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2018年9月20日木曜日

福満遺跡で奈良時代の倉庫とみられる建物跡発見

 彦根市小泉町の福満遺跡で奈良時代の倉庫とみられる建物跡が見つかったと、市教委文化財課が10日、発表した。当時の税の「租」(米)を犬上郡西部で集約し保管していた建物跡とみられ、県文化財保護協会では「一般集落とは異なる様相で、役人や位の高い人が出入りした施設があったのでは」としている。
 同遺跡は縄文から弥生、古墳、奈良、平安、鎌倉の時代までの遺構で構成された小泉町や西今町に残る約17万7000平方㍍の複合遺跡。大正7年(1918)に弥生土器が見つかって以降、その存在が知られ、城南小学校や宅地開発に伴って昭和56年から発掘調査を実施。これまでに5世紀代の古墳などの遺構や溝の跡などが確認。また近くの西今、須川、竹ケ鼻廃寺などの各遺跡からは埴輪片が見つかっている。
 第23次となる今回は新しい彦根市民体育センターの建設に伴って、昨年8月から約1万1550平方㍍で発掘調査をしている。発見された遺構のうち、等間隔の柱の上に建てられた総柱という構造の2棟の掘立柱建物跡は、35平方㍍と25平方㍍の敷地に奈良時代に2棟建設。同地は犬上川沿いの自然堤防の地にあり、奈良時代の主要道「東山道」にも近かったことから、米の運搬や管理に適していたと考えられる。
 ほかに、縄文時代の河道、弥生・古墳・飛鳥時代の竪穴住居、平安時代の掘立柱建物や高級食器、下駄など木製品、金具、鎌倉時代の溝や土器、砥石も見つかった。発掘調査は来年3月まで。県文化財保護協会副主幹の中川治美さんは「倉庫の発見は奈良時代、この地が犬上郡西部における重要な場所だったと認識できる」と話している。
 現地説明会が今月30日午前10時半~ある。雨天決行。問い合わせは平日に県文化財保護協会☎077(548)9780。

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