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2022年5月25日水曜日

天守前でラジオ体操禁止に一考

 天守前でのラジオ体操に参加していた市民2人と市長との面談は、その日に中止が決まるという予想外の展開だった。
 背景にはこの問題が全国ニュースとなったことで、性悪説の観点から早急に防犯面を強化せざるを得なかったことがある。文化財保護や防犯・防災の面からすれば、市側の即断は評価できるのかもしれぬ。
 ただし、あまりにも早急過ぎたという感はぬぐえない。小生は、市民との面談後にも市長に質したが、折衷案は本当になかったのか、継続の道はなかったのか―、何とも煮え切らぬ思いである。
 この問題が全国ニュースになった際、ネット上では市側の姿勢を支持する意見が大半を占めた。市長も小生に「このネット上の意見がサイレントマジョリティーだ」と主張していた。だが一市民である小生はそうは思わない。
 そもそも彦根市民は子ども、市内大学に通う学生、高齢者、障害者が身分証の提示で無料となり、ほかの世代も広報誌に折り込まれている無料チケットを使うか、マイナンバーカードを提示するかで無料になる。そのためネット上であった「観覧料を払わずに入場するな」の指摘は市民には事実上あたらない。また長年、彦根城を庭または公園のように身近な存在として接してきた市民性もある。
 ほかの時間外での入場の是非や防犯面への対処を含め、何らかの良きアイデアでの天守前でのラジオ体操を継続させる策はあったはずだ。頻繁に「経営者としての視点で」と唱える市長なら、何らかの良き策を提示すると期待していた市民も少なくないだろう。
 今回の市の措置で、身近だった彦根城の存在は遠くなってしまった。世界遺産を目指すうえで重要な市民の機運醸成に影響が出なければ良いのだが。(山田貴之)

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