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2013年4月2日火曜日

彦根市政の課題探る—取り残された彦根城、世界遺産登録いかに実現させるか—

 4月14日告示・21日投票の彦根市長選には、現職の獅山向洋氏(72)、元県議の大久保貴氏(49)、国会議員元秘書の有村国知氏(38)が出馬する予定。市長選に向けて、滋賀彦根新聞は彦根市が抱える主な課題をテーマごとに取り上げる。初回は「彦根城の世界遺産登録」。
 彦根城は平成4年に文化庁の世界遺産暫定一覧表に記載された。しかし翌年に姫路城が世界遺産に登録されたため、「唯一無二の価値」という基準により、現在まで登録されないままになっている。鎌倉が今年6月にも登録される可能性があるため、平成4年時に暫定リストに載った候補で、残っているのは彦根城のみとなる。
 一時期、姫路城との差別化をつけるため、旧城下町一帯を含めての登録を目指す動きもあったが、整備や住民への理解に時間がかかることから、市は中堀(一部除く)より天守側の特別史跡内とお浜御殿(松原下屋敷)、長寿院、彦根藩井伊家墓所をコアゾーンに、旧松原内湖や旧城下町をバッファゾーンに指定。
 まずはコアゾーンの登録を目指して、登録後にバッファゾーンの整備などを経て拡大登録をしたい意向だが、まだまだ説得力のある「姫路城との差別化」が示せない状況だ。
 今月5日に開かれた彦根城世界遺産登録推進委員会では、文化庁に提出する「推薦書」の作成に向けたコンセプトが協議。江戸時代を通して井伊家が支配した建造物が残るという「封建領主のあり方を示す顕著な物証」との案が示された。
 市は文化庁が暫定リストを整理する2、3年以内に推薦書を提出したい考えだが、彦根城の「普遍的価値の証明」の仕方が定まっているとは言えず、先行きは不透明なままだ。姫路、松本、犬山を含めた国宝四城案もあるが、ここ数年は協議されておらず、消えたに等しい。また、彦根市民の盛り上がりがあるとも言えない。いかに世界遺産を目指すのか―。市長の手腕にかかっている。(山田貴之)

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