市議選は大久保貴市長の現市政への評価を争点に行われ、現職の矢吹安子氏(72)が市長与党会派の「逆風」をものともせず前回に続きトップ当選。最高齢の獅山向洋氏(78)も3位の得票数で、当選後、本紙の取材に「新たな気持ちで次々とあらゆる策を打ち出していきたい」と熱く語った。
新人では市長の要請で出馬した近江ふるさと園元職員の小川吉則氏(60)や、ユーチューバーの堀口達也氏(30)が当選。前回の選挙で落選した伊藤容子氏(56)は当確の知らせを受けて、集まった支援者たちと抱き合いながら喜び、花束を受け取って万歳三唱。本紙のインタビューに対し「これで市民の皆さんの思いを市に伝えていくことができる。公共交通網の充実や観光振興など進めるべきことは多くある」と意気込み、現市政に対しては「是々非々で対応し、一つ一つの問題について慎重に判断したい」と述べた。
一方で田附隆司氏(64)と松野和則氏(51)は落選。そのうち田附氏は当選した新人に対して「自分なりの考えを持ち、議会運営にあたってほしい」と話していた。
市議選の当日の有権者数は9万0414人、投票者数は3万9230人で、投票率は前回の50・05%から大幅に下回り、43・39%。市制施行以降で過去最低だった前々回の45・65%も下回った。原因としては争点がほとんどなかったことや立候補者数が少なかったことが考えられるが、市選管の小川良紘委員長は「残念な結果だと思っています。原因を分析したい」と話した。市内38カ所の投票所のうち最低が旭森小体育館の32・20%で、次いで野良田公会堂(35・57%)、高宮地域文化センター(35・66%)。最高は稲枝北小体育館の71・50%。
当選した24人への当選証書の付与式が22日、大学サテライトプラザ彦根であり、市選管の小川良紘委員長から一人ずつに証書が渡された=写真。
式後、新人の堀口氏は「身の引き締まる思い。早く彦根市の発展のために貢献できるように、議員の仕事について全力で学ばせて頂きたい」と抱負を語った。また「盟友」の北川元気議員と行動を共にすることを明言した。
豊郷町長選は現職の伊藤定勉氏(71)が、新人で自民が推薦した前田広幸氏(47)を破り4選目を果たした。得票数は伊藤氏が1902票、前田氏が1376票だった。
市議選の結果でまず注目されるのは30歳のユーチューバー・堀口氏の当選である。選挙カーを使わず、バイクで街宣し、北川議員や仲間たちと各所で街頭演説をした。西村久子県議や市長選の出馬経験者の応援も功を奏したほか、インターネット上での選挙や若さゆえに有権者うけしたのだろう。堀口氏がどのような人物なのか、小生はまったく知らない多くの市民の一人だが、堀口氏には落選した2人の分まで市政発展のために頑張ってほしい◆さて選挙期間中にあった事案として、甲候補が選挙事務所にしていた公共施設で乙候補が個人演説会を実施する際、乙候補の陣営が甲候補の名前が記された看板などを外させたという◆法的には問題ないようだが、乙候補の陣営の行動は「選挙妨害」や「嫌がらせ」と受け止められても致し方なかろう。甲候補の陣営によると、乙候補の地盤にある施設で個人演説会を予定していたが、前日になって「何らかの圧力で」できなくなったという◆選挙は戦であり、「妨害」も一つの手かもしれないが、倫理的、道義的に反する手法はなかったか、乙候補の陣営には再点検して頂きたい。 (山田)