
 現在は豊郷町の豊日中の10人をはじめ、彦根市立東中、彦根中などの計26人が所属。男子生徒3人、女子生徒23人が毎月3回ほどの水曜日午後6時から文化プラザメッセホールで練習している。来年度からは土曜日に変更する予定。
 
楽器「寄付して」
3月に発表会
 打楽器、管楽器のパートごとに、ポップスからクラシックまで幅広い曲を演奏。本紙の山田貴之記者が取材に訪れた際は北沢さんが指揮者となって、アニメ「もののけ姫」メドレーを練習していた。
 楽器は生徒たちが購入したり、学校から借りたりしているが、マリンバやドラムセット、ティンパニなどは北沢さんが自費で用意している。そのため管楽器をはじめとした楽器の寄付も受け付けている。
 指導者は北沢さん以外に、北沢さんの教え子だった高校生から社会人までの3人もいる。来年度からは団員の対象を高校生まで広げる予定。北沢さんは「中学校を卒業しても吹奏楽をずっと続けていけるようにしたい。吹奏楽を通して学んだことを社会でも生かしてほしい。社会人になっても戻ってこられる場にもなれば」と話していた。3月24日には文化プラザエコーホールで演奏会を開催する。
 団員のリーダーでフルートとピッコロを担当している豊日中3年の横山すず花さん(14)は「学校以外でももっと練習したいと思い、入団した。いろんな学校の子たちと交流できるのが楽しい。違う楽器を教えてもらったり、同じ楽器でも新たに学んだりもできる」と笑顔で話していた。
 経験者、初心者の入団を募集。見学も自由。月謝3000円。問い合わせは北沢さん☎090(3267)1306。ショートメールでも可。

2021年1月24日日曜日

神奈川から彦根市肥田町の鹿島家住宅へ移住し木製スピーカー店経営 青柳夫妻インタビュー

 彦根市肥田町の市指定文化財の古民家「鹿島家住宅」に移住し、木製スピーカーの工房とショールームを兼ねた店「HORA
AUDIO(ホラオーディオ)」を営む代表の青柳亮さん(46)と麻美さん(46)夫妻に、商品の特徴や移住のきっかけ、稲枝地域の印象などを聞いた。
 
滋賀産の木材使用し開発
 青柳さんは大学卒業後、団体職員を経て日本とロンドンで木工技術と家具デザインを学び、家具職人や木工技術を生かした業務に携わりながら、音楽イベントの企画運営も行っていた。自身の好きな音楽と木工技術を組み合わせる形で木製オーディオを作り、当時の拠点だった神奈川県藤沢市で2015年3月に創業し、6月に最初の商品のスピーカー「MONO(モノ)」を発売した。
 MONOは、機器ユニットの後方から発生する低音をホーンによって増幅させる「バックロードホーン」と呼ばれる方式を採用。現代では珍しい型のスピーカーだが、生活環境に合うように小型化して開発した。高さ34・6㌢×幅15・1㌢×奥行き29・7㌢。
 昨年4月には滋賀産のクリやコナラの木材をボディに、滋賀の麻布をサランネット(網状の部分)に使用した商品「NORM(ノルム)」も発売した。高さ29・6㌢×幅14
・6㌢×奥行き
17・3㌢。
 
町屋情報バンクで
昔の職人の技感じ」
 鹿島家住宅に引っ越してきたのは2015年の10月。自宅と工房を兼ねることができる物件をインターネットで探していたところ、「小江戸ひこね町屋情報バンク」から鹿島家住宅を見つけた。そして15年7月にあった見学会に参加。古民家を探していたわけではなかったが、「約150年前の人がどういうことを考えて建てたのか興味を持った。周辺の風景も美しかった」と移住を決めた経緯を説明した。
 移住後の生活について、麻美さんは「野菜や水がおいしく、地域の皆さんもとても優しくて感謝している」と笑顔を見せた。最近は日本料理や着物など和の文化に興味を持ち始めたといい「衣食住ともに日本を感じる生活になっている」と語った。
 青柳さんは木工、鉄工、塗装などすべての工程を鹿島家住宅の土間だった場所に設けた工房で行っている。「工房を支えている柱や梁(はり)を見ると、建設から約150年が経っているのにいまだにしっかりしている。昔の職人の技の高さを知ることもでき、ものづくりの『先生』のように思いながら、私も作っている」と話していた。
 製品に関する質問や資料提供など問い合わせはHORA AUDIOのホームページか☎(43)3090。
 
※【鹿島家住宅】旧肥田城下の農家に江戸時代後期、幅17・8㍍・奥行き25・9㍍の敷地に建設。座敷や土間、台所などがある母屋や外便所のほか、水路に接して食品などの水洗いに利用したかわと、土蔵などのほか、愛知川以北にあった特有の桶風呂が残っている。
 母屋は道路に妻面を見せる入母屋造りで、当初は草葺きだったが、現在はトタン板で覆われている。桶風呂はかわとからくんできた水を入れて、柴を燃やして沸かした後、入る仕組み。桶風呂の下には昭和41(1966年)9月に改修したことを記した墨書がある。平成22年(2010年)に市指定文化財になった。

2021年1月19日火曜日

荒神山神社の牛の銅像 山頂まで担いで登った製造者の藤村富次郎さん

 彦根市清崎町の荒神山神社拝殿の隣には牛の銅像(なで牛)がある。この銅像を作り、荒神山の山麓から山頂まで持って運んだ藤村富次郎さん(83)=東近江市長町=に当時の思い出を聞いた。
 牛の銅像は幅1㍍28㌢×奥行き60㌢×高さ45㌢の青銅製。背後には再建年月日として「昭和29年4月29日」と刻まれている。藤村さんは16歳の時、銅鋳物の製造業者の金寿堂(東近江市長町)に入社。荒神山神社は牛の銅像が戦争で徴収されたままだったため、4月29日の春祭りに合わせて金寿堂に製造を依頼。藤村さんら職人3人は当時、藤村さんが飼っていた農業用の牛を参考に約半年かけて完成させた。
  荒神山には車道がなかったため、藤村さんら職人3人と当時の宮司、総代ら計6人がはしごを横にして牛の銅像をくくり付け、山道を半日以上かけて山頂まで担いで登ったという。
銅像の隣で、藤村さんは「銅像を見るたびに当時を思い出す。私たちが作った物がここにあるという誇りを感じている」と話していた。
 
「牛にひかれて荒神参り」
 荒神山神社は火やかまど(台所)の神様「荒神さん」としてあがめられており、牛が荒神さんの使いになっている。以前の農家では牛を飼っていて、えさを作るためにかまどが不可欠だった。このことが荒神さんと牛が結びついた理由だとされる。
 「牛にひかれて善光寺参り」ということわざがあるが、荒神山神社の奥山二三男宮司は「この新年はお使いの牛がいる荒神さんにお参り頂き、家内安全と無病息災の一年を祈念してほしい」と話している。

2021年1月4日月曜日

小寺慶昭さんの本「近江の狛犬を楽しむ」

 滋賀県内の神社にある狛犬(こまいぬ)の特徴や歴史について詳細にまとめた本「近江の狛犬を楽しむ」が15日、サンライズ出版(彦根市鳥居本町)から発刊された。
 著者は京都府内の国公立中学校で教員や副校長を務めた龍谷大学名誉教授の小寺慶昭さん(71)=京都府宇治市。1989年に獅子と狛犬の違いを調べたのを機に興味を持ち、以降30年以上、全国各地を訪問しながら「狛犬ノート」にまとめてきた。
 本では県内社寺の狛犬1385対について調査し「大宝(だいほう)神社の日本一の木造狛犬」「近江の神社の狛犬設置率」「近江で最古の参道狛犬」「信楽焼と備前焼の狛犬」「出雲から来た狛犬たち」など10章でまとめた。
 栗東市の大宝神社の章では、鎌倉時代初期に作られ国の重要文化財に指定されている同神社の木造の狛犬について「神殿内や階段上の廊下に置かれた陣内狛犬では日本一と言ってもいい」と評価している。
 
彦根など設置率5割割る
「氏子意識の希薄さ」原因?
 狛犬設置率の章では、神社1826カ所のうち60・8%の1110カ所に狛犬が設置されていると報告。平成の合併以前の市町村別に見ると、設置率の最高が中主町の85・6%で、次いで永源寺町の81・8%、豊郷町の80%。一方で少ないのが湖東町の33・3%で、甲賀町、彦根市、愛知川町、大津市、安曇川町、秦荘町が5割を切っている。全体的には湖北地域がやや高いため、本では「郡部では鎮守の森の産土神を氏子たちが崇拝するという信仰形態が維持されている。都市部では住民の移動が多く、氏子意識が希薄なことがその背景にある」と論じている。
 最古の参道狛犬の章では、甲賀市土山町の加茂神社に寛政5年(1793年)3月に建てられた狛犬が江戸の関根氏によって寄進されたと説明。信楽焼と備前焼の狛犬の章では、県内に陶器製の狛犬が8対あり、そのうち信楽町の日雲神社の「恨めしい顔」の狛犬など6対が信楽焼で、2対が伊部焼(備前焼)だと紹介している。
 彦根では千代神社、北野神社、高宮神社、新神社、春日神社、比婆神社など9カ所の狛犬を取り上げている。小寺さんはほとんどの狛犬の台座に寄進者が刻まれているとして「狛犬は奥が深く、調べれば調べるほど地域の文化や人々の生活の歴史が詰まっていることがわかり、そこがおもしろい」と魅力を語っていた。本はB6判、202ページ。税抜き1500円。