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2012年12月19日水曜日

徳川家康直筆の書状・関ヶ原合戦図など木俣家から購入、彦根城博物館

 彦根城博物館はこのほど、江戸時代に彦根藩の筆頭家老だった木俣家から、徳川家康直筆の書状や関ヶ原合戦図など計571点を購入した。
 家康直筆の書状は天正11年(1583)に、後に彦根藩初代藩主となる井伊直政に宛てられたもので、信濃の高遠に派兵する際に直政に木俣守勝を随行させる意向を伝えている。守勝は関ヶ原合戦後、井伊家の家老となっており、この文書は井伊家家臣団のきっかけになった重要書類だという。ほかに、伊達政宗から直政に宛てられた書状、安土桃山時代から江戸時代初頭に有力大名が木俣家に宛てた書状もある。
 関ヶ原合戦図は江戸時代後期に木俣家が描かせた6曲1隻の屏風で、縦約159㌢・横約364㌢。向かって右側が東軍、左側が西軍で、上部には伊吹山も見られる。1扇ごとに、家康本陣、采配を振りかざす直政と島津隊を追走する井伊隊、「大一大万大吉」の幕が張られた石田三成本陣などが描かれている。
 関ヶ原合戦の絵は江戸時代に数多く作られ、現在は6点確認されているが、今回の合戦図には江戸時代の軍記物に載った逸話が多く盛り込まれ、旗印で各隊が判別できるのが特徴。また井伊隊の先方として戦う家臣十数人が描かれているが、これは合戦後の論功行賞で直訴した家臣たちの相談役だった木俣家の意向が反映されたと見られる。
 左下には作者で彦根藩の足軽「大舘素雪(おおだてそせつ)」らの印がおされている。大舘は彦根藩が天保7年(1836)に作成した彦根御城下惣絵図の絵図役の一人として知られる大舘喜太郎と同一人物。同博物館では「同じ構図の作品の中でも最もうまく描かれており、江戸時代の歴史認識や先祖の顕彰意識を読み解くことができ、歴史資料として価値が高い」としている。
 家康自筆の書状や関ヶ原合戦図などは、来年6月から7月にかけて公開するという。なお全部で1950万円だった。

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