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2017年1月17日火曜日

切通口から櫓門が建っていたことがわかる石垣や礎石を発見、地震で修理した跡も

 彦根市教委文化財課は、佐和町で発掘調査をしている切通(きりとおし)口から、櫓門が建っていたことがわかる石垣や礎石を発見したと発表。彦根城の外堀の7つの城門では初めての具体的な遺構の確認となる。22日午後1時半~現地説明会を行う。
 文化財課は昭和54年度から旧外堀に関する発掘調査を実施しており、市道の拡幅工事に伴って切通口を調査。本発掘となる第6次調査を昨年10月26日から今年3月下旬まで、松吉前の第1調査区60平方㍍と純正寺前の第2調査区約31平方㍍で行っており、そのうち第1調査区の36平方㍍の調査を終えた。
 試掘の第5次では切通口の石垣や雁木(石階段)、土塁の基底部などが見つかったが、より深く発掘した第6次では門の柱を支えていた礎石や、長さ約9㍍のL字型の石垣、栗石などが確認。これらの遺構や天保7年(1836)の御城下惣絵図から、櫓門形式だったことがわかった。櫓門の形状は重要文化財の太鼓門櫓に近いという。
 石垣は外堀が築かれた元和年間(1615~24)と、後の時代に築かれた加工した形跡がある石の2種類あり、後の時代の石垣は享和2年(1802)12月22日の彦根大地震で切通口の一部が壊れ、修理されたとみられる。最も大きい石は元和年間時代の1㍍×90㌢×高さ60㌢。
 切通口は藩主らが彦根と江戸を行き来する際に必ず通過する城門の1つで、格式高く見せるために櫓門にしたと考えられる。御城下惣絵図によると、外堀の7つの城門で櫓門は高宮口や池州口でもその可能性があるが、確定したのは切通口が初めて。
 文化財課では「近世城郭の外堀の城門跡が検出されるのは全国的に見ても希少なため、極めて貴重な遺構。江戸時代の彦根城の石垣修理の内容も確認でき、重要な発見だ」としている。
 今後発掘を行う第1調査区の残りや第2調査区では土橋や外堀、暗きょ、江戸期の上水道管の跡が検出される可能性がある。22日の現地説明会の集合場所は護国神社前の市道予定地。午後3時まで順次、全体説明を実施する予定。参加無料。雨天決行。問い合わせは文化財課☎(26)5833。

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