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2011年7月9日土曜日

夢の話 あれこれ―「夢をもとう」を慎もう―

 彦根市内の中学生たちが、さまざまな職場で仕事を体験した。中学生諸君にとって、仕事は「将来の夢」であるかもしれないが、中学生諸君の中で、現時点で(虚勢ではない)夢を抱いている者は少数であり、大半はまだ夢をもってはいないであろう。しかし、小生はそれを良しとしたい。
 教育現場やほかの啓発の場で、「夢をもとう」などというきれいごとの薄っぺらいキャッチフレーズを頻繁に耳にするが、夢は大人が強制するのではなく、子どもたちの成長過程で自然発生的に生まれてくる存在であるべきだ。
 これは何も子どもたちの現場に限らず、大人を含めた世の中全体にもいえることだが、夢をもっている人間が他者に尊ばれる、といった誤解や錯覚に陥っているようだ。そのために、張り子の虎のような人間が溢れているではなかろうか。
 夢はもちたい者、またはもてる者が勝手にもてば良いことであり、決して夢をもっている者が優れた存在ではない。
 だから、中学生諸君には達成できるかできないか分からぬ夢よりも、より身近にある存在との「出会い」を大切にしてほしい。
 人物や書籍、芸術、スポーツなど、さまざまな対象との「出会い」こそが、何よりも尊い存在であり、それらから生まれてくる気づきや悟りを繰り返すことが、後の人生の糧になろうに。そして、さまざまな分野の「出会い」の先に自然発生的に夢が生まれ、達成できれば、願ったり叶ったりである。
 一方で大人側は、「夢をもとう」という絵空事のような謳い文句を慎むのが、上品な振る舞いであると肝に銘じるべきであろう。    【山田貴之】

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