歴史的建造物を生かしたまちづくりを学ぶシンポジウムが20日、彦根市の四番町ダイニングで開かれ、奈良県橿原市今井町の住民らがアドバイスした。
今井町には、江戸時代初期から後期までの町家など504軒の建物が残る重要伝統的建造物群保存地区がある。シンポジウムでは、同町町並み保存会の若林稔会長が、時代衣装で町内を巡る茶行列などの「今井町並み散歩」や「フリーマーケット六斎市」などのイベントを紹介したうえで「(行政に資金を)『くれくれ坊主』にはならぬよう、まちは自分たちでつくるという信念でまちづくりをしており、人づくりに徹している」と、まちづくりのヒントを伝授。
行政との連携については「今井町でも、住民と行政でまちづくりへの『本気度』に差があったが、住民が『本気』で接すれば、行政の意識にも変化が出てきて、住民の本気度に近づいてくる」と助言。
「今井町は観光という視点よりも、歴史的建造物の保存を第一義に置いており、その上で『食えるまち』にしていこうと思考している」「住民意識は長いスパンで見ていき、その結果、(歴史的建造物を)残そうという意識を感じてもらえる形になってきた」と述べた。
一方で、NPO法人今井まちなみ再生ネットワークの上田卓也理事長は、同町の建物のうち1割にあたる80~100軒が空き家となり、荒廃が進んでいることを報告。これらの再活用のため、年に4回、町並みを見学ツアーを企画するなどし、空き家が宿泊施設やフレンチレストランに再利用された実績を紹介。所有者と借り手、行政、地域のまちづくり組織とのコミュニティづくりの重要性を訴えた。
この日のシンポジウムはNPO法人彦根景観フォーラムや彦根辻番所の会が、芹橋地区のまちづくりのヒントを得ようと開催した。
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