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2021年12月25日土曜日

多賀町180万年前のアケボノゾウの化石が国の天然記念物に

 多賀町で発見されて町立博物館で展示されている約180万年前の「アケボノゾウの化石」が17日、国の天然記念物に指定されることが決まった。翌日、同館で記念セレモニーが開かれた。
  アケボノゾウはゾウ類化石(※)のうち、石川県戸室で見つかった上あご臼歯を模式標本とする約250万年~約100万年前の化石を言う。多賀町では1993年2月中旬に、四手の工事現場で発見。頭部、体幹、体肢など全身の7割におよぶ部位191点の骨が見つかり、そのうち右手のように、すべての骨がつながった状態での発見は世界的にも珍しいという。
 骨の化石のうち112点は1999年に開館した町立博物館で公開展示してきた。2013年からは「多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト」と題し、アケボノゾウが生息していたころの自然環境を探りながら、子どもたちの野外実習など教育活動もしてきた。
 
全身の7割残る
生息環境が影響
 同館の小早川隆館長(72)によると、多賀町のアケボノゾウは湿地帯で生息し、死後すぐに埋まったために保存状態が良かったのだという。国の天然記念物の指定に小早川館長は「全国的に見ても貴重な化石であり、それが認められてうれしい。これからも日本一の化石だと発信し続けたい」と述べた。
 記念セレモニーでは久保久良町長のあいさつ後、同プロジェクト検討委員会委員長で琵琶湖博物館の高橋啓一館長(64)が「7割の個体が見つかる化石はあまりなく、非常に価値がある。住んでいた環境を一緒に調査する活動もすばらしい。これからも地域で大切に保管してほしい」と語った。最後には地元の子どもたちを交えて、アケボノゾウの復元骨格の像前でくす玉割りもあった。
 
地元住民が団体結成
記念ロゴ作り発表
 


記念セレモニー後には地元住民たちの団体「シガタガゾウのサト」の結成式が開催。ゾウの衣装にふんした小早川館長と高橋館長の対談後、デザイナーの神谷利男さん(大阪市)が制作したロゴが発表された。同団体の中川信子さんは「イベントやグッズ展開など楽しい企画を考えていく」と話し、サポートメンバーを募集。問い合わせは町立文化財センター☎(48)0348。
 ※【ゾウ類化石】ゾウ類は約5000万年前に北アフリカに出現。日本列島に生息したのは約1900万年前とされ、岐阜県で発見されたアネクテンスゾウが最古だ。以降は約500万年前のセンダイゾウ(宮城県)、約430万年前のミエゾウ(三重県)、そしてアケボノゾウ、ゾウ類化石の6割を占める約2万年前に絶滅したナウマンゾウ、北海道でしか見つかっていない2万年前以前のマンモスゾウなど、全国では9種類のゾウの化石が全国約400カ所で見つかっている。
 そのうち滋賀県内ではアケボノゾウの4カ所を含め計18カ所で産出。多賀町ではアケボノゾウのほか、芹川河床からナウマンゾウの18点も見つかっている。

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