中学校での成績がオール1から、猛勉強で高校教師になったエッセイスト・宮本延春さんが3日、ビバシティホールで講演=写真。自身の悲哀に満ちた少年期から上りつめた人生を振り返りながら、未来ある子どもたちの育て方をアドバイスした。
宮本さんは中学2年時の成績が9教科ともオール1で、さすがにその時は自分で自分のことをあきらめたという。いじめを苦に薬を大量に飲んで自殺をはかった経験も明かし「この3年は9年ぐらいの感覚があり、卒業は長いトンネルから出られる灯りみたいだった」と苦しんだ少年期を話した。
中学卒業後、見習い大工として働いていた16歳の時に養母を亡くした。学校や職場では、できない事ばかりを注意されてきたといい「子どもながらに自尊心や自己肯定感が削り取られていった」とし、「その時に周りの人の素敵な所をほめていこうと思った」と話した。
アリやタンポポ食べ生活
アインシュタイン出会い猛勉強
17歳で養父が入院したため更に生活が苦しくなり、拾った自転車で通勤したり、ティッシュペーパーにマヨネーズをつけて食べたり、タンポポを食したり、アリの躍り食いも経験。翌年に養父が死に、アパートも取り壊されたため、ぼろ宿での生活が始まり、雨水での洗濯や風呂、栄養失調による体調不良など厳しい生活が続いた。
20歳の時に、少年時代からしていた少林寺拳法の道場で後に妻となる女性に出会い、女性から借りたビデオでアインシュタインを見たことをきっかけに、小3のドリルから始め、入学した私立豊川高校の定時制で猛勉強。3年後には名古屋大学に入学した。
宮本さんは「『勉強しろ』と言われてやる気が出る子どもはいない」としたうえで「実力や能力に応じた勉強方法でやり続けると、必ずコツやきっかけがつかめ、絶対に伸びる」と断言。
子どもの健全育成に対しては、「子どもは大人を見ている」「愚痴や不平不満ばかりを言っている大人を見て、子どもがそのような大人になりたいと思うはずがない」と解説した。
講演は「社会を明るくする運動・青少年健全育成」彦根市大会で開かれ、市民約400人が参加した。
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