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2021年4月30日金曜日

変革し始めた市民性

「驚天動地(きょうてんどうち)」、世間を非常に驚かせること(大辞林)。まさに、この言葉があてはまる市長選の結果であった。和田氏の支持者を除き、小生を含めて誰がこの結果を予想していたであろうか。
 現職の大久保氏の1万1663票に対し、和田氏と獅山氏を足したいわゆる批判票は2万2584票と倍近い数であり、批判票の6割以上が和田氏に入った。その要因としては失政が続いた現市政に対する不信感、団体や政党の支援を受けず、SNSを利用した和田氏の「新しい選挙スタイル」と「しがらみのない政治」、そして斬新な公約があげられる。
 
閉塞感打破求めた
 しかし、それら以上に小生はこれまでの幾年かにおよぶ鬱積してきた閉塞感や停滞感が漂う彦根特有の雰囲気の打破を望む市民の思いがうねりとなり、我々が見えぬ水面下で想像以上に広がったと考えられる。
 大久保氏の陣営幹部が敗北後、「私たちには和田さんが何をしているのか見えなかった。獅山さんとの戦いだと思っていた」と語り、獅山氏も敗北後「ドラマを見ているようだ」と漏らしていた。
 両陣営の率直な感想は小生も同感であり、両陣営についた国会議員や県議、市議らも同じ感覚だったに違いない。つまり選挙を何度も経験、取材してきた我々と、有権者との感覚には大きなズレが生じており、時代や潮流に追いついていないということだ。敗北した陣営のある市議もそのズレに触れながら市議たちの改心の必要性を説いていた。
 そして、これまで幾度となく「彦根は生ぬるいお湯にどっぷり浸かったたこつぼ状態にある」と指摘し、殿様文化の打破を求めてきた小生の認識も、今回の結果を受けてその誤りを認めざるを得ない。投票率の低さは相変わらずのため、まだまだ小規模ではあるが、市民性は変革(殿様文化は打破)し始めたとしか言いようがない。
 
課題山積みの市政
 さて、来月10日に就任する和田新市長には課題が山積みである。まずは新型コロナ対策に万全を期すことはもちろんだが、すでに建設中の市スポーツ・文化交流センターの整備をストップするのか、滋賀県と進めている彦根城の世界遺産登録をいかに扱うか、ひっ迫する市の財政をいかに立て直すのか、そのほかにも新しい広域ごみ処理施設や市立図書館中央館の整備方針も示す必要がある。和田新市長の手腕に期待したい。 【山田貴之】

 

 

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