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2022年9月25日日曜日

佐和山隧道など地域への功績紹介した特集展示・松居石材商店の歴史

 彦根城博物館は8日から彦根市元町の松居石材商店が行ってきた佐和山隧道(ずいどう(トンネル)をはじめとした土木工事など、地域への功績を紹介した特集展示「松居石材商店の歴史」を開いている。

直弼像の台座 多賀大社造営
三代・六三郎 町議4期務める
 松居石材商店は初代・孫兵衛が北小松(現在の大津市北部)から彦根に移り、文政12年(1829年)に創業したのが始まり。墓や灯ろう、鳥居、石碑を製造し、明治43年(1910年)に現在の県護国神社付近に建立された井伊直弼公の銅像の台座を作り、昭和4年(1929年)から同8年まで多賀大社で行われた大造営にも携わった。
 三代目の六三郎(1866~1936)は明治36年に大坂で開かれた第5回内国勧業博覧会に石造の釣燈籠(つりとうろう)を出展し高い評価を得た。滋賀県から請け負った土木工事にも取り組み、大正8年(1919年)から同13年にかけて施工した佐和山隧道や、大正13年から昭和2年にかけて工事した長浜市の賤ケ嶽(しずがたけ)隧道などを担った。六三郎は明治末期から大正時代にかけて彦根町会議員を4期務めるなど地域の発展に尽力した。
特集展示では松居家が所蔵する資料36点を展示。天寧寺に文久元年(1861年)に建立された井伊直弼供養塔を案内した石碑の文字原稿は「井伊直弼公供養塔」と書かれた文字の輪郭をなぞって書かれている。
 佐和山隧道の古写真は、隧道の完成を祝って日の丸を掲げ、武士の姿に仮装した市民たちが練り歩く様子が写されている。佐和山隧道は当時の「切り通し」と呼ばれた佐和山山中の道を馬車や荷車で越えられるよう、明治初め頃からの地元民の要望を受ける形で築かれた。現在の歩行用トンネルの上部に現存するが、草木が生い茂るなどその姿を見ることはできない。
 賤ケ嶽隧道西口の題額原稿は、隧道西側の入り口上部に掲げられている額の題字原稿。大正8年から同12年まで滋賀県知事を務めた堀田義次郎が篆書(てんしょ)で書いた「周道如匡」の文字で、「曲がりくねった山の道をまっすぐにただす」との意味だという。
ほかに、区長や彦根町会議員を4期務めた三代目の六三郎に町民一同から昭和6年1月に出された感謝状や、明治36年に六三郎が内国勧業博覧会に出展した釣燈籠なども。関連講座は定員50人、講師は学芸員の早川駿治さん。資料代100円。開館は10月4日までの午前8時半~午後5時。

 

 

ウクライナの歌姫ナターシャ・グジーさんコンサート滋賀大学彦根キャンパスの講堂で

 「ウクライナの歌姫」として知られるナターシャ・グジーさんのコンサートが12日、滋賀大学彦根キャンパスの講堂で開かれ、満員の約300人が美しい歌声に聞き入っていた。
 ナターシャさんはウクライナに住んでいた6歳の時、自宅から3・5㌔離れたチェルノブイリ原発で爆発事故を経験し、避難生活を経てキエフ市に移住。ウクライナの民俗音楽のバンドゥーラに出会い、8歳の時から音楽学校で学んできた。2000年から日本語学校に通いながら日本での音楽活動を開始。コンサートやライブのほか、学校での教室や演奏会など幅広く活動している。
 ロシアの侵略後の7月からは「Charity for Ukraine47 『希望の大地』チャリティーツアー」と題し、全国47都道府県でコンサートを実施。滋賀県会場となった滋賀大学では「防人の詩」「秋桜(コスモス)」など日本の名曲のほか、「わがキエフ」「希望の大地」「希望の灯」などウクライナへの思いを込めた曲を歌った。
 最後には日本の歌「故郷」を奏で、来場者にも心の中で歌ってもらうよう依頼し、一体となって楽しんだ。ナターシャさんは「日本に来ていつのまにか22年も経った。ウクライナと、もう一つのふるさとの日本との文化の架け橋になりたい」と話した。今回の収益の一部は滋賀大学のウクライナ支援募金に寄付される。

2022年9月15日木曜日

電動車いすWHILL(ウィル)無料で貸し出す実証実験彦根市内で

 簡単な運転操作で座ったまま移動できる電動車いす「WHILL(ウィル)」を無料で貸し出す実証実験が1日から彦根市内で開始。年齢や障害の有無に関係なく誰でも利用できる移動手段として、県内では今月から彦根のほか、守山、長浜の各市でも始まった。
 ウィルは次世代型の電動車いすを開発している会社・WHILL(東京都品川区)の製品。右手を載せる部分に操作装置があり、1から4段階で時速1㌔から同6㌔までのスピードが出せる。歩行速度とほぼ同程度で、角度10度の坂や高さ5㌢の段差も乗り越えられる。免許不要で、高齢者や障害者、体力に自信のない中高年が少し離れた距離への移動や街中を観光する乗り物として使用できる。2018年以降、全国各地の県や市で実証実験が行われている。
 同社と東京海上日動火災保険の提案を受けた彦根市や彦根観光協会は、市民や観光客の近距離の移動用として実証実験を今月から開始。1120日までの午前9時~正午と午後1時~同4時の間、四番町スクエア内の同協会事務所で無料で貸し出す。使用範囲は周囲2、3㌔。2台用意。対象は体重115㌔以下の18歳以上。利用申込書と同意書への署名が必要。同協会まで予約が必要だが、空きがあれば当日申し込み可。
 四番町スクエアに観光で訪れていた名古屋市の村瀬郁穂さん(28)と母親の坂本小雪さん(60)はウィルに試乗。村瀬さんは「足が悪い人や歩いて疲れやすい人にはいい。乗り心地もいい」、坂本さんは「運転しても疲れない。足をけがしても観光したい人にも向いていると思う」と話していた。彦根市は実証実験を経て、導入するか検討していく。

ARラリーKОTО妖怪SPOT

 スマートフォンを手に彦愛犬1市4町の妖怪に関する地を巡るイベント「ARラリーKОTО妖怪SPOT」が8月20日から始まった。スマホ画面に登場した妖怪を撮影した画像でポストカードがもらえたり、フォトコンテストに応募してグッズを手に入れたりの特典がある。
 1市4町で組織するびわこ湖東路観光協議会が、湖東地域の観光客の誘客と周遊を目的に企画した。
 妖怪スポットの場所と登場する妖怪は、彦根城大手前の河太郎、近江鉄道高宮駅のおたまさん、多賀大社の先食烏(せんじきがらす)、あけぼのパーク多賀の二丈坊、道の駅せせらぎの里こうらの仙人姿の天狗、勝楽寺のハクゾウス、愛知川ふれあい本陣の釣瓶落とし、金剛輪寺の油坊主、豊郷小学校旧校舎群の平将門の首、犬上神社の大蛇の計10カ所。
 参加者は自転車などで各所を巡って、スマホを使って専用パンフレットのQRコードを読み取り、かざした画面に登場した妖怪のイラストを写真撮影する。3カ所以上を訪れて「ARラリーマップ」の画面を彦根市本町の夢京橋あかり館のスタッフに提示すると、琵琶湖の妖怪「水虎(すいこ)」のポストカードを受け取れる。また同館2階で開催中の「淡海の妖怪」展の入場料が無料になる。
 ほかに、妖怪の写真をハッシュタグ「#arkoto2022」を付けてインスタグラムやツイッターに投稿すると、9月~11月の毎月19日の投稿者から入賞者3人ずつに1000円相当のグッズがもらえる。
ARラリーマップの画面にはそれぞれの妖怪の特徴を紹介した説明文や、妖怪スポットを一覧表示できる地図もアップしている。専用のパンフレットは各妖怪スポットや1市4町の観光案内所などにある。小学生以下は保護者同伴で。問い合わせは彦根市観光交流課☎(30)6120。

2022年9月11日日曜日

陽だまりの会たん・とん認知症をテーマに寸劇を披露

 JA東びわこの組合員たちの団体「陽だまりの会たん・とん」が8月31日、大薮集会所で認知症をテーマにした寸劇を披露し、認知症への理解を求めた。
 同団体は1998年に彦愛犬の組合員たちによって結成。福祉施設での入浴や食事の介助、介護技術や認知症に関する研修をしてきた。10年ほど前から認知症をテーマにした寸劇を上演したり、高齢者から悩みを聞いたりする活動を展開している。
 大薮町の住民たちが3年ほど前から開いている「大薮サロン」の依頼を受け、同団体会長の谷口幸子さんらメンバー10人が参加。谷口さんが認知症の花子さんの「姑(しゅうとめ)」役、ほかのメンバーが嫁、娘、息子、隣人などに分かれて、花子さんが道に迷ってしまう「私はどこへ?」や、自宅から荷物を抱えて出て行こうとする「ほな今日はこれで!」など計9作品の寸劇を演じた。
 それぞれの寸劇の途中ではナレーションが入る本格的な劇に、見学に訪れた住民たちも見入っていた。最後の「花子さんのつぶやき」のコーナーでは、谷口さんが「いつまでも迷惑をかけたくないので、一日も早くお迎えに来てほしいが、せっかく頂いた命。もう少しだけ生きるので、支えて頂けたらうれしい。お頼み申し上げます」と語った。
 同団体の寸劇は新型コロナウイルスの影響で上演できず、3年ぶりとなった今回も稽古ができず、「ぶっつけ本番でアドリブもあった」という。谷口さんは実母と義母が認知症だったといい「自らの体験も劇の中に取り入れた。家族をはじめ、周りの人たちの助けが必要だと知ってほしい。これからも寸劇を披露したい」と話していた。問い合わせはJA東びわこのくらしの活動課☎(28)7860。
 
多賀で寸劇と落語
 JA東びわこの多賀支店で1014日午後1時~陽だまりの会たん・とんの寸劇と林家久蔵さんの交通安全落語がある。参加費300円、土産付き。定員60人。多賀町外でも可。申し込みは今月30日までにJA東びわこのくらしの活動課へ。

2022年9月5日月曜日

彦根商工会議所青年部と市職員がまちづくりについて意見交換する彦根版故郷の新しい風会議

 彦根商工会議所青年部と市職員がまちづくりについて意見交換する「彦根版故郷の新しい風会議」が24日夜に彦根商議所であり、3つのテーマに分かれてグループごとに意見を出し合った。
 両者の交流と親睦の場として2013年度から行っており、9回目の今年は「もしも、私が市長だったら〇〇する」を主題として開催し、同青年部の会員46人と市職員16人が参加。観光・イベントの「楽しめるまちおこし」、教育・福祉の「未来あるまち育み」、地方創生・インフラ整備の「住みよいまちづくり」の3テーマ8グループに分かれ、事前アンケートを参考に「マニフェスト」の立案に向けて話し合った。
 約50分間の会議後、「候補者」の代表者が一人ずつ登壇。琵琶湖や松原水泳場などを活用した「湖岸リゾート地計画」、出産祝い金の支給や空き家での高齢者のシェアハウス運営の「ゆりかごから墓場まで出ていかなくて住む彦根」、古民家を再生しおしゃれな店を経営する「彦根テーマパーク構想」などの8案が発表された。その後、投票で湖岸リゾート地計画の候補者が当選した。
 同青年部の松下和雅会長は「熱いメンバーが集まっており、一致団結して彦根を盛り上げたい。毎回、意義のある会議になっている」と話した。同青年部では話し合いの中で出てきた案をまとめ、市へ報告する形式で調整していく。