2009年7月31日金曜日

彦根東高校のゆるキャラ「ぎんにゃん」 初登場へ

 彦根東高校のイメージキャラクター「ぎんにゃん」の着ぐるみが、8月2日午後6時50分から中央町で初めてお目見えする。
 東高新聞部が昨年、夢京橋キャッスルロードで開かれたゆるキャラまつりを取材した際、主催者から「学校のゆるキャラを作ってみては」とのアドバイスを受けたことから、キャラクター作りを企画。昨年末から今年初めにかけて校内でキャラクターを公募し、約40件の応募があり、生徒間の投票の末、米田梨那さん=3年生=が考案したデザインが選ばれ、「ぎんにゃん」と名付けられた。
 ぎんにゃんは、白色のネコを基調に、頭に東高の象徴・イチョウの葉を差し、赤鬼をイメージした赤色のマフラーを、東高の校章で留めている。特技は銀杏の皮むきと東高生を癒やすこと。好きな食べ物は熱い茶と茶碗蒸し。
 今春に野球部がセンバツ出場した際には、バッターの構えや応援団員、チアリーダーなどの格好をしたぎんにゃんも、新聞部発行の新聞などに登場。これまでに約20種類のパターンが作られている。
 7月1日に校内で行われた文化祭で、新聞部の部員18人と顧問が約3週間かけて作った着ぐるみも初めて披露され、生徒の間で人気だったという。
 校外では、2日の中央町で初お目見えとなる。今年10月23日~25日に市内で行われる「ゆるキャラまつり」にも登場する予定。

彦根市、ひこにゃん似た商品販売中止求める 四番町は「販売継続」

 ひこにゃんと類似する「ひこねのよいにゃんこ」の商品を販売しないよう、彦根市は27日、市内6社の販売店に販売中止を求める文書を提示した。市の指示に従い販売を停止する店がある一方、販売を続ける店舗もある。
 ひこにゃんは、築城400年祭に合わせて大阪のキャラクター作家が考案。彦根市などで組織の実行委が公募作品から選んで、著作権を買い取り、ひこにゃんの名称と図柄もその後、商標登録された。
 しかし平成19年11月に、ひこにゃんが営利目的に利用されていることや、3つのポーズ以外の図柄が出回っていることに原作者が反発し、400年祭後の使用中止を求める民事調停を申し立てた。市と原作者での協議の結果、▽市は3つのポーズ以外の使用を認めない▽原作者が著作者人格権、市が商標権、実行委が著作権を所有する▽原作者が出版した絵本「ひこねのよいにゃんこ」の創作活動を続ける―ことなどで合意した。
 よいにゃんこのグッズは、市内の土産物店や商店街で販売されている。しかし市は「ひこにゃんと間違えて買っていく人もおり、誤解を生む恐れがある」として、27日に市職員が各店舗に訪れ、販売中止を求める文書を手渡した。
 文書には「絵本の販売は認めたが、それ以外のグッズ販売は認めていない」「販売中止に従わない場合、弁護士と協議の上、法的措置も検討する」などと記していた。
 販売店では「在庫がなくなる8月半ばごろまで置き、その後撤去する」と市に従う店がある一方、四番町ダイニングは「よいにゃんこの商品を買いに来る客もおり、販売を止める訳にはいかない」としている。
 市と原作者側の弁護士は、よいにゃんこのグッズ販売に関して、これまでにも何度か水面下で協議をしてきたが、平行線に終わっている。市は原作者に対し、「今後は場合によっては法的措置も辞さない」と強気の構えを見せている。
 よいにゃんこグッズの代理店を務める市内の出版社は「市と原作者でよいにゃんこの関連品の販売は合意しており、グッズ販売は問題ない。販売店に販売中止を求めるとは理解できない」としている。

2009年7月29日水曜日

居合道「一心無双流」の剣士が華麗な演舞

 居合道の「一心無双流」の公開演舞が26日、彦根城博物館の能舞台で行われ、県内の剣士20人が巧みな刀さばきを披露した。
 一心無双流は毛利藩の兵法を受け継いだ流派で、県内では彦根、長浜、浅井、木之本に道場がある。
 公開演舞では剣士2人ずつが、さまざまな型をすぶりで見せた後、ベテラン剣士が真剣を手にし、畳表をまるめた巻わらをさまざまな型で鮮やかに斬った。来館者も剣士の技を、固唾を呑んで見守っていた。

雨の中、彦根ゆかたまつりに9000人

 彦根ゆかたまつりが26日、夢京橋キャッスルロードで開かれ、あいにくの雨が降る天候だったが、約9000人(彦根観光協会発表、昨年1万2000人)が訪れた。浴衣や甚平を着て抽選会の受付をしたのは2050人(同2800人)だった。
 まつりの前半、通りは浴衣姿をちらほら見かける程度だったが、雨が止むにつれて次第に増え始め、通りは浴衣姿の女性や子どもたちで賑わった。今秋開催のゆるキャラまつりのPRのためにひこにゃんなどゆるキャラが、メインステージに登場すると、会場は歓声に包まれた。まつりの最後には抽選会も行われ、当選番号の発表の度に、歓喜の声とため息に包まれていた。

戦後体制から「地方分権」へ 滋賀大学・宇野隆俊准教授が解説

 「地方分権」をテーマにした滋賀大学の公開講座が25日開かれ、宇野隆俊准教授が、戦後の日本経済の復興から、バブル崩壊後の地方分権の潮流までを解説した。
 宇野准教授はまず、戦後の日本経済の特徴として▽急速な経済成長▽規制や公共投資など経済への政治介入の大きさ▽地域間の経済格差の小ささ―を紹介し「55年体制下で農村部を基盤とした自民党政権の働きが大きかった」と分析。一方で、1993年の55年体制の崩壊と、90年代のバブル崩壊により、税収減や財政の悪化が進み、工場の海外移転、東京の一極集中により「地方が空洞化した」と展開した。
 中央と地方との財政構造については、公務員総数のうち地方公務員が約4分の3だが、歳出総計に占める地方自治体の割合は7割前後で、歳入面では国税が約6割・地方税が約4割だとするデータを示し「地方は多くの仕事をこなしているわりには、自主財源が少ない」と説明。「地方の税収構造は法人への課税を占める割合が大きいため、経済状況の変化にぜい弱で税収として不安定」と述べた。
 地方の小規模自治体の財政悪化や国4の財政危機などを背景に行われた「平成の大合併」については「国から地方への地方交付税など財政調整の適正化により、地方の財政基盤を強くし、弱い自治体を無くす必要があった」と解説した。

 ※(解説)橋下徹大阪府知事や中田宏横浜市長らによる「首長連合」の訴えで、8月18日公示30日投票の衆院選では「地方分権」も争点の一つになりそうだ。
 戦後の日本経済を支えた中央集権体制は、すでに綻びを見せ始め、体制により既得権益が生じる国の統治システムの打破は不可欠な状況だといえる。
 各政党のマニフェストにおける「地方分権」の政策を吟味しつつ、今後の地方分権の推進が期待される。(山田貴之)

彦根にも妖怪が!? 研究家・羽原仁志さんが紹介

 妖怪について学ぶ3回シリーズの初回の講座が24日、彦根市男女共同参画センター「ウィズ」で開かれ、市内の小学生ら約50人が参加。妖怪研究家の羽原仁志さんが「彦根の妖怪」をテーマに話した。
 羽原さんは、「カッパは妖怪ではなく神様だ」とした上で「お化けや幽霊、神様もみんなまとめて妖怪と言え、すべて怪しい存在だ」と解説した。
 彦根の妖怪については、佐和山七不思議の一つで清凉寺にあるタブの木が夜になると女に化けるという「木娘」や、日が暮れても一人で遊ぶ子どもをさらっていくという「子買い男」、北野神社(馬場1)近くの白壁から急に出てくるという「馬の首」など20体の妖怪を紹介した。
 話を聞いた子どもたちからは「妖怪はどうやって誕生するの」「妖怪は何でいるの」などの質問があり、羽原さんは「妖怪は人間がいる所に必ず出てくる」「妖怪がいないと人間もうまいこと暮らしていけない」と答えた。
 なお次回以降の講座日程は、8月8日午後7時~「淡海の妖怪の話」、21日午後2時~「妖怪のいる毎日」。誰でも参加可。参加費は1人100円。申し込みは同センター℡0749(24)3529へ。

2009年7月24日金曜日

「五環生活」、お年寄りをベロタクシーに乗せて街中散策

 彦根市内で自転車タクシー(ベロタクシー)を運行しているNPO法人「五環生活」(代表理事・近藤隆二郎県立大准教授)は23日から、お年寄りを乗せて街並み散策を楽しんでもらうサービスを始めた。初日には栄町グループホームで出発式が開かれ、ひこにゃんや地元の子どもたちが見守る中、お年寄りを乗せて市街地を巡った。
 戦後の一時期に流行した「輪タク」をイメージし、お年寄りにゆっくりと市内の街並みを見てもらおうと企画。対象は市内のグループホームや宅老所などに入所するお年寄り。2人一組で20~40分散策する。無料。10月まで。
 出発式では、近藤准教授が「これまでは観光客を乗せて走ることが多かったが、これからは地域の皆さんにも乗って頂ければ」とあいさつ。その後、お年寄りを乗せて出発し、彦根城内の堀沿いをゆっくり回った。
 ベロタクシーに乗った女性は「景色がとても良かった。ありがとう」と笑顔の表情を見せていた。問い合わせは同団体℡(26)1463へ。

佐和山城下で石田三成家臣の屋敷郡跡、初の発掘調査

 県教委は23日、佐和山城下の遺跡で、16世紀中ごろの屋敷跡と、石田三成が城主だった時代の武家屋敷跡が見つかったと発表した。佐和山城に関する発掘調査は初めてで、今回の遺跡群の発見は極めて貴重。
 発掘地点は、山に囲まれた谷で、江戸後期作成の「佐和山城絵図」では侍屋敷だった。調査は県文化財保護協会が、ほ場の整備予定地約2281平方㍍を対象に今年4月から、715平方㍍の第1調査区と、1566平方㍍の第2調査区に分けて行われた。
 そのうち第2調査区では、山裾に沿った形で幅2~3㍍、長さ約20~30㍍と約12㍍の2つの堀跡があったほか、中山道寄りに土塁の跡、屋敷跡として石組の遺構、屋敷を囲う溝跡、門柱跡、橋の遺構が見つかった。屋敷跡は溝で区切られていて、10軒以上の屋敷があったと見られる。
 主な遺物としては、化粧道具の箱に付いていた「桐文銅製紐金具」、瓦、信楽焼・備前焼などの土器、下駄、銅銭など。桐文は、皇室の紋として知られ、秀吉は桐文の無断使用を禁止したが、三成にはその使用を許したとされる。また瓦は、大坂の陣以降に作られたものと同じ特徴があり、約10点出土した。
 佐和山城に関する初の調査で、三成時代の屋敷跡が見つかったことについて、NPO法人城郭遺産による街づくり協議会理事長の中井均さんは「侍屋敷があることは絵図に書かれていたが、その区画がわかった事は重要。谷に屋敷を作るということは、三成の時代に家臣が増えたことがわかる」と話している。

聖泉大、NPO、企業が連携し地域活性化図る

 聖泉大学は、大学と企業、NPOが人材やアイデアなどを提供し合う同大学提案の「教育プログラム」が国に採択されたことから、23日にその事業計画を発表した。
 聖泉大によると、滋賀、県立の各大学を加えた彦根市内3大学の学生が市内の企業・団体に就職する割合は数%だという。
 聖泉大が作成したプログラムは、大学生の実践能力の向上と、NPOの活動の充実、企業の良質な人材確保を目的に、聖泉大、彦根商議所・稲枝商工会、NPO法人「Links」とが連携。「三方よし」の精神に基づき、3団体で「人材育成のためのアイデア」や「学び・体験の場」、「優秀な人材」などを提供し合い、地域の活性化に貢献していくというもの。
 聖泉大では3年間で「モデルケース」を整備した後、滋賀大や県立大、ほかのNPOとの連携もする方針。聖泉大では「将来的に大学を起点として三方の循環が推進され、地域の活性化につながれば」としている。なお、同プログラムには3年間で計3300万円の補助を国から受ける。

46年ぶり皆既日食、滋賀県内では部分日食

  22日、国内で46年ぶりに皆既日食が観測され、滋賀県内でも太陽の8割が月に隠れる部分日食が見られた。多賀町のダイニックアストロパーク天究館には親子や天文ファンなど約700人が詰めかけ、あいにくの曇り空だったが、時折、雲の割れ目から部分日食が見えると大きな歓声があがっていた。
 同天究館での観察は午前9時半から始まり、来館者は玄関前や建物内、ベランダに分かれ、専用のサングラスを手に太陽を観察。午前11時ごろには8割欠けた太陽も見ることができた。
 草津市から訪れた奥野颯太君(6)は「とてもおもしろかった。天文にも少し興味を持った」と話していた。豊郷町の西山千晴ちゃん(6)は「最後(最も欠ける場面)が見ることができなくて残念だったけれど、部分日食を見ることができて良かった」と話していた。

2009年7月22日水曜日

衆院解散 滋賀県第2選挙区も事実上の選挙戦へ 8月30日投票

 衆議院が21日に解散したことを受け、政府は総選挙の日程を8月18日公示・30日投開票で正式に決定。国民は自公政権の継続を支持するのか、政権交代を求めるのか―注目の選挙は40日間の決戦へ入った。彦根市や長浜市などの県第2選挙区でも各陣営がすでに実質的な選挙活動を始めている(以下敬称略)。
 県第2選挙区の立候補予定者は、自民党の藤井勇治(59)、民主党の田島一成(46)、幸福実現党の池田信隆(49)。4年前の衆院選では、藤井が郵政民営化法案の反対候補への「刺客」として立候補。保守分裂により共倒れしたが、近畿比例区で復活当選した。田島は世論が「小泉改革」を支持した逆風の中、再選を果たしていた。
 藤井陣営は、町ごと字ごとの集会を夜間だけでなく、日中も行うとし「これまでにない草の根の活動を行い、地域により浸透していきたい」としている。藤井は「解散の本会議は4年間を振り返り緊張して臨んだ。厳しい次の戦いですが、湖東・湖北の力強い発展と国民の目線で日本を変える真剣な政治を実行します」と話している。なお同陣営では、国道8号線近くに事務所を設置する予定。
 田島陣営は、がい旋カーやミニ集会、駅立ちを徹底させて「今月中に完成するマニフェストを基に、政策を訴えて理解を広めていきたい」としている。田島は「待ちに待った解散総選挙。歴史的使命感を持ち、政権交代へ王手をかける。この熱い闘いを『決着の夏』と位置づけ、生活者第1の『民主党マニフェスト』をひたすら国民に訴えていく」と話している。なお田島陣営では8月7日に、ベルロードの元ヤマダ電機1階で、事務所開き式と決起大会を開く予定。
 池田は、消費税の撤廃と北朝鮮のミサイルへの対策を訴えていくとしている。26日に長浜市内で事務所開き。

166人で口笛6分吹いて、ギネス記録更新へ

 口笛を大勢で5分以上吹くギネス記録に挑戦した「井伊(いい)音楽でギネスに挑戦コンサート」が20日、県立大学の体育館で開かれ、166人が口笛を披露し、見事ギネスを更新した。これまでの記録はパリで行われた125人だった。
 参加者は9歳から85歳までで、遠方では東京から訪れた人もいた。会場では、プロの口笛奏者の指導で練習が行われた後、166人が一斉に「ドレミの歌」と「上を向いて歩こう」を口笛で吹き、6分4秒で2曲を吹き終え、見事ギネス記録を更新した。
 参加者の個人写真と名簿、挑戦の模様のビデオがイギリス・ロンドンのギネス本部に送られ、認定報告を得た後、ギネスブックに記録が掲載される。
 実行委代表の寺村邦子さんは「皆さんのお陰で達成することができた。やったー」と喜びの表情を見せた後、「ほかにも挑戦したいことがある。今度は独自のものを考えて、新しいギネス記録を作りたい」と、早くも次の挑戦への抱負を語った。

宗教原理主義とは? 米国と世界を動かす勢力、同志社大学一神教研究センターの藤本龍児氏

 宗教の原理主義と聞けば、イスラム原理主義(者)を思い浮かべる方が多いだろう。しかし、18日に開かれた滋賀大学公開講座で、同志社大学一神教研究センター特別研究員の藤本龍児氏は「イスラム教に原理主義という言葉はなく、欧米諸国やメディアが作ったものだ」と指摘し、米国のキリスト教における「原理主義」と歴史を解説した。
 藤本氏は、アル・カーイダやターリバーン、ハマースなど「国家樹立のためには暴力(テロ)を辞さない」組織と、暴力を外した上で男はひげを生やし、女はスカーフを巻くなどという本来の「イスラーム主義」とが混合されており、「誤解が生まれている」と説明。専門機関ではイスラム過激派やイスラム原理主義(者)という言葉は使わないと解説した。
 米国のキリスト教の原理主義については、1910年代に神学の中で原理主義が登場し、20年代後半に一時衰退するも、聖書を重視する保守的な「福音派」が70年代に、政治化した福音派といわれる「宗教右派」が80年代に登場した歴史を紹介。「現在は米国内で宗教右派の原理主義者が15~18%、福音派が30~40%を占め、大統領選でも大きな影響力を発揮するようになっている」と分析。 まとめとして、冷戦時代の「悪の帝国」(ソ連)や9・11後の「悪の枢軸」(イラク、イラン、北朝鮮)が「キリスト陣営の中心という十字軍の思想、アメリカ至上主義の中で生まれた」とした上で、「現代の米国を動かしている勢力(キリスト教原理主義)は、世界の勢力ともいえる」とし、「正しい」原理主義への理解を求めた。

2009年7月17日金曜日

江戸期整備の七曲り通り 現在は彦根仏壇街に

 彦根市内の新町、芹中町、大橋町、元岡町、沼波町にかけた全長約1・5㌔の仏壇街は、「七曲り」通りと呼ばれている。江戸時代は中山道の高宮宿から彦根城下へ向かうための道だったが、現在は人通りが少なく、観光客の姿もほとんど目にすることはない。市は、七曲り通りを「歴史まちづくり法」に伴う開発拠点の一つにあげており、今後の整備の行方が注目される。(山田貴之)
                 
 七曲り通りは、彦根城が整備された後の江戸時代初めに、高宮宿から城下町までに築かれた道で、前方を見通せないように通りを何度も屈曲させたことから、七曲りと呼ばれるようになった。一般的に、道が幾つも曲がっていることを言うのだが、彦根の場合は偶然、7カ所の「曲がり」がある。
 正保元年(1644)に町割りが行われ、芹中、大橋、岡の各町が出き、その翌年に沼波町が誕生。通りには古鉄屋、塩屋、道具屋、桶屋などさまざまな店があった。江戸後期ごろからは、武具製造に携わっていた塗り師、指物師、錺金具師などの職人が集まり始め、現在の「仏壇街」になっている。
 県立大学の浜崎一志教授研究室の調査によると、七曲り通りで町屋形式の建物は74軒残っているという。そのうち江戸期の建物とされる旧村岸家は、高宮方面から通りに入った最初の曲がり角にあり、防火用に用いられる土戸が唯一、残っている。
 ほかに、文化財的に価値のある建物が多くあり、彦根市は今後、「歴史まちづくり法」を活用した街づくりを進める。数年以内に建物の調査をし、地元の住民と協議をした上で、歴史的景観が残る街づくりの整備を行うとしている。

「日本伝統建築技術保存会」(事務所・西澤工務店)が国の「保存団体」に

 彦根市鳥居本町に事務所があるNPO法人「日本伝統建築技術保存会」(会長=西澤政男・西澤工務店社長)が17日、国の選定保存技術(建造物木工の分野)の保存団体に認定された。選定保存技術の認定は県内で2件目だが、建造物木工の技術としては県内初。
 選定保存技術は、昭和50年(1975)に文化財保護法改正に伴い設置。文化財保護のため保存が必要な伝統的技術・技能を文部科学大臣が選定保存技術として選定し、その技術・技能を保有する個人・団体が行う伝統技術の研修会などの事業に補助をする。
 そのうちの「建造物木工」技術は、文化財建造物を修理(解体修理)する際に用いられる大工の技術で、近年は一般木造建築工事の省力化や木造の社寺建築の減少により、建造物木工の技術を持つ技能者が減っているという。
 「日本伝統建築技術保存会」は、建造物木工技術の継承と伝承者の養成を目的に、文化財建造物の修理経験をもつ木工技能者など75人により平成12年に設立。同16年にNPO法人になり、これまで講義や実技演習の場を設け、技能の継承に尽力してきた。

西澤会長「今後も後継者育成に尽力」
 西澤会長は「これまでの活動が認められて大変名誉なことだと思う。認定により重い責任を負うが、これからも気を引き締めて後継者育成に取り組みたい」と話している。なお西澤会長は昨年11月に、国内最高水準の技術の保有者に贈られる「現代の名工」にも選ばれている。

滋賀レイクスターズの選手が佐和山小で教室、今秋 彦根で初試合

プロバスケットボールリーグ「bjリーグ」の「滋賀レイクスターズ」の選手が小学校を訪問しバスケットを教える教室が15日に、彦根市立佐和山小学校で開かれた。同チームの選手が彦根の学校へ訪問するのは初めて。
 同チームは、昨年10月の発足以来、チームのPRとバスケットの普及を目的に、学校への訪問、バスケット教室の開講、地域イベントへの参加をしてきた。
 今年度3校目の学校訪問となった佐和山小では、ポイントガードの小川伸也選手(25)とフォワードの小島佑太選手(25)が参加し、6年生109人に基礎を教えた。
 教室では児童たちからの質疑応答があった後、子どもたちは両選手の手本を見ながら、パスやドリブル、ドリブルシュートをして楽しんでいた。
 なお滋賀レイクスターズの試合が、10月31日と11月1日に彦根で初めて行われる。場所は市民体育センター。対戦相手や時間など未定。チケット販売は9月以降。

2009年7月14日火曜日

「皆既日食」22日に 大部分は「部分日食」に

 22日は国内で46年ぶりに「皆既日食」を見ることができる。滋賀県内では約80%欠けた「部分日食」となる予定で、すでに観望グッズが手に入りにくい状況になっている。
 日食は、太陽と地球の間に月が入り、地球から見る太陽が隠れた状態になることを言う。完全に見えなくなる「皆既日食」、太陽の周りにコロナ(光の輪)が見える「金環日食」、一部が欠けた「部分日食」の3種類に分けられる。
 国内での皆既日食は、1963年(昭和38年)7月21日に北海道東部などで観測されて以来で、今回は屋久島や種子島、奄美大島の一部などで午前11時前後に皆既日食を見ることができる。次回は中部や関東の一部での2035年9月2日までない。
 金環日食や部分日食は1987年以来で、彦根市や多賀町など県内では午前9時48分ごろから欠け始め、同11時6分ごろに約80%欠けた部分日食を見ることができる。その後、少しずつ元に戻り、午後0時25分ごろに今回の日食が終わる。次回は2012年に九州から近畿、関東にかけて金環日食を見ることができる。
 なお、多賀町のダイニックアストロパーク天究館と多賀町立博物館で22日午前9時半から、部分日食の観望会が開かれる。日食観察用のサングラスも約100枚用意。参加無料。問い合わせは同天究館℡0749(48)1820か同博物館℡0749(48)2077へ。

日食見る際は専用のサングラスを
 太陽を観察する際、これまでは色の濃い下敷きや、現像済みの写真フィルム、ろうそくのすすを付けたガラス板などが使われていたが、専門家の間ではいずれも目を傷める可能性があり、日食用のサングラスの着用を求めている。
 色の濃い下敷きなどは、光を遮ることができる一方で、赤外線をカットすることができず、気づかないまま目を痛めてしまうという。このため、日食の観察には、市販されている専用のサングラスが必要になる。

 部分日食を前に、20日午前10時半~と午後1時半~は、ビバシティ彦根2階のビバシティホールで、日食についての学習会。専門家による日食についての話、サングラス作り。持ち物はカッター、ノリ。対象は小中高生。小学生は保護者同伴。参加無料。定員各100人。当日30分前から受付。

衆院選8月18日公示・30日投票 県第2選挙区も準備

 麻生太郎首相は13日、首相官邸で自民、公明両党の幹部と会談。来週21日にも衆議院を解散し、衆院選の日程を「8月18日公示・同30日投開票」とすることで合意した。彦根市などの県第2選挙区でも、民主、自民両党の陣営が選挙準備を始めた。
 民主党の田島一成衆院議員の陣営は、市内のベルロード(通称)の元ヤマダ電機1階に選挙事務所を設ける。田島議員は「いよいよ待ちに待った『政権交代』の好機。東京都議選がまさしくその引き金となった。『国民最優先』で頑張り抜きます」と話している。
 自民党の藤井勇治衆院議員の陣営は、ベルロードに選挙事務所を設置し、27日の週に開所する予定。藤井議員は「湖東湖北の声を国政に反映させる思いでやってきた。この4年間の総決算という意気込みで選挙に臨みたい」と話している。

彦根で子ども科学教室 「国際化学オリンピック」PRで

 来年7月に東京都内で行われる「国際化学オリンピック」のプレイベントとして、子ども科学教室が12日に彦根市子どもセンターで開かれた。
 化学オリンピック日本実行委員会が、オリンピックのPRと化学の魅力を子どもたちに伝えるために実験キッドを車に積んで、昨年8月から全国を巡回。子どもセンターでは、約130人の小学生が入浴剤作りと、冷却パック作り、太陽を利用して自分の描いたものをコピー―の3教室に分かれて体験。指導には実行委のメンバー5人や、彦根工業高校の生徒10人らがあたり、子どもたちに丁寧に教えていた。
 入浴剤作りを体験した城西小の鈴木真耶さん(9)は「理科が好きで参加し、難しい所もあったけれど、より理科(科学)に興味をもった」と話していた。

2009年7月10日金曜日

「民族浄化」を企む中国 

 中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで起きた暴動に関して、「民族浄化」を目論む中国政府に強い憤りをおぼえるのは小生だけではあるまい。
 中国には55の少数民族がいるが、総人口の9割以上は漢族が占める。朝日新聞によると、1949年には自治区に25万人しか住んでいなかった漢族が、現在は800万人を超え、自治区内の少数民族の人口は45・5%しかいないという。
 新疆ウイグル自治区は、清朝に征服された後の19世紀に新しい国土という意味で「新疆」と名付けられた。1933年と44年に独立運動が起こるが、いずれも失敗に終わっている。49年に中華人民共和国が設立された後や文化大革命時には、指導部による高圧的な宗教、民族の弾圧が行われた。現在、同自治区は漢族が40%を超え、ウルムチでは漢族が最も多い。
 同自治区は天然ガスや石油など資源の宝庫だが、巨額の利益を手にしているのは漢族の企業。各国のウイグル人による組織「世界ウイグル会議」では、ウェブサイトで「中国最大級の資源基地にもかかわらず、ウイグル族の経済状況は低い水準にある」と非難している。
 今回の暴動は、ウイグル人の出稼ぎ労働者が先月、広東省の玩具工場で漢族に襲われ、2人が死亡したことに抗議するためデモをしたウイグル族と、漢族との衝突が発展したものとされる。
 しかし、ウイグル族が不満を抱く根本的な原因は、宗教や教育、言語の自由を奪い、漢族との経済格差を生じさせた中央政府の策謀にある。つまり、豊富な資源がある同自治区を守り、独立させないために骨抜きにしようという企みである。ウイグル族が反発するのは必然であろう。
 暴動に関して、ウイグル族の行為や漢族の遺体のみを放送する中国国内の報道も異様である。偏狭報道で自国民を騙し、報道や情報、活動の自由を許さない社会主義国お得意の手法には呆れるばかりだ。
 拘束されたウイグル人は300人以上とも言われる。かの国が拘束者に拷問や虐待を繰り返すのは目に見えていよう。
 鄧小平の社会主義市場経済により、中国は先進国並みに発展し、近く米国に次ぐ経済大国になると言われる。民族浄化のための人権弾圧と、「自由」を許さぬ思想に対し、及び腰ぎみの国際社会が厳しい声をあげなければ、かの国の暴走は止められまい。 (山田貴之)

ギネス挑戦に参加しよう、20日 口笛5分以上吹ける人

 みんなで口笛を吹いてギネス記録を更新しよう―。ギネスに挑戦実行委員会(寺村邦子代表)は、20日に県立大学体育館(八坂町)で開く「井伊(いい)音楽でギネスに挑戦コンサート」の参加者を募集している。
 実行委ではこれまでに、184時間連続コンサート(平成19年3月)や大借り物競走(20年6月)でギネス記録を更新。今回は、パリで125人が達成した「大勢で口笛を吹く記録」に挑戦する。
 5分以上、口笛が吹ける人なら誰でも参加できる。演奏曲は「上を向いて歩こう」と「ドレミの歌」の予定。ひこにゃんも参加する。当日受付は午前10時半から。参加無料。
 申し込みはHP(http://ginesu2008.exblog.jp/)の登録フォームからかファクス0749(26)9616へ。問い合わせは代表の寺村さん090(5152)3918へ。

ほかのギネス挑戦イベントも
150年前の曲聞きながら
 ギネス挑戦イベントの後には、ピーナッツ投げ、折り紙の早折り、紙飛行機のバケツ入れなどのギネス記録に挑戦できる催しも。ほかに、井伊直弼と開国150年祭を記念し、真夏の音楽祭20周年記念コンサートも開かれ、150年前に流行した「大江戸吹雪」や「かっぽれ」、「トコトンヤレ節」などが演奏される。

第91回全国高校野球・滋賀大会開幕、彦根総合高校が初出場 優勝候補は近江高

 第91回全国高校野球選手権大会滋賀大会が、11日に開幕。初出場の彦根総合高校と滋賀短大附属高校を含む54校が、甲子園出場へのキップを掛け熱戦を繰り広げる。優勝候補の近江を筆頭に、綾羽、彦根東、滋賀学園、甲西、北大津などが続く。大会は26日まで(雨天順延)。
 近江は、山下、富尾両投手の2枚看板を中心に、左打者を揃えた打線も注目。昨夏から秋、今春にかけて県大会で無敗を誇り、総合力で抜き出ており、3連覇を目指す。初戦は18日に彦根球場で。
 今春、21世紀枠でセンバツ出場を果たした彦根東は、本格派の金子投手を中心にした守りの野球が持ち味。初戦は開幕日の11日に皇子山球場で膳所と進学校同士の戦いに。
 近江と彦根東は同じAゾーンで、両校共順当に勝ち進めば、23日の彦根球場での準々決勝で4強進出をかけてぶつかる。彦犬・米原のほかの高校の初戦日程は次の通り(カッコ内は対戦相手)。▽米原=12日②皇(東大津)▽彦根翔陽=12日③皇(虎姫)▽彦根工業=13日①皇(伊吹)▽愛知=14日①彦(八幡商)▽彦根総合=14日②皇(堅田)▽河瀬=15日②皇(湖南農業)▽彦根西=18日①皇(日野)。

水難事故予防で保護者が救命訓練、みどり幼稚園で

 水泳シーズンに合わせ、彦根市川瀬馬場町のみどり幼稚園は8日、保護者を対象に水難事故防止のための救命教室を開いた。 
 教室には、園児の保護者220人が参加。市消防署南分署の救急隊員から講義を受けた後、6グループに分かれて、人形を相手に人工呼吸や心臓マッサージ、AED(自動体外式除細動置)の使用方法を実演しながら学んだ。園児292人も年齢ごとに保護者の周りに並び、訓練の様子を熱心に見守った。

城西・若葉小などにオニバス植える

 彦根城内のオニバスの保存活動をしている「彦根城オニバスプロジェクト」(渡邊輝世代表)のメンバーは7日、市役所や城西小、若葉小の池にオニバスを植えた。
 城内には江戸時代以降、多くのオニバスが咲いていたが、近年はハスの大量発生などで育ちにくくなり、同団体が保存活動をしている。昨年秋に中堀のオニバスの種子を採り、メンバーの自宅で育てていたが、多くの市民に知ってもらおうと市役所などに植えることにした。
 この日はメンバー14人が、市役所に3株、城西・若葉の各小学校に1株ずつ、金亀児童公園に4株を植えた。若葉小学校では児童も参加したが、降雨のため作業が中断するハプニングもあった。花は8月末から9月に咲くという。
 渡邊さんは「今後はすべての小学校に植えていって、オニバスを多くの人に知ってもらえれば」と話している。

2009年7月7日火曜日

彦根城のオニバスイメージの新キャラ「彦鬼(げんき)くん」

 彦根城のオニバスをイメージしたマスコットキャラクター「彦鬼(げんき)くん」が新しく誕生した。
 城内のオニバスの保全活動をしている団体「彦根城オニバスプロジェクト」(渡邊輝世代表)がオニバスをPRするため、エフエムひこねのパーソナリティ・山本ひまりさんにデザインを依頼し考案。
 井伊家の赤鬼を基調に、頭がオニバスの葉っぱに角が生えた形で、手に花を持っている。同団体では今後の活動の場で彦鬼くんを活用し、グッズも販売する予定。

マルホ彦根工場所有の「ベルリンの壁」 東京へ、9月帰還

 医療用医薬品メーカー「マルホ」彦根工場(高宮町)に展示されているベルリンの壁の一部が、8日から東京・赤坂で公開される。
 ドイツは第二次世界大戦後、米英仏など資本主義国が統治した西ドイツと、ソ連など共産主義国が支配した東ドイツに分断。首都・ベルリンは東ドイツ内にあったが、米英仏などによる西ベルリンと、ソ連による東ベルリンに分割統治された。しかし、西ベルリンへの人口流出が相次いだため、東ベルリンによって1961年に壁が設置。75年に完成したころには総延長が約155㌔にも及んだ。その後、東欧諸国の民主化が進み、ベルリンの壁は89年に東ベルリン市民によって崩壊された。
 マルホ彦根工場にある壁の一部は高さ約3・6㍍、幅約1・2㍍、厚さ約20㌢。西側の面にはカラフルな色で落書きされているが、東側の面は国境検問所からの位置を示す「28」が記されているのみ。最上部は乗り越えられないよう、丸く加工されている。
 ベルリンの壁崩壊のニュースを見た同社の高木二郎名誉会長(89)(当時会長)が「社員にも平和を実感させたい」と考えていたことを、取り引き先だったドイツの製薬会社「ドクトル・カーデ社」が知り、古稀のお祝いとして同会長に贈呈。彦根工場には90年7月に届き、屋外に設置されていたが、劣化が見られたため、2007年からは屋内の玄関ホールに展示している。 今年はベルリンの壁が崩壊してから20年目で、8月15日からベルリンで世界陸上が行われる。世界陸上を放送するTBSから同社にベルリンの壁を展示したい要請があり、同社は4、5日の2日かけて東京へ送った。彦根工場には9月ごろ戻り、再び展示される。見学自由。

高宮花火11日 県内トップ切り4千発

 高宮納涼花火大会が11日午後8時から、犬上川無賃橋上流で行われる。
 高宮商工会が昭和3年から全国煙火大会として開いたのが始まり。97回目の今年も県内トップを切っての開催で、カウントダウン玉の打ち上げで始まり、2カ所打ちや3カ所打ちなど合計3950発が打ち上げられる。
 悪天候時は12日に順延。開催の有無は11日午前10時までに決定し、エフエムひこねで案内される。近江鉄道の臨時電車も。

環境問題の解決策 滋賀大学・柴山桂太准教授「技術革新」と「『新食』導入」

 滋賀大学の柴山桂太准教授は4日、環境問題をテーマに市内で講演し「文明社会は人口増、食糧増、資源増の3つの問題が転じて環境問題になり、それを繰り返すもの」とし、その難局を乗り切った例のひとつが「日本の江戸期だ」と解説した。
 柴山准教授は、「環境問題はいまに始まったものでなく、世界の文明史上絶えず直面してきた」と説明。古代文明が栄えたイースター島(チリ)を例にあげ「文明が発達して人口が増え、生活を養うために魚などの食糧と森林資源が乱獲されたことが環境破壊をもたらし、内乱や疫病が起こった」と指摘。根本的な問題は「人口増を補う食糧・資源の確保と管理だ」と展開した。
 その成功例として、古代アテネと18世紀のイングランド、江戸期の日本を紹介。アテネは都市で枯渇しかけた資源の木材を戦争による収奪で他国に求めて維持した。18世紀のイングランドは石炭採掘の技術革新に注力し資源を木材から石炭に転換、エネルギー効率を飛躍的に伸ばした。
 また江戸期の日本では、1600年頃から100年間に人口が1500万人から3000万人に倍増し木材枯渇が深刻化したが、その後人口増は収まったとし、その背景には「人口抑制や、生活での省エネと幕府による森林再生政策、さらに新たに鯨食を取り入れたことがある」と解説。
 中でも「イングランドの技術革新」、「日本の省エネ・資源再生と『新食』導入」が、今後の文明社会の活路を見出す上で参考になるとの見解を示した。

2009年7月3日金曜日

狂言師・藤田隆行さんに稲枝中生がインタビュー

 滋賀彦根新聞社に職場体験に訪れている稲枝中生の4人が、狂言師・藤田隆行さん(46)=松原町=にインタビュー。狂言についてさまざまな質問をぶつけた。
 ―狂言を始めたきっかけは
 10年ほど前に、猿楽の発祥の地とされる多賀町で結成された「多賀座」に入ったのがきっかけで、その時には狂言師の野村万之丞さん(故人)にも出会いました。平成13年には能楽協会に認められ、正式な狂言師になりました。
 ―狂言の魅力は
 1000年近く続いている歴史の中で、すごく洗練されたさまざまな要素があることです。色んな気持ちとか、時代風刺の描き方に魅力を感じます。
 ―現在と今後の活動は
 学校だけでなく、ドラえもんやアンパンマン、ポケモンの中に狂言を取り入れ、紙芝居にして幼稚園や保育園で披露したりしています。
 今年4月に能楽協会を脱会しましたが、今後もボランティアとして学校や地域で狂言を教えたいと思います。

城陽小で狂言教室、藤田さん講師に
 彦根市立城陽小学校で2日、狂言師・藤田さんを招いた狂言教室が開かれた。日本文化の狂言をプロの実演を見て学ぼうと開かれ、6年生59人が体験。
 藤田さんは、能が悲しい劇で武士が演じていた一方で、狂言はえらそうにしている人をやっつけるために町民らが演じた楽しい劇だったことなどを教え、すり足や声の出し方を実演しながら指導した。
 児童たちも、藤田さんの演技を見ながら、実際にすり足をしたり、声を出したりして狂言の基礎を学んでいた。児童の疋田安貴君(11)は「狂言について、とても勉強になった。本格的にやってみたいです」と話していた。