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2012年11月17日土曜日

犬上川沿いタブノキ切断 嘉田知事が現場確認し謝罪「心痛い」

 滋賀県湖東土木事務所(彦根市元町)の河川改修工事により、彦根市立病院前の犬上川沿いに自生していた貴重なタブノキが切断された問題で、嘉田知事が11日朝、現地を確認。県側のミスを認めて謝罪した。また12日には県や彦根市などの約20人が現地を見ながら、今後の対応を相談した。
 タブノキは海岸近くで育つクスノキ科の樹木で、琵琶湖周辺のように内陸部で見られるのは極めて珍しいという。滋賀県のレッドデータブックで郷土種としてタブノキ林が指定されている。
 県は平成8年に策定した犬上川中小河川改修計画で、滋賀県立大学側の左岸では河川内にタブノキ林を島として残し、右岸側も河川内にできる限りタブノキ林を保全するとしている。左岸側は平成15年までに工事が完了している。
 右岸側の改修工事は先月30日から始まったが、その中で「保全すべきタブノキ林」のエリアにあった3本が切断された。3本の中には直径1㍍23㌢の樹齢100年以上の木もあった。
 県立大学の野間直彦准教授が今月6日に切断されているのに気づき、湖東土木事務所に確認したところ、事前の調査無しに伐採されたとの報告を受けた。野間准教授は「地域住民の努力で残されてきた文化財が無くなったことは極めて残念」と話している。
 同事務所や知事によると、右岸の改修工事はここ5年間ほど中断されていたため、職員間の引き継ぎが十分ではなく、保全すべき区域と伐採するエリアの図面の照合作業も正確ではなかったことが原因だとしている。今後の対応については失われた環境を少しでも取り戻すために移植などで復元に努める。
 現場の確認後、知事は滋賀彦根新聞の取材に「組織的に継承すべきことができておらず、(県側の)ミスだ」と誤りを認めて謝罪した上で、「百数十年かけて育ってきた大木の命が無くなり、心痛い。1本ずつに存在感があり、それらの貴重性を伝えていくことができず、(職員への)教育が不足していた」と語った。
 12日には県や市、野間准教授、環境ボランティアの市民らが現地を訪れ、移植の時期や方法について相談。県は来週にも移植作業に入る方針。

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