東日本大震災後に激励を受けた返礼として公演のため渡欧していた、狂言のアマチュア集団「彦根伊呂波(いろは)会」のメンバーが8日、市役所で報告した=公演模様の写真は同会提供。
震災後、岩手県奥州市(旧水沢市)出身で同会代表の小澤祥子さん(66)=愛荘町=あてには、フランス・パリやベルギー在住の友人や、その友人を通して日本語を学ぶ現地の若者たち計約60人から、見舞いや励ましのメールが届いた。
小澤さんは海外の若者たちも心配をしていることに感動し、海外公演を企画。訪れたのは、同会の講師役で大蔵流狂言師・木村正雄さん(82)を団長に、小澤さん、元市議・辻橋正一さん(64)、元朝日新聞記者・中村憲一さん(64)=いずれも彦根市=ら同会メンバーと、京都伊呂波会の4人の計14人。先月22日から今月1日までパリとベルギーに滞在し、5つの演目を6カ所で2種類ずつ披露。各会場ともほぼ満員となる約50人~260人ずつの計約960人が詰めかけたという。
公演前には、現地のコメディアンらがフランス語で題目の内容を身振り手振りを交えて15分間説明した後、メンバーが日本語で25分間演舞。終演後、来場者からは「日本の文化は信じられないほどすごいことを確認した」など、日本の伝統芸能を賞賛する意見があったという。
「公演は大成功に」
パリの4会場では、メンバーが撮影した福島原発近くの南相馬市の動画を公演前に上映。来場者からは「(原発事故に対して)国や電力会社の責任が問われているが、日本ではなぜ暴動が起きないのか」の問いがあり、「日本人は助け合おうとする気持ちが強い」と答え、「今後、日本では原子力発電はどうなるのか」との質問には、嘉田知事の「卒原発」のメッセージをフランス語で紹介したという。
木村さんは、最近の狂言が大衆に迎合していることを嘆きつつ「外国の人の方が純粋に見てくれると感じたし、狂言の精神を理解してくれたと思う。公演は大成功だった」と語った。
小澤さんは「現地の皆さんは本当に満足して喜んでくれたと思う」と話していた。
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